fate/zero~ノーライフキング~   作:おかえり伯爵

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不死者

長い夜が始まりました。

アーカードは警戒することもなく悠然と3人のサーヴァントに向かっていきます。

アーカードの傷は既になくなっているようです。

足取りもしっかりしているので全快したのでしょう。

黄色いサングラスを外して銃を持つ手に力が入りました。

いよいよ始まるんですね。

 

「なぁ征服王・・・あいつには誘いはかけんのか?」

 

「誘おうにもなぁ・・・あれはのっけから交渉の余地が無さそうだわなぁ」

 

冗談を交わしているランサーとライダーにアーカードは一丁ずつ拳銃を構えました。

そして容赦なく発泡しました。

バンッと渇いた音が響きます。

人間であれば避けることが出来ない銃弾。

ですが彼等はサーヴァントです。

危なげでしたがキッチリと躱しました。

それに合わせてセイバーが走り出します。

アーカードも釣られて走りだしました。

アーカードによる銃弾の嵐をセイバーは予め知っているかのような動きで躱しています。

時には武器で弾いていますのでやはり英雄は恐ろしいものです。

武器が届く距離になったセイバーは距離を空けられないように執拗に攻め立てます。

ですがアーカードは避けることもなくただ撃ち続けています。

 

「くっ、どうなっている!!」

 

セイバーが怒るもの無理はありません。

セイバーの攻撃は確かにあたっています。

アーカードは血を吹き出し、腕を切り落とされ心臓を突かれ、首すら落とされました。

ですがそれらはまるで無かったかのように瞬時に再生しています。

 

「どうなっているの!?あれじゃまるで不死じゃない!!」

 

セイバーのマスターは目を見開いています。

 

「おい坊主・・・何かわからんのか?」

 

「無茶言うなよ・・・サーヴァントの宝具までは分からないんだよ!!それに・・・前に見た時よりもステータスが上がってるんだ!!どう考えたっておかしいだろ!!」

 

前にウェイバーさんに会ったのは日中でしたね。

でしたら仕方がありません。

彼は夜でこそその真価を表せるのですから。

 

「どうした、お前たち二人は見ているだけか?お前たち英霊が欲して止まない化物はここにいるぞ!!」

 

アーカードの挑発に二人は動き出しました。

まずはじめにランサーが地を蹴って突進してきました。

2本の槍を駆使してアーカードを攻め立てます。

 

「馬鹿なっ!!我がゲイ・ボウの呪いが効いていないとでも言うのかっ!!」

 

「ランサー!!二人でバーサーカーを打倒しましょう!!」

 

「了解だ!!遅れを取るなよ、セイバー!!」

 

セイバーとランサーの共闘。

騎士同士の絆ですか。

前から後ろから翻弄してきますがアーカードは立ったまま打ち続けています。

そう、アーカードは回避する必要すらないのです。

 

「二人共どけぃ!!」

 

二人の騎士の間に割って出るのはやはりライダー。

牛車でアーカードを踏み潰しました。

潰れるアーカード。

辺りは夥しい血が流れ、ほとんど原型を留めていません。

騎士二人はそこから離れてライダーを睨みます。

その視線は『次はないぞ』という意味が込められています。

 

「終わったの?」

 

「・・・まだだ。まだ終わってないっ!!あのバーサーカー何なんだよ!!」

 

アーカードの残骸に群がるコウモリたち。

それらは吸収されていき、象られた影はゆっくりと身体を起こします。

 

「・・・素晴らしいぞ英霊(サーヴァント)。ならば見せてやろう、本当の吸血鬼(わたし)の闘争というものをーー」

 

ーー拘束術式第一号まで開放。

 

アーカードの形が崩れる。

死んだのではありません。

液状になった彼から夥しい程の瞳が現れたのですから。

サーヴァントが皆動きを止めました。

ここにいる全員がこう思っているでしょう。

『あれは本当に英霊なのか?』と。

 

「不味い、あれは物凄く不味いのぉ」

 

「同感だライダー・・・下手をすればマスターも危険だ。一時撤退するべきだ」

 

「・・・やむおえん。我が主よ、今回は引かせて頂きたい」

 

「まぁ良い。今回は撤退を許す」

 

ランサーのマスターの気配が消えて安心したのでしょう。

ランサーから殺気が消えました。

セイバーも逃げるつもりのようです。

 

「悪いが引かせてもらう」

 

「どこへ逃げるつもりだ?」

 

ランサーの顔が驚愕に染まる。

そう、ランサーの左腕が宝具ごと喰われていたのですから。

 

「ぐぁぁぁぁああああああああ!!!!」

 

「ら、ランサー!!貴様ぁ!!」

 

セイバーは狗を真っ二つに斬り裂きました。

ですが斬られた狗から腕が飛び出しました。

その手には白銀の銃。

セイバーはそれすら予想していたのか腕を斬り飛ばします。

セイバーはとてつもない直感をもっているようです。

 

「大丈夫かランサー!!」

 

「ぐっ・・・腕を持って行かれた」

 

苦しそうな表情です。

このまま倒せるでしょうか。

 

「さぁどうした?まだ腕がちぎれただけだぞ。かかってこい!!剣を振れ!!槍で突き刺せ!!チャリオットで踏み潰せ!!一撃必殺の技を出せ!!さぁ夜はこれからだ!!お楽しみはこれからだ!!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!!!」

 

興奮を抑えきれないアーカードを見て他のサーヴァントは苦虫を潰したような顔をしています。

 

「ここは任せて退けランサー」

 

セイバーの剣から暴風が吹き荒れました。

光で前が見えません。

 

「忝ない・・・勝負は必ず」

 

「ああ、我が名に誓おう。さぁ行け」

 

ランサーは粒子になって消えてしまいました。

これで残るはセイバーとライダー・・・あれ?

見渡してもライダーがいません。

セイバーに目を取られていた隙に逃げたようです。

思っていたよりも頭が回るようです。

でもこれでセイバーだけです。

あちらにもマスターがいますので置いて逃げることはしないでしょう。

なにせ騎士なのですから。

 

「どいつもこいつも逃げ出すとは・・・貴様らそれでも英霊のつもりか、恥を知れ!!」

 

おそらく逃げた人達は誰一人聴いていないでしょう。

唯一残ったセイバーだけは悔しそうです。

あちらのマスターは一向に逃げませんが何か策があるのでしょうか?

 

「アイリスフィール、この場は私が食い止めます。その隙にせめて貴方だけでも離脱してください!!出来る限り遠くまで」

 

セイバーの頼みを聴いてもあちらのマスターは動きません。

首をふるばかりです。

 

「アイリスフィール、どうか!!」

 

「大丈夫よセイバー・・・貴方のマスターを信じて!!」

 

アーカードに勝てるということでしょうか。

確かにあのセイバーはまだ何か隠し持っているような気がします。

果たしてそれはアーカードを倒し得るものなのですか。

 

「来ないと言うのであれば私が行こう。覚悟は良いか、お嬢さん」

 

「ハアアアアァァァァァァ!!!」

 

再び交差する銃と剣。

撃っては躱し、斬っては再生する。

止まらない攻防。

しかしセイバーの疲労が見て取れます。

終わりは近いかも知れませんね。

 

「ああ、終わりだ」

 

何処からでしょうか。

アーカードのものではない銃声音が聞こえました。

なるほど、最初から狙いはーー私だったんですね。

銃弾は私を撃ちぬくでしょう。

そう思っていました。

 

「なん、だと!?」

 

私の前に突然女性が現れました。

金髪に黄色服装で丈の短いパンツを履いています。

外国の婦警さんのような格好の人が何故こんな所に?

 

「遅いぞ婦警。もう少しで我が主が撃ち抜かれるところだった」

 

「す、すみませんマスター!!でも・・・ここ何処ですか?しかも撃たれましたし」

 

「今は気にするな」

 

「や、ヤー!!」

 

「そんな、新しいサーヴァントなんて!!」

 

「見たところキャスターというわけでも無さそうですね。だとすれば宝具。サーヴァントを召喚する宝具ですか」

 

アーカードにそんな能力があったんですね。

でもこの婦警さんは・・・頼りにならなさそうなんですが、アーカードが信頼しているのですからそれなりに強いのでしょう。

 

「おい、婦警。銃を出してあそことあそことあそこを狙え」

 

「ヤー!!」

 

婦警さんは虚空から銃を出現させました。

アーカードの銃とは比べ物にならない大きさの銃。

いえ銃ではなく大砲みたいです。

見た目からしてすごく重そうですがそれを軽々と持ち上げています。

・・・あの腕でどうやって持っているんでしょうか?

 

「令呪を持って我が傀儡に命ず!!セイバー!!アイリスフィールを連れて必ず逃げ切れ!!」

 

「ドンッ!!・・・ドンッ!!・・・ドンッ!!」

 

アーカードが指さした方角に放たれる弾丸。

弾丸が風を切る高音が駆け抜けていきます。

一つも命中しなかったようです。

セイバーも令呪によって逃げてしまったようです。

 

「結局全員に逃げられてしまいましたね」

 

「そうでもない。こちらに来い桜」

 

「・・・これは」

 

アーカードに付いて行ってみると血を流して倒れている女性がいました。

この人は街に行った時にすれ違ったような。

 

「どうやら関係者らしいな。どうする、殺すか?」

 

「人間ですよねマスター?殺すのは不味いんじゃ・・・?」

 

「お前は黙っていろ婦警」

 

「は、ハイぃぃ!!」

 

この人を生かしておけば私が危険です。

ですが気になってしまいます。

私と似たような感じがしてなりません。

 

「・・・連れて帰ります。運んでください」

 

「婦警、任せたぞ」

 

「イェス、マイマスター!!」

 

長い夜が終わりました。

帰ったらおじさんと一緒に寝ようと思います。

私は担ぎあげられる女性を見ながらそう考えるのでした。

 

 

 

name ディルムッド・オディナ

クラス ランサー

筋力:B 耐久:C 敏捷:A+ 魔力:D 幸運:E 宝具:B

 

宝具

 

破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ) ランクB 魔力の循環を断つ宝具。

 

必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ) ランクB 治癒不可な傷を負わせる。

 

保有スキル

 

対魔力:B 詠唱が三節以下の魔術の無効化。それ以上の魔術でも傷つけるのは難しい。

 

心眼(真):B 修行・鍛錬により得た戦闘論理。窮地において活路を導きだす。

 

愛の黒子:C 異性にディルムッドへの強烈な恋愛感情を懷かせる魅惑。対魔力や抗魔力で回避可能。

 

説明

 

フィン・マックールの許嫁と共に駆け落ちしたのちフィンに許される。しかし、瀕死の重傷をおったディルムッド。居合わせたフィンはすくった水で傷を癒せる能力を持っていたがすくってきた水を2度もこぼし、3度めを汲んできた頃にはディルムッドは事切れていた。

作者はこの事実を知りませんでしたので知った時の後悔がすごかったです。

ランサークラスは非業の死が多すぎですね。

 

name ギルガメッシュ(AUO)

クラス アーチャー

筋力:B 耐久:B 敏捷:B 魔力:B 幸運:A 宝具E~EX

 

宝具

 

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン) ランクE~A++ 黄金の都へつながる鍵剣。宝物庫を開けて中から取り出せる。

 

エア ランクEX 技名 天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)。乖離剣。対界宝具であり、固有結界などを破壊できる他、威力もエクスカリバーに匹敵、またはそれ以上の威力をもつ。

 

保有スキル

 

対魔力:C 二節以下の詠唱による魔術を無効化。

 

単独行動:A マスター不在でも行動可能。ただし宝具使用など大掛かりなものはマスターのバックアップが必要。聖杯戦争が終わればスキルの影響がなくなるので現界不可。

 

黄金律:A 人生において金銭がどれだけついて回るかの宿命。Aなので金ピカ。

 

カリスマA+ 大軍団を指揮。統率する才能。もはや呪いの領域。

 

神性B(A+) 3分の2神で3分の1人間であるため。しかし本人が神を嫌っているのでランクダウン。

 

 

説明

 

古代バビロニアの王。

蔵には世界の全ての財の原型が眠っている。

神によって翻弄された生涯で、不老不死を求めて冒険したが一歩及ばなかった。

我らが英雄王で残虐なシーンが多いがそれ以上に王としての品格があるため殺すはずの人物を遺臣として扱ったりするなどとにかくカッコイイ。

ただし、慢心が過ぎる為やられることが多い。

スタッフ曰く「慢心しなければ最強」とまで言われている。

 

name イスカンダル

クラス ライダー

筋力:B 耐久:A 敏捷:D 魔力:C 幸運:A+ 宝具:A+~EX

 

宝具

 

遙かなる蹂躙制覇(ヴィア・エクスプグナティオ) ランクA+ 二匹の神獣を呼び出して使役。速度、敏捷性に優れている。

 

王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ) ランクEX 生前のイスカンダル軍団をまるごとサーヴァントとして召喚する固有結界。それぞれが単独行動E-をもっているのでかかる魔力は起動時がほとんどで、維持にはそれほど魔力を使わない。まるごとではなく個別でも出せる為、利便性が良い。マスターがケイネスだった場合かなり厄介。ちなみに呼び出されたサーヴァントは宝具を所持しておらず、宝具開放などは出来ない。

 

説明

我らが王。

漢の中の漢。

作者も同胞に・・・無理ですよね。

オケアノスを求めて遠征、征服を続けたがやがて崩壊した。

声優さんの本気を感じました。

 

name アルトリア(アーサー・ペンドラゴン)

クラス セイバー

筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:A 幸運:D 宝具:A++

 

宝具

 

風王結界【インビジブル・エア】 ランクC 風の魔力。剣を隠したり、空を飛んだり、攻撃にも使える。攻防隠に優れた宝具。

 

約束された勝利の剣【エクスカリバー】ランクA++ 湖の乙女から授かった聖剣。星に鍛えられた神造兵器。聖剣の中では頂点に君臨する。

 

全て遠き理想郷【アヴァロン】 ランクEX 聖剣の鞘。不老不死の効果を有し、呪いも傷も跳ね返す。セイバーの魔力がなければ効果を発揮しない。セイバー自身がこれを持っていないため使用不可。

 

name アイリスフィール・フォン・アインツベルン

マスター

アインツベルンによって造られたホムンクルス。聖杯の器でもあり、イリアスフィールの母でもある。切嗣の夢を共に歩む良妻。ふつくしい。

 

name ケイネス・エルメロイ・アーチボルト(ケイネス先生)

マスター

ランサーのマスター。風と水のニ重属性。名門アーチボルトの嫡男で神童。降霊科講師、政治的手腕、芸術、召喚術、錬金術など多才。ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリに一目惚れしていて一途。プライドの高さから素直になれない。

哀れ過ぎるので誰か救済してあげて欲しいです。

 

name 衛宮切嗣

マスター

魔術師らしからぬ人物で魔術ではなく近代兵器(銃、爆弾など)を使用する。起源弾という切り札を持っている。妻だけでなく愛人も持つ。正義の味方を目指していたが挫折。聖杯に全てをかけている。

 

name セラス・ヴィクトリア

クラス 吸血鬼

筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運A+ 宝具B+

 

宝具

 

ハルコンネン ランクB+ 長距離ライフル。主力戦車を除く大体のものに通用する。

 

アーカードによって召喚。

本人はここがどこかわかっていない。

アーカードによってドラキュリーナになった。

別名婦警。おっかなびっくり夕方を歩く超巨乳。

呼び出された時期によりまだ誰の血も吸っていない。

 

name アーカード(桜がマスターの場合)

クラス バーサーカー

筋力A 耐久B 敏捷A 魔力A 幸運E- 宝具D+~EX

 

以下同文

 

 


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