うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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23話 修練4

 

 

サンドの相手はドレディアさんに頼んだ。

だがドレディアさんは素早い上に攻撃値がぶっ飛んでいる。

いかに種族的に弱めとはいえ、Lv100のヒンバスの半分程度の攻撃値とかどういうことだよ。

今Lv16。つまりは32で追い付く。64でヒンバスの2倍以上、100になったら3.5倍……?

つまりはスリープにすてみタックルをしたら200~240m位ぶっ飛ぶわけで……。

 

 

っ!! ひらめいたっ!!

 

「Lv100のドレディアさんとスリープで鳥人間コンテストに出れば優勝間違いねえ!!」

 

これだっ!!今すぐ応募せねばっ!!

 

「ねえ、タツヤ君。変な電波を受信しちゃってさぁ。

 なんかネフェルピトーって子が貴方の頭の中見てみたいとか言ってきてるんだけど」

 

なんだと。

 

 

話が盛大にずれたが……

そんなおっそろしー攻撃を俺の「私の子よ?」サンドにさせるわけにはいかない。

なので元々硬いのを考え適当な木片を持ってきてもらい、それの撃墜訓練から入って貰う事にしよう。

 

ドレディアさんが、サンドのレベルに合わせて投げて

サンドが体全体を使い、尻尾を振り回して撃墜。徐々にスピードアップさせていくように指示しておいた。

 

 

さて、こっちはこっちでディグダに蹴りも教えねばな。

 

「んじゃ、手技のレパートリーも増えた事だし次は足技を訓練するぞー」

「オッケィ!」

「チュー!」

「ッd」

 

まあ蹴りに関しては陣内流云々よっか遠心力の使い方や

脚の部分による強度を考えて教えていかなきゃならないだろうなぁ、最初は。

 

「蹴りについては、技がどうこうより

 まず先に【どうやれば最大威力が出るか】を課題にしようと思う」

 

そして実演に入った。

 

「ただの蹴りって言っても色々あって……

 例えばこんな風に適当に前に蹴り上げるのも間違いなく【蹴り】だ。

 でもこんなのじゃ碌なダメージは与えられない」

「まぁ、当たり前ネェ」

『(コクコク)』

 

ポケモン2匹がうんうんとうなずいている。

 

「んで、生物ってのは体に関して筋肉が満遍なく繋がってるわけでさ……

 これを利用しない手は無い。ディグダちょっと俺の蹴りを掌で受け止めるように構えて」

 

言われ、ディグダが構える。

所詮ガキの体の威力の蹴りではあるが、威力の考察には持って来いなわけだ。

マチスさんのガチムチ蹴りなんぞ見てたら俺が失禁してまうわ。

 

「まずは最初に見せた駄目な蹴り」

 

パシッと受け止めてもらう。

単に脚を振り子の原理でぶん回して掌に吸い込ませただけだからな。

 

「次は脚と繋がっている腰をプラスして出す蹴り」

 

俺は出来るだけ遠心力を乗せ、ディグダの掌に自分の蹴りを吸い込ませる。

 

 

バシィッ!!

 

 

「ッ……!」

「ホゥ……」

 

音からしてもう違うわけよ。

 

「ま、腰をプラスしただけでこれだけの違いが出るわけですね。

 さっきの振り子原理の蹴りもやり様によっては同等の威力は出ますが

 こちらのほうが安定感は抜群ではないかな? と思います」

「フムフム」

 

で、最後のサンプル。

 

「空手で言う回し蹴りのような形になりますが、これが体全体を使った────」

 

別に俺が綺麗に決めるかどうかなんぞは重要視していないので

とにかくがむしゃらに、全部の思いつく限りの動きを乗せ

俺はディグダの掌に─────

 

「─────ッッ蹴りですっ!!」

 

体を一回転させ、腰にも子供の体には多少無茶な動きを加え

狙いがブレそうになるが、全力で蹴りを入れる。

 

 

ッバッチィィン!!

 

 

「ッッ?!」

「ォォーウ、ガードが吹っ飛んだネー!」

「チューゥ!チューゥ!」

 

んで蹴りを入れたはいいのだが、肝心の俺は格闘技経験すらないただの理屈屋。

入れ終わった後にいつも通りふらつき、尻餅をついてしまう。

 

「あきゅんっ」

「ハッハッハ! リトルボーイもまだまだウィークネスネー!」

「しゃあないじゃないっすかぁ……所詮ガキなんっすからー」

「オーケィオーケィ! ソーリィソーリィ!」

 

俺をからかいながらマチスさんは手を差し出してくれたので、その手を掴ませて貰い立ち上がった。

 

「ま、威力の考察はこんな感じとして。次はカウンターからの連携としてみようか」

「オーラーィ。じゃあまたミーが枕スロゥイングするネー?」

「お願いしますー」

 

立ち位置を調整後、ふわんと投げてもらった。

俺はその枕に狙いを絞り、どうにか形良く足の裏を当てる技法で蹴り上げる事に成功した。

 

「ホゥホウ~、確かにリトルボーイはフォルムにするのが上手ネー」

「ありがとうございます、とりあえず今のがカウンターだね」

「ラーィ。」

「ッ。」

 

そしてマチスさんに次の段階を見せるために

再度枕を投げてもらう。

 

「んで、このカウンターに合わせてッ─────」

 

再度、うまく蹴り上げを決めることが出来て枕が宙に浮く。

そして良い具合に狙いを絞り、体を無理矢理ねじりながら

 

「んぅぅぅッ……せぇゃぁッ!!」

『ッ!!?』

 

枕に体の体重を全て乗せた横蹴りをぶち当てる。。

まあもちろんその後に体勢整えられずに背中から地面にぺちんと倒れましたが。

格闘技未経験者なめんな。体全体使った攻撃の後に立ってなんぞ居られるかい。

 

「オォォォー……ユーはリアルに色々なオフェンス持ってるネー。

 エクセレンツッ! すごーいヨー!」

「チュゥチュゥー!」

「(コクコク)」

「あはは……まぁ(パクリな上に)終わりまで体勢保てませんけどね……」

 

本当にかっこ悪いったらありゃせんわぃ。

だがそれもこれもディグダを強化するためだ……あえて涙を呑もう。

 

「んで、この手の動きは全部さ、そんな立派な体を持ってるディグダなら

 完全に理想の形に仕上げられると思うんだよ。体の育ってない俺ですらこうなんだしね。

 俺の理想系は枕ももっと勢い良く吹っ飛んで、横蹴りする威力に関しても凄まじい威力がある」

 

そう、それこそ前世の体であればかなりの再現度で見せれたかもしれないが

今の俺はあくまでただのガキ程度の体しかない。その点ディグダは凄まじいボディバランスだ。

 

「もちろんの事、体の(しな)りはなるべく遠心力を込めて相手に更なるダメージを与えられるようになってる。

 さすがにこれは技法としてすっごい難しいと思うけど

 出来た時の素晴らしさは、威力だけじゃなく見た目まで完全かもしれないね」

「ッッ!!(コクコク」

 

ディグダもさすがにこれには惚れ込んだのか、さっそくマチスさんに枕を投擲して貰い始めた。

ボルティは横で2人に掛け声を送っている。ライチュウ可愛すぎる、ボルティはさらに可愛い気がする。

 

 

 

……俺、今ならポケモン大好きクラブの会長に勝てる気がするッ!!

 

 

 

ちなみに今見せた体をねじった横蹴りの出典はゲームでこそ在るが実在する技だ。

スパイクアウトって多人数型ゲームで唯一の女性キャラが使う最大攻撃がこれだ。

その威力たるや、吹っ飛んだ敵の直線状に居たら纏めて吹っ飛ぶぐらいの勢いである。

 

さすがにこの技はヒンバスに小動物型を模倣してもらうのは

あまりに威力がありすぎてやばそうなので、枕でやり続けてもらう。

まず蹴り上げがカウンターだからその分威力があるし

横蹴りだって全体重を込めた上での大遠心力なのだ。

 

これを練習とはいえポケモンにやらせるやつが居るなら俺は今すぐ海に沈めるね。

 

え?さっき痛そうな手技でヒンバスに付き合わせてたじゃんって?

確かにあれも打ち上げ形式の振り打ちだから、叩きつけられる事こそないけど痛そうだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マチスさん、コンクリート扱ってるところ知らないっすかね?

 俺、脚に付けてちょっと海に沈んできます」

「ホ、ホワィッ!? どうしたネッ?! 一体何事ヨ?!」

「ッ?!?!」

「チューゥ?!」

 

 

俺は犠牲になったのだ……

 


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