うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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>>でもま……あそこは一応お墓なんだし、大騒ぎしないように皆に言い聞かせておかないとな。








57話 バトル

とりあえず現在5人組+αで俺らの後ろに俺らの手持ちの子達、結構な大名行列である。

セイリュウは連れ回すにはでかすぎるため一度戻されて、現在の一番長身はミロカロスである。

 

……あれ、そういえばミュウどこいった? セイリュウ乗った辺りから見当たらん気がするが……

まあそのうち出てくるだろう、出てこなくても修業的な心構えは一通り仕込んだ。

このままお別れでも問題あるまい。

 

っと……そんな事を行っているうちに見えてきたか。

 

「ああ、あれだね、ポケモンタワー」

「ぉー、やっぱでっかいんやなー」

「こんなに大きいものがポケモン達のお墓なんですね……」

「……出来ることなら観光目的以外では来たくないわね」

 

 

……ま、そうだな。

『観光以外』ってなったら……それは当然、身近な『家族』が死んだ時だから。

 

 

ふと、見上げているうちの子達を見る。

 

ドレディアさんにミロカロス。

 

二人はなんじゃらほいなという感じに疑問を飛ばして俺を見てくる。

───うん、これは……無くしちゃいけないモノだな、絶対に。

 

 

ツンツンツン

 

 

「ん」

 

 

後ろからなんか突っつかれたので振り返ってみると

ダグ共が『我等は? ねえ我等は?』と自分達に指を差しながら視線を送っていた。

何お前ら、俺の思考読んだの? タイプ3はエスパー?

 

ま、いつもならウザいで済ますところだが……

ここには……出来る事なら本当に、観光以外で来たくないしな。

 

返答として、ダグONEの背中をポンポンと叩いておいた。これで、あいつらにゃ十分伝わるだろう。

 

 

そんなこんなでやってきましたポケモンタゥワァ。

別にBGMがかかっている施設ってわけでもないので

雰囲気的には若干おどろおどろしいものはあるが……ま、普通の施設だな。

一階の時点で、お墓が並んでいるが。

 

 

「……普段、ポケモンが死ぬところなんて見ないから

 これだけお墓があると……変なところに迷い込んじゃった錯覚をしちゃうね」

「そうですね……私の子達もいつかは……お別れしなきゃならないのかな」

「まぁ、そやろね……コイキングとか一部は訳わからんほど長生きする子もおるけど

 その子らはその子らで、うちらが先に死ぬからどちらにしろお別れになるしな」

「サンド……私達もお別れは絶対にしないようにしましょうね」

「キュ!」

 

全員が全員、それぞれのポケモンまたは自分の想いを口に出し

『死』というものに関して思い耽っていく。

……やはり、こういう光景は感慨深いモノを想ってしまうな。

 

 

 

 

この世界に来た後にあちらに残った筈の俺の体は……ここにある墓と同じ所に、収まってしまったのかな。

 

 

 

 

「なぁ、タツヤん、どしたんや?」

「───……えっ?」

「いや、なんか建物のそばに来てから随分静かやなって思うてな」

「ディ~……」

「あぁ……いや、大丈夫っすよ。なんでもありませんから」

 

ミロカロスにこそ、話したが……

こちらの人達に俺が思っていた事を伝えた所で、理解を得るのは難しいだろう。

 

 

同じ境遇の人なんて、探すだけ無駄だから。

 

 

「あ、ここから二階にあがれるらしいよ。みんなはどうする?」

「うちは行こっかな。やっぱりうちらの先輩やった子らって事やし

 これからもポケモン(みんな)と生きてく手前、見ておきたい」

「……良い考えですね、アカネさん。なら俺も行きますかね」

「私はもう別にいいけど……ま、多数決って事で付いていくわ」

「わ、私も、です。」

 

そんな感じで、俺らがこの世界を歩き出す前に

この世界に存在していた先輩方に、挨拶しながらタワーを上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしてこうなった……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閲覧者諸君は覚えているだろうか。

ポケモンタワーのイベント自体は確かフジ老人だかフジ超人だかふじこAふじおだかを助けるものがある。

 

 

 

 

けどさ。

 

その前に、だ。

 

イベント、もう1個あったよな?

 

 

そう、あれだ。

 

 

 

 

 

 

 

初代ポケモンだとここでライバルが現れるんだ、二階部分な。

そして今、試合は既に終わっており

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポケモンタワーの二階は壊滅している。壁すら1/4ほど吹っ飛んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

ついでに言うならグリーンも吹っ飛んだ壁と一緒に吹っ飛んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうめんどくせーから説明放棄していいかなこれ。

いいよね?

 

あれ、駄目っすか。

 

 

やれやれ……まあ簡単に説明しますわ……

 

 

 

 

1.遭遇。原作と同じような台詞を吐いて、グリーンさんがレッドさんに勝負を仕掛ける。

2.ピカチュウvsカメックス。相性の問題から楽勝と思われたがカメックスは育っている。

3.凄まじく拮抗した後、ピカチュウがごり押しで負けた。

4.次にレッドさんが繰り出したのがセイリュウ。

5.セイリュウの身長は目算で17m。

6.施設での戦いで出す事がそもそもおかしい。

7.よりにもよって指示した内容が「あばれる」。

8.お墓の殆どは全て横倒しか粉砕。暴れたが故に尻尾もぶんぶか振り回し。

9.遠心力最大状態で壁にぺちーん。ばこーん。ついでにグリカメックスにもばこーん。

Q.オ゛レト、イショニタタカッテクレルンウェ!!

A.オンドゥルルラギッタンディスカー!!

 

 

まあ、こんな感じである。

幸い作りは頑丈なのか、タワー自体が崩れる心配は今のところなさそうである。

根元に近い二階部分が壊滅してんのに施設の耐久度が維持されてるって何気にすげぇな。

 

んで、当然ながら係員さん達がレッドさんを捕獲に乗りだした。

そしてセイリュウに乗ったままレッドさんは逃げやがった。

あいつら本当にチャンピオンなれるの? 今回の件で足付くんじゃね?

 

 

「ええ試合やったねぇ~」

「本当ねー、燃える試合だったわぁ」

「そうですね!」

「あんたら目ぇ腐ってんの? ねぇ腐ってんの?

 ねえなんでこの風景見てそんなのほほんとしてられるの? 馬鹿なの? 死ぬの? ねえ?」

『タツヤ()と出会ってからはこんな事なんていつもの事(です)し。』

 

 

挙句の果てに俺のせいにされた。

俺、今決めたわ。この世界滅ぼすわ。俺に優しくない世界なんて要らない。

 

 

「ね、タツヤ君!」

「ぁー? なんすかもっさん。

 俺はこれから世界を破壊するために忙しくなるんで、簡単な内容なら後回しにしてください」

「なんで今の会話だけでそんなにネガってんの?! そんなんじゃないわよっ! 立派な用事よ!」

 

あん? 用事?

 

「はぁ、なんすか。金なら貸さないっすからね」

「え……じ、実を言うと買い物しすぎたから

 3,000円位どうにかならないかなーって……って違う!!」

「違うっつってる割りに、全部その通りだった気がしたんですが」

「い、いいのよ!! 今重要なのはそんな事じゃないもん!!

 タツヤ君っ、久しぶりに私と勝負しなさいっ!!」

 

なんかもっさんが突然寝言を言い出した。何で寝てないのに使えんのあんた。

 

この惨状とあのセイリュウの内容を見て、なんで俺とバトルなんて発想に辿り付いたんだろう。

この世界発想が異常過ぎるだろ。お前等壁を修理するとかさ

もしくはお墓を元に戻そうとかそういう意思は一切ないのかっ?!

先祖を敬っていると見せかけてまったく敬っていないこの世界に絶望しそうだ。

 

「そういやうちら、タツヤんのバトルとか見た事ないなぁ。

 んじゃここみたいにしたらあかんやろうし、外いこ! 外!」

「私達が船内で見たタツヤ君って、シジマさんに抱き締められて気絶したのと

 あの集まった船内で囮になった内容だけですもんね……」

「んっふっふっふ、だが私は一度タツヤ君には勝っている!!」

『えっ?!』

 

あー、まあそうっすねー。

 

 

あ、そうだ、この手で行こう。

 

 

「どうせまた負けるんで無条件降伏でお願いします」

「よし、私の勝ち!! ってなんでよーぅ!!」

 

ズビーッと手の甲で突っ込みいれてくるもっさん。

君コガネシティで漫才やったら? ハカイオウ借りて、橋本新喜劇って。

 

「でぇーいッ、このまま行けばあの祭典みたいにまた逃げるのが目に見えてる!

 サンドッッ! タツヤ君に抱き付きなさいッ!!」

「キューンッッ!!」

「サンドォーーーーッッ!!」

 

俺はバッと出てきたサンドを両腕を一杯に広げ受け入れる

かいぐりかいぐりかいぐり。

うむ、この世はまだ俺の味方だな。滅ぼすなんてとんでもない。

 

そしてその隙に服の襟をガッと捕まれてしまった。って、ちょ?!

 

「さぁ行くわよ! GO! GO!」

「え、ちょ、あーっ! でもサンド可愛いから手ぇ離したくないっ!!

 ど、ドレディアさんッ、ミロカロスっ! この人なんとかしてッ割とマジでッ!!」

「…………。」

「…………。」

 

 

ぷいっ

 

 

「お前等ああああああああああァァァァァァっ!?」

 

 

ずりずりずり

        ずりずりずり 

                ずりずりずり……

 

 

 

「んじゃ、うちらも行こか!」

「うんっ!」

『オッス!!』

「ディーア」

「ホァ」

『───;;;;;;』

 

 

 

 

そんなわけで今俺はカツ丼を食いたいです。

 

 

 

「私はサンドで相手をさせてもらうわッ!! 貴方はどうするの?」

「飯食ってきていいすか」

 

「私はサンドで相手をさせてもらうわッ!! 貴方はどうするの?」

「帰って寝ていいっすか」

 

「私はサンドで相手をさせてもらうわッ!! 貴方はどうするの?#」

「そんな事をやってみろ……オレァクサムヲムッコロスッッ!」         ミューゥ>Ω

「私はサンドで相手をさせてもらうっつってんでしょッ!! 早く誰か出しなさいっ!」

「ん、おぉミュウ。お前どこ行ってたんだ」

「ミューイ!!」

 

【セイリュウの背中の毛の中が気持ちよくて、気付いたら寝てた!

 んでもって気付いたらボールの中に居て出られなくて、また寝て起きたら大惨事だった!!】

 

oh……突然出てきたミュウに事情を聴いたらそんな返答が帰ってきた。

体の近くに居たらボールに戻す光線に巻き込まれるんだねぇ。

 

「は・や・く、しなさーーーーーい!!」

「と見せかけて高速足払いっ!!」

 

俺はとっとと試合から逃げるため突然もっさんに足払いを仕掛けた。

 

「当たるかっ!!」

 

なんと寸前のところで小ジャンプして交わされたっ?!

 

「うそぉっ!? お前どこの聖戦士だよっ!?」

「耳元で怒鳴るなっ!!」

 

お前絶対ミミロップの目が赤い事に対してにんじんを食べるからとか言うんだな?!

 

「キュー!! キュー!!」

「ほら、サンドも速く戦いたいっつってんでしょ!! 早くしなさい!!」

 

 

【僕だってあれから鍛えたんだからね!! 負けないよ!!】

 

と、本当に語っていたりする。

 

しかし俺は人間であり、野生動物等には無い話し合いという交渉術を持っている。

これを利用しない手はない。ぼくはあくまでもひせんしゅぎなのだー

 

「今なら4,000円を渡そう。勝っても賞金は400円だ……さぁどうする? ククク」

 

「……ッ?! よ、よん、せん……う、ぐ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お、お金……の、方……が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 い、いや、勝負よっ! 勝負じゃないとダメッ!!」

 

「あんた長く悩みすぎだろっ?! どんだけ金欠なんだオイッ!」

 

まさか改行が必要なまで悩むとこっちも思って無かったよ?!

 

「はー……さすがにもう諦めるしかないか……」

「君本当、どんだけ戦いたくないのよ……」

「例え世界全てを敵に回してもです」

「なんかカッコイイ言い回しだけどすっごい情けないからね?!」

 

うるせーチキンの何が悪いってんだ。移動速度だって二倍なんだぞ。

その代わりどんだけ強い盾装備して変化しても、ダメージ170とか喰らうようになっちまうけど。

 

そいやマスターチキンとカイリキーってそっくりだよな。

鳥ポケとカイリキーに卵作らせたらグレートチキン出てくるんじゃね?

 

「ま、いいや。とりあえずダグトリオ出てくれ……あの時の雪辱戦だ。構わないだろ?」

『ッ!!!』

「やっとやる気になってくれたのね……ッ! 絶対に負けないんだからっ!!」

「まあ俺が問題なく負けるんで大丈夫っすよ」

「君本当そのうち殴り飛ばすよっ?!」

 

俺は非常にやる気が無いので適当に目線を逸らしてみたら

二人揃って仲良く警察から逃げるレッドさんとグリーンさんが居た。

 

「話は纏まったんよね? じゃあうちが試合開始の合図してもええ?」

「あ、お願いするわ。見てなさいよー……私だって頑張ってるんだからね!」

「そりゃご苦労な事です。うちのポケモン達も鍛えてくださいな」

「では、タツヤvsも……も……もっさんッ! バトル、始めーーー!!」

「二人とも頑張ってーーーーーー!!」

「嫌でーーーーーす!!」

「ええぇええーーーーーッッ?!」

 

そんなわけでバトル開始と相成りました。

 

「んじゃダグトリオ、とりあえずにらみつけてくれ」

『ッ─────!!!』

 

ダグトリオが言われた通りにサンドをギンッと睨みつける。

これでサンドの防御力は下がっ───

 

「───。(ニヤァ」

 

サンドはおもむろに右手を胸元まで上げ、爪を太陽の光に反射させる。

 

『ッ?!;;;;;;』

 

[> ダグトリオの こうげきりょくが さがった!!

    あいての サンドには こうかが ないみたいだ……

 

いきなり訳のわからん展開になり、ポケズアラームがなったので懐から取り出し

存在を主張し始めたポケズを見てみると、なかなかに有り得ない内容を表示していた。  

 

「なにこれwwwwwwww」

「俺もわかんねえwwwww どういうことwwww」

 

まさか使ったヤツの方が攻撃力が下がるとは。近くに寄ってきたもっさんと二人で笑いあってしまう。

あれだろーなー。ダグONEが股間抑えてるし……

前にやった時のバトルで急所に当たった一撃を思い出さざるを得なくて、怯えたんだろう。

 

そんな風に思っている隙を見逃さず、もっさんはすぐさまサンドの後ろに戻って

続けざまに指示を飛ばした。

 

「サンドっ! 防御形式のころがるをしなさいっ!!」

「ッキューゥ!!」

 

防御形式……? なんだそれ。ころがるっつったら……あれだよな?

5連続攻撃で5回目の一撃がクソ強い技だよな。

今だと『まもる』とか『みきる』がメジャー化してるせいでクソ技扱いの。

 

そう考えているとサンドは立っている地面に対して、高速でギュルギュルと転がりだす。

当然地面が抉れていき、土と砂が混ざりながら……ダグトリオを襲った?!

 

『ッッッ?!?!?!』

 

ブバァッと予想外な土と砂をがっつり浴びてしまうダグトリオ。

 

[> ダグトリオの めいちゅうりつが さがった!

   サンドの ぼうぎょりょくが あがった!!

 

うっそ?! なんであれで防御が上がってんのっ?!

一体どうやって───

 

「ふふ、驚いてくれてるみたいね。

 これはね……土を抉る過程で転がっている、つまり丸くなっているからよ!!」

「……ッ!? まさか……『まるくなる』と『すなかけ』の同時発動ってか?!」

 

もっさんが口にしてくれたヒントから推察を行い、状況からして結論がこれしか出ない。

やるなー……発想の仕方が素晴らしい。普通に詰み技としては厨ニ病ランクじゃないのか、これ。

よく思いついたな、俺には真似出来んわ。

 

「ダグトリオ、まだ行けるな?」

『;;;』

 

【ちょっときついし怖いです;;】

 

と返してくるダグONE。

他のダグ二人も、サンドに予想外すぎる行動ばかりされて若干怯えている。

 

「全員じんないりゅうで臨機応変に攻撃だっ!」

『ッッッ!!!』

 

俺は指示を飛ばした後、ダグトリオ達は持ち前の素早さで一気に戦場に展開し

対峙するサンドの周りを、効率よくデルタ形式に固めていった。

 

「───……」

「……───」

「─wへ√V……」

「……ッキュ……!」

「サンド、大丈夫ね?」

「キュゥ!!」

 

これに対してもまだ怯えんか。

こいつら、普通は地面に潜って一塊で動いてるから三匹で一匹のポケモン扱いだが

突然変異なせいで別行動可能だから1vs3やってるようなもんだってのに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱあの時連れてっちゃえばよかったなぁ……

でも俺バッヂ持ってないから試合じゃ言う事聴いてくれる事もないだろうしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

ともあれ、ダグ共は完全に展開完了。ここで一気に決めておきたい。

 

「ダグトリオ、ゴーーーーーッ!!」

『ッッッ!!!』

 

ダグONEは後独楽(うしろごま)を放ち、ダグTWOは巻雲(まきぐも)を放つ。

ダグⅢはジャンプして肘を構える仕草を取った。あれは星兜(ほしかぶと)かな。

 

・後独楽→ジャンプ回転蹴り

・巻雲→空手の胴廻し回転蹴りに近いです

・星兜→本来は人間の頭上に肘を打ち下ろす技

 

 

「今よッ! サンド、まもりなさい!!」

「キューーーーーー!!」

「oh。」

 

ここでまもると来たか。当然ゲーム内性能の如く、ダグ共の攻撃は無効化され───

 

 

ズゴガガガッ!!

 

『ッッッッーーーーーーーーー?!』

「あ」

「あ」

「キュ」

 

サンドが守った事により、全てタイミングがかみ合っていたはずの三人の攻撃は

全ての攻撃の終着地点がずれてしまい…………そして。

 

ダグONEの後独楽が、ダグTWOが放つ巻雲のタイミングと丁度合い

後独楽の放つ蹴りがダグTWOの顔面を捉えてしまう。しかも綺麗に。

 

さらには後独楽が守られた事による体勢の崩れから

ダグONEは予想外な方向へ体勢を崩し、まさかのダグⅢの星兜の餌食に。

 

 

 

 

 

ちーん

 

 

 

 

 

渦中のど真ん中にいるサンドすらその惨状にぽかーんとしている。

 

 

「─────!! ─────!!;;」

「あー……ご愁傷様?」

「……まあ、ありがとうございます」

 

一人残ったダグⅢは必死にダグONEとダグTWOを交互に近寄り、体を揺する。

だが二人共綺麗に攻撃が入りすぎたせいか、ぴくりとも動いていない。

 

横を見てみたらアカネさんが

 

「ブフォッwwwwwwゲフwwwwwちょwwゴホwwwおまwwwwwwww」

 

と、飲んでいたお茶が鼻から出てきて面白い事になっていた。

慌ててミカンさんがハンケチーフを用いて、ごしごししている。

 

まあ、仕方なかろう。多分これは俺でもそうなる。

まさかの防御が最大の攻撃現象。

 

 

「仕方ねえわ……ダグⅢ、一応頑張ってみれ。

 ダグONEもお前等とくっつくまで一人で頑張ってたしな」

「………ッッ!!b」

「ふ、ふふふ、この予想外なアクシデントの利……生かしきってみせるわ!

 負けるんじゃないわよ、サンドッ!」

「キュゥ!」

 

 

とりあえずはこの攻撃が最後になる事を祈ろう。

 

「……ダグⅢ、リンダシュートだッッ!!」

「ッ!!」

 

ダグからディグにランクダウンしたところで、一人の素早さは変わらない。

凄まじい速度で、一気にサンドに近寄る。

 

「サンドっ!! 耐えてっ!!」

 

レベルがいくつになったかまでは聴いてはいないが……

それでも特性で攻撃力が二倍であり、なおかつタイプ一致(多分格闘技だろこれ)している。

おそらく倒しきれるはずっ!!

 

 

そしてダグトリオの超絶な横蹴りがサンドに入った!

 

ッゴォン!!

 

「ッ?!」

 

ぬ……? ちょっと硬い音がしたな……。───あっ……!

最初のまるくなるの効果で硬くなってる上に、にらみつける返しで攻撃力が下がってんだ!

 

……だが、ダグトリオの技はリンダさんシュート単一だけじゃない。

そこからさらにじんないりゅうで波状攻撃だっ!

 

「蹴り飛ばしてトドメを───」

「今よサンドッ! 飛び上がってきりさきなさい!!」

「ッキュァーーーーーーー!!」

 

うおっ……!? なんとここでそれを指示するかぁッッ?!

蹴り飛ばす体勢にまで行って体が伸びきってるダグⅢの体は、どの部位も防御に廻せない!

絶好のタイミング過ぎ───

 

 

 

 

ザシュァッ

 

 

 

 

「あ」

「あ」

「キュ」

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!

                     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

サンドのきりさくは、初代準処なのだろうか……急所に当たった。

 

 

 

 

 

 

 

急所に当たった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダグⅢの股間に。

 

 

 

 

 

 

 

 

すぐさまダグⅢは股間を抑えてうずくまってしまった。

うわー……ダグONEの時はひっかくだったのに、今回はきりさくで当たったか……

思わず俺の金魂も縮み上がってしまう。

 

 

ダグⅢはうずくまったままブルブル震えるだけで、動く気配はない。

 

 

「えーと……これ、もっさんの勝ちでええか?」

「ええ、急所は急所ですし……てか前に負けた時もこの形でしたし……」

「あ、そうなん……あの子らも苦労してんねんな……」

「私には痛みはわからないけど……えっと、早くポケセンに連れてってあげてね?」

「わかりました……」

 

なんていうか本当に、運が悪いなぁうちのダグは。

頑張って耐えれば、その後の攻撃も普通に決めれたかもしれないのに

よりにもよって最強の弱点の股間への一撃だもんなぁ。

 

ダグⅢをK.Oしたサンドも、あの時と同じく申し訳なさそうに腰をトントンしてあげている。

微笑ましい光景ではあるけど、男としては洒落にならん。

 

 

 

そういうわけである意味久しぶりのトレーナー対戦は、俺の敗北で終わってしまった。

ダグ共、ステータス完全にぶっ飛んでるしイケるかもと思ったんだけどなー。

 

 

 




相変わらず勝てないタツヤ。
彼の不運はどこまで続くのか。


※コイキング長寿説は模造ですが現実基準です。
一般的に鯉という魚は長生きで、70年以上生きるといわれている生物です。

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