咲-Saki-消えゆく京- 作:神狼K
というよりここからオリジナルキャラや設定が結構出てきます。
出来るだけ世界観を乱さないように頑張りますのでよろしくお願いします。
今回も活動報告に選択肢があります。
照魔鏡は京を映し出す
「………んー」
私、宮永照は何時もより早く起きていた、その理由は京君を観察するためだ。
実のところ私と京君が再会してまだ1ヶ月で尚且つ病気の事で忙しかったから、ろくに京君が普段何をしているのか分からなかったから決行したのだ、決してやましい気持ちがあったからしてるわけじゃない、…………うん、…そう。
私はそう自分に言い聞かせながら廊下を歩く、普段は眠たげにのんびりと歩く私とは違い、『凛』とした佇まいで歩く私を見た菫は私に寄ってくる。
「おはよう菫」
「あ、ああ、おはよう、今日はどうした?お前にしては随分早く起きてるな?」
「…ちょっと訳あり」
「……はぁ、面倒事だけは起こしてくれるなよ?」
諦めたような表情でいつも通り苦労人ポジの菫には何時も感謝してる、と私は心の中でお礼を言いながら、私て菫は食堂の方へ歩く。
「おはようございます!宮永先輩!」
「うん、おはよう」
私が食堂に来るといつもこうやってプチ騒ぎが起きてしまう、けど私は気にしない。
私は真っ先にもう一人騒ぎを起こしている原因の金髪イケメンの方へと向かった。
「おはよう、京君」
「あ、はい、おはようございます!、照さん」
私に気が付いたら私にとびっきりの笑顔を向けてくれる私のよm……ゴホン、私の幼なじみである須賀京太郎、通称京君だ。
京君の目の前にある料理はレディースランチと呼ばれるものだ、これはこの前初めて知った事なんだけど、どうやら京君は大のレディースランチ好きだったようなのでこの食堂の数十種類はあるレディースランチには大変満足してるようだった。
「あれから、3日が経ったけど……、京君は相変わらず人気だね」
「やめてくださいよ、男が珍しいだけですよ、きっと…」
私は少し嫉妬心をだしながら言ったんだけど、京君には私が京君をからかっているように見えたようだ。
「そうなのかな?」
「そうです」
私と京君がそんなやり取りをしていると、菫が私の方へとやってきた
「おはよう、京太郎」
「はい、おはようございます、菫さん」
京君と菫が軽い挨拶を交わした。
「そういえば、衣さんはどうしたんですか?」
「……さすがに白糸台に転入はできないらしいから、部屋で待機だ」
「…まぁそうですよね」
「食事は心配いらないが、ちょくちょく顔をだした方が良いぞ?、ウサギは寂しいと死んでしまうらしいからな」「そうですね」
天江がウサギなのは否定しないんだ。
「…それと、ほらお前の分だ」
私の目の前に和食の定食を置いてきた菫にお礼を言う。
「ありがとう」
「気にするな」
いつもの事だ、と笑いながら言ってくる菫。
「…いただきます」
「いただきます」
二人で手を合わせてそう言ったあと京君と菫との食事を楽しみながら時間は過ぎていった……。
放課後になった、私は今京君の教室に向かっていた。
理由は麻雀部に案内するため、…京君は気付いてないけど、今の京君は私の全力に届かなくても、全国でトップ10にはいれそうなほど強い。
私は正直とても京君を心配している、京君は余りにも自分を過小評価し過ぎている、あのままだと二軍にも全力で戦って二軍の子達を壊しかねない……。
「(京君は知らなすぎているんだよ、自分の力を………、でもそこまで自分の力が信じられないぐらい酷い目に合わせた咲達を私は許さない……っ!)」
これは八つ当たりでも何でもない……。
私は想像した、自分の力が何一つ通用しない毎日、まともに教えてくれないのにただトビ&焼き鳥の繰り返しの毎日、……毎日の雑用と買い出しの日々…。
内容は別に変じゃない、初心者である京君には全国にはまだ届かない、新入部員がレギュラーに変わって雑用などをする事は当たり前。
……だけど少なくともうちの部は、いくら弱くてもそんなに牌を触る暇がないくらいの過剰な雑用は一切やらせない。
「……着いた」
そう考えてる内に京君がいる教室へとたどり着いた。
私はスライド式のドアを開けて京君のいる席を確認した。
そこには予想通り女性顔負けのキレイな金髪が太陽の光によって輝いていて眩しい私の太陽……京君の姿があった。
「(……我ながら惚れすぎてるかもね……京君に)」
周りからは普通の金髪でも……、私からしたら黄金より美しい黄金の髪の毛なんだから……。
私はゆっくりとした足取りで京君に近づいていく、京君はこちらに気付いてないのか欠伸をしながら外のテニス部の練習風景を眺めていた……。
そして……。
「きょーくん」
「わぁっ!?」
私は後ろから京君を抱き締めた、我ながら似合わない、私は普段はこんな性格じゃないのに……。
そんな私の行動に驚いた京君が、すっとんきょうな声をあげながら驚いている。
「て、照さん…//」
「京君、今日は部活初日でしょ?、初日から遅刻なんてカッコ悪いから早く行こうよ」
「分かりましたから、離れてください!///」
京君は私に抱きつかれているのが恥ずかしかったのか、顔を少し赤らめながら私から離れた。
私は少し残念な気分になりながらも気持ちを切り替える。
「じゃあ部活まで案内するから行くよ」
「分かりました!」
私と京君は教室を出ていった。
「照お姉さまが乙女に………っ!?」
「な、ナンダッテー!?」
「く、須賀の奴羨ましい……っ!」
「……フヒヒ」
混乱した京君のクラスメイトに気付かずに……。
私と京君は別校舎にある麻雀に向かう。
「それにしてもいよいよ白糸台の人達と打つんですよね…、とばないか心配です…」
「大丈夫だよ、今の京君なら大抵の子には負けないよ」
「そうですか?…えへへ」
私の言葉に少し照れくさそうにしながらも喜びの笑顔をほころばせている京君。
「そろそろ着くよ」
「はい!」
そして部室の前に着いて、私はドアを開けた。
ガチャ
中には誰もいない、どうやら菫達はまだ来ていないようだ。
「…とりあえず座ろうよ」
「は、はい」
私と京君は同じ赤色のソファーに座わった、距離を少し空けながら…。
『………』
私達は無言だ、静かな空気が私と京君を包み込む、でも不思議と気まずさはない。
「……」
私は京君を見つめた、京君は気付いてないんだろうけど…、今の京君は今にも死にそうな危なげな雰囲気が出ていた。
だから京君の周りに人が集まるのかもしれない、放っておけないから。
私が京君の周りを見ているとあっという間に人が集まる、淡、菫、尭深、誠子、天江、そして………私。
普通なら金髪で不良みたいで目が虚ろっぽくて危なげな雰囲気のおかしな人を近付こう、助けようなんて思わないと思う。
でも京君は違う、やっぱりもってるのかもね、人の常識じゃ計り知れない『カリスマ』ってものを……。
「……フフッ」
「どうしたんですか?、急に笑って」
突然笑い出した私を不思議そうに見つめてくる京君。
「だ、大丈夫だよ、私は平気だから…」
だって言えるわけないもん、………………京君にカリスマっ言葉がスゴく似合わない事に笑ったなんて言えるわけないもん。
そしてその小さな騒ぎのあとに菫達が入ってきて、いよいよ部活の開始だ。
この部にはもちろん監督が存在するけど、今は二軍の指導に向かっている。
それはさておき、私達がやる事余りない、強いて言うなら今は大学の交流戦に向けてのデータを見ている、………ぐらいかな。
「それにしても余り見ていなかったが大学の雀士の実力は凄まじいな」
そう菫が言うが無理もないと思う、何故ならその大学側の代表のデータが凄まじいからだ。
「……あれ?このデータ」
私はあるデータを見つけた、見つけてしまった。
「………っ!?」
それは私にとって今でも乗り越えられない壁みたいな存在でもある雀士。
「……部長」
元白糸台高校の部長である雀士。
その人は圧倒的なデジタル麻雀で白糸台高校を高校麻雀屈指の強豪へと導いた人。
麻雀の様々な物事を全て計算のみで片付ける、ある意味オカルト染みたデジタル打ちNo.1
名前は‐‐‐‐‐。
『白河雪那』
「雪那部長……っ!?」
私の思考を遮るほどの音量で菫が驚愕の表情を見せる。
「わぁっ!?、な、なに!?」
淡が菫の声に反応してアワアワしている、その姿は何とも微笑ましいけど、今はそれどころじゃない。
「……私、もう帰る」
私は立ち上がって出口に向かって歩く、京君と淡が心配そうに私を見てくるけど、それを気に止める余裕は今の私には無かった。
京君観察は延期した。
選択肢は活動報告にて
ーーーーーーーーーーーー[経過報告]
『照シナリオ、《照の試練》が解禁されました。』
『照の好感度が上がりました』