魔法先生ネギま~とある妹の転生物語~   作:竜華零

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第23話「3日目・千本鳥居の邂逅」

Side アリア

 

「京都と言えば八つ橋、八つ橋と言えば京都。八つ橋がなければ京都は京都とは言えませんし、つまり八つ橋があってこその京都です。八つ橋に比較すれば清水寺も大文字送りも三大祭も物の数ではありません。寺社仏閣など有象無象もいいところ。京都において八つ橋を食べないなんて、京都の八割を知らないのと同じことです」

「お前は何を言っているんだ」

 

 

今、私は京都の有名なお茶屋さんで八つ橋を食べています。

もちろん、エヴァさんの奢りです。

 

 

「茶々丸さん、おかわりですー」

「はい、どうぞ」

 

 

茶々丸さんの膝の上で、八つ橋を食べさせてもらいます。

至福の時間です・・・。

 

 

「あわわ・・・アリア先生、お茶です~」

「ありがとう、さよさん。茶々丸さん、飲ませて~」

「はい、熱いのでお気を付けください」

 

 

さよさんが入れてくれたお茶を、茶々丸さんがふーふーして飲ませてくれます。

何かエヴァさんが、「茶々丸ってこんなキャラだったか・・・?」と首をかしげていますが、スルーします。

 

 

「いや~、平和ですね~」

 

 

エヴァさんが人払いの結界を張っていますので(営業妨害ですね)、店内には私たちだけです。

それにしてもエヴァさん、いつもより優しいというか、甘いんですよね。

宿泊先でダウンして以降、特に。

おかげで、新田先生達には心配をかけてしまいましたし、木乃香さん達についていくこともできませんでした・・・。

兄様達が一緒にいるはずではありますが、どうにも不安ですね。

今頃は、どのあたりにいるのでしょうか。

 

 

それにしても、あのエヴァさんの「アリアっ 私を殴れ!」発言を聞いた時には、どこの「走れメロス」だと思いましたね。

いやぁ・・・気持ち悪かったですね。

 

 

「・・・・・・何か、失礼なことを考えていないか?」

「まっさか~」

「ケケケ・・・ゴシュジンモマルクナッタモンダナ」

 

 

ジト目で睨んでくるエヴァさんに、適当に答えます。

そしてチャチャゼロさん、人がいないからって動かないでください。

 

 

「そういえば、昨夜はうやむやになったが、お前たちのアーティファクトはどんなのなんだ?」

「あー、そういえば、調べてなかったですね」

 

 

何しろ、それどころではありませんでしたからね。

 

 

一冊の黒い本を手に持ち、微笑んだ私が描かれている仮契約カードを取り出し、「アデアット」と唱えます。

そういえば私、自分で作る以外の武器って初めてですね。

ちょっとドキドキします。

 

 

出現したのは、一冊の黒い本。金のチェーンの留め金がアクセント。

名前は、『千の魔法』。

しかし開いてみても、中身は白紙のページがあるばかり。

当然のごとく、取り扱い説明書は付いていません。

 

 

「・・・・・・なんだ、それは?」

「さぁ・・・ちょっと、わかりかねますね」

 

 

眼が万全なら、瞬時に解析できるんですけど・・・。

ま、仕方ありませんね。

 

 

「・・・アベアット。まぁ、また考えましょう。さよさんは?」

「は、はい、あ、アデアット!」

 

 

出てきたのは、古ぼけた羊皮紙です。

名前は、『探索の羊皮紙』。

 

 

「・・・む、これは・・・」

「京都市内の地図のように見受けられます」

 

 

茶々丸さんの言うように、その羊皮紙は、特徴的な京都の町並みを表しています。

そして、そのところどころに、人の名前が・・・。

 

 

「・・・どうやら、自分と接点のある人の位置を知ることができるアーティファクトのようですね」

 

 

ハリー○ッターに出てきた、あのいたずら地図ですね、わかりやすく言うと。

厳密には、いろいろ違うでしょうが。

 

 

「・・・あ、ネギ先生たちですー」

「近衛たちもいるようだな」

 

 

兄様、明日菜さん、木乃香さん、刹那さん・・・。

おや、近くに宮崎さんも・・・?

 

 

「あ、これ、範囲を狭くしたりとかもできるみたいです」

 

 

さよさんがそう言って、地図の範囲を切り替えてくれました。

おお、より地形などがわかりやすく・・・結構、便利ですね。

 

 

「あ、アンノウンって出てきました」

「接点が無くても、限定範囲内でなら探索はできるようだな」

「ケケケ・・・ベンリジャネェカ」

 

 

索敵に秀でたアーティファクトですか。

元幽霊のさよさんらしいですね。どこにいても、貴方を見ている、みたいな。

 

 

「炫毘古社ってどこでしょう・・・?」

「ピー、・・・データによれば、関西呪術協会本部のようです」

 

 

電子音を口で言う茶々丸さん可愛いです。

・・・でも、このアンノウンの位置取りは・・・。

 

 

「・・・ふん、行くのか?」

「・・・勘違いしないでください。私は別に兄様や明日菜さんを助けに行くわけではありませんから」

「スナオジャネェナァ」

 

 

だからその「不器用な奴め」、みたいな視線やめてください。

百歩譲って、木乃香さんと刹那さんは助けに行きますけどね。

それに、お会いしたい人も、いるでしょうから。

 

 

私は、ふんっ、と笑って。言ってやりました。

 

 

「兄様の活躍の場を、奪いに行くんです。つまりは嫌がらせですよ」

 

 

 

 

 

 

 

Side 小太郎

 

俺は小太郎や!

今は、千草姉ちゃんの手伝いで、ネギとかいう西洋魔法使いと喧嘩しとるところや。

さっきまでは、こっちの考えを読む妙な道具を使うねーちゃんのおかげで、やられてもーたんやけど。

変身してからこっち、負ける気がせえへんわっ!

 

 

「オラオラオラオラオラァっ! 反撃してみぃやっ!」

「うぐっ・・・」

「ね、ネギせんせ~・・・」

 

 

守ってばかりで、ちっとも反撃してきぃひん。

それどころか。

 

 

「ぼ、僕たちは喧嘩しに来たわけじゃないんです!」

 

 

とかなんとか言って、逃げようとしよる。

これなら、月詠のねーちゃんがやっとる剣士のねーちゃんの方が面白かったかもしれんなぁ。

女とやるのは、気が乗らんけど。

 

 

 

「どーしたぁ、一人じゃ何にもできんのか!」

 

 

見かけ通りの、魔法を唱えるしか能のないやつっちゅーことやな!

 

 

「これで、終わりやぁっ!!」

「ね、ネギせんせー!」

「くっ・・・!」

 

 

ガードなんて無視やっ! かんけーあらへん!

とどめやっ!!

 

 

「・・・・・・あかんっ、小太郎! 下がりや!」

 

 

千草姉ちゃん!?

なんやこんな時に・・・。

 

 

「・・・ん?」

 

 

こんなところに、桜の花なんて、あったかいな・・・?

 

 

 

 

 

 

 

Side 明日菜

 

ああ、もう!

どうすればいいのよ!

 

 

私は今、前にも見たことのある、木乃香を誘拐した奴の式神、とかいうのと戦ってる。

私のアーティファクトとかいう、ハリセンが武器。

これが当たれば、一発で消せるんだけど・・・。

 

 

「当たらないじゃないのよ~!」

「あはははっ! やっぱり素人のお嬢ちゃんやな!」

「うるさいわねっ!」

 

 

木乃香を抱えてる眼鏡に、言い返す。

でも、当たらないのは本当。

 

 

ネギの方を見れば、本屋ちゃんを守りながら・・・小太郎だっけ? そいつと戦ってる。

・・・な、なんか犬みたいなのになってるけど、って。

 

 

「ネギ!」

 

 

相手の攻撃を受け損ねたネギに、小太郎って奴がとどめを刺しに・・・!

危ない!

助けに行きたいけど、式神が邪魔で、行けない!

 

 

邪魔しないでよ!

そう叫ぼうとした、その時。

 

 

 

「・・・・・・散りなさい、『千本桜』」

 

 

 

聞き覚えのある声と、桜の花弁が、目の前一杯に広がった。

 

 

 

 

 

 

 

Side 刹那

 

なんたるザマだ!

私は自分の不甲斐なさに、死にたくなる気持ちだった。

 

 

シネマ村で、お嬢様を守り切れなかったばかりか、魔法の力に目覚めさせてしまった。

しかも今また、敵の手にお嬢様を渡してしまうなど・・・!

 

 

「邪魔を・・・するなぁっ!」

「あん、ぞくぞくするわぁ~」

 

 

ふざけたことを言うのは、今まさに戦っている相手、月詠だ。

次から次へと迫り来る凶刃、それを夕凪で受け続ける。

何度繰り返したかはわからないが、それでも決定打はもらっていない。

逆にいえば、与えることもできていない。

 

 

それが、苛立ちと焦りに拍車をかけていた。

神楽坂さんとネギ先生も近くで戦ってくれているはずだが、正直、そちらに構っている余裕はない。

 

 

「ざ~んが~んけ~ん!」

「ちっ・・・この!」

 

 

斬撃を紙一重でかわし、切り返す。しかしこちらの攻撃も、紙一重で届かない。

・・・・・・無傷で倒すのは、無理か。

 

 

頭の中の冷静な部分が、そう告げている。

ある程度のリスクを覚悟しなければ、突破できないと。

ならば。

 

 

乾坤一擲。

敵の懐にあえて飛び込み、一定程度の負傷を覚悟したうえで、敵に致命打を与える。

これしかない。

 

 

と、私が覚悟を決めた、まさにその時。

 

 

「小太郎!?」

 

 

千草とかいう女が、悲鳴を上げていた。

見れば、階段の途上で、見たことのある少女と、桜の花弁が舞っていた。

その足元には、ネギ先生と戦っていたはずの少年。

・・・あれは・・・。

 

 

「あはっ♪」

 

 

突然、月詠が、興奮したような笑みを浮かべて、その少女に飛びかかっていった。

慌てて、その少女の名前を呼ぶ。

 

 

「アリア先生!」

 

 

しかし、私が気にするまでもなく、アリア先生は月詠の斬撃を受け止めていた。

ほっ・・・と、胸を撫で下ろした。

 

 

そして同時に、気付く。

これまで私を遮っていた壁役が、もはやいないことに。

 

 

私は夕凪を強く握ると、私が命に代えても守りたいと願う存在の下へ、駆けた。

 

 

「お嬢様を・・・・・・返してもらう!」

 

 

 

 

 

 

 

Side 千草

 

なんなんや、あの娘!

前は月詠はんをあっさり倒して、今度は小太郎まで。

しかも、どこから現れたんか、まったくわからんなんて・・・。

だいたい、結界はどないしたんや!?

 

 

「お嬢様を、返してもらうぞ!」

「しまっ・・・!」

 

 

あの娘に気を取られて、瞬動で近付いてきたこっちに気がつかっ・・・!

 

 

 

 

 

 

 

Side ネギ

 

「小太郎!?」

 

 

木乃香さんを攫った眼鏡の女の人が、悲鳴を上げている。

小太郎君は血まみれだけど、生きてはいるみたいだ。でも、変身は解けてる。

そして、そんな小太郎君を見下ろすように、立っているのは。

 

 

「あ・・・アリア?」

「・・・はい、なんでしょう、ネギ兄様」

 

 

いつもと同じ、どこか冷たい目で僕を見つめてくるアリア。

雪みたいな白い髪に、左右で色の違う瞳。

花弁みたいな、この間も使ったよくわからない魔法具を操るその姿は、とても綺麗だけど・・・。

 

 

「ネギ、大丈夫!? 本屋ちゃんも」

「だ、大丈夫です・・・」

「明日菜さんは?」

「私? 私は大丈夫よ、これくらい!」

 

 

笑って、僕とのどかさんに、力こぶを作って見せてくれる。

さっきまで、式神に足止めされていたんだ、うう、僕先生なのに・・・。

 

 

「・・・落ち込むのは後にしてくださいね、兄様」

 

 

溜息をつきながら、アリアが僕にそう言ってきた時。

 

 

「ざーんがーんけーん!」

「アリア先生!」

 

 

突然、敵の剣士がアリアに切りかかってきた。

刹那さんが叫ぶ中、アリアは落ち着いた様子で。

 

 

「・・・月詠さんですか」

 

 

アリアはまた別の剣を取り出して、刹那さんと戦っていた月読さんの剣を受け止めた。

 

 

「いいんですか、月詠さん? 刹那さんを放っておいて」

 

 

アリアが示した先で、刹那さんが眼鏡の女の人から木乃香さんを取り返していた。

でも月詠さんは・・・。

 

 

「せんぱいもたのしいですけど~でも、こっちのほうがたのしそうです~」

「・・・あれだけ切り刻まれて、そんなことが言えるとは・・・狂ってます、ね!」

 

 

アリアは月詠さんに蹴りを入れて、いったん距離をとった。

けど、すぐに月詠さんが距離を詰めてきた。

 

 

「にと~れんげき、ざーんがーんけーん!!」

「面を上げなさい・・・『侘助』! そして並びに、魔法具、『剣(ソード)』!」

 

 

アリアが声をあげた瞬間、細い西洋剣が出てきた。

もともと持っていた方の剣も、魔力が解放されて、刃が鍵爪みたいな形に変わった。

そして撃ち合う。1度,2度,3度,4度・・・。

 

 

「たのしいな~ほんまにたのしいな~」

「私は、あんまり楽しくありませんね」

「あん、いけずや、わ?」

 

 

何度か撃ち合った後、月詠さんがいきなり膝をついた。

武器を持ちあげることができないみたいだけど・・・。

 

 

「何? どうなったの!?」

 

 

明日菜さんもわからないみたいだ、何をしたんだろう・・・?

 

 

 

 

 

 

 

Side アリア

 

「な、なんやこれ~おもいです~」

 

 

月詠さんは、二つの刀が急に重くなったので、戸惑っているようです。

まぁ、説明してあげても良いですけど、説明してあげる義理はありませんね。

 

 

『侘助』の力は、斬りつけたものの重さを倍にすること。

二度斬れば倍、三度斬ればそのまた倍・・・月詠さんと何度切り結んだか知りませんが、少なくはないでしょう。

彼女の力から考えれば、2,3度切り結ぶだけで十分。

そのまま、体勢を立て直される前に、刀の腹で側頭部を殴りつけ、気絶させます。

 

 

「・・・きゅう」

 

 

・・・ずいぶん可愛らしい気絶音ですが、まぁ、いいでしょう。

さて、他の人たちは無事ですかね・・・。

 

 

「障壁突破、『石の槍』」

 

 

その瞬間、横から石の槍が飛んできました。

油断、していましたね。

しかし。

 

 

『全てを喰らう・・・』

 

 

もはや自動防御である『殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)』が発動、石の槍から魔力を奪い、かつ展開されていた『千本桜』の花弁が、魔力を失った石の槍を防ぎ、砕きます。

 

 

「・・・やるね。完璧に不意を突いたはずなんだけど」

「手加減しておいて、よく言いますね」

 

 

貴方なら、私はともかく、兄様達を数秒で全滅させることも可能でしょうに。

 

 

現れたのは、白い髪の少年・・・・・・フェイトさん。

肩に小太郎とやらを、脇に月詠さんを抱えていました。

なるほど、今の一撃は私の注意を逸らすためだったんですね・・・。

 

 

「・・・アリア・スプリングフィールド」

「あら、照れますね・・・すでに名前をご存知とは」

 

 

この、くすぐったい気持ちを、なんと表現すれば良いのでしょう?

場所が場所なら、ダンスにでもお誘いしたい気分です。

だから私は、誘うように手を差し伸べて、微笑みながら、言います。

 

 

 

「お会いしたかったですよ、フェイトさん。貴方を・・・・・・・・・殺しに来ました」

 

 

 

 

 

 

 

Side フェイト

 

実際に出会うと、何を話していいのか、わからない。

そんな感情が僕の中にあるというのが、不思議だった。

 

 

「お会いしたかったですよ、フェイトさん。貴方を・・・・・・・・・殺しに来ました」

 

 

だからそう言われた時、僕が感じたこの感情が何なのか、正直わからない。

だけど言葉は、自然と口をついて出ていた。

 

 

「奇遇だね・・・・・・僕もキミのことを殺してやりたいと、思っていたところだよ」

 

 

僕のその言葉に、彼女は照れたように笑った。

差し出された手には、いつもまにか、刀が握られている。

柄の短く、切っ先の広い、彼女の身長ほどもある大きな刀だ。

 

 

その刃を僕に向けると同時に、彼女の身体から、魔力が漏れ出す。

・・・・・・なかなかのプレッシャーだね。

 

 

僕もそれに応えるように、魔力を放出する。

どうやら、タダでは返してくれないようだ。

とりあえず、月詠さん達を転移させ・・・。

 

 

 

「ど、どうして木乃香さんを狙うんですかっ!」

 

 

そんな、英雄の息子の方の言葉に。

どういうわけか、力が抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

Side アリア

 

思わず刀を取り落としかけました。

フェイトさんも・・・魔力を霧散させてこそいないものの、力が抜けているようです。

感情のない瞳の奥に、軽い苛立ちのような色が見えたような、そんな気がしました。

 

 

「・・・・・・ネギ兄様・・・・・・」

「な、なに?」

「空気を読んでください・・・・・・」

「え、え・・・?」

 

 

深く溜息をつくと、兄様はひどく困惑したような表情を浮かべていました。

まぁ、このあたりが、兄様の兄様たる証というか・・・。

 

 

でも、今、ものすごく緊迫した空気だったじゃありませんか。

もう、後は激突するだけだったではありませんか。

なんでしょう、この、なんとも言えない感覚・・・。

 

 

対するフェイトさんはというと。

 

 

「フェイトはん!」

「・・・・・・千草さん、悔しいけど撤退しよう、また次があるさ」

「くっ・・・しゃあないな」

 

 

そう言って、どこかに転移する様子。

・・・ここで、「逃げられるとでも?」とか言えたらかっこいいんでしょうけれど。

そこまでやる気に溢れてはいないんですよね、私。

 

 

「・・・・・・追ってこないのかい?」

「追ってほしいんですか?」

 

 

千草さん達が転移してく中、フェイトさんの言葉に、からかうように返します。

まぁ、ケチもついてしまいましたし。

 

 

「・・・今度は、お互い荷物のない状態で、お会いしましょう」

「・・・・・・そうだね」

 

 

楽しみにしているよ。

そう言って、フェイトさんは転移していきました。

 

 

・・・前世でも現世でもやったことはありませんが、デートの約束にしては、なんとも色気のないやりとりですねぇ。

 

 

ともかく、フェイトさんを見送った後、手に持っていた魔法具、『贄殿遮那(にえとののしゃな)』をしまいます。

対魔性能に優れた刀で、しかも決して折れない、頑丈な刀です。

石化魔法を使うフェイトさんと限定空間で戦り合うには、絶好の武器だと思ったのに・・・。

まぁ、また使う機会もあるでしょう。

 

 

「アリア先生!」

 

 

木乃香さんを抱えて、刹那さんが戻ってきました。

幸い、目立った怪我はないようですね・・・。

 

 

「アリア先生、ありがとうございます・・・!」

 

 

ものすごい勢いで頭を下げられました。木乃香さん落としますよ?

 

 

「・・・私がいなくとも、大丈夫でしたよ、きっと」

「そんなこと・・・!」

 

 

原作では大丈夫だった気がしますし。

いえ、フェイトさんはいなかったような気もしますから、そうでもないのでしょうか・・・?

でも、まぁ、守れたなら、それで良しとしますか・・・今は。

 

 

「・・・・・・アリア」

 

 

ネギ兄様が、また何とも言えない表情で私を見つめていました。

そんな目で私を見ても、心配などしてあげませんよ?

 

 

「・・・兄様は、何しにここへ?」

「え・・・あ、親書を渡しに行かなきゃ!」

 

 

いつまでも私の事を見ているので、特使の仕事を思い出させます。

兄様は慌てて、階段を駆け上がっていきました。

・・・元気ですね。

 

 

「あ、待ちなさいよ、ネギー!」

「ね、ネギせんせ~」

 

 

そしてそれを追いかける明日菜さんと、のどかさん。

・・・木乃香さんを置いていってどうするんですか。

ほら、刹那さんがかなり困っていますよ。

 

 

「・・・申し訳ありませんね、刹那さん」

「い、いえ、そんな・・・」

 

 

苦笑いの刹那さん。

この界隈に張られていた封じ込めの結界は、侵入する際に私が壊しましたし・・・。

まぁ、道に迷うということも、ないでしょう。

しかし・・・。

 

 

「・・・面倒ですね」

 

 

今後の展開を考えると、溜息をつきたくなります。

本当、ここで見捨てられる性格をしていれば、どんなに楽か。

・・・仕方ありませんね、シンシア姉様。

 

 

 

 

 

アリアは優しい子だって、褒めてくださいますか?

 




アリア:
アリア・スプリングフィールドです。
最近仕事が多くて大変ですが、皆様の応援のおかげで何とかできております。
今回はフェイトさんとの二度目の接触です。
いっそ今回で決着をつけてさしあげようかと思いましたが、お互い多忙の身、次回の約束を取り付けただけ、良しとしましょう。


今回の魔法具『贄殿遮那(にえとののしゃな)』は、「灼眼のシャナ」を元ネタにしております。
司書様、haki様、アイデア提供ありがとうございます。
今度はもっときちんと使いたいですね。


アリア:
さて、次回は関西呪術協会の首脳部との面会です。
相手はお父様の仲間とか・・・。
さて、面倒になってまいりました。

では、またお会いしましょう。

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