ガンダムビルドファイターズ~EDGE OF THE FAITH~   作:鷲塚慶一郎

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第七話 『士道』

ジュウゴロウとミワは新たなガンプラを開発する為、日々制作に追われていた。

試行錯誤の日々・・・。

ジュウゴロウも工作室を通いつめるようになっていた。

 

1週間後を控えたある日、ミワの兄・ユウヤが珍しく工作室に入ってきた。

「あれ、お兄ちゃん、どうしたの!?工作室に来るなんて珍しい。」

「ああ、最近ミワに恋人が出来たって聞いたから見に来たんだ。」

「はあっ!?」

ミワは顔が赤くなる。

「お主、俺を恋仲と紹介してるのか!?」

「してない!!!!」

「ハハハ!冗談だよ。ただ最近、中のいいガンプラ仲間って聞いたからどんな人かと。しかし!なかなか見据えた顔をしてる。いいガンプラファイターを持ったな、ミワ。」

「は、初めまして、兄上殿!セキトバ・ジュウゴロウと申し上げます。以後お見知りおきを」

「よ、よろしく。僕はキサラギ・ユウヤだ。」

少し苦笑い。

「お兄ちゃんよりずっと強いよ。私の選りすぐりだから。なんならバトルしてみたら?」

「いや、遠慮しとくよ。もうバトルはやってないからね。で、今何作ってるんだ?」

「Gモノノフを進化させたガンプラ。」

「それを使って1週間後、アマギ・カケルっていう、悪質ファイターと闘う所存です!」

「あ、アマギ・カケル!?」

「うん?お兄ちゃん知ってるの?」

「い、いや、初めて聞く名前だよ。そうか。頑張って。では失礼した。」

ユウヤは部屋を出て行った。

「兄上殿はバトルは辞めたのか?」

「うーん、確か3年前あたりからやってないような気がするけど、詳しいことは知らない。」

「ちょっと戦って見たいと思ったがなぁ。そういや、今回の“ガンプラ”はどんな感じにするんだ?」

「内緒・・・ただ、モノノフ以上に操作精度を求められる。そこは気を付けて。」

「なら完成したら、きっちり練習せんとな!」

「うん、だから明日か明後日には必ず完成させるから。」

「そぉかぁ・・・楽しみだのぉ。」

 

次の日、いつものようにミワの工作室に行って作業をしていると、キサラギ・ユウヤが入ってきた。

「あれ、またお兄ちゃん、なんか用?」

「ああ、ジュウゴロウくんにね。」

「なんでございましょうか・・・!?」

「ここだとあれだから、ファーデーン模型に行こう。」

「ファーデーン模型?承知致した。では行ってくる。」

「うん、わかった・・・。」

 

ファーデーン模型に入り、そのままバトルシステムに向かう。

店長も珍しそうにユウヤを見つめる。

「ば、バトルですか?」

「そう・・・やはり、君には伝えておこうと思ってね・・・。僕の思いを。」

バトルシステムにGPベースとガンプラをセット、ジュウゴロウも連れられてセットする。

「ユウヤ、Gアクセル!出る!」

ユウヤが使用するGアクセルは背中に追加されたブースター、武装はヒートソード、ショットランサーとシンプル

フィールドはコロニー周辺の宙域

アクセルはブースターを最大出力で間合いを詰める

そのままショットランサーを突き立てて突撃する。

「速い!」

シールドを構えるもその速さからなる衝撃に耐えられないと判断し、即座に回避に移行する。

「流石・・・実力は噂だけではないわけか・・・だが!!!」

ヒートソードを振るも、間一髪シールドに傷跡が付く程度で済む。

分が悪いと判断したジュウゴロウは間合いから離脱

「逃げるとはらしくないな。だがこのGアクセルの速さからは逃げられない!!!」

「くっ!」

必死に飛ばして逃げるも、電光石火の如く追いかけてくる。

振り向いてビームをばら蒔くも当たらない。

アクセルはジンの射線上から離脱して高速旋回、そのまま蹴りを入れる。

シールドで防ぐもスピードからなる衝撃に耐えられず、コロニー外壁に叩き付けられる。

「もらった!」

「くそっ!」

ショットランサーを撃ち出した。

急いで寝返って回避、その場から離脱

「こんなに速いと、反撃の暇もない。」

惜しくもコロニー外壁にランスが貫いていた。

「ジュウゴロウくん、このバトル楽しいかい?」

「反撃出来ないのが悔しいでござるが、これはこれで緊張感があって楽しいでございます。」

「よかった・・・“また”一方的だから不安だった・・・。ならば、ここからは刃を交えよう。」

アクセルはランスの柄を後腰にマウントしてヒートソードを構えた。

ジンもライフルを捨てて抜刀、シールドを全面に構える。

「いざ、勝負!!!!」

そう言って、ジュウゴロウが斬りかかり、斬り合いが始まった。

鋭い太刀筋にたじろぐユウヤ

「なかなかの太刀筋・・・だが久しぶりに楽しいバトルだ。」

ユウヤは斬撃を捌き返して、一歩下がる。

「お願いがあるんだ。」

「お願い・・・!?」

「アマギ・カケルにもう一度、バトルの楽しさを思い出させて欲しいんだ。彼がああなったのは、僕のせいなんだ。ミワにはあまり話したくもなくて、ここを選んだ。詳しい事はまた話す。」

「・・・。」

「頼む!」

「相わかりました。というか・・・もとよりそのつもりでござる。」

「そうか・・・!」

安堵したユウヤはバトルを再開。

「さぁ、続きをやろう!!」

二人はその後、バトルに明け暮れた。

 

ミワの工作室に戻ったジュウゴロウ

「お主のお兄さん強いなぁ!楽しいバトルが出来た!」

「よかったね。それより、やっと完成したよ!」

「本当か!!やっとか!」

水色と白にだんだら模様に塗装されたガンダムAGE-1を素体に改造された機体

所々に『誠』の字が入れられている。

もちろんGモノノフの性能も取り入れられてる。

「以前より更にスピードアップさせてる。名刀システムも健在!また新たな武器も取り入れた。Gモノノフとは格段に性能が違う!」

目を輝かせて説明するミワ

「この機体とミワのサポートがあれば・・・」

「私のサポート?必要なの?」

「えっ・・・そうじゃないのか・・・」

「別にいいけど。ただそれがジュウゴロウの“士道”として十分なら。」

「俺の士道・・・」

ジュウゴロウは考えた後、キリッと顔を変えた。

「その通りだ!俺は士道を持ってして戦う!サポートなどいらない!」

「私は相手の動きを読みきってる。だから再戦日まで特訓は私とバトル。この特訓で全てを教えるから。」

ミワは完成したガンプラを手に取って制作机で何かをしている。

「ん?どうした。」

「よし、これでもう忘れないでしょ、“士道”を。」

左肩と左フロントスカートに“士道”があしらわれていた。

「ありがとう、ミワ!決まった!こいつの名前は、シドウだ!!!」

武者の様な、侍の様なその出で立ちに相応しい名前だった。

「早速、特訓始めよう。」

「当然だ!」

決戦の為の特訓の日々が始まった。


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