うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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35話 後始末

 

フロアでの超絶大乱闘も終わり、現在俺はロケット団共を縛っている。

総勢30人程度。よくこいつらの手持ちと合わせて片付けきったな……あのカビゴン様々である。

 

 

ロケット団を縛るロープについてだが。テーブルクロスを4等分で引きちぎり縄の代用にしている。

耐久力はこれで十分だろう。手と足を動かせない形に縛れるならポケモン無しじゃ何も出来ん。

 

ポケモン達は放っておいてもいいだろう。

こいつらは別に悪い事やりたさにコイツらについてきているわけじゃない。

放置してたところで無害のはずだ。さすがに縛られてるのを見つけたら

開放するために動きかねないが、そこは言葉巧みの説得ってことで。

 

 

 

 

よし、全員縛り終わったな。

 

「んじゃみんなー、こいつら引きずって甲板まで行くぞー」

「ディーァー」

「ッb」

「……グー」

 

そうして、俺達は気合を入れて黒いやつらを引きずっていく。

ヒンバスだけ引っ張る事が出来ないので、ディグダの頭の上に乗ってマスコット化。

一気に持っていくことは無理なので7~8人ずつであり、ドレディアさんの怪力でも6人がせいぜいらしい。

あとはディグダが2人程に、俺とヒンバスはゼロ。子供と魚なめんな。

 

え、なんで甲板かって?

さすがに手足縛って海に投げ捨てたりはしませんよ?

 

 

甲板の鉄柵からこいつらを逆さに吊るすだけです。

 

 

そうして全員運び終わった後、一応この後のことを一考し

幹部クラスっぽい隊長だけ、適当にわかりやすいようにしておいた。

 

ちなみにパーティー会場はもはや内装を改築しないといけないレベルでボロボロだ。

カビゴンが暴れ、俺らの手持ちがテーブル等を武器にして木片が飛び散り

なおかつ俺の切り札のスプリンクラーのための火で

床は焼け焦げ、燃えカスは広がり、煙臭く、最後にトドメの大爆発。

 

 

……よく沈まなかったな。

 

 

いやまあ、船の規模はでっけーけどさ? それでもよく耐えた。

っと、戻った時にちゃんとあいつ回収しねえとな……

 

 

 

 

そうして一仕事終え、俺は皆が居る部屋の前まで戻ってきた。

 

コンコン。

 

しばらく静寂が続き、そっと扉が開かれ───

 

「ッ!! 坊主っ!! 無事かっ!?

 無事だなッ!? おおおぉぉ、よかったーーーーよかったぁーーーー!!」

 

ガッシ。

え、ちょ。

 

ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

「あぎゃぁぁぁぁぁ───」

 

 

「ちょ、ちょっ、シジマのおっちゃん!!

 それ死んでまうっ!! タツヤん死んでまうっ!!」

「あぁ、タ、タツヤくーーーーん!!」

「ん!? おぉぉお?! だ、大丈夫かぁっ!? ちくしょう、ロケット団にやられたのかっ!?」

「どー考えてもミスターシジマが原因ネー」

「な、なんだとっ!?」

 

 

 

……

 

………

 

…………

 

 

ッ!?

 

 

「モ、モンテスキューッ!?」

 

俺は急いでがばぁっと身を起こした。

 

「ッディ!?」

「うわっ!?」

「ッ───!?」

「きゃぁっ!!」

「ぬぉぁ!?」

「ゥワォ!?」

「ググッ!?」

 

辺りをきょろきょろ見渡す……。ああ、なんだ、やっぱり……

 

「夢か……。」

((((((((なにがだー!?))))))))

 

 

 

「な、なぁ、タツヤん……? 気分は大丈夫? 具合悪いとこ、ない?」

「え、へ?」

 

再度周りを見渡してみると、ジムリーダー面子が俺を囲っている。

周りには俺の手持ちの3匹も混ざっているようだ。

 

「えーと、あの、これ一体どういうことでしょう」

「あんなー、扉からノックしたからな?

 一番戦えるシジマさんにな、様子見てもらったねんな」

「イエス」

「ふむふむ、それで?」

「したらな? タツヤんがそこにいてー、思わず力いっぱい抱きしめちゃったらしいねん」

「わぁ♡」

 

やらないか。これあの漫画のアームストロング少佐のあれじゃないか。

 

「でー、ユーはミスターシジマのパワーに耐えれなくてー。

 そのままスタンしてスリーピングネー」

「す、すまんかった……さっき派手な振動もあって、まさかと思ってしまっていてな……」

「ええ、大丈夫です。まあ確かに危なかったですし」

「で、寝こけてる所でドレディーちゃんが膝枕してくれてたーって感じや~」

「え」

 

俺は後ろを見てみる。

するとドレディアさんの顔が真っ赤になっていた。

ああすまん、恥ずかしかったのね……そんな事させて悪かったね。

 

「ありがとう、ドレディアさん」

「──────///」

 

恥ずかしさのあまり俯いてしまった。まあ、あとでもう1回謝っておこう。

 

「ニシシシ……タツヤんも罪作りやねぇ~♪

 こないな可愛いお姫さんに好かれてもうて、このっ、このっ♪」

「うわうぜぇ、乳もむぞこの野郎」

「うっわ、そないなストレートなセクハラこの子の前で言うっ!?」

「───#」

「お前が悪いっ」 by薬師寺

「あんたやあんたっ!!」

「わ、私なら……揉んでくれても……」

 

ズパァンッ

 

「あきゃんっ!?」

「ちょ、ドレディアさん、ミカンさんに何してんの!? 人に危害加えちゃ駄目でしょっ!!」

「……いやー? 今のは仕方ないと思うけどなー?

 ニシシシ、ドレディーちゃんもこれ以上ライバル増やしたかないもんなー?」

「///#」

「わー♪ 怒ったー♪ きゃーきゃー♪」

「ァァァア゛ア゛ッッ!!」

 

 

そんなわけのわからない光景を見せられて、俺はもうどうしたらいいかわからないの。

 

「ミー達が笑えばいいと思うネーwwww」

 

お前らがかよ。

 

 

 

 

っと、忘れないうちにやっておかないとな……

 

「えっと、みなさんにお伝えします」

『…………。』

「とりあえず船上のロケット団は全部始末しました。この船はもう大丈夫です」

 

『ッッ!! ウオァワアアワワアアアアアアァッァァァ!!!』

 

一気に大歓声に包まれる部屋。

サカキの野郎も苦笑いでこそあるがそれに混ざってカモフラージュしている。

大人達に「よくやった!!」「ありがとう!」「本当に凄いな!!」と

次々に体をぺしぺし叩かれ、握手され。頭ぐりぐりされ。

んでドレディアさんがアカネさんの首を片手で掴んで引きずって、ってちょ。

 

「おいドレディアさん!! それ息止まってる!! 息止まってるってっ!!」

「ァー?」

 

こっちに向けてアカネさんを片手で差し出した。

身長の都合上吊るされる形でこそないが、完全に白目ですwwww

 

「あーもう、他の人に暴力振るっちゃだめでしょーが。今日ご飯抜きね」

「ッアァァー!? ディァー!! ディァー!!」

 

【俺は悪くねえ!! こいつが!! こいつが悪いんだっ!!】と主張するが

どんな理由でも気絶させるぐらいの暴力は許しません。

 

「さて、そんなことはどうでもいいんだ」

「……#」

「いや、アカネちゃん一応死にかけてるよ……?」

 

と、復活したミカンさん。そんなもんより俺は優先しなきゃならんことがあるんだ。

 

 

そうして俺は歩み寄る。

 

 

未だ気絶した見張りのロケット団に。

 

 

そして起こすために腹を蹴り飛ばす。

 

「うぐぇっ!? ──ッカ、っぐほ、ぐほっ……!

 て、テメェ!? 何しやが──って、なん、だ、これ……」

 

現状把握が少し遅れる黒い見張り。まあ、あんたずっと気絶してましたもんね。

 

「アンタが気絶してた時間、大体1時間。その間に船は解放させてもらったよ」

「んなっ!? デタラメ言うんじゃねぇっ!!」

「デタラメじゃねーよ、そんなもんこっから出りゃすぐわかる。

 それより俺の用事をとっとと済まさせてもらうぞ」

「あぁっ!?」

 

 

「───出て来い、マルマイン」

 

 

ペカァァァン

 

 

「ハッ?! それ俺のマルマインじゃ───って」

「───ォォン……」

「お、おまっ、どう、どうしたんだっ!?

 瀕死じゃねーかっ!! テメェ、俺の相棒に何しやがったぁっ!!」

「交渉したんだよ」

「こ、交渉だと……?」

 

 

そう、交渉だったんだ。そしてそれは成立した。

 

 

「そうだよ。そのマルマインはな……。

 お前が捕縛されて、殺されるかもしれない状況だったお前を助けるためにそうなったんだ」

「な、何言ってやがるっ! たかが交渉でこんな目に遭う訳───」

「俺の言う事を一度だけ聴く事を条件として。お前の身の安全を約束したんだよ」

「───ぁ」

 

 

こいつは、このマルマインは、とても尊く、とても気高い。

どんな理由であれ主人に尽くすコイツのためにも。

 

 

契約は───履行しなくてはならない。

 

 

「わかったか、こいつはお前を守るためにここまでボロボロになってんだ」

「たった一度だけでどうしてここまで───ッ! ……だいばくはつか!」

「そうだ、ただ主人のためだけに。知らないやつの言う事を一度だけ聴いて。

 こいつは、自ら瀕死になったんだ」

「───お、お前……」

「ォォン……」

 

 

罪は、罪だ。犯した以上犯罪者にはなる。

そこだけはどうしようもないが、俺は……約束は、ちゃんと守ったぞ。

 

 

「そいつの事を思うならもう悪事から足を洗え。

 そんだけ素晴らしい心意気を持ってるマルマインがいるんだ。

 お前ならトレーナーとしても良い所まで行けんだろ、きっと」

「───……ッ。

 

 ───すまん、頼みがある……場違いな願いなのはわかっている。

 

 わかってるが……頼みたい。縄を解いてくれ……」

 

 

「いいぞ。ドレディアさん、頼む」

『ええっ!?』

 

室内の全員が驚く。まあそりゃそうだな、解いたら何するかわかったもんじゃないし。

───普通なら、だけどな。

 

こんな状況で解かれた途端に暴れるようなら、今度こそ俺が手加減無しに殺してやるまでだ。

約束を違う事にはなるが、それは許される事ではない。

 

だからこそだ。

この後のこいつの行動なんてわかりきったもんだ。

 

 

 

 

「……まない、すまないっ、ありがとう……マルマインっ……!」

 

「ガゴー……」

 

「俺の、俺のため、にっ、頑張っ、って、くれたんだなっ……」

 

 

 

 

そして解かれた手で、マルマインを抱きしめる団員。

 

 

 

 

ぁーぁ……くっせーくせー。青春くせぇー。どうしてこんな青くせぇ事出来るんかねぇ?

お前周り見てみろよ……全員クサすぎてドン引きしてんじゃねえか。

 

 

 

 

 

 

───まぁ全員、涙流してっけどさ。

 

 

 

 

 

 

残りの事後処理は比較的スムーズだった。

俺一人じゃ面倒だった作業もみんなでやれば速いものである。

 

あの人質部屋から解放されて、とりあえず全員甲板に連れて行き

ロケット団がどういう状態か見せた。引かれた。

だって転がしておくだけじゃ逃げるかもしんねーべや。

 

そして幹部クラスのヤツを引き上げ、どう言う事かを問い詰めている最中

ジムリーダー面々の一部は、パーティー会場で転がっているポケモン達を

説得、無力化するためにそちらに向かっていった。

 

 

なお、俺はだるすぎたので甲板でのんびりしている。

たまにロケット団のカス共を揺らして遊んでいた。

 

あ、一人吊ってたテーブルクロスがちぎれて落ちた。悪いけどヒンバス頼むわ。

 

そうして船長室からは、船長の遺体が発見されたそうだ。

 

まあゲロまみれで気絶して倒れてただけだけど。

 

多分カビゴンの大暴れ含めた、大爆発の振動もあって完全にやられてしまったのだろう。

ご冥福をお祈りいたします。

 

 

ついでに、海に落ちて助けたロケット団に

皆の相棒のありかを聞きだして、研究員さんの一人に向かわせておいた。

甲板に帰って来た時、みんなは大事な相棒達との再会にとても喜んでいた。

またひとつ仲が深まったのだろう。

 

 

 

ん? レッドさんとグリーンさんはどうしたってか?

 

グリーン=あの股間潰しの後しばらく呻いていたところ

       介抱してくれたのが偶然見つけたレッドさんだった。

レッド= そして速攻でバトルが始まり、手持ちがボロボロになったため

      一旦ポケセンに行った所、騒動が勃発。参加し損ねた。

      もちろんグリーンさんも既に船に用が無いため一緒に降りていた。

 

 

という顛末らしい。まあこんなイベントゲームにないしね。

主役級の彼らは原作力だかなんだかで、参加出来なかったんだろう。

 

 

摩り替わられた船員さん達も港の倉庫で監禁されていることが判明。

無事に死傷者無く、事件は終わりを迎えた。

 

港に接着した船からロケット団どもを降ろし、警察に引き渡しておく。

慌てて警察がサントアンヌ号に大量に出向いていたので

現場検証とかでこれから色々忙しくなるんだろうな。

 

ま、俺としてはドレディアさんが満足行くまで喰ったみたいだし

俺も俺で予想していた最悪の出来事が発生、そして無事に解決。

やりたい事は全部やり終えたので、とても満足している。

 

警察に現場検証に協力してくれと言われたんだが

流石にその日はだるすぎたので後日に頼む、といって俺はポケセンに戻った。

その後警察がパーティー会場の有様を見て、本気でドン引きしていたとマチスさんが言っていた。

というかマチスさんもドン引きしてた。

 

「一体ドゥーユープレイしたらあそこまでなるネー?」って言ってたわ。

 

 

 

 

そしてポケモンセンターに到着して───

 

「あー、タツヤ君っ!! もう、どこ行ってたのよー!!」

「ん、どしたのもっさん」

 

懐かしい顔を見た。いや昨日地味に会ってるけどさ。

 

「せっかくおととい今日の予定はどうだっていうから、予定空けてたのに全然居ないんだもんっ」

「え、あれ聴いただけなんですけど。なんでそれでもっさんが予定空けてんすか」

「え、いや、そんな/// 言わせないでよそんな事っ」

「はぁそっすか」

 

なにやら俺は恥ずかしい事を聞いてしまったらしい。

なんだろう、今日の朝飯が歯の隙間に詰まってるとかそんぐらいのレベルな気がするが。

 

「いまいちやる気出してないわね……それじゃ、どこか行きましょっ」

「俺パス。疲れた」

「えっ!? そんな疲れるまで今まで何やってたのよ!」

「サントアンヌ号が襲撃されたんでロケット団駆逐してました」

「……はぃ? まーたまた、冗談言っちゃってー。お姉さんは騙されないよーだ♪」

「お前がそう思うんならそうなんだろ。───てめーの中ではな」

「ひどっ!? んもー、冗談でごまかすんじゃないわよッ!」

「知りません。おやすみなさい。サンドー、一緒に寝るー?」

「キュキュー!!」

「あ、ちょ、サンドっ!! コラァーーーーーーーーー!!」

 

 

こんな感じの会話があって、俺はサンドと

何故か布団にもぐりこんで来たドレディアさんと一緒に寝た。

 

 

翌日、テレビかなんかで事件の事を知ったもっさんが

やたら執拗に俺に質問を浴びせまくってたのが面倒だった。

 

 


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