うちのポケモンがなんかおかしいんだが   作:右肘に違和感

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92話 居た。

 

 

ダークライを怒りに任せてシバき倒してから5日ほど経った。

リーグの開催までまだ1ヶ月以上あるせいか、トレーナー達もここから動く気配が無い。

というか今となってはむしろ宿屋のほうがメインになりつつある。

お前等バトル脳すぎるだろ……ちょっとは生産的な事しやがれ。

 

 

宿屋がメインになったとは言っても、別段新製品の売上が落ちたワケでもなく

単に宿屋での純利益が、毎日安定して稼げているだけの事だ。

 

20人×700円-そいつらに掛ける経費(食事)として

1日の純利益がここだけで7000円程度は稼げているのだ。

 

一応この件で予定外の出費となっている人も一部いるらしく

開催期間までまだ日がある+ここに宿があるという事から

ダグ達が使っている搬入通路からチャド(チャンピオンロード)からの脱出を求める人も一部居た。

当然金は取っておく、まああなぬけのヒモの半額が妥当だろう。

またのお越しをお待ちしておりません。はよリーグ行けお前等。

 

 

実際のところの話なのだが、このチャド(チャンピオンロード)では周り全員が敵なのである。

せいぜいアニポケみたく集団で旅をしている人達以外は、他のトレーナーも漏れなく敵であり

最低限度のマナーこそ守られているが、どちらにしろ信用はならない者とされている。

寝てる間に財布取られたりとかね。

 

この不安材料を考えて、例え寝具が持参の寝袋やら毛布だったとしても

集団で寝泊りしていると、周り全員が監視者なので不安材料が解消されているそうだ。

ぐっすりと眠れるらしく1日の始まりがすっきりしているとの事で

まあ確かにそう聞くと、1日1日寝づらいもんがあるよなー。

 

なお「その不安って集団で寝るほうが危なくね?」との意見だが

そんだけ固まっていると、誰かがゴソゴソと大きく動けばすぐわかるとの事である。

ついでに言えばそこら辺を鑑みて、寝ずの番を置いた倉庫も作っており

財布以外のちょっとかさばる荷物は、そこでお預かりしている。

 

番人は、ご存知こちらの居住のゴーリキーである。

1日ミックスオレ2本で(うけたまわ)ってもらってます、適材適所である。

一応こんなんでいいのか? と聞いたのだが、やはり野生のポケモンからすると

ミュウツーの前例があるように、ジュース類は非常に美味らしく。

 

ま、それぞれで物の価値が違うって事なんだろうね。

 

現在収容人数は23人。

まあ、掃除とかする必要ないから面倒もあまりないんだが

それでもなんていうか、なんていうかさ……違くね?

 

「─────」

「ん、おぅダークライ」

 

最初の方針との違いに思い悩んでいると、2回もボコってしまった子が傍に来た。

今日はどうやら、既に一度K.Oされた後らしい、ちょっとボロボロである。

 

「────?」

「あーうん、まあ……贅沢な悩みってところ。

 おかしいよなぁ、こんな予定なかったんだけどなぁ、なんでみんなここに住み着いてんだろ」

 

利便性は上記の通りで判るのだが……

俺、ここに居るのって新商品をPRするためなんですけどね? どういう事ですかショチョォ!

 

「ま、お前に愚痴ったところで何にもならんよなー……ほれ、飴ちゃんやる。食いなさい」

「────♪」

 

最近芋から水あめを作れる事を知ったので、色々と凝って飴を作り始めた。

水あめから水分を抜いて適当に舐めれるサイズに纏めれば「あめ」は『飴』になってくれた。

いや、現実でそんなんあったか知らんけど、俺の手持ち(?)のヤツラが出来たから仕方ない。

具体的に言えばミュウが念力パゥワァでなんとかしてしまった、あいつチートすぎる。

 

味もそんなに悪いものではないらしく、

たまに顔を見せに来るこいつや、ときたま名も知らん宿泊者のポケモンに与えてみている。

評判は上々、なんだろうかね? まあタダでもらう飴だし。

 

「───お、ダークライ。ここにいたか」

「あぁ、どうもタクトさん」

「─────」

 

ご主人が来たので、ピョーとご主人の後ろに付くダークライ。

 

「すまないね、また飴玉をもらってたのか」

「いや、気にせんでいいっすよ。所詮趣味の領域のもんですし」

 

まあ俺が食って美味いとまで思えないもんから、金を取るわけにもいかないからな。

 

「タクトさんも食います?」

「じゃあ、頂いておこうかな」

「今日はトレーナーバトルはもうおしまいですか」

「そうだね、確かにこいつは強いけど……無理をさせては育つものも育たないからね」

「────♪」

 

そう言いながら、タクトさんは横で浮いているダークライの頭を優しく撫でる。

しかしまぁ、ダークライなんつー明らかな厨ポケ使ってんのに、真っ当な(こころざし)持ってんなぁこの人。

一撃で屠れれば全て良し的な、母さんの発想と似たようなタイプと思ってたんだが。

 

まあ、それは彼に限らず伝説系を平然とバトルに参加させる人全員に対してだが。

 

「しかし、本当に凄い企画をしたものだね……

 明らかに発想が11歳の子供のものではないけど、一体どうやってこんな発想に?」

「いや、元々こんなことしようとしてこうなったわけじゃないですからね。

 初日に新商品のPR場所として立てたこの住居に、一人迷い込んで来て……」

 

俺がこんな宿屋になってしまった経緯を説明すると

タクトさんは声を軽く上げて笑っている。

 

「ハッハッハ、なるほど。流れに身を任せてしまったわけか。

 それでも凄い事だとは思うよ」

「そーですかねぇ」

「少なくとも僕はそう思う。

 他の地方のチャンピオンロードもだけど。やたらと無意味に難易度が高いからね……

 君が作ったこの施設は、精神的な負担が減った上でバトルに集中出来るからありがたい」

「いや無意味に難易度高いって……それがチャドの存在価値じゃないんすか?

 ここを越えれんような軟弱な人達を全員相手にしてたら

 今回みたいなリーグの管理者も、開催してない時期の四天王さんも大変でしょう」

「だが、中には野営が苦手ながらも

 戦いでは突出した才能を持っている人が居るかもしれないだろう?」

「んんー……」

 

そう考えれば、確かに救いにはなっている……の、か?

 

「まあ、深く考える必要は無いと思う。

 必要とされてなかったらここまで人が膨れ上がる事は無かっただろうし」

「利用されているだけありがたい、って事ですかね?」

「それで、いいんじゃないかな?

 さてダークライ、今日はもうバトルは出来ないが

 観戦位なら体力も使わず出来るだろう、戦略を研究しに行こうか」

「─────」

「では、邪魔したね。また夜においしいモノを期待させてもらうよ」

うぇーい(めんどくせぇー)

「……本音が漏れてるよw」

「ハッ!?」

 

苦笑しながら、アイテム売り場からタクトさんが離れて行く。

戦略の研究、ねぇ……俺も見に行こうかなぁ?

 

「! ホーァッ!」

「うぉっとぉ?! どうしたミロカロスさん」

【サボりはいけませんっ、初志貫徹ですっ!】

「えぇー、別にいきなりお客さんが現れるわけでも───」

「……? ここは一体、なんなんだ?」

「…………いらっしぇーぃ」

 

ち、出鼻をくじかれるとはこのことか。

 

適当に理由つけて暇が潰せそうなあっちの会場に行こうと思ったのに。

横に居るミロカロスが、予想が的中した事に対してドヤ顔をキメている。

ちょっとうざかったので両こめかみに握りこぶしを設置しウメボシをしておいた。

 

「アッー!」

 

悲鳴を上げて泣きが入ったミロカロスはトイレに置いといて。

今回来訪した人は、俺自身顔も見た事が無い人だ。おそらく新規入場者だろう。

 

そして話を聞けば案の定、大会前の最後の追い込みで鍛えに来たのに

チャドの全域にトレーナーが殆ど居ない異常事態が起こっているとの事である。

どう見てもここが原因です、本当にありがとうございました。

 

「……一応裏手で野生ポケモンも混じって大バトルやりまくってますよ。

 すりつぶされそうじゃなけりゃ見てくるのも手じゃないですかね」

「……そうか、やっと鍛えられるんだな。

 わかった、ありがとう。行ってきてみるよ」

 

ついでに全体回復以外の3種と、俺が買い取ったすごいきずぐすりを買って行き

とても楽しそうな笑みを顔に浮かべて激戦区に突撃していった。

 

 

20分後、その人の手持ちが全滅した事が休憩で戻ったドレディアさんによって報告された。

しかたないね。

 

 

 

そしてこの後意外すぎる人物が来訪してきた。

 

 

 

「あれ、タツヤ君じゃねーか。何してんだこんなところで」

「あ、カズさんじゃないっすか。こんにちわー」

「オーゥ!? リトルボーイヤンケー!!」

「うぉ?! マチスさんやんけっ! え、なんでや、どういう事だこれは。

 なんでカズさんとマチスさんが一緒?」

「いやねぇ、君と別れた後クチバに行ったんだけどさ。そこで色々あってね」

 

 

             ~~~~~少年説明中~~~~~

 

 

「なるほど……痴漢の冤罪を吹っかけられてジムをクビになったと……」

「ノーゥ?! 違う、チガーウよー!? アイムノットギルティー!! 冤罪ヤー!!」

「あれ?」

「君は一体何を聴いてたんだ……さっき言ったばかりじゃないか。

 強すぎたからジムをクビになったんだよ」

「なるほど……ジムの会計の流用がばれてジムをクビになったと……」

「VOLTY。リトルボーイにサンダーSHOーーーーーCKねー」

「ライッチュゥウウウ!」

「うびぼぉぉぉお?! ぶぉ、ぶぉるティティティ!?

 お、おまままま、お前も前もまもえも、ひささしさ久しさぶりだぁぁぁああぁ!?」

 

おばばばばばばばばばば、やめ、やめてやめやめ

しびびしびしびびびびびびびばばばばば

 

「ホー……アァァァァァ!!!」

 

ばっちぃーーん

 

「ッヂュッーーーーーー?!」

「ォーウVOLTYーーーーーー!?」

 

どうやら俺が攻撃されたされされさたれさ事を俺のきき危ききき機きと見なして

ミロカカカカが尻尾っぽぽっぽっぽでVVVVOLTTTTTを撃墜してくれたれたようだれた。

 

「あ、あり、がとう、ミロ、ス」

「ホ~ァァァ~♡」

 

体にまだじゃじゃっかん痺れが残っているるが

お礼としてミロロロスの頭を撫でておおおおおお

 

「……よく耐え切れるなー。

 普通人間がポケモンの技喰らったらひとたまりもないもんだが」

「ドレディアさんに殴られ続けてりゃ、こんなもん軽いですよ。

 良かったらカズさんも是非、どうでしょうか」

「やめておくよ、一撃目で死ぬような攻撃貰ったんじゃ後に続かない」

 

まあそうですねと苦笑を返し、久々の会合に花を咲かせる。

 

そして出会った経緯を聞いて若干驚く、まさかマジでマチスさんを抜くとは。

しかもそれが最後の試合だったそうで……なんともはや、感慨深い。

下手すれば原作のラストバトルに勝る感動的な状況だ。

時期限定でしか挑めないLIVE_A_LIVEの隠しボスみたいである。

 

「キングマンモーやばかったよなぁ……」

「は?」

「ホワィ?」

「あ、いやなんでもないっす、なんでもないっす。

 んじゃ2人ともリーグに出場するためにここに来たんですね」

「そうネー、でも今回はクエスチョンヨー。トレーナー全然ノッスィング。

 まるでステイツ達、鍛えられナーイ」

「まぁ、そりゃそうでしょうねぇ」

「え、なんか知ってんの?」

「ここに居るトレーナー、ほぼ全員裏に居ますよ。ある意味ジム化してます」

『はぃ?』

 

ハテナマークを浮かべる2人を無視し、俺は住居件販売所を出る。

どうしようもない2人は俺についてくる。

 

 

「なんぞこれ……」

「oh……」

 

俺が2人を無視して進み、到着した場所で唖然とする。

 

ちょっと開けた場所で戦い、大騒ぎしている様はまさにジム。

一応は、この場所はチャンピオンロード……カントー屈指のトレーナーが

 

全て集まっていて、なおかつ全員がそれぞれやりたいようにバトルしているのだ。

普通のトレーナーであればこれは感動モノなのかもしれない。

俺は普通のトレーナーじゃないのでうざったいだけである。

 

あ、ドレディアさんが殴り飛ばしたゴーリキーが

見学してたタクトさんとダークライ巻き込んで壁に激突していった。

まあいいか。ドレディアさんと一緒に居るならあんなもん日常茶飯事である。

 

「おい、ちょ……なん、これどういうこっちゃ?」

「いやぁ、俺も理由話されるまで意味わかんなかったんですけど

 宿屋的なもんもついでに始めたら全員居ついちゃいまして……」

「アイドントノーゥ……どういうことデスカー……」

「あー。俺わかった」

 

ん、やけに理解が早いな。カズさんは話を聞く限りここは初見だと思うが。

 

「飯だろ、絶対。こんな狭ッ苦しいところであれ食えるんなら確かに居つくわ」

「あぁ、そういやカズさんは俺の飯の事も知ってましたっけ」

 

殆どが野営の時に作ってるのと同じモノだ、って。

 

「そんなにおいしいノー……?」

「普通に美味いですよ、リーグ開催まで時間あるし俺等も泊まっちゃいましょうよ」

「ふーム。

 まぁここのトレーナー、ここにALLならマイペースでバトル出来るネー、リトルボーイ、OK?」

「あーはい、いいっすよ。なんかもう諦めも付いたんで。

 でもまあ出来ればその代わり、新商品も買ってくださいね」

『新商品???』

 

 

 

合計で各種6つお買い上げ、マコトに有難う御座います。

身内だし3割増は撤廃してあげといた。

 

 

 

出来ることならこれ以上増えないで欲しいなー。

 

 

 






タツヤに平和はおとずれなぁーーーい!!


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