SAO 〜しかしあいつは男だ〜   作:置物

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本編投稿…相当間があいてすみません…
戦闘表現とか難しすぎぃ!


episode14 ディアベル「剣技大会中編」

エギルとの試合(?)を終えた俺は観客席に行き、試合を見るのにベストポジションな席を取っていたクラインの隣に座って俺の試合が始まるまでの試合を観戦する事にした。

 

 

「ふぅ、疲れた」

「つってもオメエ最初の2試合しかまともにしてねぇじゃねぇか」

「気を張りっぱなしだったんだよ!そう言えばお前勝ってるのか?」

「んや、三回戦目にヒースクリフの野郎に負けた」

「そっか。どんな風に負けたんだ?」

「でっけぇ盾を使った隙のねぇ防御で攻撃を防がれて盾を使った視界潰しで何処から攻撃してくるか分からずなす術なくやられちまったって感じだな。お、今からリズとやるみてぇだぞ」

 

 

クラインが顎をしゃくる先、闘技場中央には血盟騎士団団員とは違う赤地のサーコートに最低限の鎧、巨大な純白の聖十字の盾とキリトのエリュシデータと同じ魔剣である聖剣(魔剣なのに聖剣だ)デュランダルを装備した団長ことヒースクリフと、檜皮色のパフスリーブの上着と同色のフレアスカートに後付けされたような肩当と胸当、右手には上位鉱石ミスリルをふんだんに使ったミスリルメイスを持つ万能腐女子(マスターガール)ことリズが10メートル程の距離を取って対峙していた。

リズが指を動かし、団長も少し動かすと空中に60と大きな数字が現れ、カウントダウンが始まる。

団長とリズが動いたのは『DUEL!』という字が現れたのと同時だった。

団長が盾を構えた突進をしてきたのに対してリズは団長の盾を装備した方向、死角に走り右足を軸に回転し単発ソードスキル《スロウブロウ》を団長の盾にぶちかます。

爆発音にも似た轟音が闘技場に鳴り響き、リズ達の足元に盾とメイスがぶつかった時の衝撃で砂埃が舞い上がり、相当な威力だったことが分かる。しかし団長の盾は吹き飛ぶ事なくそこにあり続け、盾の横から白銀の一閃がリズの額に吸い込まれるように伸びた。

リズはそれを首を動かすという最低限の動きで避け、今度は左足を軸にして右足で地面を蹴り、体を一回転させてソードスキルを使わずにメイスを盾にぶつけ、先程より小さい打撃音が炸裂したかと思うとそのままいつぞやに見たような反撃を許さない高速の連続攻撃をする。

 

 

「おー、結構押してんなぁリズ。ヒースクリフもあんだけ隙のねぇ攻撃されりゃキツイだろ」

「団長の基本戦闘スタイルは待ちだからそこまで苦でもないだろ。それにこの勝負、あのパターンに入った時点でリズの負けは確定だ」

「どういう事だよ?」

「よく見てみろ」

 

 

俺が指さす闘技場中央ではリズの猛攻が続いているが、メイスの勢いが衰えていくのが目に見えて分かる。クラインもそれに気付いたが、何が起こっているのか分からないのか、説明を要求するような目で俺を見る。

 

 

「リズが装備しているミスリルメイスは普通の攻撃もソードスキル並に威力があるんだが、代わりに筋力要求値がめちゃくちゃ高い代物なんだ。そんな物をあんな速度で振り続ければ体力なんてあっという間になくなるだろ?」

「なるほど」

「リズもあのままラッシュを続けても抜けないのは分かってるだろうしそろそろ大技来るんじゃないか?」

 

 

そう言った正にその時、リズはメイスを片手持ちから両手持ちにし、野球選手の様に振りかぶってシステムに規定モーションを認識させ、柄頭を赤く輝かせる。重三連撃ソードスキル『ゲイルバースト』、両手持ちしたメイスを力の限り振りそのまま一回転し二発目を叩き込み、最後にジャンプしながら振り上ろし攻撃をする、ヒットした部位が45%の確率で欠損するメイス最上位ソードスキルが団長の盾に放たれた。

耳を塞がないと鼓膜が破れるのではないかと思う程の殴打音が三回連続で響くが団長の盾はリズの攻撃に不動、技後硬直時間で動けないリズの肩に白刃が突き刺さって試合は終わった。隣では「やっぱ強ぇなぁ」とクラインが感心したような顔で顎に手を当てながら言う。

 

 

「次の試合はっと…お、またすげぇ組み合わせだな」

「誰と誰…おぉ…」

 

 

電光板を見ると表示されていた名前はキリトとアスナだった。確かにクラインがすげぇ組み合わせと言うのも納得できる。二人ともプレイヤーの中でトップとも言える攻略組の中でもトッププレイヤーだしどんな試合になるのか見物だな。

団長とリズが控え室に入ってすぐにキリトとアスナが出てきた。キリトは既にエリュシデータとダークリパルサーを装備し、両手をぶら下げ、アスナもライベントライトを腰の鞘から抜き臨戦態勢に入っていた。

キリトとアスナは二、三喋った後、キリトがエリュシデータを持った右手を動かし、決闘を申し込み、アスナがそれを受諾しカウントダウンが始まる。

アスナは右足を前に出し、ライベントライトを前に突き出す、フェンシングのような構えをし、キリトは左足を前に半身に構え、腰を落とし、ダークリパルサーを肩に担ぎ、エリュシデータを地面スレスレに下ろすという独特な構えをした。

試合開始のブザーが鳴り、先制したのはアスナの突きだった。

地面に足跡を付ける程力強い踏み込みから出された突きは流れ星の如き光線を描いてキリトの喉元に迫るがキリトはそれを下ろしていたエリュシデータを振り上げることで上に弾き、そのまま体を回転させて肩に担いでいたダークリパルサーで薙払いをする。

アスナは体と肘を引きライベントライトを引き戻し大きく後ろに飛躍、一回転して着地し、再度ライベントライトを構え突撃。先程の一撃に比べれば威力は劣るが速度重視の、しかし当たれば当たり判定は貰える程の力強い閃光の雨がキリトに降り注ぐ。

それを一つ一つキリトは弾き、受け流し、避けていくがいくつか掠り、血の代わりに淡い赤色のドットが流れ、HPが徐々に削られていく。

武器を一つしか装備出来ないアスナは二つ装備出来るキリトに少しでも攻勢に出られたら手数が足らず下手したら負けまで繋がる。それを理解し、リズと同じようにラッシュをかけて反撃を与えないようにしているのだろう。リズの時は団長の防御が硬いこと、使う武器が長期戦には向いてない重量武器なこと、そしてその重量武器をスピードタイプと同じように振り続けたことがあって最後に疲労が溜まり大きな隙が出来た所を一撃を入れられたが、アスナの場合普段の行動(ストーカー)で身に付いた並外れた体力、敏捷メインのステ振り、盾装備無しの相手という3点があるからラッシュは相当長い間続き、キリトが防御し切れず当たるだろうと思っていたが、キリトの右手がぶれると同時にアスナの手からライベントライトが天高く舞い上がり、背後の地面に突き刺さった。キリトがダークリパルサーを突き付け、アスナの「降参…」の一言で試合時間16秒という速さで試合が終わった。

 

 

「…最後の一撃見えたか?」

「オメエに見えなかったらオレにも見えるわきゃねぇだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトvsアスナの試合の後は俺の第六試合、準々決勝だ。相手は騎士装備で身を固め、剣身が広いのが特徴の赤黒い色の剣、バルムンクを所持するディアベルだ。正直参加者の中でキリト、団長を除いたら相手にしたくないランキング第一位に輝く相手だ。あ、アスナも嫌だ。ねちっこくHP削ってきて剣を弾き飛ばして止めさすだろうしあいつは。

しかし当たったからには全力を尽くし、団長を決勝まで消耗させずに送らなければ。

俺とは反対の控え室から出てきたディアベル。普段の騎士のような薄青色のフルプレートと愛剣のバルムンク装備ではなく、動きやすい銀の胸当と鎖の腰巻に鞘、左手にガントレット、右手に肉厚幅広の両刃の長剣という剣闘士に近い装備だ。

 

 

「それじゃ、やろうか!」

 

 

ディアベルからの試合申請を承諾し、待ち時間の60秒の間にジャッドシュバリエから短剣に変更し、念の為にクイックチェンジのスロットに短剣と軽量のレイピアとジャッドシュヴァリエを入れておく。短剣とレイピアを選んだ理由はこの世界では総アイテム重量ではなく装備重量によって体の動きが変わるので少しでも装備重量を減らし動きやすくする為だ。

試合が始まる5秒前、ディアベルの穏やかな目は獲物を狙う虎のような鋭い眼光に、口元は悪魔のような笑みに豹変する。

そう、奴は数少ないまともな人間、ではなく戦闘狂という数多い変人の一人で、時折「殺らないか(YA☆RA☆NA☆I☆KA)?」と聞いてくる結構面倒な奴だ。あ、キリトの方が面倒だな色々な意味で。ディアベルはちゃんと断ったら2週間は誘ってこないし。クラインとよくやってるって話を少し前に聞いたし今度クラインになんか差し入れ持っていくか。

試合開始のブザーが鳴るとディアベルは「ヒャッハァァァ!」と某世紀末のならず者のような声を上げ、構えなんて知るかと言わんばかりに剣を引きずりながらこちらに走る。手首を回転させ繰り出された刺突に近い攻撃を盾で流し、カウンターでディアベルの額に短剣を突き出す。普通なら自身の速さと俺の突き出しの速さが合わさり避ける暇もなく額に短剣が刺さって試合終了になるはずなのだが、ディアベルはまるでそう来ることが分かっていたかのような超人的な反射神経で短剣を躱し、突進の速度を落とさずにガントレットの正拳を俺の鳩尾に抉るように放った。

 

 

「ぐぶぅっ…!ぶべっ!?」

 

 

現実世界だったら大惨事になる(ゲロを吐く)一撃は俺の体を浮かせ、そこに追い打ちの如く鳩尾に蹴りが入り体が吹き飛ぶ。

地面を転がりながら負けたなと思っていたが試合終了のブザーは鳴らない。どうやら防具であるガントレットの一撃は攻撃判定なしだったようだ。五体投地のような格好から四つん這いになり、腹に早食いした後に運動したような不快感を感じながら膝を立てて立ち上がる。さっきの攻撃で短剣を手放してしまったのは痛いなと顔を上げるがディアベルが見当たらない。ぐるりと辺りを見渡すと地面に不自然な影があり、その上を見ると俺が吹き飛んでいる間にジャンプしていたと思われるディアベルが剣を振り上げて俺に目掛けて落下していた。思考なんて放棄して受け身を考えずに横に転がって回避、2秒後ディアベルが俺がいた地面に着弾しそこが大きな音と共に爆散、大きな砂煙が舞い上がる。

 

 

「……どんな威力だよ…」

 

 

観客は分かりやすい迫力のある場面を見れて大盛り上がりしているが当事者の俺は「あれ喰らってたら一撃死してるんじゃね?」と空に伸びる砂煙を見て戦慄した。

砂煙が膨れ上がり、そこから群青色の光を纏わせた剣が垂直に降ってきた。クイックチェンジでジャッドシュヴァリエを装備し片膝立ちで受け止めるが、上から叩きつけられた剣の重みが余すところなく体にかかる。俺はキリトみたいに脳筋仕様じゃなくて全体的にバランスよく、少しだけ筋力と敏捷多めのステ振りだからこういう体制に入ると形勢逆転して止めまで持っていくとか無理なんだよなぁと苦悶の表情を浮かべながら思った。

ソードスキルの恩恵が無くなり、剣が少し軽くなったのを感じた俺はジャッドシュヴァリエを斜めにずらしてディアベルの剣を流し横にローリング、目の端に映った短剣を拾って戦略的撤退をする。

ちらりと後ろを見てみるとディアベルが逃げている俺を追わずに剣を構えているのが見えた。恐らくソードスキルの発動をしようとしているのだろう。発動しようとしているソードスキルの種類は突進系、または追尾ダッシュ系のソードスキル、しかも走っている俺に追いつく程の速さが出て尚且つ外した所でケアが出来る物なのだろう。ここしか攻勢に出る場面がないと直感で感じた俺はジャッドシュヴァリエをしまい、さっき拾った短剣を装備して投擲スキルを使ってディアベルの剣の根元に向けて投げ、外部からの攻撃による強制キャンセルで出来るキャンセル硬直を狙い、走りながらジャッドシュヴァリエにクイックチェンジをする準備をする。

ディアベルの剣に短剣が当たり、ソードスキルの強制キャンセルによる硬直時間が始まる。即座にクイックチェンジでジャッドシュヴァリエに持ち替え、ディアベルの胴体を貫こうとしたが、ディアベルの硬直時間が終わり、左手のガントレットに往なされた。ディアベルが勝ちを確信したような目で俺を見ていたが、その目はすぐに狸にでも化かされたかのように見開かれる。

何故なら、俺の左手にはレイピアが装備されていて、既にソードスキル特有の輝きを帯びていたからだ。

俺はディアベルがジャッドシュヴァリエの一撃を往なし、ディアベルの視覚外にジャッドシュヴァリエが入ったと同時に手放し、自由になった右手で左手の盾をレイピアにクイックチェンジしていたのだ。

ディアベルは剣を振るうがその剣が俺に届く前に俺の速度重視の刺突ソードスキル「シューティング・スター」がディアベルの胸に突き刺さり、当たり判定を確認したシステムがブザーを鳴らし、試合が終了した。

 

 

「はぁ…はぁ…負けるとこだった…」

 

 

俺は尻餅をつき、チラリと黄色ゾーンに突入しそうな自身のHPバーを確認した。一撃決着型の決闘の終了条件は相手に有効打を与える以外にも対戦相手のHPバーを2分の1、つまり注意残量域(イエロー・ゾーン)にしたら勝ちというのもある。もしあと一撃でも防御の上から威力のあるものを貰ってたら俺は判定負けしていただろう。

 

 

「いやぁ、勝ったと思ったんだけどまさかあんな二撃目が飛んでくるなんて想像もしなかったよ!」

 

 

座り込んで肩で息をしている俺とは違い、試合前の落ち着いた雰囲気でディアベルが剣を腰に吊るしてある鞘に収め手を差し伸べてきたのでそれを掴んで立ち上がる。

 

 

「またいつか戦いたいね。あ、明日とかどうかな?」

「冗談でもやめてくれ…」




コノハクイックチェンジしすぎぃ!
本当なら本編で剣技大会終了のはずでしたがディアベルとの戦いが長すぎました…

コノハが何故クイックチェンジからすぐにソードスキルを発動出来たかと言うと、突きをした時の構えと「シューティング・スター」の規定モーションが全く同じ形にしていたのでクイックチェンジでレイピアを装備した時にシステムがソードスキルの動きと認識した為です(こじつけに近い何か)


HPバーが3分の1でイエローゾーンに入るを2分の1にしました
黄色ゾーンを注意残量域《イエロー・ゾーン》にしました

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