うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

51 / 129
47話 育てた

 

水上警察の人たちがお仕事を頑張っているのを確認した後、少し前に旅をしてたのと同じように

俺らはまたミロカロスに乗って、波の間をゆるゆると進んでいた。

 

潮風が気持ちいいわぁ~……各自それぞれの場所に乗り(ダグTWOはもはや語る必要もあるまい)

のんびり、ゆ~ったり。ホテルまほろbです。ごめん、これ地方CMだこれ。多分。

 

 

俺は……まあ、また体調崩してるダグⅢを(ねぎら)っておこうか。

お前もう泳いだ方がいいんじゃねえの?

 

 

 

「───……ーーいっ! ぉーーーーぃ!!」

「……んぁー?」

 

 

なんやら後ろから呼ばれているような気がしたので振り返ってみた。

かなり遠くにサーフボードに乗ったピカチュウと誰かが見える。

 

「んだぁ……? なんだあれ。波乗りピカチュウとかいつのネタだよ……。

 みんなあれなんだか見えっかー?」

「ミューィ」

「ディー? ……ッ! ディー! ディァ!!」

「えっ!?」

 

見覚えがあるだと?! なんか赤い服来たヤツっつってんな。

クチバのサントアンヌの廊下で逢って、やりすごしたヤツ……?

 

 

 

やりすごしたっつったら2人しかおらんやん。

一人は既に海に叩き込んだ。だとしたらもう一人のほうだな。

 

 

「レッドさんか」

「ぉーーーーい!! おーーーーーーい!!」

「ピーッカァーーーー!!」

「ういーっすー。お久しぶりー? っす」

「やっぱりタツヤ君だったか! こんな海の上で奇遇だねー」

「そうっすねぇ、こんな所でどうしたんすかレッドさん」

 

シオンにでも向かってんのだろうか?

でもこの方向だと、あのカビゴンなんとかしないとこちらに来れないはずだが。

 

「うん、クチバの後にどこを旅すればいいのかわからなくなってね……

 ヤマブキシティに行こうとしたら警備員さんに止められるし……」

 

しまった。そっちの方向もあったか。

適当に飲み物渡せば通してくれるだろうし……失敗したかな?

今、別の意味で挫折しかけてるし……

 

「クチバから来たのはいいっすけど、一体あのカビゴンどうしたんすか」

「あー、うん、アレは邪魔だったね。

 なんか普通に強そうだったからさ、寝てたしゲットしようとしたんだよ」

 

戦わないでか。案外ちゃっかりしてるんすねレッドさん。

 

「で、1回ボール使ったんだけどさ。なんか全然拘束力なくて……

 でもその時に気付いたんだけど、一瞬だけはボールに入るでしょ?

 その一瞬のうちに塞がれていた道を通って、こっちまで来たんだ~」

 

なーる……かなり頭がいいボールの使い方だ。普通はまず気付かない。

 

「ところで、タツヤ君は一体どうしてここに?

 あっちからこっちってことは……シオンから来たんだよね」

「あぁ、はい。俺の場合は……

 えーと、海を通ってたらそこらの海パン野郎がうざったくて。

 んでもって戦うのも面倒だから釣竿でパンツを剥ぎ取って無力化して」

「相変わらず過ぎるwwwwwwwww」

「ブフォッwwwwwwwwww」

 

なんと失礼な。ちなみにブフォッはピカチュウである。

そんな言い方だと普段から俺がそんな事ばかりしているみたいじゃないか。

俺はいつもパンツを剥ぎ取ってなんて居ないぞ。

 

 

「で、そんなばっちぃもんを持ってたいわけでもなかったんで

 そこら辺泳いでたコイキングに食わせたら

 なんかその影響でそいつ、ギャラドスになっちゃったんすよ」

「なんでパンツ食って進化するんだwwww いやぁ……本当タツヤ君面白い事してるねぇ。

 話を聞いてるだけで笑いしか出てこないとか日常生活がスタイリッシュすぎるよ」

「ピッwwwwwwwwピwwwカwwwwwwっうぇwwww」

 

 

おい。横で腹抱えてるピカチュウ。お前今「っうぇ」って言わなかったか。

ピカチューとしか鳴けないんちゃうんか。

 

「まあ、そいつに飯食わす約束したんですよ。

 暇になっちまったんで、今回それをやろうかとねー」

「もうどっから突っ込んだら良いのか僕わからないよっ!!

 約束が出来ている時点で何かがおかしいよっwww」

「wwwwwwwwwwwww」

 

 

やばいピカチュウがウザすぎるwwww 芝生ーナイトフィーバーだ。

 

「まあ、そういうわけなら僕もご一緒させてもらおうかなぁ」

「あれ、珍しいっすね……バトル仕掛けてこないなんて」

「こんな海の上じゃ出来る事が限られすぎてるよ。

 しかも今ピカチュウの波乗りって関係上で、サーフボードしか僕らの陣地無いし……」

「ぁーなるほど」

 

バトルジャンキーでも時と場合はちゃんと選ぶらしい。

正直かなり見直した。レッドさんはやはりグリーンさんより格上だった。

 

「君の用事が終われば案内付きでシオンタウンに行けるし

 もしギャラドスが納得してくれたら僕のパーティーに入って欲しいぐらいだからね」

「ほぉほぉ。まあ俺は波乗り要員は既に確保してるんで

 ギャラドスさえ納得したらいいんじゃないですかね」

「うん、波乗り要員って今乗ってるその子だよね?

 随分綺麗な子だね……どこで見つけたんだい?」

「あーこいつあれっすよ。前に船の廊下で妙な魚が俺の近くに居たでしょ?

 あいつが進化したらこうなるんです」

 

俺はミロカロスの首を撫でながら教えてあげた。

ミロカロスも「ホァ♪」と鳴きながら顔を俺にすり寄せて来る。

 

「えぇーっ?!」

 

レッドさんは驚きの声を上げる。

まあ知らない人はびっくりするよねー。貧弱→暴虐のコイギャラよっか予測付かんし。

 

「まるでコイキングがギャラドスになるみたいな感じだね……」

「コイギャラが力の象徴なら、ヒンカロスは美の象徴ってとこっすかね。

 美術館とか行ったらこいつがモチーフにされた絵とか彫像沢山ありますよ」

「うーん、かなり強そうだし羨ましいなぁ」

 

そう言ってレッドさんはうらやむが、ミロカロスはもう戦闘力無いんだよね。

それに羨ましいっつっても、俺もこいつも進化する事に関しちゃ完全に予想外な内容だったんだ。

互いに望んでいない、諦めたからこそ手に入った今の関係なのである。

羨ましがられたところで調子に乗ることは無い。えへへへ。

 

「あとまあ、ミロカロスもですけど……ダグトリオ達も波乗り出来ますよ」

「……? ごめん、なんか耳がおかしくなったみたいだ。

 ちょっともう一回言って貰えるかな?」

「ダグトリオ達も波乗り出来ますよ」

「いやいやいやいや、まさかそんないくらなんでもwww」

「ピーカァー(呆れた目」

 

しっつれいな。

 

 

「ダグTWO。ちょっと波乗り見せてあげて」

「ッ!!b」

 

ミロカロスの頭の上からダグTWOがすたーんと軽やかに俺の隣に。

そして俺はダグTWOの頭の上に胡坐を掻き─────

 

「Let's Goッ!!!!」

 

スターンッ!!

ズバババババババババババババババババ…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほいっ、着地っ!!」

「─────ッ!!」

 

バババババババババババババッ、パシュァッ。

 

ダグTWOは軽やかに水面から飛び、ミロカロスの胴体に負担を掛けずに着地した。

そして俺もその超速での風圧やら着地の際のGなど一切歯牙にも掛けず、きっちり不動あぐら。

 

パチパチパチ

ありがとう、ドレディアさんとミュウ。

 

「というわけです」

「なんだか僕、今から逢いに行くギャラドスまでどんなのか不安になってきちゃったよ。

 なんていうかタツヤ君はクレイジーすぎるよ。君は未来に生きてるね」

「ピーカ、ピーカ」

 

そういって褒めてんのか貶してんのか、おそらく貶している発言を残しやがった。

お前らマジでそろそろ海に突き落とすぞコノヤロウ。

 

 

 

 

「ここら辺だったかなぁ」

 

 

俺らは一旦海から浅橋のような道に乗っかり、みんなでテクテクと歩いていた。

突っかかってくるトレーナーは全部ピカチュウにまかせっきりだった。

 

既にボルテッカー使ってるとか鬼過ぎる。オーバーキルもいいところだ。

そしてピカチュウもピカチュウで反動のせいで後1回攻撃を喰らったら

瀕死になりそうな状態だったりする。レッドさん歪みねぇな。

 

「全く変哲の無い普通の道だねぇ」

「ま、世の中なんて全部の場所がそんなもんですよ。

 おーいギャラドスー!! 海パン食って進化したギャラドスー!!

 飯作りに来たぞー!! いるかぁー!!」

 

 

反応が無い。留守だろうか? それとも俺との約束忘れて居住を移しちゃったかな。

 

「来ないねぇ」

「来ないっすねぇ……近くに居ないのかもしんねえなー。

 近場の休憩所でそれらしい影見るまで待って───」

 

 

───ォォォォオオオオオン!!!

 

「ん」

「あ、あれじゃないのかな」

「そーっすねぇ、空飛んでるなー」

 

何か空から雄叫びらしきものと細長いのがこちらに向かってきているのが見える。

 

確か水と飛行タイプだったからそれもわかるけど

こいつって普段水の中にいるんじゃなかったの?

 

かと思っている間にギャラドスはぐんぐん近づく。

 

「グオッォォォオオオオン♪」

「おっす、日ぃ空けちまってすまなかったなー。

 今日は約束通り、うまい飯を作りに戻ってきたぞー」

「グオッ、グオッ、グオォオォォオオ!!」

 

きゃーすっごい御機嫌だわーこの子。凄まじく嬉しそうである。よしよし。

馬鹿でかい顔の頬を手で撫でてやったら凶悪な顔ながら笑顔になっていた。

なんだこいつ結構可愛いぞ。

 

 

その後レッドさんを紹介したり、一緒に来て欲しいと思っている等を伝えながら

若干時間を潰し、ご飯時までのんびりしていた。

ついでだからピカチュウ借りてもふもふして気持ちいい状態になってたら

ドレディアさんとミロカロスにまた一撃ずつもらってしまった。

いつも理由無しにやられるし、地方裁判所に訴えたら通らないかな、これ。

 

 

<>

 

 

「───っとぉ、おーまたせーぃ!!

 久しぶりに俺の持ち入れる知識をふんだんに使った

 漢料理・in・the・野営食が完成したぞー!!!」

 

大量に素材を使ったから疲れたが

これ以上のラインナップは無いだろうと言えるほど気合入れて作った!!

 

「ドーレーディーアーッ!!」

「ホォォォァァァァーーーーー!!」

『──────ッッッ!!!』※箸持ってお椀でチンチンチンチン×3

「ミュミュミュミュミュー!!!」

「やっほおおおおおーーーーーーッッ!!」

「ピーカァァァァ!!」

「グォォォァァァァァアアアアッッ!!」

 

 

こちらも非常に盛り上がっている。

まあ、あんだけうまそーーーーな匂い充満させてたらそりゃ腹も減りますわな。

皆さん待たせてすんません。

 

 

「今日は本気で大量に作ったからなッ!!

 さすがに満腹にはならんだろうけどギャラドスも十分に食えると思うぞ!

 さぁ、堪能しやがれーーーー!!」

『ウオオォォォォォオオオオオオ!!!』(意訳

 

こうして全員が大興奮する中、バトルアリーナin食事時は幕を開けた。

 

 

 

とは言っても前のように戦争は起こらない。今回は安い材料をものすごい量で買い入れた。

豆腐を2万円分、といえば判っていただけるだろうか? まあ原材料の豆だが。

豆はうまく作れば腹いっぱい食べられるおいしいものとなる。腹持ちも良いしな。

ドレディアさんがガッツリ食い、他の人達がたっぷり食っても

十分に残る物量を仕上げているのだ、抜かりは無いッ!!

 

 

()ーーー()ーーーディ()ーーーー()ーーーーッッッ!!」

「ッ!」

「ッ!」

「ッ!」

『ッッッ!! Σd(゜д゜)(1) Σd(´∀`)(2) Σd(゜∀゜)(3)

「ホォ~~~ン♡」

「ミュゥゥゥゥ~~~♡」

「やばいこれやばいなにがやばいって味がもうやばい!!

 タツヤ君結婚して!! 僕頑張ってポケモンマスターになって家計を支えるからっ!」

「月5000万稼げるなら考えないでもないっすよ」

「ごめんそれは無理だ!! ビルゲ○ツに頼ってくれ!!」

「ピ~~♡ カ~~~♡ ヂュゥゥゥゥーーー♡」

「グギャァォォォォォン♡」

 

 

とても賑やかな休憩所前付近。ご飯は世界を平和にするようですね。

 

 

 

 

「はい、全員お粗末様」

 

全員好きなだけ食ったのか非常に満足してそこら辺に転がっている。

満腹になった後に寝転がるのは実は体によくないからやめましょう。

簡単に言うと胃液が胃より若干遡ってしまい、胃の入り口の細胞が変異します。

年単位でそれを繰り返すとガンにもなったりします。死亡例もある。

 

「ディァ~~~♡」

 

ドレディアさんは寝転がりながら、完全に顔がふにゃけてとても幸せそうに猫なで声を出している。

目元も普段のつぶらな瞳ではなく、なんかこう……完全に幸せな感じに目を閉じている。

 

シャッターチャンス!! 富竹どこだ!!

 

『─────。』

 

ダグトリオ達は3人で仲良く正座し、俺に深々と礼をしてきた。

【まっこと美味で御座った。感謝致します、我らが主殿】だとよ。

礼儀正しいヤツは好きだ。

 

「ホァ~ン♡」

 

ミロカロスもあの時と同じ位の強さで俺に巻きついてきている。

満腹とはかくも素晴らしきモノなり。

 

ミュウは今まで腹いっぱい食ったことなどないのか

倒れ伏して声も上げずに悦に浸っている。

ぐでーっとしてる猫みたいで可愛いわこれwww

 

「うめぇ~~~♡」

「ぴかぁ~~~♡」

 

こっちはこっちで主とポケモンで似たモン同士な反応である。

笑顔で飯を食ってもらえるのはこっちとしてはいい事だ。

 

「─────。」

 

ギャラドスも満腹になり、その怖い顔で笑顔に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なってねえ。

ってかむしろ光ってんぞおい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぴこぴこん♪

 

 

 

 

 

「ッ?!」

 

あ、あの音だとッ?!

 

進化?! ってそんなわけないかー。

前に船でドレディアさんも満腹になっただけなのに、やたら紛らわしい発光してたしな。

 

はー、びびらすなよギャラドス。洗い物してこよっと。

 

 

でん♪ でん♪

でん♪ でん♪

でん♪ でん♪

でん♪ でーっ♪

 

 

あーもうわかったからポケズよ。うるせーから静かにしててください。

別にお前がうるさくても洗い物は出来るが、ミロカロス以外でその音楽に良い思い出がないんだ。

てか今気付いたけどミロカロスの進化の際、鳴ってなかったじゃねえか。

 

でん♪ でん♪

でん♪ でん♪

でん♪ でん♪

でん♪ でーっ♪

 

 

 

ご飯を食べさせた後に作ったやつがする作業、それが洗い物である。

これを怠ると後々どんどん面倒になるので、気付いたうちに全部片付けると後が楽になるのだ。

みんなもちゃんとやるんだぞ!

 

 

 

 

キュピィィィィィーーーーン!!!

 

「うわぁーーーー!!」

「ピカァーーーーー!?」

「ディーーーーー?!」

「ホ、ホァッ、ホアァーーー!!」

「ミュッ、ミュゥ! ミューーーーー!!!」

 

後ろでなんやら叫び声が聴こえる。まああれ本当にまぶしいしな。

ドレディアさんも自分の発光量は自分で見えてなかったから、今回は驚いているんだろうねぇ。

 

 

 

 

 

でーんでーんでーん♪     でででででででーん♪

 

 

おめでとう!

ギャラドスは よくわからないなにかに しんかした!

 

 

でーんでーんでーん♪     でででででででーん♪

 

 

 

ま、ポケズが異常なのは放置放置。

こいつ何気にミロカロスの進化の時に、中身入ってるみたいな反応してたからな。

 

洗い物ももうちょっとで終わる。もう一頑張りだ。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。