デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~ 作:瑞田高光
2014年○月○日
同時期に広島・大阪等で少年や青年、女性たちが異世界であるデジタルワールドへ旅立っている時、暦の上では春ではあるが、まだところどころに雪の残っている新潟県は魚沼市……お米所として知られているここにもまた、デジモンを愛してやまない少女が居た。
「デジモンの世界行きたいなぁ……」
彼女の名は小野香流(おの かおる)。彼女には愛してやまない人が居た。彼女はスッと立ち止まって山の方を見て、口に手を添えて大声を出した。
「デジタルワールド行って輝一と旅がしたーい!」
そう、彼女はデジモンフロンティアの木村輝一が一番好きなのだ。と言うのも、彼女自身が友人との恋バナになると真っ先に輝一を上げては自分の好みと輝一のキャラが合致している事を喋っていくのだ。そのペースは止まる事を知らぬため、誰かが途中で止めて別の話題に変えないとダメな程である。
「でも、会えるなら……会いたいなぁ…………」
香流がそう呟くと、持っていたポシェットに入れていた携帯が鳴った。
「……ん? 非通知のメール??」
そこにはこう記されていた。
『貴女が最も会いたいと願うものに会える機会があります。この機会を使いたいですか? 使いたい場合、CoCoRo新潟の地下デジタル階までお越しください』
「えっ……何これ…………」
香流は明らかに怪しいメール文章にドン引きしてしまった。しかし、本当に輝一に会えるなら会いたいという思いも少なからずあった。メールには続きがあったらしいため、そのまま画面をスクロールしていくと……
『p.s.現在、あなた方のデジタルワールドを虚悪なるデジモンが支配しようとしております。更に、そのデジモンは、デジタルワールドを支配した後にあなた方の世界を支配しようとするでしょう。その危機に立ち向かえる方々にメールを送らせて頂いてます』
「いや、明らかにこっちが本命だよね!? どう考えてもこれこっちの方が本題だよね?! p.s.付けるの逆だって!!」
その内容に思わず香流は突っ込んでしまう…………が、軽く溜め息を吐くと
「…………ま、コッチの世界にまで被害が及ぶのなら……行かないとね」
笑顔になりそう言うと、そのまま現在地から最も近い駅である小出駅へと向かった…………
「だって、輝一に会えて、旅して敵を倒したら好きになってくれるかもしれないし、デジモンとも会えるこの機会を逃したら損でしょ!!」
明らかに目的と手段が入れ替わってしまっているが…………大丈夫なのだろうか……
それから、1時間程が経過して……香流は、新潟駅に到着した。
「よおっし、確かCoCoRo新潟の地下だっけ……デジタル階って何処なんだろ…………」
香流は目的の場所を反復しながらCoCoRo新潟の中へと入っていきエレベーターを探した。
「ん~と…………あ、あった!」
香流はエレベーターを見つけ、真っ先に乗り込むと、地下5階のボタンを押した。そして、エレベーターの中でふと、何かを思い出した。
「あれ? 確かこのシチュエーション……どっかで見たような…………あ、デジモンフロンティア!」
一人で何かを考えていて、ふと大声で叫ぶと、咄嗟に辺りを見渡した。すると、エレベーターの階表示が既にB5Fを過ぎている事に気付いた。
「えっ、えっ、本当に!?」
香流が軽くパニックになっている間もどんどんエレベーターは降りていき……
「うわあぁぁ!!」
エレベーターが止まり、その扉が開くと、そこにはテレビで見たあのターミナルの光景が香流の眼下に広がっていた……そして、そのターミナルの奥の方にある乗り場に1台の列車の様なものが止まっていた。
「あ、アレって…………トレイルモン!?」
香流は目を輝かせてその列車……もとい、トレイルモンの元へと駆け寄った。拓也達の乗っていたトレイルモンとは違うように見えたが、それでも、見続けていたトレイルモンであると確信できた香流は早速飛び乗った。
「うわぁ……すごぉい!!」
香流は目を輝かせながら中を見渡していると、トレイルモンの扉が閉まる音が聞こえたため外の窓を見てみると、動き出しているのが見えた。
「これから、旅が始まるんだ……!」
香流は目を輝かせながら外の景色を眺めていた。