うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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98話 ちょw

 

 

Fブロックにて(ゲーム原作知ってる意味では)まさかの大波乱が起き、会場のボルテージもMAXに近い。

 

さすがの最速は、速攻で一撃必殺技を決めたレアアクmげふんげふんゴウキだが

他にもやはり参戦している『なぞのみせ』組が、大体他の人のポケモンを一撃で粉砕しているため

大会はとてもスムーズに進行していった。トイレへ行く暇を俺にくれ。

 

 

Hブロックの試合が終わりかけといったところで

一番最初にAで試合を終わらせたマチスさんがこちらにやってきた。

 

「フォーゥ、リトルボーイパーティーゲーッツ! どうだったネー? ミーのライコウ頑張ったーヨ」

「さっすがマチっさんやな! その子が強いのもあるけど

 やっぱりしっかりと鍛え上げている所が、他と一線を駕す内容なんやな!」

「ピギャーゥン!」

「おうライコウおめでとう。ボルティ超す日も近いかもなぁ」

 

マチスさんと一緒に歩いてきたライコウの髭を適当にもみもみふさふさしつつ、労いの言葉を交わす。

 

横では【僕だって全然余裕で倒せるのに……】と、ぶーたれたボルティも居ます。お前ホント可愛いな。

 

「おめーはしょうがなかろうが。マチスさんの切り札なんだから自重しなさい。

 うちんとこの草姫様と同じようになっちゃ駄目だぞ」

「ア゛ァッ?!#」

「ちゅー♡」

「だ、駄目だよタツヤ君……;ドレディアちゃんだって好きで自重して無いわけじゃないんだから……」

「だからって殴られるのは理不尽です」

 

そんな具合に上手い事ドレディアさんからの怒りをスルーしながらボルティの頭を撫で回していると

Eブロックで試合を終えたグリーンがこちらに───

 

 

「失礼致します」

「ん」

「へ?」

「え?」

「ホワィ?」

 

 

突然見知らぬ人が現れる。背格好からしてこの会場の係員だろうか?

 

「タツヤ様と御見受け致しましたが、間違い御座いませんでしょうか?」

「えっと、はい、俺はタツヤです」

「オーキド博士がタツヤ様にお話がある、と言伝を頼まれましてご参上させて頂いた次第です。

 少々お時間を頂いてもよろしいでしょうか」

「え、あー……」

「うちらは気にせんでええよー。

 博士に呼ばれるなんて凄いやん、何か協力事でもやっとったんか?」

「いや、そんなのはして無いはずなんですが……」

「うちのじーさんが呼んでるってかー……碌な事じゃねーのは間違いねーだろうな」

「あ、グリーンさん」

 

話している間にこちらに到着したグリーンが

話の内容を途中からながらも聞いていたのか、的確に答えてくる。

 

「まぁ、行かないとわかんねーだろうし仕方ないんじゃないか。

 とっとと行ってきてとっとと戻ってくりゃいいだろ」

「んー……もっさんの試合には間に合いそうにないが、しょうがないかな」

「うちらでちゃんと教えてあげるから、しっかり済ませてきぃな」

「あーはい、そうしますか」

「では、こちらへ……」

「うし、んじゃみんな行くか」

「ディッ!」

「ホ~ァ~♪」

『─────。』

「△▲☆★~」

 

 

そうして俺は彼等に拉致(・・)られた。

 

 

 

 

んで、係員の人に付いていってしばらく歩き回り……俺達は全員とある部屋へと入って行った。

 

 

んんん……? 仮にも最高権威が話をするために用意する部屋じゃないぞ?

そこら辺にロッカーがあって、なんというかこう……まるで試合前の待機室みたいな……

 

「あ、あのー……それでオーキド博士はどちらに?」

「それについてですが、誠に申し訳御座いません」

「……ええー?」

 

突然、係員に謝られる。意味がよくわからな────ッ!?

 

まさかこの人、ロケット団残党かッ!?

喋り出しがサントアンヌ号のあの尻尾出しにそっくりだぞ……!?

 

俺は無意識にズバッと距離を取り、警戒心を強める。

 

「な、何が目的だ……!?」

「え、えーと……? どうされましたか?」

「ディ?!」

「ホァ!?」

 

突然の俺の行動に、係員らしき者とドレディアさんとミロカロスが

一緒に驚きの言葉を放つ。くそ、2人はまだ気付けて居ないのか……。

とりあえず目配せで全員に『警戒しろ』と呼びかけ───

 

「目的と言われましたのでお伝え致しますが……

 まず突然の無礼、申し訳御座いません。私は今大会のスタッフでございます」

「…………あれ?」

 

警戒してもこちらの行動をあまり気にせず、係員らしき者は話し出す。

 

「今大会、タツヤ様はサカキ様の権限により

 特別出場権を所持していらっしゃる事を確認させて頂いております」

「は、はぁ」

「特別出場権を所持していらっしゃる上で、もしタツヤ様が

 別の地方などにおられる場合はもちろん無効化されるのですが……

 今回……大会前に情報収集をした限り、タツヤ様が会場内にいらっしゃるのを

 複数人のスタッフが確認をしておりました」

 

テキパキと、まるで執事のようにスタッフさんは俺に喋りかけてくる。

んーこれは完全にただの思い違いらしい、バイオレンスな世界に居すぎた弊害だろうか?

 

「そしてサカキ様を始めとした色々な方々に聞き回ったところ

 タツヤ様はこの手のイベントを、非常に鬱陶しがるとの情報を得ておりまして……

 スタッフ内で検討したところ、確実に会場内に居る上で

 出場アナウンスを無視しそうだという結論に達しまして……」

「うっ……」

 

まさに図星過ぎる、自分の名前を呼ばれたところで

ガン無視でポップコーンでも食べながら続きを観戦する気満々でしたごめんなさい。

 

「それで、情報収集をした際に重要どころの情報を頂いた方々にご助言を頂いた所

 偽の情報で連れ出して試合前まで監禁した方が

 出場せざるを得ないと諦めてくれる、と伝えられまして……」

「───それでこれかぁっ!? ちょ、待て誰だそれっ!?

 理不尽でござるっ! 理不尽でござるっ! 人権もクソもねえじゃねぇかぁーーーーー!!」

「も、申し訳御座いません! しかし情報提供者の言葉では

『その用件で呼び出しても絶対に逃げ出す。何か言うなら私が責任を取る』

 と伝えられてしまっていますので……!」

「よっし、今すぐその人教えてくれ。

 社会的に抹殺してくる。恥ずかしい情報偽造しまくってバラまいたらぁ。」

「え、と……その、そんなことしちゃだめですからね?

 情報提供者は……トキワジムリーダーのサカ───」

「全員突撃ィィィィィィイッッ!!!!」

「ディァーーーーーーッ!!」

『─────!!』

「△▲☆★……;」

「ホーァ~;」

 

こんなところで止まっていられん! やはりあいつは原作でも大物のボスだった!

まさか原作と一切関わりの無い俺をこんなハメた状態にするなんて! ぶち殺してくれるわー!

 

「お、お待ちくださいっ! 今ここから出られてはタツヤ様の試合に間に合いませんッ!!

 出来る事ならサカキ様に対する仕打ちも抑えて頂きたいですが

 何より不参加という状況が一番困ってしまうのですッ! どうか、どうかお願いしますッ……!」

「え、いやちょ……」

 

体を張って出口を固めていた係員さんが、静々と土下座をかましてきた。

ここまでされてしまうと、さすがに俺も躊躇せざるを得ない。

 

「スタッフ一同を代表して、どうかお願いします……!

 伝統のあるこの大会で欠席者という不名誉をなるべく発生させたくないんです……!」

「あー……」

 

もしかしてこれは気楽に特別出場枠なんてのを受託した時点で詰んでいたくさいか?

あちらにはあちらの事情があるからこそ、俺をここまで引き止めているわけだ。

 

過去に一切事例がないわけではないだろうけど……

確定的なサボりは大会運営の沽券に関わるとかそんな感じだろうか。

 

……まぁ、仕方ないよな。ここまでされちゃぁ……。

 

「……わかりました、不本意ですが受託しちまってる以上仕方がありません。

 大人しく出場する事にします」

「お、おぉぉ……!(本当に言った通りになってくれた……!)ありがとうございますっ!」

「今なんかボソっと言わなかった? ねえ、言わなかった?」

「き、気のせい、ですっ!」

 

なーんか不快な言葉が聞こえた気がすんだがなぁー。

まあ、どーでもいいか……サカキは後で殺しに行こう。

 

「とりあえずさっき俺と一緒に居た人達には説明しておいてください。

 スタッフさんの話を聞く限り、次のブロックが終わった後にすぐに俺の試合組まれるんすよね」

「はい、そうです」

「じゃ、俺も適当に作戦立ててますんで、連絡の方はお願いします」

「わかりました、では私はこれで……」

 

そうしてスタッフは控え室から出て行った。

 

本気で面倒なら俺もここでこっそり抜け出すという手はあるが……

土下座までしてきたあの人の誠意は、出来れば踏みにじりたくはない。

そんな事をするぐらいなら大人しく参戦して、善戦するだけである。

さすがに優勝とかはなかろうが、俺等は俺等で善処すればいい話だな。

 

「そーいう事になりました。全員、いきなり試合になるけど準備は良いか?」

『bbb』

「△▲☆★~♪」

 

うむ、4人とも良い返事だ。ムウマージ出すわけにはいかんけども。

ていうかドレディアさんの声が聞こえない。あの子なら張り切ると思ったんだが。

ふと部屋を見渡すために首を回してみたら───

 

 

 

既にミロカロスとボクシングのように打撃練習をしていたドレディアさんが居た。

コイツ頼りになりすぎる。

 

 

 

 

『さぁー今大会もAブロックから白熱した試合内容が繰り広げられました!!

 毎度毎度この大会にて実況させていただいている私でも、今回は思います!

 レベルがひっじょーに高い! 一体トレーナーの間で何があった?!』

 

やたらテンションが高いアナウンスが響き渡る。

まあどこの会場でもこんなものなんだろーかな。

逆に原作のエリカ嬢みたいなのんびりボイスでアナウンスされてたら、そっちの方が違和感が残る。

ゆっくりボイスェ……などが↑ございましたらー↓

 

『そんな今大会もついに本戦の始まりとなります!!

 本戦の開始より、大会側で定められたシード選手も混ざり

 さらに白熱したバトルを繰り広げてくれる事となるでしょう!』

『そうですね、非常に楽しみです』

『解説のサカキさんから見て、今大会はどうでしょうか?』

『ええ、今回は私が推した選手もシードに一人入っていますし

 大会全体を盛り上げる意味でも、その選手だけではなく全員が頑張って欲しいところです』

『と、言うわけで……今回はあのトキワジムリーダー、サカキさんの秘蔵ッ子が戦う事になります!

 それではさっそく出て頂きましょう!』

 

うっわ、やらせくせぇー。

ていうかしらじらしすぎるサカキぶッ殺してぇー。

 

「マサラタウン出身、タツヤ選手! 前へ!」

「へぇ~い」

 

まあ、やるからには出来るだけ勝ち進ませて頂きますけどもね。

 

『おっとぉ!? Aサイドから出てきた少年はとてものんびりしているぞ!?

 見る限りはやる気の無い……いえ、失礼。この大舞台にも関わらず全く緊張していないようです!

 そしてこの少年こそ、今サカキさんが仰ったイチオシの選手、タツヤ選手でーす!』

 

 

オォォォォオオォォォォオッッ!!!

 

 

そんなアナウンスで大いに会場が盛り上がる。

 

『さぁタツヤ選手の経歴ですがー……なんと、バッヂの個数はゼロッ!?』

 

ドォォォッ!?

 

どよどよどよどよ……

 

まあ、そうなるわな。なんでそんなのがここにいるんだ、ってねぇ。

 

『確かに彼はバッヂの数こそ0個です。

 しかし当人は自覚していないかもですが……とても非凡な才能を有しております』

『と、推薦をした解説のサカキさんは仰っておられます!

 果たしてどういった試合を見せてくれるのか期待が高まるところです!』

 

ドレディアさんやらダグ共が頑張ってくれるだけなんですがね。

俺本人で指示出来ることなんぞ公式の試合じゃ殆ど無い。

 

『さぁ、タツヤ選手はこの内容でも全く緊張して………あれ?

 タツヤ選手、タツヤ……タツ、ヤ……!?』

 

ん、あれ? なんかアナウンサーがいきなり戸惑いだしたぞ。

なんで俺じゃなくてそっちが緊張してんだ。

 

『ッ! サカキさんッ!』

『な、なんでしょうか』

『私、個人的なことになるのですが……彼の名前に聞き覚えがありますッ!

 ひとつご質問をさせて頂いてもよろしいでしょうかッ?!』

 

え、なんだこの展開。俺の事なのになんでサカキに……?

 

『私、半年ほど前に、とある街で仕事をしていた事があるのです。

 その際、皆様も知っていると思いますが……大事件が一つ発生しました。

 私がいた街は───クチバシティ。事件の名は……サントアンヌ号事件……!』

 

ちょ、ここでそれが引っ張られんのか?! おいアナウンサーやめろ!!

 

『おぉ……よく覚えておられますな……』

『ということはやはり……!? あの時に表彰される予定だったタツヤという少年と

 今あそこに居るタツヤ選手は同一人物ですかッ!?』

『本人は余り誇りたがらないので黙っていましたが──その通りです。

 彼こそ、我々のあの窮地をたった一人でひっくり返してくれた少年、その人です。』

 

 

ドォォォォォォォーーーーーーーーーーッ!?!?

ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ

 

 

あー……頭痛い……まさかトドメをサカキが刺すとは。

あとでシンダゲキに瞬獄殺頼んでおこう。うん。

 

『こ、これは突然大変なゲストが登場する事になりましたっ! ご存知の方は非常に多いと思いますっ!

 彼は……その名誉表彰をかなぐり捨てて普通に旅に出ていた、正体不明の大物!!

 それが今、我々の目の前に居るのですっ!』

『あの時に参加していたジムリーダー一同は、皆彼に感謝しています。

 それでも本人はただ普通であろうとしていた……。

 その状況を壊してしまったのは、私としても忍びないですが……

 そろそろ彼は世間に認められるべきだ、と思っています。』

 

…………#

 

ブチッ

 

 

「っ せ ぇ や ゴ ル ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ー!!」

『『ッ!?』』

「てめぇらの都合なんざ知ったこっちゃねえわアホンダラァァァッ!!

 俺は俺でそんなもんいらねぇから拒否してたんじゃァァァァァッ!!

 それを俺の意思全部マルっと無視してなんで世間様に晒してんじゃァァァーーッ!!」

『す、すまんタツヤ君……私もよかれと思い……』

「サカキテメェこのやろぉぉぉォォォッッ!!

 あんただって世間に知られていい事なんぞ殆ど無いの知ってんだろうがァァァァァッ!!」

『ッッ!』

『え、な、えーと、ど、どういう事ですか? サカキさん』

『あ、いや……その』

 

腹立たしいから思わず出してしまったが、今のは【ロケット団】を指した隠語だ。

立場から開放されかけてるからそう考えたのかもだが、重荷も存在する事を思い出して欲しかった。

 

「だーもうちくしょう、なんだこれ! 頼むから、マジで頼むから会場全員今の茶番劇忘れてくれっ!!

 本当お願いしますっ!! 俺をそっとしておいてくれ! 終いにゃ帰るぞくそったれぇーーーーッ!!

 おいドレディアさん、やめだやめっ! やる気なくなった! 帰るぞッ!!」

「ディァー!?」

「るっせーもうやってられんわこっちはっ! なんで黒歴史暴露大会になってんだよ!

 帰って寝るッ! ほら、さっさと───」

 

 

───パチパチ。

 

「……あん?」

 

なんかちっさくパチパチと聞こえてきた。

その音の方へ振り返ってみると会場客席の最上階で、俺の知り合い面子が全員集合していた。

そして彼等が、俺に対して拍手をしているようである。なんでそんな事を……

 

 

パチパチパチパチ。

パチパチパチパチパチ。

パチパチパチパチパチパチ。

 

 

と思っていたら、その拍手がどんどん他の人に伝播していく……!?

ちょ、な、なんだこの現象はッ!? なんでここで拍手がッ!?

 

 

パチパチパチパチパチパチ!

パチパチパチパチパチ!

パチパチパチパチパチパチ!

 

最終的には会場全体から拍手を送られる事になってしまった。

なんぞこれどう言う事なんやッ!? 誰かアテクシに説明してたもれ!

 

『───どうやら、会場に居る皆様方も、こちらのタツヤ選手の功績を認めているようでございます。

 あの時、あの式典で祝われるはずだった彼の名誉を

 代わりにこの会場で、全員が祝福しているかのように、拍手がされております!』

 

あー……これそういう方向性なんですか……

おかしいな、俺あの時ダグに渡した手紙にも、しっかりと「めんどい」と書いたはずなんだけど。

 

『本当に悪かった、タツヤ君。私が考え無しだった、許してはくれないか……』

 

「いやそんなこの大舞台のアナウンスを私用で使われても俺が困るんですけど」

 

『さぁさぁ、本人自体はこのように祝われる事は慣れていない様子!!

 そうであるならちゃっちゃと試合の内容を進めてしまいましょう!!

 さーこの英雄に相対する選手やいかにっ!?』

 

「うっわ勢いでスルーしやがってるし」

 

……まぁ、俺としてもこの話題で引きずられて変に大騒ぎされんの嫌だしな。

この際だから乗るしかないか。このビックウェーブに。

 

『では登場して頂きましょう!!

 シード選手と相対するは、Cブロックででなかなかな戦略で勝ちを捥ぎ取った

 前衛的なバトルコマンダー、テツオ選手!! 前へどうぞッ!!』

 

「ヤマブキシティ出身、テツオ選手、前へッ!」

「はいっ!!」

 

審判のコールがされ、俺の対戦相手が試合会場へと出てくる。

うむまあ、例に漏れずエリートトレーナーさんですね。

やっぱこういう伝統的な大会に出てくる人等は肝が据わってんだなぁ。

ついでに言うなら、なぞのみせの宿泊組の人ではないようだ。顔を見たことが無い。

 

『前回のCブロックの総当たり戦にて、地味ながらも卓越したポケモンへの指示にて

 しっかりとした勝ちを捥ぎ取っているテツオ選手!

 対戦相手はきついかもしれないが、どのような戦いを見せてくれるのでしょうか?!』

『彼に関しても、ポケモンの知識はかなり熟達していますね。

 強いポケモン、人の言う事を聞くポケモン。彼の手持ちからはこれを1匹で兼ね備えています』

 

ほーう、ある意味では同じ土台の選手と言う事だろうか。

元々俺は直情的な戦い向けの正確はしていない。

相手の揚げ足を取り続けてナンボというスタイルが一番染み渡っている。

 

「さて、シード選手と当たるなんて不幸に見舞われちゃったけど……

 こっちも色々と考えてきているからね、ただでは負けないよ!」

「あーはい、一応俺もこの舞台にあがっちまったし

 やるからには優勝するつもりで行きますんで、こっちも出来る限りの事はやらせてもらいますよ」

 

2人で睨み合いを効かせ、試合会場に冷たい空気が流れる。

 

「では、両者準備は良いね? 試合……───開始ィィーーーー!!」

 

審判の合図とともに、会場は再び観客の熱狂に包まれる。うーん、うるさいデース……

 

「じゃ、頼むよ。ドレディアさん!」

「行ってこい! ラプラス!!」

 

ふむ、相手側はラプラスか……

草単体のドレディアさんでは氷技を喰らうとかなりきつかろうが

相手に氷のタイプがあるならこちらの格闘属性攻撃もかなりきついはず。

どういう戦いを仕掛けてくるかな。

 

『さぁ、タツヤ選手は後ろに控えていたドレディアを選び

 テツオ選手は弱点を突けるラプラスを放ってきた! 相性的にはテツオ選手が圧倒的に有利だがッ!?』

『あのドレディアは通常のドレディアと思ってかかると絶対に痛い目を見ますからね……

 総当たり戦で手の内を見せる事が無かったタツヤ君に対してテツオ選手がどう当たるのか見物です』

 

ちょ、おいサカキコノヤロー。

わざわざ初見殺し匂わせる様なネタ晴らししてんじゃねー。

 

「……ま、いいか。

 さァ、ドレディアさん……ここが俺等の大会のスタート地点だ……! 行くぞッ!!」

「ディァァァァアアアァーーッッ!!」

 

こうして、俺のカントーポケモンリーグ本選は幕を開けたのだった。

 

 

 

 

「……ふぅ~」

「おーっすタツヤん、お疲れやー」

「お疲れ様、タツヤ君」

 

試合が終わり、最上階へと再び戻った俺。

係員さんは本当にロケット団でもなんでもなく、しっかりと俺側の事情を伝えてくれたようである。

 

「ようタツヤ、どうだったよ? 公式戦の初めては」

「あーまぁ、なんていうかー……あんなもんなんですねー」

「ハハッ、まああの内容じゃそういう感想になっても仕方ないかもしれねーな」

 

問いかけてくるグリーンに対し、少し形式ばった返答を返しておく。

 

「まーさかあんな手を繰り出すとは、ね……まあ良いもん見せてもらったよ」

「メッサツ……」

「あはは、まあ今後の参考になればいいんですけどね」

 

俺はシード選手という関係上トーナメントで対戦位置があらかじめ決まっていた。

だから予選総当りが終わって速攻で試合となったわけだが……次はカズさん辺りが戦う番である。

 

「で、感想としては結局どうだったの?」

「お。もっさん……予選突破、おめでとうございます。このまま勝ち上がり続けられるといいっすねぇ」

「あはは、まあこっちはうまく型にハマってくれた感じねー」

「まあ、俺もですかね? バッチリ型にハマりましたよ。

 展開も予想通り過ぎて、楽勝って感じだったんじゃないかな? 対戦相手が。」

 

うん、あれは素晴らしい流れだったな。さすがだ……って思っちまった。

 

「ハッハー、リトルボーイもでっかく言うネー。

 確かにー、あの内容はミーもやられたらベリーきついけどネー?」

「ま、私達も全員頑張るからね。 次当たる時はきっと負けないんだから!」

「あーまあ俺はこういう場にはもう出ないつもりですけど……

 当たるなら当たるで、その時は全力でお相手しますよ」

 

そんな感じで、みんなの横に腰を下ろし試合会場を改めて眺める。

 

俺、あんな場所で戦ったんだな───。

 

こんだけ大人数が収容されてその視線に晒される中で、よくあそこまで啖呵をキレたもんだと思う。

 

「ま、これ以後はのんびりとさせてもらいますかね」

「ええんちゃう? なんなら誰が優勝するか賭けようやw」

「んもー、そういう事しちゃ駄目なんだよ? アカネちゃん」

「こんな場で堅苦しい事言わんでええやん~。もっと気楽にやっちゃおうや~」

「よし、なら俺は……マチスさんに3000円だ!」

「あー、だったら俺グリーンさんに1000円でー」

「お、タツヤお前見る目あんじゃんかよ。んなら俺は……一応もっさんに2000円賭けておくか」

「何よ一応って、失礼ねー……」

 

そうして、次の試合まで俺等は盛り上がるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサラタウン出身、タツヤ─────初戦、『敗退』。

 

 

 

 

 

 





と、言うわけで出場しておきながら彼も初戦敗退です。

優勝すると思ったか? 残念、初戦敗退でした!
最後の方の文は《負けた》という前提で読んでみてください。
矛盾はしていないはず。

しかし、にじふぁん時代と色々と変えた内容があるため、どっかで矛盾しているかもしれません。
それは設定ミスなので、メッセージとかで報告してもらえるとうれしいです。

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