うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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ダゲキ進化条件
1.タツヤとそこそこ以上に付き合う
2.くろいどうぎを所持する

ナゲキ進化条件
1.タツヤとそこそこ以上に付き合う
2.わざ「プロレスわざ」を覚えた状態でレベルアップ

こんな感じになっております。


55話 アイツ

 

 

どうしよう。

 

 

 

 

 

 

どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツが……なんかおかしなことになった。

 

 

 

 

 

ッハ?! いかんいかん。周りを置いてけぼりで一人ごちてはいかん。

まずは思い返そう、一体ダディャーナザァンッ!! ナズェ、ミデルンディスー!!

 

 

 

 

そう、あれはナゲキがハカイオウに進化して

訓練もちょうど良い区切りになったので帰った、つまり今日の事だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハカイオウに進化した元ナゲキは、さすがにゴウキとは元ネタが違うせいか

そこそこに温厚であり、手間がそこまで掛からなかった。

 

とはいえ、やはり自分の新しい力を試したいのか

力は(みなぎ)っているらしく、正式な模擬戦を申し込まれた。

 

というわけでこちらが出したのはミロカロス。

 

面倒なので無条件降伏、としようとしたら流石に全員に白い目で見られた。

挙句にミロカロスにガチ泣きされてしまった。すんません。

 

とりあえずせっかくだからということで、同じ訓練生のミュウをあてがってみる事にした。

 

進化前にも結構、仲がよかった印象があったが

試合に関しては別らしく、二人共真剣な空気を出していた。

 

直接的にミュウには指導をしていないものの、ダグトリオvsゴウキをじっくり見ていたり

俺らのプロレス技指導の方でもどういうのが有効か、と確認していたので

悪い試合にはならないと思っていた。

 

「それじゃー……始めっ!」

「ッシャオラァーーッッ!!」

「ッミュ!」

 

合図と同時にハカイオウはなかなかの速度でミュウに詰め寄る。

対してミュウはハカイオウの直線から横に動き、激突だけを避けるような動きに移る。

 

「ッシャー!」

 

その動きを確認したところから、ハカイオウは力強く地面を踏み込み

まさに踏んだ場所を爆発させるかの如く地面を蹴り、ミュウにさらに詰め寄った。

 

 

そこにミュウがすかさず

 

「ミュゥーーー!!」

「ッ?!」

 

足にサイコキネシスをぶちあて、つんのめらせた。

これは昨日ゴウキ暴走中にトドメの流れの起点になったヤツだな。

 

突然バランスを崩され、ハカイオウはもつれて倒れこんでしまう。

 

「ミュミュミューゥ!!」

 

倒れた所で、そこら辺に転がっている小石や枝等にねんりきを仕掛け

全ての小物をハカイオウへ殺到させる。

全方位から突き進んでくる小物ではさすがに逃れられないだろう、と思った矢先。

 

「ッシャァァアアアアアアアアッッ!!!」

 

即座に立ち上がったハカイオウは全体重と威力を込め、地面に足を振り下ろした。

 

 

ズっどん!!

 

 

重厚な音と共に土やら小石やらがめくれ上がり

殺到していたミュウの小石枝に当たり、結果ミュウの操っていたものは全て地に落ちた。

 

「おぉー」

「ホァー」

 

なかなかに良い攻防だと思う。

ポケモンバトルに似て非なるものなのがまたベストだ。

 

「って、あれ? ミュウどこ行った」

「ディ……ディァ!」

 

ドレディアさんが指差した(指無いけど)方向、上を見てみると

ミュウが戦闘機さながらの動きで空を動き回っており、その周りには

木の葉が渦巻いているのが見える。

 

「おーwwwロックマン2だwwwウッドマンだwww」

「ァー?」

「ホァー?」

 

まあ君らはネタわからんよなー。

横でゴウキもうずうずしているが、まあ今回は自重しているようである。

 

「ミュゥゥゥウウー!!!」

 

その木の葉を高速で自分の周りに纏わせたままミュウはハカイオウに突撃していった。

 

かなりの速度である。さすがにこれは躱しきれないかな?

 

 

 

 

ヒュガッ!!

 

 

 

 

勢いがあり、なおかつ軽い音が場に響いた。そしてその場に存在していたのは……。

 

 

 

「ッシャー♡」

「ミュゥゥー;;」

 

 

 

ミュウの攻撃をギリギリまでひきつけ、すんでの所で軸をずらし

すれ違い様にミュウの尻尾をしっかり掴み取った、ハカイオウが居た。

 

 

「んむ、それまでー。

 いいねぇ、ハカイオウ。ちゃんと今日の教訓が生きているようで何よりだ」

「オッスッ!」

「ミュゥー;;」

「はいはい、ミュウも泣かない泣かない。まずレベルが圧倒的に違うんだから」

 

そういう意味では小技が目立ったが、ミュウだって頑張っていたはずである。

しかし一回掴んで投げられたら、それだけでオーバーキルになるので

ハカイオウもそれを理解し、掴んだ時点で勝負が付いたとして

それ以上何もしなかったんだろうな。手間が掛からなくて良いことだ。

 

 

「楽しかったか? ハカイオウ」

「ゥオォォオッス!」

「良い返事である。明日はゴウキとやりあうのもいいかもしれんね」

「!」

「───!」

 

その言葉に二人で反応し、そして二人共同じタイミングで向き合い始める。

やはり新しい体をしっかり使い込みたいのだろう。人間にはわからぬ感覚だな……。

 

「ま、それもこれも明日だ、明日。

 今日は帰ってご飯と風呂してゆっくりしようぜー」

「ディァー!」

「ホーァ!」

『ッ!bbb』

「ミュゥー!」

『オーッス!!』

 

 

 

 

んで、修行場からポケモンセンターに戻る最中にプリキュアを見かけた。

あちらもすぐにこちらに気が付いたらしく、手を振りながらこちらへ来る。

 

「おーっす。今日はもう終わりなん?」

「どもっす、アカネさん方。今日は帰って飯食って風呂で終わりの予定です」

「へぇ、そうなんだ……

 ところでなんか教え子の二人、様子変わってない?」

「メッサツ!!」

「ッシャオラー!」

「鳴き声まで変わってますね……どうしたんですか?」

「進化した。」

『(゜д゜)(゜д゜)(゜д゜)』

 

やはりこの世界でもゲームと同じくダナゲキが進化しないのは当たり前らしい。

お前等どうしてこうなったんだ。

 

「まぁ、ええか。タツヤんの事やし今に始まった事やないやろ」

「あー、まあそう言われればねー……ミロちゃんの件もあるし……」

「ホァァ~~♪」

 

会話の流れから後ろに居たミロカロスが綺麗に鳴き声を上げる。

あの時は本当に凄かったなぁ。性格の変貌っぷりが。

 

「なぁなぁ、もしかしてうちのミルタンクもタツヤんに預けたら

 なんかビックリ進化とかせえへんかな? せえへんかなぁ?」

「しないでしょさすがに。一体これ以上どう進化するっつーんすか。

 アフロつけてアフロブレイク?」

「ただのバッフロンやんかwwww」

「もうこの際だから改名してチチアフロとかそういうのでいいんじゃないすかね」

「wwwwwwwwwwwwwwwwww」

 

アカネさんはドつぼの範囲が広いようである。

そういやカズさんもミルタンク持ってたっけか。

 

「あ、そうだタツヤ君。

 私達これから街中でお買い物するんですけど、よかったら一緒にどうですか?」

「買い物っすかー……俺、修行開始する前に欲しいもん揃えちまってるしなー」

「そ、そうですか……残念──」

 

 

 

                 ───ーぃ!ぉーい!>Ω

 

 

ん、あれ……? 遠くで赤い何かが俺らに声をかけている。

シャアかな。

 

「ん、誰やあれ?」

「さぁ、私は知らないけど……」

「わ、私も……じゃあタツヤ君のお知り合いですか?」

「うん、あの人レッドさんっつーんだ。こっち来た時にでも詳しく紹介しますよ」

 

 

そんな会話をしているうちにレッドさんが合流した。

シャアじゃなかった、残念。

 

「やぁ、タツヤ君! こっちのお姉さん達は?」

「久しぶりーとかそういう挨拶一切無くプリキュア達に注目が行く辺り

 俺の事などどうでもよさげな感じがして俺は深い悲しみに包まれた」

「え、あ、いやっ! そうじゃない! 大丈夫だよ!!

 そういうわけじゃないんだっ!!」

 

 

 

ふん、この女ったらしめ。

アニメでもとっかえひっかえ美少女と旅しやがって。

ところでみんなは誰派だね? 俺は問答無用でアイリスだ。

 

 

 

「まーどうでもいっすわ……こんにちわーレッドさん。セイリュウ元気にやってます?」

「あーうん、元気だねぇ……元気すぎて───」

「待ちぃなタツヤん。会話始める前に互いに紹介ぐらいさせてぇや」

「あ、じゃあ俺あっちでサンドと遊んでますわ。

 もっさん、サンド俺にくれ。具体的には所有権。」

「……今だけだからね」

 

そしてサンドを出してくれた。

 

「キュ~♡」

「よーっす。うーむお前は相変わらずかぁぃぃのぅー」

『#』

 

ぐりぐりと抱き寄せながらサンドと触れ合う。

あぁ、レッドさん。その三人もうお持ち帰りして結構ですよ。

俺はサンドがここにいればいい。

 

 

 

 

楽しくサンドと触れ合っていると時間はすぐに過ぎるらしい。

具体的には4分ほど。あちらの自己紹介も終わったようである。

 

「なぁ、タツヤん……wwコイキングに海パン食わせて進化させたてホンマ?ww」

「あぁ、マジっすよそれ。その後のオチも聞いてますよね」

「あんたホンマなんやねんなwwwwwwww」

「俺に聞くなやwwwwwww」

「本当にタツヤ君は色んな事をしているんですねぇ……」

「料理も出来るし訓練の腕も多彩ってところだもんねぇ。

 それでなんで野良のポケモンバトルではたまに負けるのかしら?」

「さぁ、相性じゃねぇの? 勝ちたいとも思わんし」

「君ほど貪欲の欠片も無い子って珍しいと思うわ、私」

 

やるからには勝ちてぇけどさ。

勝つためにポケモンバトル、って形にはしてないなぁ。

 

「んでんで? レッド君、さっきのセイリュウって子見せて見せて!!

 めっさカッコええんやろ? うち見てみたい!!」

「あ、私も興味あります!」

「あーうん、すっごいでかいけど大丈夫かな……?」

「ま、いんじゃねーすか? 人通りのど真ん中ってわけじゃないし」

「そーだね、じゃあ……セイリュウ、君に決めたっ!」

 

ここですらそれを言うか。まぁ良い台詞だと俺も思いますけどね。

戦闘中以外は別にいいんじゃねえの? とも思う。

 

そしてセイリュウが出てきた。

 

「ギュガァーー!」

 

『おぉぉぉおおおおおおお!!』

 

今日のボイスは控えめなようである。

まあ、あのボイスをここでやられたら俺が再びキレそうだが。

 

「ギュガ~~♡」

「お、おぉぅ、うむ、俺は元気だぞセイリュウ」

 

俺にその巨体をくねらせ近寄ってきたセイリュウ。でっかい顔を俺の頬に擦り付けてくる。

ごつごつしていないのだけが救いだ。まあ倍率的な意味では完全に捕食寸前だが。

 

ポケットモンスターの世界に居るんだが、俺はもう捕食されるかもしれない。

 

「……君ってポケモンブリーダーの才能でもあるんじゃないの?」

「あー、モモさん鋭いねぇ。確かにタツヤ君見て攻撃的な子って

 昔から彼の事見てたけど、全く居なかったね。案外才能あるかもよ? タツヤ君」

「そやなー、サンドに懐かれこんなでかいのにも懐かれって……

 人のポケモンなのにえらいことやで、これ」

「俺は普通に暮らせればそれでいいです。

 それがポケモンブリーダーだろうがカントーチャンピオンだろうが暮らせればいいっす」

「「「「まず君自体が普通じゃない(とちゃう)から」」」」

 

おいィ?

お前等喧嘩売ってんのか? そうなのか?

ハカイオウとゴウキ、実力証明したいよね? ね?

あれやっちゃっていいz───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぴこぴこん♪

 

 

「へ?」

「え」

「「「ん? 何今の音」」」

 

 

えーと、うん。今間違いなく聴こえたよね。

 

「今のは……うん、ポケモン図鑑のアラートだね」

「そっすね……進化する前のお知らせみたいな音ですよ」

「え、なんで戦ってもいないのにいきなりや?!」

「そ、それより! 進化する子って誰です?!」

 

 

いや、えと……ごめん正直俺にも予想付かない。

 

俺の面子を見渡してみる。

 

「ディ?」

『─────?』

「ホ~ァ?」

「ミュィ」

「ッシャー?」

「メッサツ?」

 

 

……ミュウ……かッ?!

 

「もしかして私のサンドかしら……?」

 

あ、そっちの線もあるか。

でもミュウだけハテナマークがついてへんぞ、これはまさか……?!

 

俺は慌ててポケズ(ポケモン図鑑)を取り出す。

 

 

 

 

「あれ……?」

「ど、どうしたんだ。タツヤ君」

「いや、えーと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───俺のポケズ(ポケモン図鑑)、なんも反応してないんすよ」

 

『え……!?』

 

全員が全員驚きの声を上げる。

そりゃぁ、あの音がなって図鑑に何も反応が無ければ戸惑いも───

 

「なにかしら変な事があれば間違いなくタツヤ君が原因なのに無反応……!?」

「ど、どういうこっちゃこれ……!? これでタツヤんが原因と違うとか……」

「わ、私もタツヤ君じゃないならもう予想が……」

「や、やっぱり私のサンドなのかな……?」

 

おいお前等マジでぶっ飛ばすぞ。もっさん以外。

そこの三人は土下座しなきゃ絶対許さねー。

 

しかし、あの音がなったってことはポケズが動いていたと言う事だ。

なのに何故か反応が無い、これは一体……、ッ!?

 

「レッドさんッ!」

「うわっ!? な、なんだ? どうしたんだい?」

「もしかしてレッドさんのポケズじゃないっすか?

 俺のが無反応ならもうレッドさんのしか選択肢ないじゃないっすか!」

『………あ!!』

 

全員がそれだ! という顔をする。

 

「ま、待ってくれ! 今取り出してみるから!」

「てことはタツヤんちゃうってことよなぁ……

 たまには変な内容でもタツヤんが原因やないってこともあるん───」

「ハカイオウ。あれにアルゼンチンバックブリーカー。」

「オォッス!!」

「え、あ、ちょ、やー! や、やめっ、アーーーーーッ!!

 い、痛いっ!! あ、や、ま、待って!! 謝る! 謝るから、アッーーー!!」

 

 

もうそのまま背骨へし折っ再起不能(リタイヤ)させてしまえ。バァァァーーz__ン

まあ、絶妙な力加減はしているみたいだけどなー。

 

 

「……え。」

「ん、レッドさん。どうでした? やっぱそっちっすか?」

「い、いや、えーと。うん……

 そうだったんだけど……そうだったんだけど、これ……」

『ん?』

「アーーーーッ!! お、お願い、痛いっ!! やめっ……アーーーーッ!!」

 

 

うーむ、アカネさんうっせぇ。ハカイオウ、その辺でいいよ。

 

 

で、レッドさんに見せられたポケモン図鑑の画面を確認してみると───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[> おや ……!?

   タツヤの ポケモンずかんの ようすが ……!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

え。

 

 

 

 

え。

 

 

 

 

 

さっきの音って進化前のアラート。

で、レッドさんの画面表示。

 

 

 

 

え。

 

 

 

 

 

でん♪でん♪

でん♪でん♪

でん♪でん♪

でん♪でーっ♪

 

 

おいどういうことだwwwwwwwwww

なんだよこれはwwwwwwwwwwwwwww

 

 

でん♪でん♪

でん♪でん♪

でん♪でん♪

でん♪でーっ♪

 

 

そして鈍く光っていた俺の手にあったポケズが

あの音の鳴り終わりに一層輝きを増して行った───

 

 

 

一言だけ言わせてくれ。

 

 

 

 

 

『なんでぇーーーーーーーーーーーッッ!?!?!?』

 

 

 

 

 

あ、ハモった。そりゃそうっすよね。全員同じ意見だよね。

 

 

そして光が収まり、俺の手元に存在したのは───

 

 

 

 

 

 

普通のポケモン図鑑のフォルムからほんの若干だけゴツくなり

 

ちょっと角ばった感じをかもし出す赤い物体。

 

そしてその画面には

 

 

[> しんか かんりょう。 さすがわたし。

 

 

とか書いていやがった。

 

 

 

 

 

そしてレッドさんのポケモン図鑑から最後の音が鳴り響き───

 

 

 

 

 

でーんでーんでーん♪     でででででででーん♪

 

 

[> おめでとう! タツヤの ポケモンずかんは

   

   Ver1.025から Ver2.0に しんかした!! 

 

 

でーんでーんでーん♪     でででででででーん♪

 

 

 

とか書かれてた。

 

 

 

 

 

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

 

全員無言である。

そしてその中、俺だけが動き出した。

 

 

背筋、腕力、全てを限界まで振り絞り……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全力で森の方向へ投擲した。

実に良い具合にシュルルルルルと横回転しながら空気に乗り

滑るように森の中へすっ飛んでいったのを、俺は無事見送った。

 

 

 

 

 

 







さすがにこの流れだと予想しきってた人もいましたかね……
進化進化でさらにってなるともうこいつしか残ってないもんなぁ。
平凡ですみません。

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