私はブラックトリガーになりたい   作:駄作製造工場長

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書いてる本人が一番混乱しています。


第6話

俺にとって迅悠一という先輩は友人の米屋や出水、嵐山隊以外のボーダー関係者で最も接点が多い、と言っても友達よろしく連絡を取り合ったり何処かへ遊びに行くような関係ではない。顔を見合わせる度にぼんち揚げと飲み物をくれ、その代わりに此方の近況を聞かれるだけという他人には説明しにくい関係なのだ。顔を見合わせれば、と言えば偶然みたいにニュアンスだが玉狛支部の迅さんが用もない本部に来ているので確実に故意なのだろう。この報告会は俺が入隊してからずっと続き、頻度は3日に一回というハイペースなのだ。元々自分語りが苦手な俺にとって3日に一回の近況報告は広報任務のインタビューに匹敵する程の苦痛なので、俺にとって迅悠一という先輩は名前以上に親しみを持てるのだが、かなり面倒臭い先輩なのだ。

 

「広瀬、嵐山隊を抜けて玉狛支部に転属してくれないか?」

 

迅さんに告げられた内容が自身の理解力を超えていた為に絶句してしまい蚊帳の外に。慌てて返答を考えていると、イラついた様子の小南に先を越されてしまった。

 

「ちょっと待ちなさい。なんでこんなのを玉狛に受け入れなくちゃならないのよ?私は絶対に反対よ」

 

こんなの呼ばわりされてしまったが、俺が聞きたいことを代わりに聞いてくれた、一方の迅さんは小南の参戦にしまったという表情を浮かべていた。

 

「マズったな...勢い余ってちょっと話がややこしくなった」

「ややこしくしてるのはアンタの方でしょ、私は絶対に転属なんて認めないわよ」

 

話の中心は俺の筈なのだが、突然の事態にどう発言していいのか分からない。テーブルに置かれた誰かのか分からない紅茶を飲んで気分を落ち着かせていると迅と小南の話が終わったのか、迅が部屋の外へと俺を手招きし、小南は俺に向かって睨んでいた。俺は巻き込まれただけなんだが、この場に居たたまれなくなり迅さんから詳しい話を聞く為に付いて行く事にした。

 

 

 

「ぼんち揚げ食う?飲み物は炭酸でいいか?」

 

迅さんに手招きで案内された場所は玉狛支部の屋上だった。普段の報告会みたいにぼんち揚げと炭酸を手渡され、迅さんとベンチの上に座った。

 

「さて、どうしたもんか、我ながら難しいなぁ...」

 

俺を納得させる為の言葉を選んでいるのか迅さんがぶつぶつと呟いている。なんとなく小難しい説明を予想したので先手を打つ。

 

「俺はバカなので簡潔にお願いします」

「それは助かるよ。やっぱりこれから大事な頼み事をする奴に難しい事を言って煙に巻くみたいなのは駄目だもんな...」

 

瞬間、迅さんの顔付きが真剣そのものになる。

強者と弱者をハッキリさせるような鋭い目付きに思わず唾を呑み込む。

 

「広瀬、俺と一緒に最低最悪の未来を回避するのを手伝ってくれないか?」

「は?」

 

おふざけなど一切許されない雰囲気なのだが、

迅さんの言った内容が意味不明過ぎてすっとんきょうな声を上げてしまった。

 

「おいおい、傷付くからそんな声を出すなよ...」

 

俺の反応に本当に傷付いたのかガッツリと項垂れていた。あんな真剣な顔付きで宗教の勧誘みたいな事を言ったんだから仕方ないだろ。なんだよ未来って...

 

「冗談はここまでにして、本当の理由を説明して貰ってもいいですか?未来なんて曖昧な理由で転属なんて嫌ですし、本部長が絶対に認めませんよ」

「曖昧じゃないって、ちゃんと俺のサイドエフェクトがそう言ってたんだって」

 

サイドエフェクトという聞き慣れない言葉に思わず復唱してしまった。

 

「えっ...なにその反応。もしかしてサイドエフェクトを知らないのか?」

 

俺の反応が以外だったのか、迅さんが珍しく動揺していた。

肯定した訳ではなかったのだが、俺の反応を肯定と捉えたのか腹を抱えて笑い始めた。

あ~分かった、遠征部隊みたく俺だけ知らされてなかったパターンだわ。

 

「ぐぁ~そりゃそうか、そういう反応になるか、だって教えてないんだもんなぁ~」

「いつまでもバカにするなら本気で帰りますよ?」

「実はサイドエフェクトに関しては意図的に広瀬に伝えてなかったんだよ、

だから広瀬が知らないのは当然、いや~自分で頼んどいて忘れるとか相当だな」

 

無知な俺を笑っていたと思っていたが、どうやら違ったようだ。

それにしてもサイドエフェクトという言葉の意味を意図的の伝えていなかったとはどういう意味だ?

 

「サイドエフェクトっていうのは優れたトリオン能力を持つ者が発現する感覚的超能力的なもので、俺は予知のサイドエフェクトを有している。だからさっきの話は冗談じゃなくてガチの話だ

「へぇ、未来予知なんてスゴいっすねぇ~」

 

ぼんち揚げを口一杯に頬張りながら適当な返答をする。

聞き始めはサイドエフェクトの存在を信じかけていたが、予知の件から嘘だと確信した。予知なんて出鱈目能力を本当に有していたら、迅さんが先程まで必死にやってた人探しなんて一瞬だろ。

 

「いやいや信じる云々に頼むから此方を向いてくれ!!

話し合いの前段階でこんな調子だと俺、マジで泣いちゃうよ!?」

 

俺の両肩が迅さんに掴まれ前後に揺らされる。

話そのものの信憑性はないのだが、迅さんの必死さに圧されてしまった。

 

「迅さんの予知は置いといて、サイドエフェクトそのものを信じられないんですけど。もしサイドエフェクトが本当に存在していたら、俺が発現してないと変じゃないですか?」

 

自慢ではないが俺のトリオン力はボーダーの中で前例がないレベルだと聞いている。つまりはトリオン力に関しては俺の右に並ぶ者はいないと言っても過言ではないのだが、その俺にサイドエフェクトが発現している気配はない。生まれつき有しているので気が付いていないかもという可能性があるが、ボーダーの健康診断では特に異常はなかった...今更ながらあの健康診断ってそういう趣旨だったのか?

 

「サイドエフェクトに関しては後で誰かに聞いて確かめろ。とにかく今は信じてくれ、じゃないと話が進まない。それで広瀬のサイドエフェクトの事なんだが安心してくれ、お前は既に持ってるよ、但しメチャクチャ面倒臭いヤツだけどな」

 

サイドエフェクトの真偽については後で宇佐美に確かめるとして、俺が既にサイドエフェクトを有しているというのはどういう事だ?身体検査でも引っ掛からず、他人から指摘された覚えや本人に自覚すらないので全く予想が出来ない。

 

「見えないんだ、俺には広瀬の未来が全く見えないんだよ」

 

未来が見えない。迅さんが本当に予知のサイドエフェクトを有していたのなら、未来が見えないという発言は死刑宣告に近い発言なのだが、話の流れから察するにそうでは無いのだろう。未来を見れる迅さんが俺の未来だけ見れない、つまり俺のサイドエフェクトとは...

 

「察しが良いな、広瀬のサイドエフェクトは相手のサイドエフェクトが効かないヤツだよ」

 

サイドエフェクトが通用しない、もしくは無効化と言った方が良いのだろうか?能力者バトルにおいて相手の能力を無効化出来るのは至極絶対的な能力なのだがこの場合は逆だ、なにせ味方である迅さんの予知の恩地を受けられないのだ。極端な話をしてしまえば俺が明日死んでしまうとしても、迅さんには予知のしようがない。サイドエフェクト持ちでしか気が付けない能力なら計器や俺に気付かれないのも納得だが、こんな傍迷惑なサイドエフェクトなら欲しくなかった...しょっちゅう死角から攻撃されるから聴力系統の能力が欲しかった。自身の隠された能力のショボさに凹む...嵐山先輩になんて説明しよう。

 

「そういや、謎の報告会って俺のサイドエフェクトが関係してたんですか?」

 

迅さんを面倒臭い人と評価させた3日に1回の一方的な報告会だが、サイドエフェクトの話を聞くと無関係ではなさそうだ。

 

「紆余曲折あったが、ようやく本題に入れたよ...」

 

迅さんが俺を気にかけてくれた理由を話してくれた。

予知出来ない俺の安否を確かめる為だと思ったが、全く違うみたいだ。迅さんのサイドエフェクトは自分自身だけではなく出会った人の未来を予知するという、創作物で知れ渡っている以上の予知能力であった。この時の予知はかなり正確で実際に起こった未来を神のような視点で見れるのだが、その未来に迅さんが認識出来ない人が居るのだ...俺だ。映画で例えると観客に認識出来ない役者が平然と他の役者と会話して、観客に認識出来ない役者ありきで物語は進んでいるので観客にとっては酷く迷惑な話だろう、加えて俺は一人で行動する事が多いので更に面倒臭い、この話を聞くと無意味だと思った報告会の真意が分かった。迅さんが確かめていたのは俺の安否ではなく、予知されない俺が未来に悪い影響を与えてないか確かめていたのだ。

 

「迅さんと俺が敵じゃなくて本当に良かったですね」

「ようやく俺の苦労が分かってくれたか、広瀬と会うまで怖かったんだからな。因みに俺の効かない説は主観だけじゃなくて、天羽にも確かめたからマジな話だ」

 

天羽もサイドエフェクト持ちなのか、そういや遠征部隊との訓練でウザいという理由で殴られていたがそういう理由だったのか...ってかその時に言えよ。

 

「なんでこのタイミングで教えたんですか?」

「タイミングに関しては...俺の心境の変化だな、詳しくは情けなくて言えないけど。話は逸らすけど確定した未来を変えれるのはどういう奴だと思う?」

「そりゃ...迅さんみたいな未来を予知出来る人なんじゃないんですか?」

 

未来を知らなきゃ未来を変えられないし、未来を知る者が未来を変えようと動かないと未来は絶対に変わらないんじゃないか?...自分の考えながらよく分からない、そもそも普段から細かい事を考えない様に生きている人間にこの系統の話は厳しい。脳が糖分を求めているが、缶ジュース一本では足りないだろう。

 

「正解だが、なにも俺だけが変えられる訳じゃない。未来という枠から外れた者の行動で確定した未来が大きく動く事がある、現に広瀬は良い方向に未来を変えてくれた」

「具体的には?全く自覚がないですけど」

 

自分で言うのもなんだが周囲の影響で自身の行動があらぬ方向へ向かった事は多々会ったが、自身の影響を周囲に与えるような生き方をした覚えはない。

 

「広瀬が造ったトリオン兵を訓練課程に組み込んでくれただろう?あれのおかげでボーダー全体の未知の敵に対する対応力がかなり上がったんだよ、あれは相当なポイントになったと思う。俺にはあんな裏技があるとは思いつかなかった、ありがとうな」

 

尊敬する先輩から真っ正面から褒められて思わず唸ってしまった、自身の凶行(?)がこのような結果になるとは思わなかったからだ。それにしても迅さんの口振りから未来を変えたがっているように思えるがどういう理由なのだろうか?興味本意で質問をしてみる。

 

「迅さんは未来を変えたいんですか?」

「そりゃ変えたいに決まって...ってか俺が始めに言った台詞を忘れてるだろ?広瀬が頼りなんだからちゃんとしてくれよ...」

 

すいません素で忘れてました。呆れ顔の迅さんに謝り、今までの会話を遡る。「最低最悪の未来を回避する」という答えは直ぐに見つかったが、最低最悪の未来がナニを指しているのか分からないので質問をしようとする。

 

「最低最悪の未来と言ってましたけど、具体的には?」

「俺達は敵の侵略を防げず、多数の市民と隊員が死ぬか連れ去られる」

 

簡潔な返答ながらあまりにも絶望的な内容だ。

130名近くの隊員を有するボーダーが敵の侵略を防げないとは誠に信じられないが、迅さんの真剣な顔付きがその考えを即座否定する。文字通り最低最悪の未来だ、そんな未来を二人で変えようとするのはいくらなんでも無謀ではないだろうか...

 

「もちろん広瀬にした話は司令達に報告して、現在対策中だそうだよ...それでも最低最悪の未来は変わってないけど、しかも近い内に敵の尖兵が攻めてくる予定だ」

 

ボーダーの最精鋭が遠征任務中というタイミングで尖兵が攻めてくるとは面白くない状況だ。

 

「尖兵に関しては上手く立ち回れば人的被害なしでイケる筈だ...まぁこの件に関しては俺に任せて欲しい、問題はその後なんだよ」

「具体的に俺は何をすれば?玉狛支部に転属ですか?」

 

馴染んだ嵐山隊を抜けるのは心惜しいが、人の命が掛かっている状況でそんな事を言っている場合ではない。銃を撃ちたいというトンでもない理由でボーダーに入隊した身ではあるが一般的な感性は持ち合わせているつもりだ、ボーダー隊員のプライドと責任として人々の安全は絶対に守り抜かなくてはならない。今までにない規模の使命感に燃えていると、迅さんが口籠る。

 

「やっぱり覚えてるよな...直前でお願いして驚かせる予定だったのに俺が口走っておじゃんになっちゃったよ...」

 

迅さんが自身の行いをぶつぶつと呟いて反省する。

実力派エリートでも焦って失敗する事ってあるんだな。

 

「聞かなかった事にしますか?」

「そうしてくれ。広瀬の転属の話は未来が不安定だから、今の段階じゃなんとも言えないんだよ、その時になったら言うから考えといてくれ」

 

未来次第では玉狛支部に転属か...それでどう変わるかは聞かないでおくが少しでも良い方向に回って欲しいものだ。

 

「それで俺は何をすれば?」

「とにかく広瀬はボーダー隊員の対応力を上げてくれ。具体的には例のトリオン兵を増やすか強くて欲しい」

 

迅さんの指示に自然と口角が上がる。訓練課程に組み込まれている自作トリオン兵達は急場で作り上げた粗悪品、いつかは作り直したいと思っていたが、俺にプログラムの技術がなかったので諦めていたがこんな所でチャンスが巡ってくるとは思わなかった。

 

「それと広瀬のサイドエフェクトと、最低最悪の未来については他言無用だ。無駄な混乱を避けたい」

「未来については分かりますが、俺のサイドエフェクトについてはどうして?」

 

木虎に話して悔しがらせようとしたのだが、駄目なのか?

 

「城戸指令に聞かれると色々と厄介なんだよ。

広瀬のサイドエフェクトに関しては俺と天羽しか知らない超極秘なんだから頼むぞ。要らぬ対立は生みたくない」

 

厄介とは敵対関係に陥る事だろうか?

考えてみれば俺の存在ってサイドエフェクト持ちには脅威なのだろう、まぁサイドエフェクトを使わなくても迅さんや天羽は十二分に強いので俺が何出来るんだよ?って話だけど、迅さんの指示は守った方が良いだろう。

 

「最後に頼みたい事があるんだかいいか?」

 

頼み事とは全て終わったと思ったが、まだあったのか。

迅さんの「最後」と言う言葉に思わず警戒する。

 

「電話番号とメールアドレスを交換してくれ」

 

溜めた割にはしょもない頼み事だったので吹き出しそうになったが、よく考えれば俺の連絡先は極一部にしか伝えてないし、迅さんの予知も俺には通用しないので報告会みたく半ば時間と場所を決めないと話し合う事すら儘ならない。アドレス帳に名前が増えるのは躊躇してしまうが事の重大性を考えて迅さんと電話番号とメールアドレスを交換した。俺のアドレス帳に三人目のボーダー関係者が登録される事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから俺達に訪れる最低最悪の未来、それを回避する為に俺と迅さんは協力体制を結んだのだが、それだけで回避出来るほど柔な未来ではないと迅さんは言っていた。近々尖兵が攻めてくるらしいのだが、それへの対処は迅さんがするので現時点で俺がやれる事は非常に限られている。これから起こる大惨事を知っているので歯痒さを感じてしまう...いや、だからこそ俺のやれる事を全力で遂げなくてはならない。俺が現時点でやれる事は新たなトリオン兵の開発と新兵器の開発、今更ながらどちらも専門外なので俺がやれるのはスタッフへのコンセプトの提案だけだ、明日にでも始められるように考えを纏めてると右肩が揺れる。

 

「なに卑猥な事を考えてるんですか、通報しますよ」

 

そんなこと考えてません。相変わらず失礼な奴だが、こんな悪態でも今が平穏だと感じさせてくれるので非常にありがたい。

 

俺と木虎は玉狛支部での用事を済ませ、帰路に向かっている。米屋はついでだからと今日は陽太郎と共に宇佐美の家に泊まるそうだ、異姓の幼馴染みの家に泊まるのに少しも照れを見せない米屋には男として格の違いを感じてしまう。

 

「広瀬さんが玉狛支部に転属するって話だけど本当なの?」

 

なんで知っているんだと思ったが、小南経由だろう。あの人は見た目通りのお喋りさんだったようだ...口止めしとけば良かったな。

 

「木虎にとっては残念だろうが、その話はなしになった」

 

俺としては木虎が小バカにすると予想したのだが、深い溜め息をするだけで一向に罵りが始まらない...えっどうしたの?

 

「今の反応だとどっちか分からないんだけど、嬉しいの?悲しいの?」

 

木虎がなにかを告げようとした最中、近くでゲートが開かれ数体のモールモッドが現れた。見馴れた光景なのだが一つの違和感を抱く...防衛任務に就いている筈の隊員の姿が一向に見えないのだ。ボーダーの技術によってゲートが開く時間は特定され、開く場所も誘導する事が可能となった。時間と場所が分かっているので効率よく隊員を配置する事が可能なのだが、何故肝心の隊員が来ない?

 

「俺達って防衛任務に就いてたっけ?」

 

俺達がその隊員だったら話は早いのだが、木虎が否定をする。(米屋と共に)防衛任務担当時間外にトリオン兵を狩り続けて減給処分を喰らった者としては躊躇してしまうが俺達が対処するしかない、俺と木虎は即座に戦闘体へと切り替えた。ゲートから現れたモールモッド4体は道路上に直線に並んでいる、小細工など必要ないと言わんばかりにその場に立ち止まり二つの銃口を此方に近付いて来るモールモッド達に向け、引き金に力を込めた。二つの銃口から放たれた弾丸がモールモッド達に襲い掛かり一体残らず爆散する。

 

予想外の自体だったがなんの苦労もなしに4体のモールモッドは木っ端微塵となった。相手が戦闘タイプのトリオン兵と言えども、攻撃される前に攻撃すれば良いだけの話だ。この戦いでは役立たずだった木虎を小バカにしようとしたのだが、木虎は通信機を使って本部に報告をしていた。

 

「玉狛支部の近くでトリオン兵が出現しました...はい、はい、大丈夫です、既に撃破しましたが私はなにもしてません。担当の隊員が来るからと止めたんですけど広瀬先輩が勝手に戦闘を始めまして...」

 

自体が終わった直後に報告なんて真面目だなぁ~と感心していたら、どうやら俺を本部に売る為だったみたいだ。確かに木虎は戦闘に参加してないが戦闘体には切り替えてたので俺と同じく規則違反だ、木虎が通信している相手にも聞こえるような大声で反論しようとすると、木虎の表現が緊迫したものに変わった。

 

「さっきのゲート、ボーダーが開けたモノじゃなかったそうよ...」

 

迅さんの言う最低最悪の未来が始まったのだ。

 




ちょっとした追記~

○広瀬仁のトリガーの構成について。
コミック四巻の解釈によって異なりますが現時点では下記の通りです。
(嵐山さんの網膜ウィンドウの武器選択画面に銃器トリガーの名前がないので、アステロイド=銃器トリガーなのでは?という解釈です。この話では使用しているトリガーは画面に表示されないという解釈を取ってますので、ガンナーの人は弾丸系のトリガーと銃器系のトリガーが必要になるというだけの話です。長々と不必要な説明すいません)
・ライトマシンガン風の銃器トリガー×2
・シールド×2
・アステロイド
・メテオラ
・ハウンド
・テレポート
となっています。バイパーをセットしていないのは広瀬仁の戦法では自分自身で弾丸を操作する余裕がないからです。


○広瀬仁のサイドエフェクトについて。
正しい名称はないが、「アンチサイドエフェクト」と迅悠一が勝手に名付ける。
作中で言われた通りに相手のサイドエフェクトを自身に通用しなくするサイドエフェクト。
サイドエフェクトは感覚器官の延長なので範囲型の能力ではなく、自身にのみ作用するサイドエフェクト、なんで恩地を受けれるのは広瀬一人のみ。詳しく書くとネタバレになりますがこのサイドエフェクトはオンオフが可能です、サイドエフェクトそのものを知らなかった広瀬は常時オフにしていますが、オンにするとサイドエフェクト所有者を震撼させる事が起こります(因みに相手のサイドエフェクトを自身に通用しなくするだけで、サイドエフェクトそのものを永久に無力化する能力ではありません、そんな能力だった迅さん激おこです)


○質問返し(感想板で返せなくてごめんなさい)
まずは粗と矛盾のオンパレードの作品に感想書いて下さってありがとうございます。
質問にあった「主人公と千佳ちゃんってどっちがトリオン力あるの?」ですが、返答します。
主人公はトリオン力に優れていると書いていますが、この時のトリオン力は質ではなく量を指しています。千佳ちゃんの程ではないのですが主人公のトリオンの質はそれなりに優れています、ですが一度にトリガーに転換出来る量は限られています(そういうのもあって主人公は徹底して連射力を重視します。一応他の解決法あります)。例えると無限の血液を生成出来る腎臓を有しているが、その血液を供給させる血管などが一般人と大差ないので結局は持ち腐れになってしまっているという訳です(無限の血液を生成する腎臓に加えて、それらを問題なく供給させる血管を有している千佳ちゃんはやっぱりトリオン怪獣です)。

本人も何を書いてるのか分からなくなる時がありますが、とにかく千佳ちゃんのトリオンは質と量の両方に優れ、主人公は量のみに優れているという考えです(プール一杯の純金と水ではどちらが優れているか?みたいな話です。量は同じですが質量や価値そのものが全く違います...説明下手でごめんなさい)。戦闘では前者が圧倒的有利ですが、後者はボーダーの本部や技術部に重宝されています。(千佳ちゃんの規格外のトリオンが流れたら施設そのものがぶっ壊れる可能性があるためです)。書くかどうかは分かりませんが、主人公はアンパンマンの如くしょっちゅう本部に自身のトリオンを分け与えています。本人は気が付いていませんし、言ったら調子に乗って賃金交渉されるのが目に見えているのでみんなして黙ってますが本部の人達は運営や増築が容易になったとかなり助かっています。こういった経緯により幸か不幸か広瀬の除隊は本部が絶対に認めません。


次話からようやく原作に入れますが、時期が時期なので次話の投稿は少し遅れそうです。
どうでも言い話ですが、自棄食いで肥えた木虎は今話と次話の間でダイエットを行います。
ボーダー式ダイエットのおかげで肥えた頃のバストを保ったままで依然の体型を取り戻すのに成功し、ボーダー内の木虎ファンを震撼させます。

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