ガンダムビルドファイターズ~EDGE OF THE FAITH~   作:鷲塚慶一郎

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第三話 『武者修行』

学校の帰り道、気付くと目の前にミワの後ろ姿が。

「おっ!?」

ミワの横まで走り寄る。

「よっ!ミワではないか!」

「んっ!びっくりした!脅かさないでよ。」

「ほう、お主も驚くんもんだな。」

ミワはあまり表情豊かなタイプではない。

「ジュウゴロウの顔で驚かない方が変だと思うけど。」

「なんだと!それはどういう意味だ!?」

こんな厳つい顔した青年が突然現れたら驚くのも無理はない。

「それより、いよいよ明日だの、“イベント”」

「うん、いろんな周辺地域から来るから結構大勢になるよ。ガンプラ甲子園の予選敗退した人達やまだ見ぬ実力者、いろんな人が来るからいい刺激になるよ。ほら、あそこに見えるドーム、“ミンスリードーム”で行われる。」

「いろんな人、か・・・。」

ジュウゴロウの表情が曇る。

「うん?何か気掛かりでも?」

「ああ、前のファーデーン模型に寄った時、すれ違っただろ?あいつのことだ。」

「たぶん、来るだろうね・・・。」

「一発、ビシッと成敗してやる!」

「けど、私達の目的はあくまでも実戦練習だから深追いしないで。実力者なら私達のガンプラもボロボロにされかねない。」

「ああ、出会わなければな・・・!」

「そういえば、モノノフの刀なんだけど、手入れしてもらうと思うんだけど・・・工作室寄る?」

「そういや刀がまだ不十分だったな。そうするか。」

「なら、行こう。」

2人は工作室で納得の行く斬れ味まで調整して、明日に備えた。

 

土曜日の9時半、ファーデーン模型前

まだ模型屋は開店してない。

2人は合流し、そのままミンスリードームに向かう。

20分もかからず、無事到着。

ドームの入り口には行列が出来、その先に受け付けがある。

このバトルイベントはバトルだけでなく、フリーマーケットも存在する。

ガンダム関連グッズやガンプラのジャンクを販売する人がいたり・・・。

バトルをするだけなら無料だが、出展する際は料金がいる。

その為、バトルをする人、出展する人と見分けるために首からカードを下げるのを受け付けで受け取る。

会場は右半分がいくつかのバトルシステムが設置されたバトルスペース、左半分が出展スペースとなっている。

ジュウゴロウ達は迷いなくバトルスペースに。

あとは自由にバトル。

「早速、バトルしてるなぁ。」

「私は近くで見てるね。メンテナンスは任せて。」

「ああ、ありがとう。」

そう言って、ミワはGモノノフを手渡す。

 

早速、順番が回ってきた。

フィールドは廃市街地

相手はグフカスタム

どちらかというと、モノノフには不利な状況下。

グフは地形を利用した戦法を展開する。

モノノフは回避、逃げ隠れるのに精一杯だ。

撃っては隠れ、予想だにしない場所から攻撃しては、姿を消す。

「くっ!鬱陶しい!!!」

ジュウゴロウの独特の操作で回避するも、やはり未だ性能に振り回されている。

モノノフのダメージも着実に増えていく。

「この勝負貰った!」

グフは撃ち尽くしたガトリングをパージしてヒートソードをシールドから抜刀。

3連装のガトリングをばら撒きながら、間合いを詰める。

「まだ勝負は決まっておらぬ!」

各部被弾しながらも突撃、一太刀浴びせるもシールドで防がれ、そのまま弾かれる。

「しまった!!」

「貰った!!」

モノノフはヒートソードを突かれる。

グフはその場から退避してモノノフは爆破。

バトル終了。

 

「まだ駄目だ・・・まだ性能に追い付けてない。」

バトルの勝敗よりも、ジュウゴロウはまだモノノフを使いこなせい事に不満を抱いていた。。

ガンプラだけに言えたことではないが、どんなに性能が良かろうと、物が良かろうと、それを扱う者がそれに見合ってなければ宝の持ち腐れである。

だがミワはジュウゴロウの操作センスをこのガンプラに活かせれば、他には負けないガンプラになると信じて疑わない。

ミワはジュウゴロウを信じている。“あの日”交わした刃に偽りはない。

「こればっかりは慣れだね・・・。大丈夫。私は信じてる。絶対に出来るって。だから頑張って。」

うまく言葉は見付からないが、ミワなりに励ます。

ジュウゴロウはモノノフを見つめる。

改めて決意したかのように、深呼吸した。

「よし、絶対使いこなせてみせる。ありがとう、ミワ。吹っ切れた。よーし、次だ!次だ!」

 

ジュウゴロウはとにかく、バトルを重ねた。

反省を次のバトルに活かしては経験を積んで、勝利も徐々に増えていった。

 

「刀一本とは物寂しいな!一気に決着を付けさせてもらう!」

ヘビーアームズカスタムは弾幕を張る。

流石に無理かと思いきや、優雅に回避してみせた。

「なんだと!あれだけの弾幕を!?まぐれだ!もう一弾幕くらえっ!!!」

これでもかと弾幕を広げてモノノフに襲いかかる。

ジュウゴロウは物言わず、冷静に対処する。

またもや華麗に完全回避。

(うん、完全に慣れて来てる・・・やっぱりこの人のセンスは凄い・・・。信じてるとは言ったけど、ここまでとは・・・。)

逞しいジュウゴロウの横顔に実感する。

「そんなバカな!!!ありえない!!!ただの偶然だ!!!だかもう三度はないぞ!!これで終わりだ!!・・・なに!?弾切れ!?」

モノノフは抜刀する。

―その刃に今、迷いはない。

「こんなことは絶対にありえん!!」

ヘビーアームズカスタムは縦に一刀両断。

両断した隙間からモノノフの顔が現れる。

バトル終了。

 

一人の青年がバトルシステムに向かいながら話しかける。

「素晴らしい、あの弾幕を完全に交わすとは・・・だがこの僕のプロヴィデンスのドラグーンは避けられないだろう!」

戦いを挑んできた。

ジュウゴロウは黙ったまま、GPベースとガンプラをセットして出撃。

フィールドは宇宙

「行け!ドラグーン!!!!」

ドラグーンが縦横無尽にモノノフを追尾する。

ジュウゴロウは眉を顰める。

モノノフはドラグーンの攻撃を避けていく。

避けながらも一個一個確実に斬り落とす。

「こ、こいつ!!」

キリがないと悟ったジュウゴロウは反撃をやめ、逃げに徹する。

「諦めたか・・・もう終わりだ!!」

モノノフをある程度突き放すと、勢い良くプロヴィデンスに向かう。

「攻撃を差し向けようってか!させるか!」

プロヴィデンスは射撃するも当たらない。

「どんだけすばしっこいんだ!当たれ!!ドラグーン!!!」

モノノフは勢いのままプロヴィデンスを踏み台にして飛び上がる。

「貴様、何のつもり!?はっ!!」

気づいた時には遅かった。

ドラグーンがプロヴィデンスを攻撃する。

「違う!僕じゃない!ドラグーン!!!!!!!」

終了のコールがなる。

観戦していた周りが湧き上がる。

「何者だ、あいつ!?」

「弾幕もドラグーンも避けるなんて・・・!」

ミワはその戦いぶりに驚きを隠せなかったが、誇らしげに微笑んだ。

ジュウゴロウはモノノフを見つめる。

(遂にここまで来た。だがまだまだ俺は昇る。高みを目指す。)

 

突然、奥のバトルシステムから悲鳴があがる。

ミワがすぐさま反応する。

「な、なに!?」

何があったと、ギャラリーがそこに集まる。

ミワ達もそこに向かうと・・・

そこにはいくつものガンプラの破片が散らばり、ただならぬオーラを放つガンプラがガンプラを痛め付けていた。

そのファイターであろう者が、高らかに笑う。

「ハハハハハ!!!!破壊!破壊!!破壊は楽しいなぁ!!!!ハハハハハハ!!!」

「あ、あいつは!!!」

ジュウゴロウは睨み付ける。

 


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