ハイスクールD×D〜転生したら騎士(笑)になってました〜   作:ガスキン

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久しぶりにオリ主が肖ります。サブタイを見て察したあなたは立派なスパロボマニアです。・・・前回頂いた感想を送ってくださった方の何名かは答えに辿りついていたりして。


第百五十七話 マスクドナイト・笑

途中何度か見失いそうになりながらも、必死こいてクレーリアさん達を追いかけた先に待ち受けていたのは小さな廃工場だった。ここで間違いない・・・と思うんだけどな。

 

「行くしかない・・・か」

 

ここまで追いかけて外れとか勘弁してくれよ・・・。その祈りつつ、俺は工場内へ足を踏み入れるのだった。

 

SIDE OUT

 

 

クレーリアSIDE

 

指定された廃工場の中を正臣と一緒に慎重に進んで行く。閉鎖してまだ間が無いのか、まだ動きそうな機械等がそのままの状態で残されている。

 

「この場所のどこかにシノア達が・・・」

 

私の大切な眷属達、どうか無事でいて・・・!

 

少し進むと、急に開けた場所に出た。嫌な気配がする。間違い無く、ここにシノア達を捕まえた者がいる。

 

「言われた通り正臣と二人で来ました! さあ、シノア達を解放してください!」

 

私の発した声が工場内に響き渡る。数秒後、前方の暗闇から何者かが姿を現した。

 

「ぐふふふ。待っていたぞクレーリア。そして忌まわしきエクソシストよ」

 

まるまると太った体を毒々しい紫色の衣服に包んだ男性が、下卑た笑みを見せながらこちらに歩いて来る。さらに、彼の後ろから次々と人が姿を現す。その数は・・・ざっと見ても三十人を越えていた。

 

「先日は見事に追手を退けた様だが、悪魔とエクソシストの恋など、今の悪魔社会は決して認めはせん。クレーリアよ。お前が考えを改めるまで、上層部は永遠に追手を送り続けるぞ」

 

「覚悟の上です。私は・・・それでも正臣と生きていくと決めたのです」

 

「強情な女だ。・・・だが、気に入ったぞ」

 

「あなたなんかに気に入られても嬉しくありません。それよりもシノア達はどこにいるのですか!?」

 

「心配せずともちゃんと連れて来ておる。・・・おい」

 

「おら、こっちだ」

 

数人の取り巻きが手に持っていた鎖を引っ張る。すると、それに連動する様に数人の人物が姿を現した。間違い無い、私の眷属達だ!

 

「みんな!」

 

「ク、クレーリア様・・・!」

 

無事を喜ぼうとしたのも束の間、目に映ったシノアの姿を見て私は愕然とした。一糸まとわぬその体に、痛々しい傷がいくつも刻まれていた。密かに羨んでいた豊かな胸も、眷属仲間に安産型だとからかわれたお尻も全て、目を背けたくなる様な状態になっていた。

 

「まさか・・・!」

 

最悪の展開が頭を過る。そんな私の怖れに気付いたのか、男性がシノアの胸を鷲掴みながら口を開く。

 

「安心せい。まだ手は出しておらん。ワシは壊れた女を犯すのが大好きでな。今はまだその準備中というわけじゃ。完了まであと少しと言った所かの」

 

男性がシノアに顔を近付ける。瞬間、シノアが男性に向かって唾を飛ばす。その顔には明らかな怒りが浮かんでいた。

 

「下衆が・・・汚い顔を近付けるな」

 

「・・・ふむ、どうやらまだまだいたぶりがいがありそうじゃ・・・な!」

 

「うぐっ・・・!」

 

男性が手に持った杖をシノアのお腹へ突き刺す。酷い。シノアや他にみんなは、捕まってからずっとこんな酷い目を・・・!?

 

「止めて! 私の眷属をこれ以上傷つけないで!」

 

「ほお、どうやらこやつ等を随分と大事にしておるようじゃな」

 

「当たり前です。他の悪魔の方達がどうかは知りませんが、私の眷属はそこにいるみんな以外存在しません!」

 

「クレーリア様・・・」

 

「麗しき主従関係じゃな。ならばこうしようではないか。お前の身柄とこやつ等の身柄を交換というのはどうじゃ?」

 

男性からの提案に横にいた正臣が激昂する。

 

「お前・・・まさか、最初からクレーリアを狙って!」

 

「黙れエクソシスト。貴様に発言は許しておらんぞ。さあ、どうするクレーリア?」

 

「・・・わかりました」

 

「クレーリア!?」

 

ありえないとばかりに目を見開く正臣。私はそっと彼に耳打ちした。

 

「この状況では従うしかありません。シノア達はもう限界です。あのままでは危険ですし、何よりこれ以上彼女達が傷付けられるのを見ていたくありません。私一人ならば、隙さえ見つけられればきっと逃げ出す事も出来るはずです」

 

「だが・・・!」

 

なおも引き止めようとする正臣を、私は力一杯抱きしめた。

 

「正臣。私の愛する人。私の帰る場所はあなたの隣です。だから・・・だから、私を信じてください」

 

「クレーリア・・・」

 

正臣の体から力が抜ける。私はそっと彼から離れ、一人、男性の元へ近づいていった。

 

「よく来たなクレーリア。ぐふふ、こうして間近で見ると、改めてお前の美しさがわかるのう」

 

男性の手が私の頬を撫でる。正臣の手と比べれば絹と雑巾ほどの差があるように感じた。

 

「これでいいのでしょう? さあ、シノア達を解放してください!」

 

不快感と怒りを込めて男性を睨みつける。次の瞬間、彼は信じられない言葉を口にした。

 

「・・・はて? 何の話かな?」

 

「なっ・・・!?」

 

「ぐふふ、どうも最近物忘れが激しくてな。数秒前の会話すら憶えておれんのじゃよ」

 

「くっ、騙したのですか!」

 

抵抗する間も無く、私は拘束されてしまった。

 

「貴様等! クレーリアを離せ!」

 

正臣が光の剣を抜いてこちらへ走りだす。けれど、取り巻きの者達の魔力による一斉攻撃に近付けず、ついには炎の魔力によって足を負傷してしまった。

 

「クレーリアは手に入れた。後は貴様を消すだけだエクソシスト。そうすれば、ワシの懐には多額の報酬が入り、同時に上役のポストも手に入れられるという事じゃ。さあお前達! ワシの為にあの男を殺せ!!!」

 

火傷により思う様に動けない正臣に対し、攻撃を加えようと取り巻き達が魔力を練り始める。このままじゃ正臣が・・・あの人が殺されてしまう!

 

「・・・いや」

 

お願い・・・。誰か、あの人を・・・。私の大切なあの人を・・・。

 

「助けて! 正臣を助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

溢れだす涙をそのままに、私は絶叫した。

 

「ぐふふ。諦めろクレーリア。お前はもう、ワシの肉人形になる道しか・・・」

 

「―――待てい!」

 

「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」

 

廃工場内に突如として響き渡る力強い叫び声。それに貫かれたかの様に、この場にいた全ての者達の動きが停止する。

 

「な、何だ!? どこからの声だ!?」

 

「ッ・・・! あそこだ! 二階の通路!」

 

全員が一斉に上を見上げる。そこにその人物はいた。腕を組み、私達を見下ろすその顔は、白い仮面によって覆われていた。・・・って、ちょっと待って! あの仮面・・・私の持っていた物と同じ!?

 

「愛し合う二人を引き裂かんとする者よ。己が姿を見るがいい。自らの醜き欲望に抗うこともせず、ただ心に暗き情念の炎を燃やす。人、それを・・・“嫉妬”という!」

 

「き、貴様! 何者だ!?」

 

男性が杖の先端を向けながら問い質す。しかし、仮面の人物はそれを一刀の下に切り伏せた。

 

「貴様等に名乗る名前は無い!」

 

クレーリアSIDE OUT

 

 

IN SIDE

 

ちょっ、この工場複雑すぎぃ! なんか気付いたら二階にいたんですけどぉ!

 

しかし、おかげでクレーリアさん達の姿を見つけられたぞ。というか、既に滅茶苦茶ヤバそうな雰囲気になってました。

 

しばしクレーリアさんとボスっぽい人物の会話を聞く。・・・うん、典型的なクズだなあの男。

 

「貴様等! クレーリアを離せ!」

 

捕まったクレーリアさんを助けようとする八重垣さんだったが、ヒャッハーな見た目の部下達の攻撃で足をやられてしまった。

 

「クレーリアは手に入れた。後は貴様を消すだけだエクソシスト。そうすれば、ワシの懐には多額の報酬が入り、同時に上役のポストも手に入れられるという事じゃ。さあお前達! ワシの為にあの男を殺せ!!!」

 

動けない八重垣さんを狙うヒャッハー共。まずい! 何とかしないと・・・!

 

「助けて! 正臣を助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ッ・・・! ええい、ままよぉ!

 

「―――待てい!」

 

俺はありったけの大声で叫んだ。クレーリアさんや彼女の眷属達、さらにはボスやヒャッハー共が一斉に動きを止める。この時、テンパリ過ぎた所為かどうかはわからないが、俺は何故か拾った仮面を被っていた。

 

あ・・・なんかいいなこの感じ。自分じゃない別の誰かになった気分。漫画やアニメで仮面被ってるキャラの気持ちが何となくわかってしまった。

 

「な、何だ!? どこからの声だ!?」

 

「ッ・・・! あそこだ! 二階の通路!」

 

全員の視線が一気に俺に集中する。これでいい。俺に意識を向けさせておけば、その間に八重垣さんが回復する時間を稼げる。もっとだ。もっと引きつけなければ!

 

「愛し合う二人を引き裂かんとする者よ。己が姿を見るがいい。自らの醜き欲望に抗うこともせず、ただ心に暗き情念の炎を燃やす。人、それを・・・“嫉妬”という!」

 

某天空宙心拳の使い手に肖りつつ、俺は口上を述べる。今、俺の中に偉大なるクロノス族のお兄さんの魂が宿った!

 

「き、貴様! 何者だ!?」

 

「貴様等に名乗る名前は無い!」

 

腹は括った! ここまで来たらこのテンションとノリで押し切ってやるぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

「とあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

俺は通路から空中に向かって飛び出した。そして、そのままヒャッハー共の中心に向かって足を突き出しながら一気に落下する!

 

「サンダァァァァァァァサイクロンッ!」(ただのキック)

 

「「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

数人のヒャッハー共を吹き飛ばし、俺は別のヒャッハーに向かって拳を突き出した。

 

「サンダァァァァァァァクロォォォォォウ!」(ただのパンチ)

 

「ぶげらばっ!?」

 

どうだ! 天空宙心拳ならば、ただのキックやパンチでも立派な必殺技となるのだ!

 

「走れ!」

 

「ッ! みんな!」

 

クレーリアさん達を捕まえていたヒャッハー共をぶっ飛ばし、俺は叫んだ。瞬間、全速力で八重垣さんの元へ走って行くクレーリアさん達。よし、これで人質は解放したぞ!

 

「何をしている! もう一度捕まえろ!」

 

やらせると思うなよ!

 

「サンダァァァァァァァスウィングッ!」(普通のジャイアントスイング)

 

「おぼろろろろろろろ!?!?!?!?」

 

「サンダァァァァァァァボルトスクリュー!」(とりあえずキック)

 

「ひでぶっ!?」

 

「サンダァァァァァァァサイクロンッ!」(ただのキック・・・と見せかけてパンチ)

 

「さっきと違ぁぁぁぁ!?!?!?」

 

へへ、やっぱ天空宙心拳は最高だぜ!

 

SIDE OUT

 

 

正臣SIDE

 

僕は・・・夢でも見ているのだろうか。悪魔達がゴミクズの様に次々と吹き飛んで行く光景に、めまいすら起こしそうになる。

 

突如として現れた仮面の人物の圧倒的な力が容赦無く悪魔達を襲う。殴り飛ばし、蹴り飛ばし、振り回し、瞬く間に悪魔達を戦闘不能に追い込んで行く仮面の人物。

 

「クレーリア・・・あれは一体・・・」

 

「そこです! やっちゃってください!」

 

隣に立つクレーリアがいつの間にか仮面の人物へ声援を送っていた。彼女だけじゃない。眷属達まで、これまでのうっ憤を晴らすかの様に大きな声で仮面の人物を応援していた。

 

「やれ! やっちまえ!」

 

「顔です! 顔を思いっきり殴るんですよ!」

 

「もうこれでもかってくらいボコボコにしてやってー!」

 

「サンダァァァァァァァパンチ!」

 

ところで、さっきから技名らしきものを叫んでいるが、どの技もサンダー要素が皆無なのだけれどそれは・・・。いや、気にしない方がいいのかもしれない。仮面をつけていようと、技名がおかしかろうとも、あの人物は僕達の味方をしてくれているのだから。

 

いつしか、あれだけいた取り巻き共は全て地に伏せ、口をあんぐりと空けて呆然と佇んでいるあの男だけとなった。

 

「ば、馬鹿な・・・! 全滅!? 三十人以上いた部下達が、三分も持たずに全滅だと!? 貴様は・・・貴様は何なんだぁ!?」

 

「悪しき星が天に満ちる時、大いなる流れ星が現れる。その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる・・・! 人、それを・・・“裁き”という!」

 

そして次の瞬間、その言葉通り男に裁きが下された。

 

「ファイヤァァァァァァァチョップ!」

 

仮面の人物の手刀が男の腹部へ突き刺さる。数瞬の後、男は自らが吐き出した汚物の海へと沈むのだった。

 

(((((・・・って、そこはサンダーじゃないの!?)))))

 

正臣SIDE OUT

 

 

IN SIDE

 

な、何とかなった・・・。ありがとう天空宙心拳! ありがとうクロノス族のお兄さん! やれたよ! 僕でもやれたよ!

 

「・・・大したものだ。まるで特撮物を見ている気分だったよ」

 

んあ!? まだいたのか!? どこにいる!?

 

「ッ・・・! し、紫藤さん・・・!?」

 

驚愕する八重垣さんの視線の先・・・そこには一人の男性の姿があった。あの格好・・・さっきの教会の連中と一緒だ。という事は、この男も教会の人間か!

 

「八重垣君、元気そうで何よりだ」

 

「あなた達の所為で精神的にはクタクタですけどね。それで・・・こんな所に一人で乗り込んできてどうするつもりです?」

 

「もちろん。キミ達を粛清する為だ」

 

「・・・」

 

「・・・と、いいたい所だが。そちらの仮面の御人にはとても敵いそうにない。可愛い娘のウエディングドレス姿を見るまで、僕は死ぬつもりはないんでね。ここでキミ達からは完全に手を引かせてもらうよ」

 

「え・・・?」

 

「見逃して・・・くれるのですか?」

 

「ま、任務失敗の責任は当然負う事になるだろうが、精々辺境の地へ飛ばされるだけだろうし、それくらいなら問題無いさ」

 

「ど、どうしてですか? 紫藤さん、あなたは僕達の粛清任務に自ら志願したと・・・」

 

「僕達が実行部隊になれば、他の連中が手出ししなくなる。我ながらいい案だと思ったんだけどねぇ。まさか上が悪魔と協力してまでキミ達を粛清するつもりだとは思わなかったんだ」

 

「では、あなたは最初から僕達を逃がす為に・・・!?」

 

「はは、エクソシスト失格だろ? だけどね八重垣君。仲間の幸せを奪う様なヤツは、エクソシストどころか人間失格だよ」

 

「紫藤・・・さん・・・」

 

「さてと、僕はこの辺りで失礼するよ。報告書をどう纏めるか今から一生懸命考えないといけないからね」

 

そう言い残し、男は去って行った。・・・よくわからんが、ひとまずこれで八重垣さん達が教会の連中に追いかけられる事は無くなった様だ。

 

「紫藤さん・・・ありがとうございます・・・!」

 

男の去って行った方向に、八重垣さんはしばらくの間ずっと頭を下げ続けていた。

 

気付けば、外がうっすらと明るくなってきていた。おおう、いつの間にか朝を迎えていたようだな。

 

「あ、あの・・・!」

 

うわビックリした! いつの間にかクレーリアさんが至近距離に立っていた。

 

「違ってたらゴメンなさい。もしかして・・・アル君ですか?」

 

へ・・・? あ、そっか。そういや仮面着けたまんまだった。クレーリアさんからしたらいきなり現れた仮面野郎が叫び声を上げながらヒャッハー共をボコり始めるというわけらからん展開だったんだもんな。

 

俺はそっと仮面を外した。瞬間、クレーリアさんが満面の笑みを浮かべ、八重垣さんが目を丸くし、クレーリアさんの眷属のみなさんは何事かとそろって首を傾げるのだった。

 

・・・・・・・

 

・・・・・

 

・・・

 

そして迎えた夜。俺はクレーリアさん達と一緒に駅にいた。クレーリアさん曰く、ここから冥界へ向かうとの事だが。ひょっとして地下のあのでっかいホームを利用するつもりなのかもしれない。

 

「アル君。あなたにはいくら感謝してもし足りないです。本当に・・・本当にありがとうございました」

 

「キミがいなければクレーリアを守れなかった。キミは僕達の救世主だよ」

 

「いえ、お役に立てたのなら何よりです」

 

「私、決めました! いつか正臣との子どもが生まれてその子が男の子だったら、名前はアル=ヴァンにするって!」

 

「はは、それはいいな! アル君みたいに立派な男に成長してくれそうだ!」

 

・・・来た。このジワジワと心を抉って来る感じ。久しぶりに特大の地雷が来た! 止めて! そんな目で俺を見ないで!

 

「クレーリア様。列車が到着した様です」

 

「わかりました。・・・さようなら、アル君。またいつか・・・会える事を願ってますね!」

 

そうして、クレーリアさん達は駅の中へと去って行くのだった。いやあ、何とか一件落着で終わる事が出来たな。・・・まあ、俺自身の事は全然解決してないんですけど。

 

・・・仕方ない。最終手段を・・・オカンを頼ろう。

 

『・・・アンタ』

 

ッ・・・!? オ、オカン!? なんという奇跡! ちょうど今俺も呼ぼうと思ってたんですよ!

 

『そうか・・・』

 

? どうかしたんですか? なんだか酷く声が沈んでますけど・・・。

 

『すまん・・・。ホンマにすまん。ウチが・・・ウチがあんな事言わへんかったらこんな事には・・・』

 

ちょ、本当にどうしたんですか!?

 

『・・・ええか。落ち着いて聞くんやで。アンタの後輩が・・・』

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

 

たった今オカンの口から飛び出た言葉に、俺の頭が瞬間的に真っ白となった。は、はは・・・いやだなあオカン。そういう冗談はよくないですよ。

 

『冗談なんかやない! こんな・・・こんな事、ウチが冗談で言うと思うか!?』

 

そんな・・・。だって、だってあり得ないじゃないですか。兵藤君が・・・兵藤君が死んだだなんて、そんな事あるわけないじゃないですか・・・!

 

『・・・』

 

嘘ですよねオカン! 兵藤君が死んだなんて嘘なんですよね!?

 

『・・・すまん』

 

「そん・・・な・・・」

 

死んだ・・・。しんだ・・・。シンダ・・・。俺の“大切な”人が・・・また死んだ・・・。

 

「あ・・・ああ・・・」

 

全身から血の気が引いていく。体の震えが止まらなくなり、ついには立っている事すら叶わなくなってしまった。

 

『ッ・・・!? あかん! しっかりしいや!』

 

オカンのその言葉を最後に耳にし、俺の意識は闇へと沈むのだった。




一回目の口上はオリジナル。二回目は原作から引用しました。

そして、最後の最後で完全なるフラグがたちました。なんのフラグかは、これから明らかになります。

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