デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~ 作:瑞田高光
2014年○月○日
大阪市天王寺区……ここはあの有名なお寺の1つである四天王寺があり、更に今田○司さんや、和田ア○子さん等……多数有名人を輩出している地区である。
そして、この地区にある一棟のモダンな外装の4Fにある角部屋の一室にて、スーツ姿をしておりお客の対応に追われている女性がいた。
「はい、コチラが原本の書類ですね。そして……コチラが頼まれたギリシャ語、英語にそれぞれ翻訳を済ませた書類となっております。特急要請でしたので、割高となり……このお値段ですが、問題なかったでしょうか?」
「はい! 大丈夫です。後程振り込んでおきます。本日は忙しい中特急でやって頂き、ありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございます。またのご依頼お待ち申し上げております!」
彼女の名は峪 奈緒(たに なお)。高校卒業後、語学留学の旅で4年間ギリシャに滞在していた時に学んだスキルを使って、2年前にギリシャ語&英語専門の翻訳事務所を立ち上げた事務所の所長。ただし、従業員は彼女一人だけである。しかし、ギリシャ語の翻訳はまだ数が少ない為か、仕事の依頼が予想より多く……想像よりも忙しくなりそうだったために、自室の隣の部屋を1部屋追加で借りてその部屋を仕事部屋へと変貌させた。
「ふぅ、最近忙しいからなぁ……たまにはのんびり動物と触れあって癒されたいなぁ…………」
奈緒がそんな風に呟いていると、突如、宅電が鳴り響いた。
「はいはい、今出ますよーっと! もしもし、峪ですけど……」
奈緒が電話に出ると、電話口から切羽詰まった声が聞こえた。
『あの、私達の世界を救ってください!!』
「はっ!? いやいやいや……あの、どうしたんですか!?」
突然、電話で助けを求められ戸惑いつつもどうしたのか理由を訊ねる…………が電話の主は聞こえていないかのように続けた。
『早く助けてください! 貴女方の世界にも被害が及ぶ可能性があるんです!! 貴女なら、助けてくれると信じています』
「へっ、いや、あの……だから…………どうして私なんですか?!」
『あべのハルカス地下の最下層にエレベーターで来てください! 貴女の事をお待ち申しております。出来るだけ早く来ていただけると幸いです』
理由を尋ねようと試みるも、相手は自分の願いを言うだけいって切ってしまった……
「な、なんなの……あの人…………凄く切羽詰まった感じだったけど…………」
戸惑いを隠しきれていないまま電話の受話器を元に戻した奈緒は、少し考えていた。
「私達の世界とあの人の世界が危機に瀕している……って言ってたよね…………もしかして、私Heroになれちゃうのかしら…………」
英語の部分だけ発音が良いのは職業病なのだとか……
「……まぁ、行ってみるしか無さそうね。Let's go!」
奈緒は財布や携帯等を入れたポーチを手に取り、自室を後にした。
「よっし、あべのハルカス着いたぁ! 確かElevatorで最下層だったっけ……」
奈緒はここまで来る道中、28回もつんのめっていたが、転けることなく無事に目的地に到着し、そのままエレベーターに乗り込んだ
「…………あれ?」
……かのように思えた。否、確かに奈緒はエレベーターに乗り込んだ。それはまちがいない。しかし、エレベーターの扉が閉まった途端に、辺りの景色が一変し、色々な色が混ざりあっているように不思議な空間に居たのだ。
「え、これ、どういう……こと…………?!」
奈緒が戸惑っていると、突如として一陣の風が吹き、奈緒の体に吹き付けた。
「きゃあああああああぁぁぁ…………」
奈緒は予想だにしなかった突然の風に対応できる筈もなく、体のバランスを崩して、一気に何処かへと飛ばされていった…………