ウルトラマンゼロの使い魔   作:焼き鮭

13 / 147
第十二話「ウルトラマンゼロ朝焼けに死す」

ウルトラマンゼロの使い魔

第十二話「ウルトラマンゼロ朝焼けに死す」

凶悪宇宙人ザラブ星人

分身宇宙人ガッツ星人

極悪宇宙人テンペラー星人

暗殺宇宙人ナックル星人 登場

 

 

 

「ザ、ザラブセイ人!?」

「こいつが、宇宙人!」

 ジェームズ一世に化けていたザラブ星人が正体を現すと、ウェールズとルイズは再度驚愕した。二人とも、名前だけは耳に挟んでいたが本物の宇宙人を初めて目にして、言葉を失う。

 しかしウェールズが一番に立ち直り、ザラブ星人に詰問する。

「貴様! 本物の父上はどうしたというのだ!」

 するとザラブ星人は、丸で何でもないことのように答えた。

『万が一、本物と出くわしたら面倒なことになるのでな。昨晩の内に始末して入れ替わったわ。何、構わんだろう? どうせ今日の内に死ぬつもりだったのだから』

 その台詞に、ルイズは言葉をなくした。

 それ以上に、ウェールズは怒りで震え、ザラブ星人に杖を向けた。

「許さん貴様ぁぁぁッ! 我が魔法で塵に帰してッ……!」

 しかし言い終わらない内に、ワルドの『エア・ニードル』で胸を貫かれた。怒りで気がザラブ星人にそれた隙に、持ち直したのだった。

 ウェールズの口から、血の塊が零れ、斃れた。

「殿下ぁー!!」

 ルイズが絶叫する中、ワルドは残った右腕で杖を振り、宙に浮いた。

「何だか分からぬが、巻き添えを受けない内に退散させてもらう。目的の一つは確実に果たせただけでよしとしよう。どのみちこの状況では、どちらとももう助かるまい。使い魔ともども灰になるがいい!」

 捨て台詞を残したワルドが、壁に開いた穴から逃げていった。その後で、ザラブ星人がルイズに目を向ける。

『ついでだ。お前も始末するとしようか』

「ど、ど、どうして宇宙人がここに……何でサイトを……」

 ルイズが腰を抜かしておびえながら問いかけると、ザラブ星人はルイズを見下しながら答えた。

『それは当然、あの小僧がウルトラマンゼロだからだ! 奴の存在は我々の侵略計画の大きな障害となる。だがまともに戦ってはこちらの勝ち目が薄いほど、ウルトラマンゼロは強い。だから変身する前の状態の時に致命傷を与えるために、貴様らがこの大陸に来てからずっと機会を窺っていたのだ! そしてたった今、この国の人間の姿で油断を誘い、近づいて不意打ちを仕掛けた。ククク、手間を掛けた甲斐があったというものだ』

「そのためだけに陛下を……許さない! 卑怯者!」

 ルイズがどうにか気力を振り絞って杖を向け、爆発を起こすが、ザラブ星人に軽くかわされてしまった。

『下等生物に何と言われようと、何も感じんなぁ! さて、お前のような小娘と遊んでる暇もないのだ。とっとと、王とそこの王子と同じようになってもらおうか』

 ザラブ星人が微塵の情けもなく、ルイズに向かっていく。

「やめろバケモンが! 娘っ子にまで手を出すんじゃねえ――ぶッ!」

 途中、才人の手から離れて床に横たわったデルフリンガーが怒鳴ったが、ザラブ星人に蹴飛ばされた。

 そしてザラブ星人は、ルイズに腕を向ける。ルイズは恐怖が限界に達して、ギュッと目をつぶった。

 だがその瞬間に、ザラブ星人の肩にウルトラゼロアイの光線が命中した。それによりルイズへの攻撃は阻止される。

『ぬうッ!? まだ動けたのか……人間のくせにしぶとい奴だ』

 ザラブ星人が振り返ると、ウルトラゼロアイを手にした才人が、今にも死にそうな顔になりながらも立ち上がっていた。

「許さねえぞ、ザラブ星人……テメェのせいで、皇太子まで……デュワッ!」

 怒り心頭した才人がウルトラゼロアイを装着し、等身大のウルトラマンゼロに変身した。

『俺が目的なら、相手してやるよ! このウルトラマンゼロがなぁッ!』

 ゼロは速攻でエメリウムスラッシュを撃つが、ザラブ星人によけられる。ゼロはすぐに追撃しようとするが、

『ぐッ!?』

 不意に胸を抑えてふらついた。

「ゼロ!?」

『フハハハハハ! 変身する前の状態のダメージは、そのまま貴様に引き継がれる。私の光線は効いただろう!』

 ゼロの苦しむ様を見て、ザラブ星人が哄笑を上げた。

『今の貴様なら、私一人で倒せる。他の連中にわざわざ手柄を分けてやる必要もない! ウルトラマンゼロを仕留めるのはこのザラブ星人だ――がはぁッ!?』

 言い終わらない内にザラブ星人は、高速で接近してきたゼロに顔面を殴り飛ばされた。

『何か言ったかテメェ? よく聞こえなかったな』

『な、何故そんなに早く動ける!? それだけのダメージを受けて――ごふぅッ!』

 ゼロがまた拳を入れ、どんどんと激しく殴りつけていく。

『この国の王様やぁ! ウェールズ! ルイズが受けた痛みと比べれば! こんなもん何ともねぇんだよ馬鹿野郎がぁッ!』

『がッ! ぐふッ! はがぁッ!』

 ゼロと、才人の叫びをぶつけられながら、ラッシュを食らい続けるザラブ星人は壁に叩きつけられた。

『うおおおおおおお―――――――――ッ!』

 そしてゼロはゼロスラッガーを両手に持ち、光る軌跡が残るほどの速さの太刀筋で振るう技、ゼロスラッガーアタックでザラブ星人の全身を斬りつけた。

『うぎゃあああ――――――!』

 それにより、ザラブ星人は瞬時に爆発して絶命した。

「や……やった……」

 ルイズが放心しながらつぶやいた直後に、彼女の横の地面が盛り上がり、ぼこっと床石が割れ、茶色の生き物が顔を出した。

「えッ? な、何よ一体……きゃああッ!?」

 その茶色の生き物は、モグモグと嬉しそうにルイズの体をまさぐってきた。その行動で、ルイズは正体を理解する。

「あなた……巨大モグラのヴェルダンデ!? ギーシュの使い魔の!」

「こら! ヴェルダンデ! どこまでお前は穴を掘る気なんだね! いいけど! って……」

 直後にヴェルダンデの掘った穴から、ギーシュが顔を出した。そして状況を確認して、ギョッと目を見開く。

「ウルトラマンゼロ!? どうしてこんなところに!? しかも何か小さいし!」

『うるせぇッ! 小さいって言うんじゃねぇ!』

 小さいという言葉に過敏に反応するゼロ。まぁそれは置いておいて、ルイズがギーシュに問いかける。

「ギーシュ、なんであなたがここにいるのよ!」

「いやなに。『土くれ』のフーケとの一戦に勝利した僕たちは、寝る間も惜しんできみたちのあとを追いかけたのだ。なにせこの任務には、姫殿下の名誉がかかっているからね」

「ここは雲の上よ! どうやって!」

 それには、ギーシュの隣から出てきたキュルケが、顔についた土をハンケチでぬぐいながら答えた。

「タバサのシルフィードよ」

「キュルケ!」

「アルビオンについたはいいが、何せ勝手がわからぬ異国だからね。でも、そのヴェルダンデが、いきなり穴を掘り始めた。後をくっついていったら、ここに出た」

 ヴェルダンデは、フガフガとルイズの指に光る『水のルビー』に鼻を押しつけている。

「なるほど。水のルビーの匂いを追いかけて、ここまで穴を掘ったのか。僕の可愛いヴェルダンデは、なにせ、とびっきりの宝石が大好きだからね。ラ・ロシェールまで、穴を掘ってやってきたんだよ、彼は」

「それはいいから、何とかしてちょうだいよ!」

 ヴェルダンデに迫られるルイズは、その鼻を押しのけた。そうしていると、キュルケが状況の説明を求める。

「それより、これは一体どうなってるの? ダーリンがいないで、何でウルトラマンゼロがここに?」

「そ、それよ! たった今大変なことが起きて……」

 我に返ったルイズが説明を始めようとした、その時、

『ザラブ星人、愚かな奴だ。欲をかいて功を焦るとは』

「!?」

 突然、この場にいる誰のものでもない声が礼拝堂に鳴り響いた。

『しかし、こちらとしては都合がいい。競争相手が減ることは、侵略した領土の取り分が増えるということだからな』

 皆が声のした方に振り返ると、そこにはいつの間にか、オウムのような丸い頭をした怪人が立っていた。

「な、何!? あの変な動物は!」

『変な動物ではない!』

 キュルケが思わず叫ぶと、怪人は激怒して訂正した。

『私は如何なる戦いにも負けたことのない、無敵のガッツ星人だ!』

「ガッツセイ人!? また、宇宙人が……!」

 ルイズが驚いて叫ぶが、ガッツ星人は彼女やギーシュ、キュルケらの存在をまるっきり無視して、ウルトラマンゼロに向き直る。

『ウルトラマンゼロ、我々の挑戦はまだ終わりではない。お前を倒すために、私を含めて四つの種族が協同して作戦を練り上げたのだ。ククク、この星の守護者たるお前が倒れれば、ハルケギニア人はたちまち降服することだろう。我々が労せずにこの星を手に入れるために役立ってもらうぞ』

『お前らのような卑怯者が、俺を倒すだと……? 冗談も休み休み言いやがれッ!』

 怒りを覚えたゼロがゼロスラッガーを飛ばすが、その刃はガッツ星人の身体をすり抜けた。

『何!?』

 そして次の瞬間にはガッツ星人の姿が掻き消え、別の場所に出現した。それにゼロもルイズたちも目を見張る。

『分身か! そういえば親父が言ってたな。せこい真似しやがるぜ……!』

『クハハハ! 無駄だ。貴様の能力は既に、怪獣二体を使って分析済みだ。貴様の攻撃は、このガッツ星人には当たらん』

『なるほどな……何か妙だと思ったら、あの怪獣たちはお前らの差し金だったのか……。怪獣にだって命があるんだ! 命を利用して、テメェらは何様のつもりだッ!』

 ゼロは、敵としてぶつかった怪獣たちのために怒った。だがガッツ星人はそれを冷笑する。

『命だと? 下らん。所詮怪獣など、戦いの道具だ。用が済めば、ゴミも同然よ!』

『! 命をもてあそびやがって……そんな奴らを、俺は許さねぇぞッ!』

 冷酷なガッツ星人に啖呵を切るゼロなのだが、それとは裏腹にカラータイマーが点滅をし出す。

『うッ……!』

『許さないだと? 自分の状態と相談してから物を言え。ザラブ星人の攻撃は効いたようだな。その大きさでも、お前のエネルギーは既に切れかかっている。手負いでエネルギー切れ寸前のウルトラ戦士など、怖くも何ともないなぁッ!』

 ガッツ星人がゼロに向けて足を踏み出す。その時、キュルケとギーシュが杖を抜いた。

「援護するわ、ゼロ! ゼロの攻撃は見切れても、私たちのはどうかしら!?」

「よく分からないが、そいつは敵なのだろう! いつも君にはハルケギニアを助けてもらってるんだから、今度は僕たちが君を助けよう!」

「わ、わたしも!」

 キュルケの『ファイアー・ボール』とギーシュのワルキューレ、そしてルイズの爆発が飛んでいく。

 しかし、ガッツ星人は残像が残るほどの超スピードで移動して魔法をかわし切った。

「は、速い!」

「何てスピード!? ありえない……」

『貴様らハルケギニア人など、相手にならん』

 ガッツ星人はいつの間にか、キュルケたちの背後に立っていた。三人の顔から一気に血の気が失せる。

『伏せろぉッ!』

 ゼロが声を上げて、ルイズたちが咄嗟にしゃがむと、エメリウムスラッシュが彼女たちの頭上を越えて地面を薙ぎ払った。だが肝心のガッツ星人は、また高速移動をして逃げる。

『クックッ、焦るな焦るな。ここでお前と戦うつもりはない』

『何ぃ?』

 ガッツ星人がうそぶくと、ゼロが怪訝な顔をした。

『言ったはずだ、お前が倒れることでハルケギニア人を降服させると。そのためには、もっと大勢が見ている前で勝負をする必要がある。そら、私の仲間が表に現れるぞぉ』

 その言葉の直後に、礼拝堂を突然の大きな揺れが襲った。同時に、外から巨大な何かが降り立った轟音も鳴り響いた。

 

『ウルトラマンゼロ! 出てこぉぉぉぉぉぉいッ!』

 朝焼けに照らされるニューカッスル城の前に突如現れた青い肌で金色のマントのようなものを羽織った、大柄な巨大宇宙人に、城を包囲している貴族派の軍隊と、城を警護している王党派の兵たちの両方が驚愕した。その場にいる誰もが、天にそびえ立つような異形の巨人を目にしたことなど、生涯に一度としてなかった。

 この宇宙人の正体は、かつて同族がウルトラの国の爆破を目論んだり、伝説のウルトラ六兄弟をたった一人で窮地に追い込んだりとウルトラ一族を大いに苦しめた恐るべき極悪宇宙人、テンペラー星人である。

「な、何だ!? あの巨大な怪物は!?」

「あれが噂の、カイジュウという生き物か!?」

『出て来なければ、ここにいる人間どもを全員灰にしてしまうぞぉッ!』

 テンペラー星人は人間たちの動揺を完全に無視すると、彼らに向けていきなり、両手のハサミから灼熱の火炎を放ち始めた!

「ぎゃああああああッ!?」

「うッ、うわあああああああああ! 退却! 退却だあああッ!」

「助けてくれええええええ――――――――!」

 火炎は貴族派も王党派も関係なく襲い掛かり、兵士数十人を纏めて火達磨にする。一気に恐慌状態となった貴族派は隊列をそろえるどころではなく、てんでバラバラになって退却していき、逃げるところのない王党派は水のメイジを中心に必死に消火活動に当たる。

『ぐははははは! 恨むならウルトラマンゼロを恨めぇッ!』

 無関係な人を次々に焼き殺しながら、テンペラー星人は傲然と言い放った。

 

『な、何てことを……!』

 その様子を超感覚で捉えたゼロが絶句した。そこにガッツ星人が、嘲笑混じりに宣告する。

『私も外で待っているぞ。一人でも助けたいんだったら、早く表に出ていくことだな』

 そう言い残して消えるガッツ星人。

『くそッ! 許さねぇぞ、侵略者ども……!』

 ゼロはすぐに礼拝堂を飛び出していこうとするが、そこをルイズが思わず呼び止めた。

「ま、待って! そんな状態で戦うつもりなの!?」

『……』

 ルイズたちに振り返ったゼロは、短く告げた。

『お前らは早く逃げろ! 俺のことは……心配するなッ!』

 そして青く輝く光になると、ステンドグラスを抜けて礼拝堂の外へと飛んでいった。

「ゼロ……」

 キュルケとギーシュが急展開についていけずに言葉をなくしている中、ルイズはゼロの身の心配をぬぐうことが出来ずに、ひと言つぶやいた。

 

「デュワッ!」

 礼拝堂を抜けた光は、49メイルの大きさまで巨大化したゼロの形に戻って、テンペラー星人の目の前に着地した。するとテンペラー星人は、人間たちへの放火をやめてゼロに向き直る。

『出てきたな、ウルトラマンゼロ! この浮遊大陸が貴様の墓場となるのだぁ!』

『ゴチャゴチャうるせぇ! テメェら絶対……この俺がぶっ倒してやる!』

 啖呵を切ったゼロが速攻でワイドゼロショットを発射する。しかしテンペラー星人はそれを、正面から平然と受け切った。

『ぐははははは! 効かんなぁ!』

『何ッ! くそぉ……!』

 先ほどからカラータイマーが鳴りっぱなしで、エネルギーが残り少ないというのに、テンペラー星人に必殺技が通用しない。この事実に、ゼロはたじろいだ。

『今度はこちらの番だ! 食らえ! ウルトラ兄弟必殺光線!』

 テンペラー星人のハサミから放たれた光線が、ゼロの身体を焼く!

『ぐあああああああッ!』

『ウワハハハハハ! この光線はウルトラ一族の貴様には、地獄の苦しみだろう!』

 ウルトラ兄弟必殺光線は、テンペラー星人がウルトラ戦士を打倒するために作り出した切り札。ウルトラ一族の肉体を破壊する凶悪な効果があり、ウルトラ六兄弟もこれに苦しめられた。ゼロもまた、この光線で大ダメージを受ける。

『ぐぅぅ……はぁッ!』

 しかしそこはゼロ、やられっぱなしではない。横に転がって光線から逃れると、素早くゼロスラッガーを飛ばしてテンペラー星人のハサミをはね飛ばした。

『ぬぐッ!? やりおるわ!』

『そんなもんで、この俺を倒せると思うなぁッ!』

 ゼロが吼え、ウルトラ兄弟必殺光線を恐れずに向かっていこうとする。

 だが足を踏み出したその時に、背後から破壊光線を浴びて止められた。

『うぐぁッ!?』

『クックックッ。私もいるのを忘れてもらっては困るな』

 背後から攻撃したのは、ゼロと同様に巨大化したガッツ星人だった。ゼロはテンペラー星人とガッツ星人に挟み撃ちされる形となる。

『ガッツ星人! 手柄を横取りする気か!』

 テンペラー星人が責めると、ガッツ星人は飄々とした様子で返す。

『ふん。こういうことは自由競争、早いもの勝ちだッ!』

 そしてゼロは、ガッツ星人の目から放たれる拘束光線と、テンペラー星人のハサミからのビームウィップを同時に食らうことになる。

『うぁッ! ぐッ! ぐあああああああッ!』

 縛られて身動きを封じられてから、ビームウィップで繰り返し殴られ、ゼロは耐え切れずに絶叫を上げた。

 しかし地獄は、まだ終わりではなかった。

 

「逃げろおおおお! 化け物どもに踏み潰されるうううッ!」

「誰かお助けをぉぉぉぉぉぉぉ!」

 貴族派の兵士たちは、大暴れする宇宙人たちにすっかり恐れをなして、我先にと逃げ出している。

「おい待て! 勝手に持ち場を離れるな! 敵前逃亡になるぞ! 戻ってこんか、平民どもがッ!」

 しかし、この状況下でも指揮官役のメイジが、戦場から兵がいなくなるのを良しとせずに止めようとしている。すると、彼に声を掛ける者が現れた。

「いや。今きみのすべきことは、全軍を後退させて安全を確保することだよ」

 と言ったのは、鷲鼻に碧眼の聖職者風の格好の男。球帽からはカールした金髪が覗いている。この男の顔を目にしたメイジが、ギョッと驚いた。

「クロムウェル閣下! どうしてこのような前線へ?」

 聖職者風の男、貴族派『レコン・キスタ』総司令官のオリヴァー・クロムウェルは、当然といったように答えた。

「こんな大事態になって、余が何もしない訳にはいかなかろう。さぁ、状況は把握してる。早く兵の諸君を誘導して下がらせるといい。もちろんきみもだ」

「し、しかし……敵の前からいなくなるなどと……」

 メイジが逡巡していると、クロムウェルは彼を諭した。

「こんなことになって、敵だの戦争だの言っている場合ではない。余にとって死者はともだちだが、さすがに炎に焼かれたり踏み潰されたりして欠片も残らなくなっては、ともだちとは呼べなくなる。さぁ、状況は虚無の担い手である余自身が監視するから、きみは皆の命を大切にするといい」

「か、かしこまりました。閣下のお気遣いにはまことに痛み入ります。どうかお気をつけを!」

 説得されて、メイジは直ちに全軍の避難誘導を行いに下がっていった。それを見送ったクロムウェルは、小さくつぶやく。

「……そうとも。早くいなくなるといい。たとえ虫けらでも、万が一歩く邪魔になられては迷惑なのでね」

 そう言うと、誰の目も周りになくなったことを確認してから、両腕を胸の前で交差する。するとクロムウェルの身体が瞬く間に膨れ上がっていき、テンペラー星人らと同等の身長の、全身に赤い球体のついた細身の宇宙人へと変貌した。同族がウルトラマンジャックを肉体的にも精神的にも極限まで苦しめた、宇宙切っての卑怯者と名高い、ナックル星人である。

 何と、『レコン・キスタ』の総司令クロムウェルは、ナックル星人に取って代わられていたのだ。だが何の目的で? それを考えている暇は、今はない。ナックル星人は腕をブラブラ揺らしながら、必死に二大宇宙人の攻撃から逃れたゼロへと近づいていく。

『なッ!? テメェはナックル星人……!』

 接近に気づいたゼロの顎を、ナックル星人が殴り上げる。

『ぐあああああああッ!』

 殴り飛ばされたゼロは、その先でビームウィップにはね飛ばされ、更にガッツ星人に蹴り飛ばされる。エネルギーが残り少ない状態で、二人相手でも防戦一方だったのに、三人に増えたことで、最早身を守ることも叶わなくなる。

『くそぉッ! 太陽エネルギーが足りねぇ……こんな奴らに負ける訳にはいかねぇってのに……!』

 ウルトラマンゼロはエネルギーの補充が必要だ。だが、今のゼロには、朝陽のエネルギーではあまりに光線が弱過ぎるのだ。

 そしてゼロは、ガッツ星人の腕からの破壊光線、テンペラー星人のウルトラ兄弟必殺光線、ナックル星人の目から怪光線の集中砲火を受ける。

『うわあああああああああああああああああああああああッ!!』

 朝焼けに照らされるニューカッスルにゼロと、中の才人までもの絶叫がこだました。

 

 ルイズはデルフリンガーを抱えて、キュルケとギーシュとともに城の外に出た。その彼女たちは、ゼロが袋叩きにされてなぶり倒される様子を目にすることとなった。

 悪夢の光景だった。それまで、如何なる敵もどんな力を持った怪獣も、圧倒的な能力で粉砕してきた無敵のウルトラマンゼロ。それが今、三人の宇宙人たちによって完膚なきまでに叩きのめされているのだ。

「! 卑怯者!」

 状況を見るなり、ルイズが叫んだ。ただでさえ弱り切っているゼロを、三人掛かりで執拗に痛めつける侵略者たちの姿は、到底許容できるものではない。キュルケとギーシュも激しい憤りを感じるが、だからといって身長二メイルにも満たない彼らに何が出来るのだろうか。

「ゼロ! 今助けるわ!」

 しかしルイズは、杖を抜いて前に出ると、ナックル星人へと先端を向けた。

 これまで、何の関わりを持たないはずの自分たちを助けるために、はるばる遠くの世界からやってきて戦ってくれているウルトラマンゼロ。その恩を今返さなければ、いつ返すというのか。

(フーケを追いかけた時、怪獣を爆発させたのはわたしなのよ。あの時と同じ呪文を唱えれば、一人くらい……!)

 と自分に言い聞かすが、今はあの時と違い『青い石』が手元にないことが一抹の不安となる。しかしルイズはそれを振り払う。大丈夫、上手く行く。自分に虚無の力が眠っているのならば、今目覚めないでどうするというのか。必ずゼロを助けるんだ……!

「『爆発』!」

 懸命な願いを込めて、あの時口に突いて出たのと同じ呪文を唱えた。

 ……しかし、現実はルイズの万感の想いを裏切った。発生したのは、いつもよりも少し規模が大きいという程度の、とても宇宙人を倒すには至らない爆発。それを脚に受けたナックル星人は、姿勢を崩すだけだった。

「そ、そんな……」

「ルルル、ルイズ! 何をやってるんだい! 怪人がこっちに振り向いたじゃないかぁ!」

「まずいわ! こっちに来るッ!」

 ナックル星人はルイズを凝視し、ゼロの包囲から抜けてそちらへ足を向ける。

『や、やめろッ! ルイズたちに手ぇ出すんじゃねぇ……ぐわぁッ!』

 止めようとしたゼロは、テンペラー星人に殴られて張り倒された。

『虫けらが悪あがきしやがって! しかしお前は、この星でウルトラマンゼロと一番親しい間柄なのだったな。ならば貴様を潰せば、ウルトラマンゼロの絶望もより深くなるだろう』

 ナックル星人が迫ってきて、キュルケとギーシュは慌てて逃げ出す。だがルイズは、その場に立ち尽くしたまま動かない。

「娘っ子! 何してんだ! 早く逃げろ! このままじゃほんとに踏み潰されちまうぞ!」

 デルフリンガーの叫びも、今のルイズの耳には入らない。

 ルイズが逃げないのは、以前みたいにプライドからでも、怖気づいて足が動かない訳でもない。今逃げることは、ゼロを見捨てることに思えてしまうからだ。今にも殺されてしまいそうな彼に背を向けることは、今から殺されると分かっていても、ルイズには出来なかった。

「どうして……どうして、何も出来ないの? ゼロを、サイトを助けなきゃいけないのに……今必要なのに、奇跡を起こせない……わたしには、何も出来ない……」

 ルイズの心には、悔しさを通り越して、悲しみしか湧いてこなかった。ワルドとの戦いの時も、今も、何の力にもなれない。そう思うと、涙が瞳からあふれ出てくる。

 指に嵌まる『水のルビー』に目を落とす。ゼロはどんな命にも掛け替えのない価値があると言った。しかし今はそれが何かの役に立つのだろうか? 自分は、ゼロの戦いに立ち入ることすら出来ない。人間は、ウルトラマンに守られていないと、所詮強大すぎる侵略者に踏みにじられるしかない存在なのか?

「うっ……ううぅ……うぅ……」

 ナックル星人が、巨大な足を振り下ろしてきても、ルイズは泣きじゃくるだけ。やがて涙がひと粒、偶然『水のルビー』に落ちた。

『泣かないで、お嬢さん』

 するといきなり、どこからかルイズを慰める、優しくて爽やかな、全く聞き覚えのない声が聞こえてきた。

「えッ?」

 思わず顔を上げて辺りを見回すが、それらしい人影は見当たらない。当然デルフリンガーの出した声でもない。

 そうしていたら、突然『水のルビー』がきらびやかに輝き出し、銀色の十字の紋様が浮かび上がってきた!

『ゼロは、私が助けます』

「な、何!? 何なの!?」

「こいつは何事だぁ!?」

 依然響く声に、ルイズもデルフリンガーも面食らう。しかしルイズは、十字の紋様に見覚えがあることに気づいた。そう、見たのはごく最近。夢の中で……。

『はぁッ!』

 そして紋様から、巨大な握り拳が突き出てきて、今にもルイズを踏み潰そうとしていたナックル星人を殴り飛ばした。

『ぐわあああああああああッ!?』

 完全に不意打ちをもらったナックル星人は、大きな弧を描いて吹っ飛んでいった。これにテンペラー星人もガッツ星人も驚愕する。

『な、何が起きた!?』

『誰か出てくるぞぉ!?』

 そして紋様からは、拳の持ち主が全身を現して、両腕を肩の位置よりも高くまっすぐに伸ばし、脚をたたんだ独特な姿勢で宙に舞った。しかし頂点の高さに来ると、両腕を下に向け、手の甲のクリスタルから光刃を何発も飛ばす。

『ぐぎゃああッ!』

『ぬおうッ!?』

 光刃はガッツ星人が転倒し、テンペラー星人を後ずさりさせて、痛めつけられていたゼロを救った。

「あ、あの巨人は……!?」

 ルイズが、『レビテーション』で彼女を引っ張ろうとしていたキュルケが、ギーシュも、新しく大地に立った巨人を呆然と見やる。体色はゼロと異なり、緑色と銀色。身体のラインは細く、巨大だが華奢なイメージを受ける。そして一番目を引く点だが、顔には目鼻などのパーツがなく、代わりに黄色に輝く十字のクリスタルが張りついている。

 一体何者なのか? あの、朝焼けの光の中に立つ影は!

『貴様! 宇宙人連合の者ではないな! 何者だッ!』

 テンペラー星人が問い詰めると、新しい巨人は、堂々と名乗った。

『ウルティメイトフォースゼロのメンバー、ミラーナイト。知らなかったかい?』

 

 

 

≪解説コーナー≫

 

※「ウルトラマンゼロ朝焼けに死す」

 

 元ネタは『帰ってきたウルトラマン』三十七話「ウルトラマン夕陽に死す」。新たに開発された超高性能火薬サターンZの輸送計画が、地球侵略を目論むナックル星人に奪われてしまう。ナックル星人は更に侵略の最大の障害となるウルトラマンを確実に倒すため、シーゴラスとベムスターを使って能力を分析。しかしウルトラマンの戦闘力は予想以上で、ただ戦ったのでは勝ち目は薄い。それ故、ナックル星人は史上最悪クラスの作戦を決行する……という内容。前後編の前編であり、この話でレギュラー二人が降板するのだが、その手法が非常に衝撃的。このエピソードがトラウマになった人もいるだろう。ちなみに、第二期ウルトラシリーズ内での最高視聴率の回。

 

 

※変身前を狙う作戦

 

 今更言うまでもないことだが、ウルトラマンは強い。そのため侵略者の一部は、変身する前の地球人の状態の段階でどうにかしてしまおうという作戦を取る者も少なくなかった。変身アイテムを奪う、というのもその一つ。

 

 

※才人のダメージが引き継がれるゼロ

 

 変身前に負ったダメージを変身後も引きずり、苦戦に陥る事態になることがシリーズで度々あった。最初に明確にその描写がされたのは、『帰マン』二十二話「この怪獣は俺が殺る」。本来なら何てことないはずのゴキネズラに、ウルトラマンはスペシウム光線が満足に撃てず大苦戦した。

 ちなみに、実は『ウルトラマン』の時はその逆で、ハヤタのダメージはウルトラマンに関係しなかった。三十話「まぼろしの雪山」でハヤタはギプスをはめるほど足を負傷したのに、ウルトラマンはピンピンしていた。

 

 

※ゼロスラッガーアタック

 

 ゼロスラッガーを手で持って、敵を切りつける接近技。『ウルトラ銀河伝説』で怪獣軍団の一部を一挙に葬った。他に、ジャンキラーに仕掛けて一発逆転しかけた(ジャンボットの介入で不発)。ちなみに、ザラブ星人が壁に叩きつけられて死ぬのは、同作でベリアルに始末された際のオマージュ。

 

 

※にせウルトラマンにならないまま退場するザラブ星人

 

 初期案ではにせウルトラマンに変身する予定だったが、その後の展開との兼ね合い等でカットした。

 

 

※「小さい」に過剰反応するゼロ

 

 『ウルトラマンサーガ』で、同化したタイガが当初協力的でなかったため、ゼロは変身しても中途半端な大きさにしかなれず、それを散々駄目出しされた。その時のことを引きずっているご様子。

 

 

※分身宇宙人ガッツ星人

 

 『ウルトラセブン』三十九、四十話「セブン暗殺計画」に初出。かなりの知略派侵略者で、最初は自ら動かず、怪獣アロンを尖兵にセブンと戦わせ、その能力を解析。満を持してセブンと戦い、これを圧倒、完全敗北を味わわせた。素の実力も高く、ウインダムを巨大化せずに翻弄して始末するほど。ただし計算外のことには弱いようで、ウルトラ警備隊を軽く見ていたことが災いし、処刑寸前でセブンが復活。その後はひたすらパニックになっているだけで、逆にセブンに圧倒されて倒された。

 『ウルトラファイト』に登場しているが、特徴的な大きい頭には骨組みが入っておらず、動く度にプラプラしたり殴られてへこんだりと、かなり不格好だった。知略より暴力の時代の『ファイト』では実力を発揮できず、『セブン』の時のような強い印象もなかった。

 『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では宇宙人連合の一員として登場。色々とキャラクターが似ているナックル星人のサポート役に徹しているが、その実力は確か。ナックルとともにメビウス、ウルトラ兄弟を散々苦しめる。何故か、頭をぶつけた際に天使風のガッツ星人が頭の上で回るというコミカルシーンが存在する。

 『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』では二話「レイオニクスバトル」、十話「新たなる戦いの地平で」に登場。レイと最初に戦った異星人のレイオニクスで、ゴメス(S)、ケルビムを操る。戦い方は歴代ガッツと異なり、力押し。

 『ウルトラ銀河伝説』ではベリアルの怪獣軍団の一員として登場。怪獣軍団の時に目立った活躍はないが、ベリュドラの構成パーツにされた時はアストラにしがみついて攻撃を妨害した。そのシーンは多少不気味。

 『ウルトラゾーン』では職務質問されたり、部下のOLに「マッチョおじいさんおばさん」などという長いあだ名をつけたりたりした。またドラマ「東京ジュラ紀」では秘宝「アカンバロの瞳」を奪おうと探偵に化けるが、マイナー怪獣のアロンの名前を、鳴き声を聞いただけで言い当てたことから正体が発覚した。アロンに謝れ。

 『大怪獣ラッシュ』では主人公格の一人として、大幅アレンジされた「ガッツガンナー・ガルム」が登場。その名の通り射撃タイプで、様々なトラップや作戦を駆使してチームをサポートする。他にも、「ガッツ星人シーズ」というキャラもいる。

 『ウルトラマンギンガS』では「ボルスト」という個人名を持ったガッツ星人が登場。相手の考えていることを、声真似しながら言い当てようとするのが癖。「宇宙最強の戦士」を自称するが、スポーツマンシップというものは持っておらず、数の暴力で相手を追い詰める戦術を好む。

 映画『ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』では「ドッペル」という名前の個体が登場。ムルナウにダークリングの力で召喚され、分身能力でSSPを翻弄。決戦ではエックスと対決した。

 ちなみに、ツイッターで非公式で「ガッツ星人」を名乗るアカウントが色々とはっちゃけた振る舞いをしたり、ソチオリンピックでカーリング日本代表選手が息子からお守りとしてガッツ星人のフィギュアを渡され、後に公式が黄金色のフィギュアを作っちゃったりと、シリーズと関係ないところでのネタが豊富。

 

 

※「変な動物」

 

 『セブン』四十話のゲストキャラ・夏彩子が、セブンを復活させるのに必要な鉱石を持っていたことで襲撃したガッツ星人を指した発言が元ネタ。もう見たまま。

 

 

※「私は如何なる戦いにも~」

 

 ダンの前に現れたガッツ星人が発した自称。ガッツ星人は実際称する通りの強豪で、この台詞から相当の自信が窺い知れる。

 

 

※ルガノーガーやバードンがゼロを攻撃した意味

 

 ガッツ星人などが事前に怪獣をぶつけて戦力分析したことのオマージュ。彼ら実力派宇宙人にとっては、怪獣も捨て駒の尖兵に過ぎないのだ。

 

 

※「貴様らハルケギニア人など、相手にならん」

 

 『セブン』でダンが繰り出したウインダムに対して発した台詞が元ネタ。この際ガッツ星人はテレポートを駆使してウインダムの頭の上にまたがり、桁違いの力量と余裕を見せつけた。

 

 

※「焦るな焦るな」

 

 『大怪獣NEO』でレイに対して発した台詞が元ネタ。この時は、ゴメスが敗れて逃げ帰るための時間稼ぎだった。

 

 

※極悪宇宙人テンペラー星人

 

 『ウルトラマンタロウ』三十三話「ウルトラの国大爆発5秒前!」、三十四話「ウルトラ6兄弟最後の日!」に初出。ウルトラ一族の宿敵といえるような凶悪な侵略者で、暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人の腹心であったともいわれる。計略よりも力押しの作戦を好む性質で、地球の街で大暴れしてウルトラ戦士を誘き出そうとした。実際ウルトラ6兄弟を同時に相手取れるほどに強く、タロウ一人だけでは裏技のような手段でなければ倒すことが叶わず、格闘戦では終始圧倒されていた。またウルトラ戦士に高い殺傷力を発揮する「ウルトラ兄弟必殺光線」や地球人への変身、憑依を見破る「特殊スペクトル光線」といった対ウルトラマン用の武器も備えており、単純な戦闘力だけでなくウルトラマン対策もかなり周到だった。「極悪宇宙人」という肩書きなのだが、光太郎の運転する車が足元を纏わりつき、それを追いかけて目を回すというコミカルな一面を見せている。

 『メビウス&兄弟』では宇宙人連合の一員として登場。あまり変化の少ないザラブやガッツと異なり、顔が大きくリデザインされている。他三人の迂遠な作戦を嫌い、連合一番手として最初にメビウスと交戦したが、割とあっさりと倒された。『タロウ』の時の実力はどこへやら。

 『大怪獣バトルNEO』九話「暗黒の鎧」ではレイオニクスとして登場。相棒怪獣はアリゲラ。相当実力があるようで、同じレイオニクスのメフィラス星人には完勝したようだが、その後……。

 『ウルトラ銀河伝説』ではベリアルの怪獣軍団の一人として登場。あまり目立った活躍はない。

 『ウルトラゾーン』では、小学校に転校してくるという衝撃的な姿を見せる。相変わらず傲慢な性格で、クラスの中にウルトラ兄弟がいないかと特殊スペクトル光線を放ったりと傍若無人な振る舞いをしたので、先生から怒られた。

 『ウルトラゼロファイト』二部では「極悪のヴィラニアス」という個人名を持った者が登場。ある者に仕える「ダークネス・ファイブ」というチームの一人で、私的に怪獣タイラントとコンビを組んで「極暴タッグ」と名乗っている。そのネーミングはゼロに笑われていたが、正直ゼロもどっこいどっこいであろう。

 映画『ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』では「バチスタ」という名前の個体が登場。ムルナウにダークリングの力で召喚され、ヒッポリト星人カリストとコンビを組んでオーブたちを襲う。決戦ではギンガとビクトリーのコンビと対決した。

 

 

※「恨むならウルトラマンゼロを~」

 

 『タロウ』で街を破壊している際に、地球人に向けて言い放った台詞が元ネタ。ド直球の悪役的台詞。他に印象的なものとして「ウルトラ兄弟、どこだよぉ~!?」などが挙げられる。

 

 

※ワイドゼロショットが効かないテンペラー

 

 テンペラー星人はタロウのストリウム光線を真正面から受け止めた。しかし、その後ネオ・ストリウム光線で爆散している。『メビウス』の個体は、普通にメビュームシュートで倒された。

 

 

※「こういうことは自由競争~」

 

 『ゼロファイト』における凍結のグロッケンの台詞が元ネタ。戦闘の場においては、ダークネス・ファイブは連携を取らないタイプのようだ。

 

 

※暗殺宇宙人ナックル星人

 

 『帰マン』三十七話、三十八話「ウルトラの星光る時」に初出。狡猾な侵略者で、表向きは軍団ごと宇宙電波研究所の所員に化け、密かに侵略計画を進めていた。当初は怪獣ブラックキングのみでウルトラマンを倒すつもりだったようだが、彼の能力の高さに計画を変更。ウルトラマンを心理的に追い詰めるため、何と郷が懇意にしている坂田兄妹を抹殺。怒りで冷静さを失ったウルトラマンを、太陽光線の弱い時間にブラックキングを出すなど更に不利な状況に追い込み、とうとう敗北せしめた。ウルトラマンを磔にした後も奪ったサターンZで東京爆破を目論み、アジトを突き止めたMATも洗脳して逆に手駒にするなど、ここまで徹底的な侵略を働いた宇宙人も稀。ちなみにガッツ星人とは、最初に戦力分析用の怪獣をぶつける、そのデータを基に戦闘を優位に進める、ウルトラ戦士を磔にするなど、共通点が多い。

 『メビウス&兄弟』では宇宙人連合の実質的リーダーとして登場。テンペラーと同じく、顔が大きく変わっている。連合の中では最後まで生き残り、目的のUキラーザウルス復活を達成したが……。

 『大怪獣バトルNEO』三話「大暴走!レイオニックバースト」ではレイオニクスとして登場し、冒頭でゼラン星人を噛ませにした。手持ち怪獣はガルベロスで、その幻覚能力を駆使して敵を翻弄し、独り相撲をさせて疲弊したところを狙うという相変わらずの狡猾さを見せた。

 『ウルトラ銀河伝説』では怪獣軍団の一人として登場。レイの変身したレイモンと戦ったが、すぐに倒された。

 『ウルトラマンギンガ』には「ナックル星人グレイ(SD)」という個体が登場。オカマキャラで、ジュリ扇を愛用している。黒幕のエージェントであり、先任のバルキー星人やイカルス星人と異なり、様々な謀略を使ってヒカルたちを追い詰めようとした。マスクが新調されているが、これは以前までのマスクが劣化したかららしい。『ギンガS』最終話にも出演。

 『大怪獣ラッシュ』には「ナックル星人ジェイラ」というキャラが登場。脱獄犯であり、CGアニメでも主人公チーム・ラッシュハンターズのハンティングしたプラズマソウルを横取りしようとした。他に「ラボラ」というキャラもいる。

 『ウルトラマンX』第五話「イージス光る時」には「バンデロ」という個体が登場。いわゆる武器商人であり、Xioの管理しているスパークドールズを狙ってブラックキングを伴い襲撃した。戦闘能力はゼロと張り合うほどに高く、次元に穴を開ける機能のある銃で武装している。マスクはまた新しくなり、初代に似せたものとなっている。

 『ウルトラマンオーブ』第六話「入らずの森」からは惑星侵略連合に属する「ナグス」という個体が登場。短気で好戦的な性格。バンデロと同様、銃を携帯してことある毎に抜く。第十話「ジャグラー死す!」ではメフィラス星人ノストラの命を受け、ジャグラスジャグラーを闇討ちするが……。

 『ウルトラマンR/B』では第十八話「明日なき世界」に登場。単なる一般市民であり、宇宙テレビ「情熱大陸」のインタビューを受けていた。

 

 

※三宇宙人にいたぶられるゼロ

 

 『ウルトラマンA』七話「怪獣対超獣対宇宙人」でエースがドラゴリーとメトロン星人Jr.とムルチに袋叩きにされたシーンのオマージュ。ドラゴリーとメトロンだけでも苦しいのにムルチまで加わった時の絶望感は相当なもの。

 

 

※「ウルトラマンゼロはエネルギーの補充が~」

 

 『帰マン』三十七話でウルトラマンがブラックキングとナックル星人に追い詰められた際のナレーションのオマージュ。「太陽エネルギーをくれ!」と悲痛な叫びを上げるウルトラマンの姿は痛々しい。

 

 

※独特の姿勢

 

 二種類あるミラーマンの変身シーンの内、ミラーマンが飛び出してくる方の、言葉での説明が難しいポーズ。ミラーナイトは初登場時にこの変身ポーズをオマージュしている。

 

 

※「朝焼けの光の中に立つ影」

 

 『ミラーマン』のOPソングのワンフレーズのオマージュ。これをやりたくて、いつまでも朝焼けの光景にした。

 

 

※ミラーナイト

 

 映画『ウルトラマンゼロ』で初登場したM78ワールドとは異なる宇宙、アナザースペースの住人で、ウルティメイトフォースゼロのメンバーであるウルトラ戦士以外のヒーロー。通称「鏡の騎士」。三次元のエスメラルダ人と二次元の鏡の星の民のハーフで、鏡に関する特殊能力を持つ。頭脳戦に長け、鏡を使ったトリックプレイが得意な、クールな印象の知能派……のはずなのだが、行動の端々が妙におかしいため、ネタキャラとして名を馳せている。

 元ネタは往年の円谷ヒーロー、ミラーマン。設定の多くにミラーマンを彷彿とさせる要素があり、映画での二つの登場シーンはどちらもミラーマンの変身ポーズをオマージュしている。また、主人公、鏡京太郎を演じた俳優、石田信之は映画で鏡の星の民の声優を務めている。

 

 

※「知らなかったかい?」

 

 アークベリアルを一杯食わせた際のひと言。ここからゼロたちの大逆転につながる印象的なワンシーン。




 ウルティメイトフォースゼロの戦士! ゼロの頼れる仲間、ミラーナイトが来た! 三大宇宙人の前に、瀕死の危機に陥るゼロを救いに、はるかなる宇宙を越えて今来たのだ! さぁ、ミラーナイトよ! ウルトラマンゼロよ! 今こそ宇宙の正義を示し、邪悪な侵略者たちのたくらみを粉砕する時だ! 次回「ミラーナイト参上!」みんなで見よう!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。