デジモンアドベンチャー エクストリーム~6色の新たなる選ばれし者達の冒険~   作:瑞田高光

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碧色と希望の出会い

 ここは建物の殆どが機械で出来ている街……そして、この街の中心地には大きな溶鉱炉等の設備が整っている…………そんな街に、一人の青年が降り立った。

 

「ここは……一体…………?」

 

 青年……水谷桂吾は辿り着いた場所で辺りを見渡していた。そこは何やら街の様ではあったが自分の見知ってる様な街とは違っていた。

 

「と、とりあえず……ここが何処か調べないと…………」

 

 桂吾は少し辺りを警戒しながらも先に進んで行った。すると……

 

「…………?」

 

 桂吾が建物の影からコチラを見ていた視線に気づき、振り返るとコチラを見ていた【何か】は慌てて建物の影へと消えていったのが見えた。桂吾は警戒を強めて【何か】のいた建物の影へと歩いていった…………そして【何か】が隠れていた場所を覗いてみると、そこに居たのは…………

 

「…………えっと、このデジモン…………ドラクモン……だっけ?」

 

 右目部分が赤く、左目部分が緑色になっている仮面のようなものを被っている両手の手のひらに目玉を持つデジモン……ドラクモンだった。

 

「確かイタズラ大好きなデジモンだったよね……? もしかして、ここってデジタルワールド……?」

 

 ふと、ドラクモンをジッと見ていた桂吾だったが……また別の視線に気付いた。

 

「(誰かいる?)…………っ?! う、嘘……本物……?」

 

 桂吾が振り返ると、そこには自分の憧れていたアニメ……デジモンのキャラであるはずの金色に輝く短く刈られた髪と青い瞳が日本人と言うよりも外人を思わせる姿の高石タケル、そして……タケルに抱かれている哺乳類のようなデジモン……パタモンがいた。この光景に桂吾は驚きを隠せなかった……

 

 

 

 

「……ル…………きて、タ……」

 

「う、うぅ……」

 

 桂吾がデジタルワールドに来たのとほぼ同時刻……別次元のデジタルワールドの危機を選ばれし子どもとして二度も救った短く刈った金髪の青年……高石タケルは、街の外れで目を覚ました。そして、タケルが胸元に目線を向けると……

 

「タケル、おはよ!」

 

「あぁ……おはよう。パタモン」

 

 そこには共に旅をして……共に戦ったタケルにとって、とても大切なパートナーであるパタモンが笑顔で微笑んでいた。タケルはその微笑みに思わず自身も微笑み返してはパタモンの頭を撫でてあげた。

 

「それにしても、ここは一体……アンドロモンの街に似てるけど…………」

 

「うん……ボクも最初はそう思ったんだけど……多分違うと思うんだ。工場っぽいのも見当たらないし…………」

 

 タケルが立ち上がって訊ねると、パタモンも首をかしげて答えた。どうやら、知り合いのデジモンのいる街では無さそうだった。すると……

 

「……デジヴァイスが震えている?」

 

 タケルは自分のズボンのポケットに入っているデジヴァイスが震えているのに気付いて取り出して確認してみる。すると、その画面には碧色の点と緑色の点が表示されており、その距離からそれほど離れていない場所に誰かいる事を表していた。

 

「……これ、誰か他にも居るのかな?」

 

「もしかして、大輔か空さん居るんじゃない?」

 

「うん、その可能性はあるよね。行ってみよう!」

 

 その画面を見ていたタケルとパタモンは近くにいる相手を探すために、移動を始めた。

 

 

 

「デジヴァイスに反応があったのはこの辺りなんだけど……」

 

「あ、タケル! あそこに誰かいるよ!」

 

「……どうやら、彼を指し示してる様だね…………」

 

 少し歩くと、パタモンが誰かを見付け、タケルもそれを視認出来た。

 すると、相手もタケルに気付いた様子で振り返ると、驚きの表情になっていた。

 相手の青年は黒っぽい緑色のTシャツに碧色のシャツを羽織っていて、濃い青色のジーパンを履いていた。すると、青年は驚きの表情のまま呟いた。

 

「う、嘘……本物……?」

 

「……?」

 

 青年の呟きにタケルはただ首をかしげるだけだった……

 

 

 これが、青年……水谷桂吾と高石タケルの出会いだった。


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