ガンダムビルドファイターズ~EDGE OF THE FAITH~   作:鷲塚慶一郎

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第九話 『二つの記憶(想い)』

激しい鍔迫り合いの中、ジュウゴロウは語り掛ける。

「俺は“あの日”見たバトルが忘れられない。第7回ガンプラバトル世界大会決勝戦直後の騒動の後のアメイジングエクシアとビルドストライクの闘いが・・・」

「・・・!?なにベラベラと!」

「あれ以来プラフスキー粒子が消滅し、バトルが出来ない日々が過ぎていく中で、引退を考えた・・・だが、粒子が復活し、またガンプラバトルが出来るとわかった時、拙者は決意した・・・“あの日”の闘いのような楽しいガンプラバトルをしたい、バトルの楽しさを伝えてくれた“あの人達”のように最高のバトルをしたいと!!」

 

―第7回ガンプラバトル世界大会の騒動後、突如画面に流れ出した、とあるバトル。

「全世界をガンプラファンの皆さん!この映像が見えますか?もしそうならこの一戦を見逃さないで下さい!」

カスタムされたストライクと同様にリペアされたエクシアが熱い楽しいバトルを展開する。

それに目を輝かせて見つめるジュウゴロウ

(こんなバトルがしたい!こんな最高のバトルを!)―

 

「楽しい!?何を!!ほざくな!!!!そんなのはお前らの思い込みだ!!!一方的に闘って勝つことを楽しいと勘違いしてるだけだ!!」

ジュウゴロウを追い詰める。

「違う!」

「何が違う!?俺も昔、“あの日”決意した。ガンプラを破壊し尽くすことを!」

 

―遡ること3年前、ガンプラの魅力にはまり、まだカケルがガンプラバトル初心者の頃の話だ。

 

「よーし、今日もガンプラバトルだ!!!」

「う、うん・・・」

と、乗り気じゃない感じに頷く彼の名はキラサギ・ユウヤ

彼もまたカケル同様、ガンプラバトルの魅力にはまった初心者である。

「なんだよー、今日も負けるからって乗り気じゃないのか?」

「う、うん・・・」

いつも、放課後に模型屋に立ち寄ってのこと

「気にすんなよ、戦ってりゃ強くなる!」

と言いながら、ガッツポーズの二の腕に手を組んで励ます。

「で、でもカケル強いし勝てないよ」

ウジウジなユウヤを他所にGPベースをセットした。

「ほら、やろうぜ!」

「手加減してね・・・?」

「何言ってんだ!ガチに決まってんだろ!」

 

バトルが終了する間もなく、カケルが舞い上がる。

「今日も俺の勝ち!!!!!」

「・・・」

「そう、凹むなって!そのうち、コツ掴んで俺を超えるかもしれないぞ!?」

「う、うん。」

「おっと、こんな時間!じゃあな!また明日もやろうぜ!」

そう言いながら、ササッと帰っていった。

一人残ったユウヤは何かを決意したかのようにグッとガンプラ握り締める。

 

次の日からユウヤは放課後のガンプラバトルに来なくなった。

そんなことも気にもせず、カケルは他のファイターと対戦する。

バトルの日々が過ぎ、カケルはいつしかユウヤはガンプラバトルを辞めたと思うようになった。

あの日が訪れるまでは―

 

それはある日の事である。

いつも通り、放課後お決まりの模型屋でのガンプラバトル

今日は誰だとワクワクを胸に模型屋に向う。

しかしそこに居たのは、キサラギ・ユウヤだった。

「久しぶりだね、アマギ・カケル」

「おう!ユウヤじゃねぇか!てっきり辞めたのかと・・」

ユウヤの手にはカスタマイズされたGエグゼスがあった。

仕上がりもまるで、この日のためにと言わんばかりである。

だが、カケルも今日までただバトルを重ねてきた訳じゃない。

様々なガンプラを作り、様々なバトル経験を得て、カケルのガンプラも自慢の仕上がりになっていた。

互いの成長を伺える。

「カケル、バトルしよう」

「ああ、やろうぜ!」

互いにGPベースとガンプラをセットし、プラフスキー粒子が散布される。ステージは宇宙

「ユウヤ、Gフォース、出る!」

「カケル、AGE-2 リノ、行くぞ!」

ストライダーフォームで勢い良く出撃する、AGE-2 リノ。

まずはカケルがライフルで先攻、当然の如く避けるユウヤ

避けながらも撃ち返すが、ストライダーフォームで優雅に宙域を舞って避ける。

更に高エネルギー砲で追撃して、相手のシールドを破壊。並々ならぬ威力。

ユウヤも射撃を繰り返し、カケルも変形して避けるも右肩に被弾する。

「随分、腕上げたみたいだな!」

「ああ、この日のためにね・・・」

「ほー!!テンション上がるぜ!」

互いにサーベルを抜き払いながら突進。

格闘、射撃を交えながら激しい斬り合いが始まる。

しかし、ここではユウヤが一枚上手だった。

左腕が切り落とされ誘爆し、体勢が崩れた所に渾身の蹴りが入る。

「なに!?」

不敵な笑みを浮かべるユウヤ

ユウヤの容赦のない攻撃が繰り出される。

カケルは体勢を立て直すも、避けるのが精一杯。

「僕はずっと・・・この時を・・・」

「くそっ!!」

ユウヤのビームが右脚を刺した。

被弾しながらも撃ち返すが、当たらない。

「待ち望んでいた!!!!」

サーベルを前に突き立て襲いかかる。

「なんで!?」

右横腹を貫いた。

「いつもいつも君に一方的に負かされていたのが気に食わなかった・・・だから今度は僕の番だ!!!」

「そんな!?」

そのまま蹴っ飛ばし、今度はライフルを破壊

咄嗟に手放すが爆発が右腕に被爆。

「今度は僕が一方的に君を打ち負かす!!!」

ユウヤは武器を納め肉弾戦を展開する

「僕はずっと君に勝つため、練習してきた、研究してきた、ガンプラも作ってきた!!!」

「そうまでして俺を・・・だからってこんな戦いは間違ってる!!!」

「君が言えたことか!!!一方的に戦って、一方的に勝ってきた君が!!僕は許さない!!!」

殴る蹴るをひたすら繰り返す。

「落ち着いてくれ!!!!ユウヤ頼む!!」

勝敗は既に決している。

カケルも戦維喪失状態

だがユウヤは攻撃を止めることはない。

ユウヤは豹変していた。

「毎回!毎回!負け!負け!負け!!!!!僕を負かした!!!」

「や、やめろ・・・やめてくれ!!!俺のガンプラが・・・!」

カケルに言い表せない恐怖が走った。

「気が済むまでやめない・・・憎しみを流し込む!!」

 

しばらくして、ユウヤは息が上がり、攻撃が止んだ。

無惨にもボロボロになったカケルのガンプラが星が瞬く暗闇の世界に浮いている。

カケルの頬に辛く悲しい滴が流れた。

プラフスキー粒子が消滅し、ガンプラが落下する。

ユウヤは無言のまま、ガンプラを手に逃げるように模型屋を出て行った。

カケルはその場で崩れ落ちた。

床に数滴の涙が落ちる・・・。

「なんで・・・こんな・・・俺を・・・」

今までにないような怒りが全身に込み上げ、ボロボロのガンプラを掴んで強く握り締めた

その顔は復讐に満ちた、鬼の形相だった。

「ぶっ壊してやる!全部!!!破壊し尽くす!!!」―

 

「俺はその日からずっとガンプラに復讐を誓って戦ってきた・・・より強くそして破壊するため!!!!その為に今日まで破壊の為の強化をして来た!!!!」

鍔迫り合いが解ける。

「お主が一番わかってるじゃないか!!!!」

「はっ!?何がだ!?」

再び刃を交えながら説いかける。


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