SAO 〜しかしあいつは男だ〜   作:置物

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ほんとならもっと書く予定でしたがカットしてしまいました←


episode8 キリト「久々に切れちまったよ…」

作戦が決まり、班長のクラインが戻って俺達に作戦内容を説明したのを簡潔に説明すると、団長率いるA班は正面から、クライン率いる俺達B班は右側から、C班は左側から74層フロアボス、ザ・グリームアイズをアスナの号令に応じて叩き、タンク隊はA〜C班がスイッチ要請をしたらD班がA班、E班がB班、F班がC班のスイッチを担当する。G、H班はA、D班とB、E班、A、D班とC、F班の間に配置され、臨機応変に班のサポートをするようだ。今回のボスは珍しく取り巻きがいない分、ボスを叩ける人数が多いのですぐ終わるだろう。

シリカのいるG班を見てみると、シリカが班長として班の中心になって話し合いをしていたのが見て取れた。ちゃんと班長やってて俺は嬉しいよシリカ。ただ、なんでお前の班にばかりピンポイントに厨二病患者らしき奴らがいるのか気になるのだが。特に隣に立っている赤い装備の白髪褐色肌の奴。「倒してしまっても構わんだろ?」とか言って死亡フラグを立てる臭いがプンプンしやがるぞ。

 

 

「皆さんに作戦が伝わったようなので、これより74層ボス、ザ・グリームアイズ討伐作戦を開始します。回廊結晶を使ってボスフロア眼前まで転移しますので本部前の広場に集合してください」

 

 

アスナの指示にぞろぞろと会議室からプレイヤー達が移動、俺達B班も広場に向かう為席を立ち会議室の出口に向かう途中「おーいコノハ!」と誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。俺とクラインが立ち止まり声の主を

 

 

「お、ディアベル。お前も今回のボス戦参加するのか。もしかして班長?」

「あぁ。君の所の班長はクラインかな?」

「結構まとめ役として有能だしな」

「よせやい、照れるじゃねぇか」

「けどロリコンなんだよなぁ」

「唐突に何を言いやがる!?人聞きの悪い事言うんじゃねぇよ!俺はただ子供が好きなだけだ!!」

「シリカとは?」

「お付き合いをしたい(キリッ」

「うわぁぁ…」

「はっ!?!誤解だディアベル!今のは口が滑ったっつうか本音が漏れたっつうか…とにかく違ぇんだ!」

「ま、まぁ人の趣味趣向は人それぞれだからね。くれぐれも犯罪に走らないでくれよクライン」

「そんな目で見るなディアベル!」

「まぁそんなことはどうでもいいだろ。早く広場に行こうぜ」

「てめぇ!ただオレの性癖がディアベルにバラされただけじゃねぇか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回廊結晶で転移した先は辺りが灰青色の岩で覆われた休息エリアだった。眼前の高さ3、4メートルはありそうな怪物のレリーフが彫られた門、ボスフロアへの入り口が俺達を威圧する。しかしここに居るのは幾度もボスへの扉を潜り抜け生き抜いてきた歴戦の強者だ。俺が見える限りでは誰も怯えてなんかいないし、寧ろ早くボスと闘いたいと願う顔付きをした者が何人か伺える程だ。

周りが戦闘準備を終えたのを確認した団長が目の前の黒鉄門を押すと、見た目によらず簡単にゴゴゴ…と低い音を立ててゆっくり開いていった。

30秒程の時間をかけて扉が完全に開ききると、ボスフロアに不気味な青色の炎が入り口から奥に向かって灯っていき、ボスフロア全体を不気味に照らし、その部屋の主人の姿を露わにした。

巨人と言ってもいい程の大きさの体躯、ボディビルダーのような筋肉、捻じ曲がった角を持つ山羊頭、1メートル程の長さの鎖が付いた手枷と足枷、そして手に無骨な大型剣を持つ74層ボス、ザ・グリームアイズが咆哮とは思えない轟音を発したのが開戦の合図だった。

 

 

「全ての班は作戦に則り位置取りを開始!まずC班がファーストアタックし、ボスがC班に向いた所を残り2班が波状攻撃!攻撃箇所は武器喪失狙いの手か膝を付かせる為の足を重点的に!」

「「「了解!」」」

 

 

アスナの号令を聞いた各班は位置取りを開始し、C班班長のディアベルがボスの膝にファーストアタック、それに続いてC班がグリームアイズにダメージを与えていく。

ファーストアタックをしたディアベルをターゲットにしたグリームアイズは大型剣をディアベル目掛けて振り下ろすがディアベルはそれをバックステップで回避。ディアベルが「スイッチ!」と叫ぶとF班のタンク達がC班の前に出る。

グリームアイズが大型剣を地面から持ち上げる間の時間にA班からアスナとクラディールが、俺達B班からノトとクラインが走り出し、グリームアイズの背中を攻撃。ダメージを稼ぐ。

攻撃対象をディアベルから四人に切り替えたグリームアイズが大型剣を横一閃に薙ぎ払い。F班のタンクは盾で凌ぎ、アスナ、クラインはしゃがんで回避、クラディールは大剣で防御したが槍使いのノトが防御に間に合わず腹に見事に一撃を貰い、手枷の鎖に弾かれ数度バウンドをしながら吹き飛ぶ。

吹き飛んだノトに走り寄るとクリティカルヒットを貰ったようで、HPは6割近く減りHPバーが黄色に変色していた。

 

 

「大丈夫か!?」

「だ、大丈夫。あれくらいの痛み…」

 

 

ノトはグリームアイズの一撃を食らった腹を撫でながら、恍惚とした顔で

 

 

「逆にもう一発貰いたいくらい」

 

 

うわぁぁまさかの新キャラの一人がドMだよキツすぎるよと一瞬メタ発言をしてしまうがなんとか立ち直り、「後退して回復したらすぐ戻ってこい」と言って班に戻る。

 

 

「ノトは無事だったか!?」

「ある意味駄目だったな…」

「??どういう意味だそりゃ?」

「クライン、俺、この戦いが終わったら一度前線から離れてさ、22層の湖の近くに小屋立てて浮きを眺める生活をするんだ…」

「おいやめろ!それ死亡フラグだ!」

「それ俺も付いて行っていいか?」

「……」

 

 

俺はお前からも逃げたいんだよ!と口に出さなかった本音を心の中で叫ぶ。

 

 

「タゲがC班のディアベルさんに移ったわ!B班はH班と共に後退の支援、C班が後退し終えたら攻撃を開始してください!」

「アスナからの号令だ!行くぞおめぇら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後、グリームアイズのHPバーが初期の12本から5本削れた瞬間バキンッ!とグリームアイズの両手首の手枷が外れたと思ったら先程より速い薙ぎ払いでタンク隊の陣形を崩した。タンク隊の中には防御してたにも関わらずHPが危険域の黄色に突入している者を見て、奴の一撃は手枷が外れる前より威力を増していることが分かる。

あのままではタンク隊が全滅するどころか奥にいるC班が危ないと判断した俺は走るスピードを上げてグリームアイズの前に立ちはだかり、グリームアイズの返しの刃に片手剣重単発振り上げソードスキル「エア・コンタクト」で対抗。ガァァン!!と部屋全体に響く金属の音と火花が弾ける。グリームアイズの攻撃をタンク隊から逸らす事が出来たが、俺はソードスキルの硬直時間と強制キャンセルによる硬直時間延長により固まってしまう。グリームアイズが殺意の篭った眼でこちらを捕捉すると、俺を左手で掴み、地面に叩きつけ浮かんだ所を大型剣で壁に向けてスイングした。その攻撃は俺のHPバーを赤になるかならないかぐらいまで減らし、俺の体は地面を転がり、壁に激突した。

え?なに?あいつ俺に恨みでもあるの!?と壁に激突した背中を叩き、HPバーの減り方に久々に命の危機を感じながらジャッドシュヴァリエを地面に突き刺して立ち上がる。強烈な一撃で痺れた右手を左手で揉みながら情報でしか分からなかったボスの強さを改めて認識する。

今回のボスはHPバーが減るごとに攻撃パターンは増えない代わりにステータスが上がるタイプか?なら後半戦になればなるほどこちらの分が悪くなるのではないか?と思考を巡らせていると後方支援のシリカがピナを連れてこちらに走ってきた。

 

 

「大丈夫ですかコノハさん!今回復しますので動かないでください!」

「悪いなシリカ」

「悪いと思うなら無茶はしないでください!」

「以後気をつける…ん?」

「どうしました?」

 

俺とシリカの視線の先にはグリームアイズと1対1で対峙するキリトがいた。

なにボスに単独で挑んでんだ!と叫ぼうとしたが、俯いているキリトの雰囲気が妙に怖く声が出なかった。隣にいるシリカも何も言わずにそれを見ている。

キリトが放つ雰囲気に俺達だけでなくこの場にいるプレイヤー、コンピュータープログラムであるグリームアイズですら時が止まったかのように動かない。

静かになったボスフロアにカツンとキリトの足音だけが鳴り響く。

カツンと二歩目を出した時に俯いていたキリトの顔が上がる。その顔にはいつもの笑顔や攻略時に見せる真剣な顔ではなく、目の前の敵を殲滅する事だけを意識したような冷たい顔があった。

 

 

「グリームアイズ…俺は最高に最低に最悪に切れたよ…」

 

 

そう言ってキリトはエリュシデータを持つ右手とは逆の左手で背中に下げられたもう一つの白い剣、ダークリパルサーを抜き放つ。

普通プレイヤーが装備できる武器の数は右手か左手のどちらに一つだ。例え装備した武器以外の武器をオブジェクト化し、手に持った所でステータス反映せず、ただのお荷物になるだけだが、キリトは、キリトだけはその制約から逃れる為の術を持っている。

エクストラスキルの一つ、「二刀流」。両手に片手剣を装備出来るようにするキリトだけが持つ、別称ユニークスキルだ。

キリトは一瞬でグリームアイズの懐に入ったかと思うと目にも留まらぬスピードでグリームアイズを斬り刻んでいく。

HPバーが一本削れてから攻撃されたことに気付いたかのように、グリームアイズは左手で懐にいるキリトを掴もうとするが、伸びた腕からキリトはグリームアイズの頭まで駆け上がり、頭の天辺からグリームアイズの背後にジャンプし、うなじから足首まで流れるように斬り裂きなから着地した。

HPバーが残り2本になると足枷も外れたが、そんなの知るかと言わんばかりにキリトは足枷の外れた足に重単発ソードスキル「ヴォーパル・ストライク」を叩き込み、グリームアイズに膝を付かせると俺が知る限り最も攻撃回数が多いソードスキル「ジ・イクリプス」を放ち、2本あった、俺達を苦しめたグリームアイズのHPを0にし、グリームアイズはパリン…とその巨体に似合わないくらい控えめの音を立てて消えた。

…もうキリト一人でも下手したらやれたんじゃね?




一言キャラ設定

ディアベル【???】
まだまともだが果たしていつまで続くか…


クライン【ロリコン】
結婚願望がまだない為付き合いたいだけだがギルティなのは変わりない。
好きなタイプは穢れを知らない子。下は6から上は16までが守備範囲。シリカは厨二病を込みで好き。
リズの「純粋な愛は性別を超える」発売日にもしかしたらロリ漫画かもしれないと期待を込めて買いに行った時に黒髪幼女を発見し話しかけようと追いかけたら曲がり角で見失ったと仲間に愚痴を零すと近くにいた憲兵に拘留所に4日拘束された。




舞台裏
茅場「…あれ?おかしい。確かここのボスは一体の代わりに強さは80層代クラスにした筈なのだが…」
キリト(ブチ切れモード)を見て勝てるのかめちゃくちゃ不安になった茅場だった。

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