「起きてください」
真っ暗に沈んでいた意識が身体を揺すられる感覚と、耳元に囁く声によって浮き上がらされる。
久々の感覚だ。
ここ最近は目覚まし時計の冷たい金属音で起こされていたから、この感覚がとても暖かいものに感じる。
久しぶりの心地よさを感じて俺はサッと身を起こす。
「おはよう」
「…おはようございます」
すんなりと起きた俺に驚いているのか、幾ばくかの間を置いて挨拶を返してくる。
いや、驚いているっていうより、どこか不満気にしている。
「なんですか?そのにやけ面は」
「ん?いや別に?」
どうやら顔が勝手に綻んでいたようで、遊佐に窘められるが、どうにも元に戻らない。
それも仕方ないだろうと思う。
俺にとっての日常が帰ってきたのだから。
…よくよく考えたら友人に起こしてもらうことが日常というのも問題だと思うが、そこはさておいておこう。
「ふぅ。起きたのなら早く支度をしてください。岩沢さんが待っていますよ」
「え、もう?」
「ええ。起こしに来る前に少しお話しました」
ということは遊佐が来るまでに既に寮の前で待っていたということだろうか。
いつもなら俺が降りてくる頃に合わせて来ているはずなのに、今日はえらく早く来ているようだ。
少し不思議に感じたが、それよりなにより待たせているのなら早く支度を済まさなければと意識を切り替える。
「悪い、じゃあ待っててくれ」
「はい。わかりました」
「それでさー」
「そうなんですか?興味深いですね」
「…………」
ようやく俺の日常を取り戻して意気揚々と登校(授業は受けないが)しているのだけれど、ここにきて由々しき問題が1つ出来てしまった。
ハブられてる…
このハブるということは、3人組、というより人数が奇数になるグループではよく見られるもので、ハブっている当人達的には特に意識をしてやっているわけではないことは重々わかっているのだけれど、酷く孤独感を感じてしまう。
ていうか、何故こうなった?
今まではこの面子で登校していたってハブられることなんて無かったのに、一体何が違うと言うんだろう。
まあ本来話術に長けている訳でもない俺がこんなガールズトークの間に挟まれていたこと事態がおかしいことだったのかもしれない。
前まではなんでか俺が二人に挟まれて、なんだか険悪なムードが漂っていたし、それに比べたらハブられている今の状況の方が、まだしも良い傾向なのかもしれないな。
仲良きことは美しきかな。という言葉もあるくらいだ。
なら俺もその言葉に則って二人を見守っていこう。
「柴崎さん」
「え?あ、はい。なんでしょう?」
「やっぱり話聞いてませんでしたね」
「えっと、いや、あはは…」
心の中で二人の友情に乾杯をしていたのでもちろん聞いていなかった俺は苦し紛れに笑って誤魔化すことしか出来なかった。
これぞ、ザ・苦笑いだ。
俺の教科書に載せてやりたいくらいの苦笑いを受けて、呆れたように、はぁ、とため息をついてもう一度説明をしてくれる。
「私は用事があるので、今日はお一人で仕事をしてくださいますか?と言っていたのです」
「そりゃいいけど、何の用事だ?」
「椎名さんが英語を教えて欲しいと言うので」
英語…
何故英語?と考えたところで、ピーンと来た。
ピーンと来た、と言ったら何か閃いたみたいだけれど、ただ単に思い出しただけだ。
あの突拍子もムードもない愛の告白を。
これは何か進展でもあったと見るべきかな。
まあ、そこらへんは外野が口を挟むことじゃないな。
ここは遊佐に影ながら頑張ってもらおう。
「了解だ。せいぜいキューピッドになってやってくれ」
「キューピッド…ですか?」
得心のいってないという表情で小首を傾げている遊佐。
まあ何も知らないのに急にキューピッドだとか言われたって訳分からないよな。
「いや、気にすんな。じゃあ今日は一人でやっときゃいいんだな?」
「ええ。…あ、岩沢さんをお連れしても良いですよ?お二人の時間を割くのも心苦しいですし」
「本当か?!」
遊佐が出した提案に、さっきまでただ話を横で聞いていた岩沢が凄い勢いで食いついてきた。
しかもめちゃくちゃ目を輝かしてる。
なんだろう。もしかして仕事姿が見れるとか、そんな期待をされているんだろうか?
だとしたら申し訳ないけど、期待に添えそうにないんだが…
そもそも、俺の仕事って見張りみたいなもんだし。
「はい。柴崎さんがサボらないよう見張っていてください」
「わかった!」
「いやサボらねえよ」
もし俺がサボるとしたら岩沢に甘えられた時くらいだ。
「では、これを渡しておきますね」
「ん?なんだこれ?」
ゴソゴソとポケットを探って俺に手渡した物は、イヤホンによく似た機械だった。
「それ盗聴器と繋がってますので、怪しい動きがあれば着けてください」
「盗聴器なんて仕掛けてたのか?!」
今まで一緒にやってきたけど、そんなの見たことも聞いたこともないぞ。
いや、落ち着け。もしかしたらまだ冗談でした、なんてオチがあるのかもしれない。
「はい。校舎やグラウンドはもちろんのこと、学校の外にも無数に仕掛けています」
俺の淡い期待は早くもかき消されてしまった。
いや、ちょっと待ってくれ。なら俺たちにプライバシーだとかは無いってことか?
「そうなりますね。こう言うのもなんですが、あまりそこら中でイチャイチャするのは避けた方がよろしいかと」
「聞いてたのか?!」
ここ一週間の俺と岩沢の会話を…
「もちろんです」
「最悪だぁぁぁ!」
あんな恥ずかしい会話を聞かれていたのか…?
顔から火が出て死にたい…
「ことあるごとに可愛いとか抱き締めたいとか言うのやめた方がいいと思いますよ?」
「やめてくれ!これ以上俺の心を傷つけないでくれ!」
俺のメンタルは固めていない砂のお城くらい脆いんだ!
「ていうか、怪しい動きなんてしてないんだから盗聴するなよ!」
「いえ、柴崎さんの岩沢さんに対する態度は充分怪しいかと」
「それは可愛いからしょうがないんだよ!可愛いから!!」
「そんな可愛いとか…」
これは別に大事なことだから2回言ったとかそういう訳でなく、溢れ出した俺の熱いパッションゆえだ。
そしてそれを聞いて照れている岩沢も可愛過ぎる。
生きるのが辛い。
嘘です。幸せすぎます。
ん?いや待てよ…?
「可愛いけど、美しくもある…!?ど、どっちが本物の岩沢なんだ…?!」
「そんな美しいとか…褒めすぎだってば」
「今すぐお二人とも消えてください」
閑話休題。というか、場面転換。
あのあとかなり遊佐がやさぐれてしまって、宥めるのに苦労したがなんとか元の遊佐に戻ってくれた。
そして椎名との約束の時間が迫っていると言って俺に盗聴の機械を押し付けて、ざっくりと使い方を説明した後、足早に去っていってしまった。
そんなこんながあって、今俺と岩沢は屋上にいる。
俺と岩沢が初めて話して、そして後に付き合うことになった思い出の屋上。
何気に付き合いだしてから来るのは初めてだったりする。
まあ今日はそんな甘い気分に浸る前に仕事をしなきゃいけないんだけど。
「じゃあ始めるか」
「…そもそも仕事って何するの?ギター弾くとか?」
「それはお前の仕事な。俺の仕事はここから皆を監視…もとい、見張ることだ」
「監視って…」
あ、マズイ。
つい口が滑ってしまった。岩沢なら誤魔化せるかと思ったけど、やっぱり監視はマズかったか?
「地味だな」
「…そうだな」
それでこそマイエンジェル岩沢だ。
俺からすれば天使より余程天使だ。
純粋無垢すぎる。
「ん?なんだ?なんで頭を撫でるんだ?」
「あ、悪い。つい」
知らず知らずの内に頭を撫でてしまっていたらしい。
岩沢の可愛さに手が吸い込まれてしまっていたようだ。
「いや別に…嫌じゃないし」
「可愛い!!」
思ったことを言ったのは良いけど、言った後に自分の台詞を思い出して照れている岩沢に辛抱堪らなくなって抱き締める。
「ちょっ、柴崎!?乱暴にしちゃ駄目だって!」
「ああ、すまん。つい」
思わず力が強くなってしまった。
苦しい思いをさせてはいけないと手を離す。
「いやだから嫌じゃないけど…でも今日は仕事するんだから、そういうのは仕事終わった後にしような」
「終わった後…思う存分…?」
「言ってない!そんなことは言ってないから!」
「冗談だって冗談」
「いや目が血走ってたよ?」
おっと、目は口ほどにものを言うが、まさかそこまで完璧に見抜かれてしまうとは。
気を付けないと。
「もう。いい加減始めようよ」
「いや、もう始めてる」
「え?監視するんだよな?」
「ああ。ちゃんと見てるぞ。俺は基本双眼鏡使わないから、話しながらちゃんと裸眼で見てたぞ」
「へぇ。やっぱり便利だね。その目」
確かに岩沢の言う通り便利だ。
特にこの仕事だと余計にそう思う。
双眼鏡を使えば確かに遠くまで見えるけど、あれを使って長時間監視を続けるのは有り体に言って疲れるのだ。
あまりキョロキョロと辺りを見渡していると酔う時もあるし。
だから俺が来てからは遊佐は基本的に俺に見張らせて、何かおかしなことがあれば報告させて遊佐が確認するという手筈になっている。
「ねえ、そういえば盗聴器とかあるんだよね?」
「ああ、そういや渡されたな」
なんでそんなことを聞くのか分からないけど、分からないなりに素直に返事をする。
「じゃあさ、気になった奴らの会話を聞くってのはどう?」
まるで悪戯を思い付いた子供のような無邪気な笑顔に思わず一も二もなく頷いてしまいそうになる。
が、しかし
「いや、そりゃマズイだろ?皆にもプライバシーってのがあるし」
「だから気になった奴だけだって。怪しい動きしたら聞いて良いって遊佐も言ってたし」
そこまで言われると、彼氏として彼女のちょっとした我が儘くらい聞いてあげたくなってしまう。
それに岩沢がこういうことに興味を持つのも珍しい。
「じゃあちょっとだけだぞ?」
「やった!柴崎大好き!」
そんな調子のいい一言でも言われると嬉しさが込み上げてくるから不思議だ。
「で、具体的に誰のが聞きたいとかあるのか?」
ここまで言うってことは何か目的のようなものがあるんだろう。
「ガルデモのメンバーが普段何話してるのか見たいな」
「ああ、なるほど。それは気になるかもな」
今日はバンドの練習は休みと伝えているから今頃各々で何かやっているだろうと、とりあえずガルデモの誰かを探す。
「居た」
「誰?」
「ひさ子だな。藤巻と一緒だ…ってぇ!あー、いや!勘違いだな!うん!」
ま、マズイ…ひさ子が髪解いてるってことは、あの時と同じ状況ってことだろ…?
それはさすがに見られるのはマズイ…!
「え?どっちだよ?」
「人違いだったんだ!ひさ子はちょっと見当たらないな!次、次探そう!」
まあ別にいいけど…と、明らかに不審な俺を訝しそうに見ている。
あ、危なかった…
とりあえず早く違う誰かを見つけないと…
「あ、関根だ。それに直井」
「どこ?」
あそこ、と二人の居る方を指さす。
そしてその方向に双眼鏡を着けて目を向ける。
「本当だ。最近仲良いよねあの二人」
「いやあれは関根が一方的に絡んでるだけなんじゃ…」
言いつつ遊佐に教えられた通りイヤホン操作する。
すると、耳に何か音が流れてきた。
『ねえねえどこ行くの?』
関根の声だ。
『うるさいな。どこでもいいだろ』
次いで直井の声。
それを聞いて俺と岩沢は目を合わしてニヤリと笑う。
悪戯が成功した子供のような気分だ。
この微妙な背徳感が楽しさを後押しする。
『ええ~いいじゃん行き先くらいー』
『馴れ馴れしいやつだな…音無さんと柴崎さんを探してるんだ』
しつこく訊いてくる関根に渋々といった体で行き先を教える直井。
大分あの難儀な性格も改善されてきたな。
『さあ、分かったらとっとと去れ。邪魔だ』
…いや、全然直ってなかった。
『そんなこと言わずにさ、あたしと遊ぼうよ。あたし今日練習なくて暇なんだ~』
しかし関根は全くめげないどころか、直井を遊びに誘い出した。
『なんで僕が貴様と遊ばなければいけないのだ』
『だってお友達でしょ?あたしたち』
「すごいなアイツ…全然めげねえ」
「まあね。あれくらい出来なきゃ何回ひさ子に怒られてもライブでアドリブを入れるなんて出来ないさ」
物凄く鼻高々と言っているが、関根のそれは決して褒められたことじゃないと思うんだが。
『第一、何故僕なんだ。他にいくらでも居るだろう』
『え…いや、それはあの、その…』
直井の問いに、先程までの勢いが嘘のようにしどろもどろになる関根。
心なしか赤面しているように見える。
『ちょ、ちょうど見かけたからさ、ちょうど良いから遊ぼうかな~って』
『ああ、そうか。ちょうど見かけたくらいなら他の奴と遊んでおけ!』
『ええ?!なんで怒ってるの?!ちょっと待ってよ直井くん~!』
関根の台詞のどこが癇に障ったのか分からないが、直井は怒鳴った後スタスタと早足にその場を去っていき、関根はそれを追っていった。
聞いていた盗聴器の範囲から出ていったようで、声が聞こえなくなる。
盗聴器は無数に仕掛けてあるから、二人を追おうと思えば追えるのだが、ここらでやめておくことにしよう。
「しかし、何で直井は怒ってなんだろうな?」
岩沢は一旦耳からイヤホンを取ってそう言う。
「大方、その他大勢扱いが気に入らなかったんじゃないか?ほら、特別扱いが大好きな奴だし」
「なるほど。それもそうだな」
俺の返答に納得してくれたらしく、あっさりと引き下がる。
その間に他のメンバーを探す。
「あ、ユイだ」
「ん?本当だ…間接技かけてるな」
「これは…盗聴する必要ないか」
「そうだね」
きっと他愛もない痴話喧嘩だろう。
日向がデリカシーのないこと言ったとか。
「あ、居たぞ」
「入江か?」
「ああ。大山も一緒にいる」
二人は人気のない教室に二人きりで立っていた。
俺は再度イヤホンを操作して、盗聴を開始する。
どうでもいいけど、やっぱり盗聴するって言葉の響きはすごい威力だな。
『今日は練習お休みになったんです』
『そうなんだ。じゃあ今日は好きに遊べるんだね。何しよっか?』
さっきの関根と直井の時のように二人の会話が流れてくる。
『大山さんと居られるなら何でも良いですよ?』
『本当入江さんって男心くすぐるのが上手いよね』
照れているのか、頬を人差し指でポリポリも掻いている。
そして大山の言葉を受けて入江が赤面する。
『そ、そんなつもりじゃ…』
『あはは、分かってる分かってる。言いたくなっただけだよ』
『もう、からかわないで下さい』
入江は拗ねてしまったようで、プイッとそっぽを向く。
いや、つーか…
「なんだこの甘々会話は…」
「全くだな…なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなってくるな」
端から見れば勝手に盗聴しているくせに何を勝手なことを言っているのだという感じだが、本当にむず痒くなるような会話なのでしょうがないと思う。
『ごめんごめん。そんなに怒らないで?ね?』
『もう知りません』
何とか拗ねた入江を宥めようとしているようだが、上手くいっていない。
駄目だなこりゃ、と思っていると、急に大山が入江の肩を掴んで顔を自分の方に向かせる。
何をするんだ?と思うのと同時に、入江にキスしだしやがった。
何をやってるんですか大山さん?!
『あ、ちょっと…大山、さん…』
突然キスされた入江の悩ましい声がイヤホンから流れてくる。
「ちょ、ちょっと柴崎マズイって!は、早く切らないと!」
「わ、分かってるって!」
唐突な情事に気が動転しながらも、イヤホンのスイッチを切る。
「「…………………」」
そして訪れる沈黙。
あんなところを見せられてしまって、急激に思い知らされる今の状況。
恋人が誰もいない場所で二人きり。
大山と入江の状況と全く同じ。
「えっと、お、驚いたな~。まさかあの二人があそこまで進んでるとは」
とりあえず冗談めかした台詞で場を取り成そうと試みる。
しかし心臓はバクンバクンと激しく打ち付けられている。
「そ、そうだな。まさか二人きりになった途端キスするなんてな…あはは…」
岩沢もそれに乗ってくれてはいるんだが、いかんせんぎこちなさが取れない。
そして俺はというと、岩沢の言った二人きりという台詞を聞いて何度も頭の中で繰り返している。
ど、どうする…?
俺達だって恋人同士には違いないんだし、大山たちみたいにしたって、何もおかしなことはないんじゃないか?
そもそも一回ここでキスもしたことがあるし…なら、今の状況は2回目(実質は3回目なのだが)のキスをしたって構わないんじゃないか?
「えっと、柴崎?」
「は、はい?!」
色んなことが頭を巡っていた時に呼びかけられ、返事をする声が裏返ってしまう。
「な、何だか胸が苦しいんだけど…すごく、ドキドキしてる…」
何を思ったか、そんな誘惑するような台詞を口にする岩沢。
そのドキドキのせいなのか、頬は紅潮し、目も潤んでいて、酷く艶かしい。
こ、これはつまりそういうことなんだろうか…?いやでも、岩沢そっちの知識は皆無なはずだし…
「あたしたちもキス…する…?」
こ、これは…どうすれば…
1 軽いキスをする
2 深いキスをする
3 押し倒す
いやバカか?!
なんだあの選択肢3は?!
いきなりそんな大人の階段上れるか!
「柴崎…?」
一人でうんうんと唸っている俺を心配したのか、器用に上目遣いでこちらを窺ってくる。
本当にマズイ…俺のSAN値がマズイことになってる…
このままじゃ本当に選択肢3をやってしまうかもしれない…
なら、完全に理性が削られる前に軽いキスをすればいいんじゃないだろうか?
うん。そうだ。それが一番だな。
「岩沢…」
「う、うん…」
ガシッと肩を掴むと、岩沢も俺が何をするか理解したようでギュッと目を瞑る。
そして少し突き出された唇に、まるで引力があるかのように吸い込まれ、徐々に距離が縮まっていく。
あと数㎝というところまで近づいた時に、ガチャリと音がする。
音のした方に目をやると、遊佐が立っていた。
無表情で。
いつもの無表情より、より無表情で。
「…えーと、すみませんでした」
棒読みでそう言って、ガチャリとドアを閉める。
それを確認してからソーっと岩沢の方を見ると、目を点にして固まってしまっている。
「お、おーい岩沢ー?」
身体を揺すってみても反応はない。
こりゃ駄目だな…
しょうがない、と身動き1つ取らない岩沢をおんぶする。
あまりの肩透かしっぷりに、はぁ、とため息をつく。
「2回目は、いつ出来るんだろうなぁ…」
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