うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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注1.前話のラストを改変+おまけを付け加えてます。
   よろしければ閲覧の程を。

注2.なろうで連載していた話の流れ上で
   とても必要なフラグが、カラカラが抜けた際になくなってしまったため
   帳尻を合わせるために2話合成してます。

注3.話数変えるのめんどい。よって68話辺りは表記として消えました。
   以降69話からのスタートとなります


69話 裏事情

 

 

現在俺は、シオンタウンの留置所に居る。

俺は一体何回ここに来ればいいんだろう。

 

 

前回ムウマージを抱えて逃げ出した後の話になるんだが

その場で放置喰らった俺の手持ちの戦力全員が(ミュウも)

私も私も、とあれよこれよでハカイオウとのバトルが決まったんだそうだ。

 

多対一だったため、圧倒的な不利を抱えてハカイオウは勝負に挑んだわけなのだが

ある意味俺が育てたという内容に限りなくマッチしたため、とても善戦したらしい。

 

具体的に言えば躱して握って別の子に投げ、わざと当たって他の子に投げ。

完全にスパイクアウト戦術である。別にココまで教えてないんだがやはり方針がその内容なので

バトルスタイルもそちらの方で熟達してしまったんだろうか。

 

 

ちなみにここまではきっちりと穏便に済んでいる。

Lv82、なおかつフロンティアブレーン代理の手持ちであるが故に

凄まじいまでに戦い抜いたのだが、結局のところは数の暴力に屈していたそうな。

 

 

んで、この後にこんな状況になったそうだ。

 

 

◇◇◇

 

 

「ふむ……」

「ん、どうしたんですか、コクランさん」  ←カズさんの台詞。俺じゃないぞ

「ついで、と言ってはなんですが……

 同門のゴウキとハカイオウで一試合やらせてもらえればと思いまして……

 今やっていた様な形ではなく、互いにトレーナーの指示を飛ばしての形でね」

「うえぇぇえええええぇぇええッッ!? 無理無理ッ! 絶対無理ッッ!!」

「いやいや、これは本当にわからないと思いますぞ?

 案外わたくしめのハカイオウでも負けるやもしれませぬ……」

「いやいやいやいや、コクランさんやめて?!

 圧倒的敗北が目に見えてるんですけど!?」

「───。」

 

そして……スッ、と。

ゴウキが見学していた場所から立ち上がった。

 

「ゴ、ゴウキッ! 駄目だ! 無理なものは無理だ!」

「……メッサツ!」

「───……お、前」

「本人もこう申しているようで御座いますし、一試合如何でございましょう?」

「んー……じゃぁ、まあ……滅多に無い機会だし、お願いします」

 

こうして、カズvsコクマロが決まり……

かいふくのくすりを飲んだハカイオウとゴウキは

お互いを見やり、拳と拳を合わせて試合前の挨拶を交わしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 

で、こんなことに。

 

ムウマージにお前の存在がなんたるものやと説明し終えて修行場に戻ってきたんだけども……。

せめてあの時ここ残ればよかった。修行場どころか森が壊滅している。

 

 

 

隅っこでカズさんとコクランさんが折れた木の下敷きになって伸びている。

ダグ共は素早くトンネルを掘りつけ人間三人娘とミロカロス他を速攻で避難させたようだ。

お前等良くやった。

 

そして最後にはあまりの無茶苦茶ぶりにドレディアさんがキレて、ルール無用の大乱闘を引き起こし

木はぶち折れ、その木がぶん投げられ、栓抜きまで投擲され。

さらにゴウキのしゃくねつはどうで燃え上がり。

その燃え上がった木をハカイオウがフライングニールキックで体ごと蹴り飛ばし。

ゴウキから放たれる波動(だん)をハカイオウもドレディアさんも

なんと素手でバチンとビンタして逸らし。逸らされた波動(だん)

さらに他の木にぶち当たり、なぎ倒され……といった事が

俺がココに辿り着いた時点で繰り広げられていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

そしてその惨状の最後に、ぶちギレた俺が三人を(自主規制)してK.Oして

倒してしまったせいなのかレベルが29まで上がってしまった。

 

 

「なんなんだよこれ……もうおうち帰りたい……」

「△▲☆★ー……」

 

そんな異界の風景と思わしき『元・森』に立ち尽くす俺は、ムウマージに慰められるのだった

 

 

あー、そろそろ警察さん方がこっちに着く頃か。

こんだけ大暴れしてるし、付近の人たちが森の異常って事で通報してるよな……

 

 

森崩壊騒動の後、気絶した三匹を全員叩き起こし

倒れた木の撤去だけでもしやすいように、ひとまとめにしていたところで

やはり警察の方々がおいでになってしまった。

 

ま、通報の方は予想するからに、ただ単に森の様子がおかしいとかそっち方面だったはずである。

誰も暴れてる最中見に来なかったし。

むしろ外から森を見ただけで、「森に破壊者が居る」なんて通報だったらむしろその人は神であろう。

 

 

「……で? なんでこんな事になってんだ?」

「はい、順々に説明しますんで……

 ……くぉらてめぇらッッ!! 止まってないでキリキリ片付けろッ!!」

「ディッ、ディ~~ッ!」

『オ、オ、ッスッ!!』

 

警察の人に事情聴取をされ始めた辺りで

周りを片付けてたボケ三匹がこちらの話に聞き耳を立てていたため、一喝して作業を再開させる。

 

「う、む……彼らが手伝ってくれているから

 片付けはかなり速く終わりそうだが……っていうか。

 あのドレディア……ドレディアなんだよな。あれは一体なんなんだ? どういう事なんだ?」

「あ、ドレディアの仔細を知ってるんすね、警察のお兄さん。

 彼女はあれです、気にしないほうが楽ですよ」

「…………。うん、そうだなっ!」

 

視界の端に映るドレディアさんは、折れた木を二本纏めて持ち上げ

青々しい葉っぱをつけたその木を、割と普通の速度で走りながら

ズリズリと引きずって走っている。

 

走っている。

 

うん、まあそういう事だろう。

見て見ぬ振りをしたほうが何も考えずに済むという現実逃避だと思う。

 

 

「……で、あそこで気絶してる二人は被害者で

 主犯はむしろ、その戦いを提案した君だ、と」

「はい、そうっす。申し訳ないです」

「確認するけど……、あの、今せわしなく動き続けてくれてる三人が

 全体的に森を滅茶苦茶にして、最後に君がキレて彼らにトドメを刺した、と」

「はい、間違ってません」

 

この件に関しては全て俺が罪を被る事にした。

そもそもムウマージをつれて逃げ出したのは俺であり、これら全ての事象はそこから発生している。

 

それに万が一にでもブレーン代理のコクランさんが警察に拘束されたら

ひとつの施設の運営がひっじょーに不味い事になる。

ならば特に縛りも制限も無い俺が出頭した方が色々と救いがあるはずだ。

 

「……んー、その話が本当だとしたら多分牢屋に入ってもらう事になると思うんだが」

「仕方ないすね……俺もまさかここまで酷い事になると思ってなかったんで」

「そうか……まぁ、一応俺からも事情は説明して、短い日数で出れる程度に嘆願書は出しておくよ。

 話を聞く限りでしかないが、根本的に君は悪い子とは思えないからな」

「すんません、ありがとうっす」

 

どちらにしろ、俺が原因でこんだけの事態を引き起こしてしまったんだ。

犯人不明ではこれからも忙しいコクランさんまでここで縛られる可能性もある。

そんなら比較的自由な俺が罪を引っかぶってしまおうという計算だ。

 

どうせ以前にも捕まっちまってるしな……一回捕まってしまえば二回も三回も一緒だ。

 

 

 

 

そんなわけで冒頭の続き。再び戻って参りました牢獄in。

再び拘留されてしまってまーす。あはー♪

 

「やれやれ、まったく……ドレディアさん、本当に今回はあかんわ。

 なんで止め(トメ)に入らないでトドメに入ったんだよ」

「ディ~ァ~///」

「褒めてねぇッ!!」

「ディッ?!」

 

やった本人はこんな調子である。もーどうすればいいのさ。

 

 

 

なお、俺の他の手持ちはポケモンセンター預かりとなっている。

拘留される前に、気絶から復活したコクランさんとカズさんに頼み手配をお願いしておいた。

故に隣にはドレディアさんしかおらず若干暇である。

ドレディアさんが要る理由は前回と同じ。俺本人が反省をしている上に感情的でないため。

特段脅威にはならないと判断されたからである。

悪い事考えてるヤツの隣にポケモン置くと碌な事になんねーからなー。

 

一応ミュウはそのテレパス性能を使って、牢屋まで逢いに来てくれたんだが

この際だ、という事でお別れとしておいた。修行も終わってるしね。

 

あの一週間で勉強した内容は学力テストの結果でもはっきりとわかっている。

初期の目的が達成されたので、縛る必要はもうなくなったのだ。

 

んで、拘留期間は前回より短く二日である。

あの時の警察のお兄さんが面倒臭がらず、本当に嘆願書を出してくれたらしい。

この世界の警察は地味に前世の警察よりしっかりしていて、本当に有難い。

 

「ま、ご飯時まで暇になるだろーな……ゆっくりしてようかね。」

「……ァー」

 

つまんねぇーとでも言いたげに、ドレディアさんはふてくされた。

残りの拘留期間は一日と18時間って所か……寝る子は育つっつーし、のんびりと寝て──

 

 

「んだからよぉ……次の飯の時間に持ってきたヤツを牢越しにひッ捕まえてだな……」

「んなもんで脱走出来るってんなら世の中苦労してねえだろ」

「持ってきたヤツの声防ぎ切らなきゃすぐに誰か駆けつけるだろーしな……」

 

 

……ぁん? なんか物騒な話してるやつらが居るな……。

 

って、こいつら───

 

「あの時のロケット団か……」

「んだぁ……? 俺らの事を知ってるなんざ将来有望なヤツ───って、テメェは!!」

「こンのクソガキっ!! テメェラのせいで俺らは本部に合流出来ねえんだぞっ!!」

「ちくしょう、今すぐぶちのめしてやるッッ!! ここを開けろっ!!」

 

悲しいまでの低レベルっぷりに怒りを通り越して嘆きすら出てきてしまう。

その嘆きこそ我の糧也、いやなんでもありません。

 

「ひとまず落ち着いてくれ、そこの黒い人達。

 まあこんなところに来た原因がそういったところで───」

「っせぇんだよッッ!! 出せっつってんだろうがぁー!!

 看守どうしたぁー?! とっとと来いやっ、ぶっ殺すぞッ!!」

「って叫ぶのも当たり前だよなー」

「クソが、なめくさりやがって!!」

 

  い

     い

        か

           ら 

 

                  黙 れ ッ ッ ! ! 」

 

 

─────。

 

 

あまりにうるさかったので、大声を出してさらに一喝、何とか静かになったようである。

 

「いいか? あんたらは悪い事してここに入れられてるわけだろ?

 そんなやつらに警察の方々が俺を殴るために牢から出すなんてするはずないだろ」

「……グッ」

「加えて閉じ込めておいた方が安全なのに

 わざわざ『ぶっ殺す』っつってるやつらをどうして開放するんだよ?

 逆に考えてみろ逆に」

「逆にだとぉ?」

「あんたらが看守の立場で、そんな事を言ってる凶悪犯罪者がいて。

 そいつらを信じてなおかつ開放出来るか?」

『…………まず、しない。』

「だろ?」

 

漸くまともな思考回路に戻ってくれたようである。

 

「ッチ……確かにそう考えりゃ余計な体力使っちまったぜ……」

「つーか、クソガキよぉ……お前、なんでこんな所に居んだよ?」

「そういやそうだな……俺ら捕まえる位なんだから、悪が許せねぇ普通のガキなんだろ?」

「別に俺は悪が嫌いって訳でもねーさ」

『は?』

 

俺の返答と持論に黒い方々は揃って呆けた顔になる。

 

「簡単に言うなら俺は悪い事の全部を否定はしねーよ。

 必要悪って言葉位あんたらも聞いた事あんだろ?」

「……まぁ、な」

「でも俺らが必要悪とは限らねーだろうが」

「俺が動いた理由はそこだよ」

「……まぁ返答はそこそこ予想出来てっけどな……どうせこっから動けねーし暇なんだ、喋れや」

「まぁどうやったって悪を認めてるってやつがあんたらを拘束したってんなら

 そこしか理由も浮かばねーよなぁ。そういう事だよ」

 

そこに至る理由はあまりにも小さく、ただの個人の感情でしかない。

 

「俺が見逃せなかったのは、許せなかったのは……

 わざわざ親子の絆を引き裂いてまで、ガラガラを殺した事だ」

 

『…………。』

 

三人は一様に黙りこくる。

 

「ガラガラとカラカラの持つ骨が高いのは俺も知ってるよ」

 

初代でもそれが理由で殺されてる的な描写、あったしな。

 

「けど、他にも金作る方法なんざあるだろ。

 ポケモンとはいえ、他の生物の幸せをぶち壊してまで稼ぐもんでもないだろ?

 俺はただ単にそこが許せなかっただけだ」

「ケッ……何も知らねぇシャバ憎が……」

「……なんか理由でもあんのかよ」

 

悪の組織独特のルールでもあるのだろうか。

 

「俺らだってなぁ、いや少なくとも俺はってところか……。

 俺だって殺してまで金なんざ得たくなかったさ」

「まぁ……そいつぁ一応俺もだな」

 

と語るロケット団員AとB。

と同時に俺はふと、別の団員かもしれないが……

フジ老人とこいつらが言い争っていたシーンを思い出した。

 

「そういやあんたらの仲間が『無期限でゆっくり金を稼ぐなんて無理だ』とか言ってたな」

「そうだよ、俺らだってわざわざ危険な事してまで悪の組織になんざ居たくねえよ」

「んだったらなんでここで捕まってんだ」

「───そんだけ物事知ってるテメェなら若干予想はついてんだろ」

「……まぁ、な」

 

金を稼がなければならない、だが急がなければならない理由。

 

「上納金、とかそっち系か?」

「やっぱりな……その年齢でそんな単語は普通知らねぇだろう。ま、それだけじゃないけどな」

「……それだけじゃない? あーわかった。あれだろ。お前等リーダーに恩あるんだな?」

「ッ?! そこまで想像出来んのか……さすが俺らの動きを予想して構えてただけあるな」

 

こいつらの動機はある意味単純な話だったのだ。

自分達に対して何かしら施してくれたボス、または主に対して忠誠があるだけだった。

その忠誠に基づいて、たとえ悪い事だったとしても主のためにそれを成し遂げようとしていたのだろう。

 

「まあサカキさん基本的に悪い人じゃねーからなぁ」

『ハァッ?!』

 

いきなり大声を出して驚く団員達。

大声過ぎてドレディアさんまで若干退いてるじゃないか。

 

「お、おまっ……!? テメェみてぇなガキが何でうちらのボスの存在をピンポイントで知ってんだ?!」

「まだ警察関連にすら名前はバレてないはずだぞっ!?」

「あー。……んーと……うん、悪ぃ。

 そこら辺は聞かなかった事にしてくれ、事情があるんだ」

 

そう、前世でそんな役割をしてたのを覚えてるという、説明出来ない事情が。

 

「……俺らも一応、四苦八苦してその情報が流出しないようにしてたんだからな?

 お前、警察にチクんじゃねぇぞ?」

「あー大丈夫大丈夫。一応そっちも事情もあるんだろーし誰にも言った事ねーから」

 

言おうとした事はあるが。

 

「ったく……テメェ一体どこまで知ってやがるんだよ」

「……聞きたいのか?」

「……どうせ俺らは今から団員と合流も出来ねぇし情報も伝えられねーよ。

 喋っておけや、どうせこの場のオフレコだ」

「えーと……まずタマムシシティのゲームセンターにある地下のヒミツ基地だろ?」

『そこを既に知ってんのかっ?!』

「あとは一年以内ぐらいにゃシルフカンパニー本社襲撃の予定組み込んでるよな」

『…………。』

「あとはまあ、ちっこい事しか知らねーよ。

 せいぜいが地下のヒミツ基地のボスの部屋がエレベーターでしかいけないって事ぐらいだ」

 

俺が次々とひけらかしていく内容に、団員三人は完全に絶句する。

 

「……俺らの情報って、なんなんだろうな」

「結構頑張ってたはずなんだけどな……?」

「あー、擁護するわけじゃねーけど気にしないでいいよ。

 俺がそれを知るに至ったのは本当に反則的なモンから情報引っ張ってっからだからさ」

「なんだよ、反則的なもんって」

「ぶっちゃけ、アカシックレコードとかそんなモンに近い」

「アカ……? なんだそりゃ」

「お前知ってっか?」

「いや、知らねー……つーかレコードって。普通CDとかだろーが。本当になんだそれ」

 

 

アカシックレコードを知らん人はテキトーに検索してください。

エヴァでもどっかでこの単語が混ざってた気がしたなー。

 

 

「まあ、それはさておいて、だ」

「あぁん?」

 

今回の会話でちょっと確認したい事も出来た。

今、尋ねてみるべきだろう。

 

「少し話をさせてもらってもいいか」

「テメェの事語りなら勘弁だぜ。そんなん聞いてられる程人間出来てねーよ」

「違う違う、お前等の事だよ」

「……俺らだと?」

 

そう、お前等ロケット団一人一人の構成員だ。

 

「お前等一人一人じゃなくてもいいわ。

 全体的にもやっぱ、サカキさんの徳に惹かれて仕方なくロケット団で居るってやつらも居るのか?」

「あーそりゃぁ大勢居るぞ。実際サカキさんがボスじゃなくなったら即座に内部分裂すると思う」

「それは俺も同意見だな、あの人じゃないとロケット団は回らねーよ」

 

 

なるほどな。やはりサカキ自体は良い人ではあるのか。

ゲーム中でも大人の事情だのなんだのとかって言ってたしな。

あえてジムリーダーに戻って主人公と最後の決戦してる辺りでも

俺はサカキが完全な悪とはどうしても思えなかった。

 

 

「じゃあ次だ……お前等は好き好んで、犯罪をしているわけではないんだな?」

「そこら辺も俺個人は一応同意だ。組織の実情も知ってっからな」

「実情、か」

「あぁ、そうだ。サカキさん本人も徳が高すぎんのかもだけどよ……

 俺らみてーに普通に働けねぇ奴等が居たらどっかこっかから必ず拾ってくるんだわ」

「ほぉ……」

「んで、俺らは飯の種もねぇ無駄な食い扶持なわけだろ?

 必然、組織全体に負担が掛かってくるわけだ」

 

……これは三国志の『黄布の乱』的なもんか?

最初こそただの農民の反乱だが、規模を維持するために略奪するしかなくなった的な。

 

「俺らも俺らで何かしてやりてぇけどなんも出来ねぇ。

 少しでも組織のためにってなると、やっぱ犯罪するしかねぇわけだ」

「……まさかとは思うけど、お前等それを免罪符にはしてねぇだろうな。

 もしそうだってんなら、俺はここ出たら本気でロケット団潰すぞ」

「……全くしてねえっつったら嘘になるだろーな。

 誰彼、心の奥じゃ無理やり合理化させてるだろうさ」

「…………」

 

そうか……。

 

まだ、組織全体が完全に腐ったわけではないのか。

 

「なぁ、ロケット団よぉ」

「あん? なんだよクソガキ」

「───お前等は……少なくともお前『達』は、サカキさんのためになら、変われるか?」

「はっきり言ってやる。ボスが望むならイエスだ」

「俺もだな」

「俺もだ。あの人の負担が減るならなんでもしてやらぁ」

 

そうか、だったら……

 

 

 

 

 

「俺、ここ出たらロケット団改変してくるわ」

 

 

 

 

 

『はぁ?』

 

一同口を開けてポカーンとしている。

 

「ひゃっはっはっはwwww何言ってんだよクソガキwwwwおめぇ一人で何か出来───」

「ないって自分で決め付けたから今のテメェ等が居るんだろ」

「──……」

「少なくとも俺は面倒くさがってもそのままにはしねーよ。

 お前等が本気でサカキさんのために、いや……サカキのために動ける、変われるってんなら。

 

 

 何とかなるように動いてやるよ」

 

『…………。』

 

全員、一様に俺を見つめてくる。

おそらく言葉の内容から、俺がそれをやろうとしているのは嘘ではないと思ったんだろうな。

 

「へっ……テメェみてーなジャリボーイに何が出来るか知らねーがな。

 もし……もし何かしら変えれたんなら───俺も死ぬ気で変わってやるよ」

「おいコラ、何B一人でかっこつけてんだよ。俺だって変わってやらぁ」

「俺一人だけ抜かしてんじゃねぇよ。

 こんなクソジャリがやってみせるって断言してんだから俺だって変わってやらぁ」

「……そうか」

 

三人の発言に俺は少し安堵を覚えた。

 

───やはり、まだ腐りきっていないらしい。

 

「約束してやるよ」

「ぁあ? 何をだよ」

「お前等、今日言った事ぜってー忘れるなよ。

 

 変え終わったら、お前等の身柄を突き止めて

 

 司法に則って解放してもらえるようにサカキに口添えしといてやっから」

 

 

 

「…………。」

「…………。」

「……本気で、変えるつもりか」

「そうだ」

「ま……期待しねーで待っててやるさ。

 本当にそれは、ボスのために、───サカキさんのためになるんだろうな?」

「サカキがいいやつなら、な」

「───だったらこっちも……」

『約束してやるよ』

「そうか」

 

 

 

 

次の行き先は、決まった。

 

 

 

 

そこから先は特にそいつらとの会話もなく、普通に大人しく過ごした。

さらにそこから三時間後程度に、コクランさんが面会にやってきてシオンを経つ事を伝えてくれた。

わざわざ律儀にありがとうございます。

 

「私がしでかした事の尻拭いをさせてしまい本当に申し訳御座いません……」

「まぁ、いいんすよ。俺どうせ暇ですし」

 

一応はカズさんも気にしているかもしれないので、気にしない旨の伝言を頼んでおいた。

 

「いつか、バトルフロンティアに……いや、ジョウト地方に来た際には

 私めの権限を使い、御優待させて頂きますので……」

「いやいいっすよ本当。ああいう風にしろって育てたのも俺ですし」

「それでも私は感謝の念が拭えません。

 ……いつか、またお会いしましょう。お嬢様にもご紹介したいですし」

「アハハ、まあ彼女の感情と能力が制御出来るようになったらね」

「ッッ?! 何故その事をッ……!?」

「あ、やべ」

 

 

色々と問い詰められたが、まあその後に暇になるのはわかりきっていた。

色々とのらりくらりと交わして時間を有効に使わせてもらった。

 

 

 

 

 

 

そしてあの会話から二日後。

 

「よっす。ちゃんとおとなしくしてたか?」

「あ、あん時のお兄さん。

 どうもありがとうございます、おかげさまで早めに外に出られますね」

「はっはっは、なーに。

 未来を担う若人なんだからよ、こんなところで何日も足止めしちゃわりぃだろ」

 

俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、お兄さんは言ってくる。

 

「ドレディアの嬢ちゃん」

「ディ?」

「ちゃんと、ご主人様の言う事聞かなきゃ駄目だぞ?

 君が原因でまたこんなところに来ちまうかもしれないんだからな。」

「─────(こくり)」

 

ドレディアさんにも軽い挨拶をして、お兄さんとは警察署前で別れた。

いい人だったなー。

 

 

「さて、のんびりしてる暇はないぞ。ドレディアさん」

「ディーァ?」

「明確な目的も得られた。明日から忙しくなるぜ!」

「ドレディァー!!」

 

 

そうと決まったらとっととポケセンに居るみんなを回収して

旅に出る準備をしなきゃな!!

 

 

 

 

 

次の目的地は、タマムシシティだ!!

 

 

 

 

 

side サンドパン

 

 

こんにちわ。ぼくサンドパンです。はじめまして。

なんかよくわかんないんだけど、ご主人様とそのお友達がわたわたしてる。

 

「その情報確かなんやろなッ?! 既にタツヤんは警察んとこにはおらんねんなッ?!」

「ま、間違いないですっ!!」

「んで、ポケモンセンターにも彼の手持ちの子達がおらん……

 まさかまたうちらに何も言わないで旅に出たんか!?」

「た、多分そうね、これは……

 私達もまだまだ、彼の中じゃ優先順位低いんでしょうねぇ……」

「落ち着いてる場合やないやろっ!! あのうンまい飯、食えなくなってまうやんか!!」

「多分何も伝えられないでまた旅に出て行かれたのって、そこら辺もあるんじゃないかなぁ……?」

「う……確かに食費ぐらいはたまに払っておくべきやったんやろうか……」

「はぁ、なんにしてもこれでまた探さなきゃならないわけか……」

 

はなしのないようから考えると、またぼくの親友のたつやさんが旅にでたんだって。

それで、その旅にでた原因をみんなではなしてるけど

たぶんたつやさんの事だし……たんに忘れてたんじゃないかなぁ?

 

「キュー、キュー」

「ギャゴーンッ」

 

さいきんいっしょに仲間になったゲンガーちゃんとも話してみたけど

ぜんぜんつきあいがないゲンガーちゃんですら、わすれてったんじゃない? といってた。

にんげんかんけいって、複雑だよね。

 

でも、あのごはんがたべられなくなるのはざんねんだなー。

また、あいたいな!

 

あ、でもごはんだけが目的じゃないからね?

ぼく、たつやさんはかわいがってくれるからだいすきなんだ!

またなでてもらいたい!

 

「よっしゃ、とりあえず旅荷物はすぐにまとめられるな?

 準備出来たらとっとと追いかけんでッ!!」

「で、でもどこに行くのかな?」

「んー私も今回はわからないわねー……」

「そんなん決まってるやん……セキチクシティや!!」

 

 

アレ? なんかいま、あえなくなっちゃう事が決定しちゃったような気がしてきちゃった。

でも、またきっとあえるよね。いつになるかわからないけど、きっとあえるよね。

 

 






さて、フラグに気付く方は居るのだろうか……
前作からまるっと代わってしまっている部分があるため目立たないが

「ある」部分の表現が消えてます。

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