神を喰らいし者と影   作:無為の極

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番外編 16 ハロウィンの奇跡

「今日は何かあったのか?」

 

 ギルと北斗がミッションから戻ると、アナグラのロビーだけでなく、ラウンジ迄もが出撃前とは大幅に変わっていた。確かに出撃前はこんな気配は微塵も無く、この短時間の間に何が起こったのかを知る為に何か作業をしていたナナに確認すべく北斗は歩いていた。

 

 

「ナナ、何かイベントでもあるのか?」

 

「おかえり北斗。実はハロウィンの準備をしてたんだ」

 

 

 何時もの様に笑顔で答えながらも手に持ったハサミは何かを切っている。見た感じからするとメッセージカードの様な何かにも見えていた。

 

 

「ハロウィン?ってなんだ?」

 

「ハロウィン知らないの?」

 

「ああ。良ければ教えてくれないか?」

 

 北斗の人生の中でハロウィンなる単語を今まで聞いた記憶は無かった。

 ゴッドイーターになる前はこんなに恵まれた環境で生活していた訳では無く、人里離れた場所で慎ましく生活をしていた事もあってか、アナグラに来てから初めて知った物が幾つかあった。

 そんな中でのハロウィンもまた北斗が知りえない事実の一つだった。

 

 

「小さな子供がトリック・オア・トリートって言ってお菓子貰えるんだよ」

 

 本来の意味を知らない北斗からすればナナの言葉が全ての為に、本来の内容を知る術はない。故にお菓子を貰える日である位の認識しか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハルさんも準備っすか?」

 

 北斗と別れたギルもロビーで何かをしていたハルオミを見つけたのか、近寄ると何かを書いている様にも見える。それが何なのかは分からないが時期的な事を考えると恐らくはハロウィンの何か位にしか覚えが無かった。

 

 

「大した事じゃないんだが、ケイトが何かしていた記憶があったから何となくだ」

 

 作業が終わったからなのか、ハルオミはメモらしい紙をジャケットのポケットに入れる。ケイトの名前が出た事でギルはそれ以上の事を口にするのは止めていた。

 

 

「仮装するんですか?」

 

「そうよ。今回はハロウィンのイベントを開催するからアナグラの一部も開放する予定なの。だからアリサちゃんも協力してね」

 

 

 既に準備が着々進んでいく最中でアリサは弥生からの打診にしばし動きが止まっていた。

 これまでのイベントでは何かと駆り出される事が多く、これまでにも何かに付けて参加するよりも巻き込まれると言った表現の方が多かった事から、今回の弥生がどんな話を持ってきたのかをアリサは警戒していた。

 

 

「仮装って言ってもそんな本格的にする訳じゃないから、心配しなくても良いのよ」

 

 

「弥生さんがそう言うなら…」

 

 

 やや心配したくなる部分はあるものの、これまでもそれ程困った記憶も余り無い。今はまだ準備段階の為にアリサはこの件に関しての記憶が徐々に薄れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いくらアナグラと言えど、イベントがあるからとアラガミまでもが出ない訳では無い。討伐任務に加え、戦場で散ったゴッドイーターの残滓とも取れる遺された神機の回収とやるべき事は山の様に出てくる。

 そしてそれは最終的には技術班にまで影響を及ぼしていた。

 

 

「う~ん。やっぱり素材が足りないな」

 

「リッカさんどうかしたんですか?」

 

「実は今整備している神機でアナグラの強化素材の在庫が一部欠品になるんだよね」

 

 

 遺された最後の意思でもある神機は生体兵器であると同時に、常時整備する必要があった。

 既にオラクル細胞を取り込む事で超人的な力を発揮するゴッドイーターは自身の体内に常時偏食因子を投与するだけで無く、神機にも素材を与える事により休眠したまま現状維持させる事が可能となっている。本来ならば所有者が任務に出ればその問題は克服されるも、休眠中の神機は外部からの投与をせざるをえなかった。

 

 

「もし良かったら俺が取りに行きますよ」

 

「本当!だったらこれとこれが必要なんだ。悪いんだけど、早目に宜しくね」

 

 リッカの遠慮の無い言葉と同時に渡されたメモを見るとギルは眩暈がしそうな量に一人では無理だと判断したのか、北斗を誘いミッションへと出向く。既に慣れたとは言え、やはりこれだけの素材をまるで子供のお使いの様にお願いするその内容はやはり極東ならではの内容に、改めてギルは不用意な言葉は止めようと心に誓っていた。

 

 

「そろそろ全部揃ったんじゃないのか?」

 

「そうだな。これでリッカさんの依頼した物は揃ったはずだが……」

 

 既にありとあらゆる部分の結合崩壊を起こし、コアを抜き取られたヤクシャの群れが霧散する頃、全ての素材を集めきったのか、北斗は帰投の連絡をしようと何気に見た場所にキラリと光る何かを発見していた。

 普段も討伐の途中や事後に周囲に落ちている素材の回収は既に当たり前の内容。故に回収しきれていない物がその辺りにある可能性は極めて低かった。

 しかし、先ほどの視界の中に入った何かがまるで訴えるかの様にその存在をアピールするそれが一体何なのかは北斗にも分からない。

 普段であれば然程気にしないが、今回に限っては妙に気になっていた。

 

 

「なぁギル。この辺りの素材って全部回収したよな?」

 

「そうだな。全部回収してるはずだが…どうかしたのか?」

 

 

 そう言いながらも北斗の視線は何かをずっと見ているのか視線が外れる事は無かった。

 

 

「で、これも回収してきたんだ」

 

「偶然だが北斗が見つけたんでな。最初はそのまま放置も考えたんだが、やっぱりそのままにしておくのは忍びなかったんでな」

 

 

 北斗が見つけたのは、かなり時間が経過した様にも見えた神機。既に第二世代が当たり前の時代には不釣合いな第一世代のその神機はその存在を主張する様に鈍く光る。  リッカとて整備士である以上、幾つもの神機を見てきた自負はあるが、その神機は何処か温かみを感じていた。

 

 

「なんにせよ、こちらでそのまま整備しておくよ。それと素材ありがとね。これで何とか神機の整備が少しは進みそうだよ」

 

 既にリッカは先ほど回収してきた神機を作業台の上に乗せている。生体兵器である神機は整備次第で今後も使用は可能となる。

 ならば最初に出来る範囲の事から進め、その後で微調整する様な段取りを組んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリック・オア・トリート!」

 

 準備に余念が無いとばかりに勧めれば既に当日となっていた。一般開放の言葉通りに、FSDほどでは無いしろ沢山の人がアナグラへと出入りしている。顔を見ればサテライトの住人も来ているのか、アリサはその対応に追われていた。

 

 

「アリサ姐も仮装してるのか?」

 

「そうですよ。最近はあまり顔が出せませんが、その後はどうですか?」

 

 当時サテライトの建設が始まった頃に仲が良かった子供がアリサに話かけていた。

 今のアリサは魔女の仮装だったのか胸元が大胆に開いた黒のドレスだったが、肩にかけたケープが上手くそれを調和させているのか何時もとあまり変わらない様にも見えている。

 気が付けばアリサだけでなくエリナやシエルも同じ様な格好をしていた。

 

 

「こっちは大丈夫。でも偶には旦那と一緒に来てくれよな。皆何だかんだ言いながらもおめでとうって言いたいみたいだしさ」

 

「そうですね。また時間を作って近々寄りますね」

 

「本当か!だったっら皆に言っておくから」

 

 そう言いながらアリサは籠にいれていたお菓子をその少年に渡す。既にいくつか貰っていたのか、その少年もまた袋にお菓子を入れ直していた。

 

 

「参考に聞くけど、これってもしかして……」

 

「それは私じゃないですよ。私が作ったのはクッキーですから。でも今食べないんですか?」

 

 少しだけ警戒したのか、少年は恐る恐るアリサに確認する。アリサの腕前を既に知って結果だったのか、今回これなかった子供にも渡す為に幾つも貰っているからなのか、何かにつけて慎重だった。

 

 

「そっか。これは帰ってから皆で食べるつもりだから、この分は我慢しておくよ」

 

 そう言いながらも視線は他のお菓子へと向いている。ロビーに拡がる甘い匂いは子供にとって十分すぎる程に威力があった。

 元々ハロウィンのイベントはアナグラでの開催は決定していたが、サテライトに関しては未だそこまで出来る余裕が無い事もあり、結果的には弥生の機転によって子供たちだけが招待されていた。

 初めて来る子供はキラキラした環境に目を向けると同時に、各々がハロウィン様に変装した人間からお菓子を貰っていた。

 

 

「でも、それだとお腹空きますよ」

 

「それなら……さっきお姉さんにこれ貰ったから、これ食べるよ」

 

 少年が取り出したのはおでんパンだった。ここではナナが何かと配っている事は一度でも来た事がある人間であれば周知の事実。だからこそアリサもそれ以上の事を言うつもりは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大盛況だな。しかし……こうもっと滾る何かがあっても良いんじゃないか?」

 

 ハルオミの言葉にギルは隣でウンザリとした表情を浮かべていた。当初は過剰とも言える露出の服装を選んでいたが、今回はサテライトの子供も来るからと、そう言った類の服は全て弥生が却下していた。

 

 

「流石にサテライトの子供も来るんですから、いくらなんでもそれは無理じゃ…」

 

「やっぱりここは大人のハロウィンに期待って事にするか」

 

 ギルの話をまるで聞くつもりすら無かったのか、ハルオミの表情は残念だと思ったのか、少し曇っていた。

 ここアナグラではハルオミの言動は殆どの人間が既に慣れた様な物だが、サテライトに来た子供や外部居住区の子供とその保護者となれば、今後も目にする可能性が高い。

 

 笑って済ませるレベルなら未だしも、こんな場面での半ばセクハラめいた言葉を阻止するのは至難の業の様にも思えていた。

 

 

「ったくハルさんは……何だ?」

 

 そんな中で、ギルは少しだけ記憶を揺さぶる様な何かを感じていた。既に極東に来てそれなりに時間は経過したが、これまでにここで感じた事が無いそれは随分と懐かしい様にも思える。

 隣のハルオミを見れば、何も気が付いていなかったのか何時もと変わらない表情だった。

 

 

「ハルさん。トリック・オア・トリート!」

 

 そんなギルの思考を遮ったのはナナだった。パッと見は何時もと何も変わらない様にも見えたが、よく見れば髪型に合わせたかの様に全体的は黒を基調とした服を来ている。お尻からはそれが何なのかを主張するかの様な細長い尻尾が付いていた。

 

 

「ナナか。ひょっとして黒猫か?」

 

「せ~か~い。どう似合っている?」

 

「ああ。黒がまた良いね。今までのナナとは違ったイメージが一段と良いよ」

 

「何だかハルさんの目がいやらしいんだけど……」

 

 何かを感じ取ったのかナナは徐々に後ずさりしていく。既にこれまでの戦利品があったのか、ナナの持っている袋にはかなりのお菓子が入っていた。

 

 

「ナナ、それって誰から貰ったんだ?」

 

「これ?これは見た事無いお姉さんから貰ったよ。腕輪してたから神機使いだと思うけど、私は見た事ないんだよね…」

 

「それどこで貰ったんだ?」

 

「これならあそこだよ」

 

 何気に反応したのはナナの袋の中にあったブラウニーだった。以前にも見た記憶があるそれが何なのかギルは記憶を一気に遡る。

 ナナが指を差したその先には確かに女性の神機使いが子供たちにお菓子を配っている様にも見える。仮装しているからなのか、その姿から誰なのかを確認する事は出来ないが、あの立ち振る舞いには記憶があった。

 

 

「ハルさん!……俺ちょっと行ってきます」

 

「……そうか。頑張ってこいよ」

 

 ギルはハルオミに一言だけ言い残すと、その女性の下へと急いでいた。結構な人数がラウンジにいた事もあり、子供を突き飛ばす事も出来ない。ギルは焦りながらその女性の下へと急いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハロウィンのイベント大盛況の内に幕を下ろしていた。招待された子供たちも護衛を付けての移動に万全を期したからなのか、移動の途中で夢の国へと旅立っている。そんな姿を見たアリサは一緒に同行していたナナに礼を告げていた。

 

 

「今日、おでんパンを配ってくれたんですね。子供たちは皆喜んでいましたよ。有難うございました」

 

「えっと……今日は私、配ってないよ」

 

 身に覚えのないアリサからのお礼にナナは戸惑っていた。確かに今日の中で何人かの子供がおでんパンを食べている姿は目撃したが、ナナ自身は配った覚えが無かった。当初はムツミかエイジが作ったのかと思ったものの、2人とも作っていないと聞いている以上、ナナとしては心当たりはどこにも無い。

 ナナの覚えが無いおでんパンに関して、アリサがお礼を言うのはある意味では筋違いでもあった。

 

 

「そうだったんですか。じゃあ、誰が作ったんでしょうか?」

 

 未だ移動する車の中では誰も答えてくれる人物は居ない。今はただ子供たちをサテライトに送り届ける事だけを優先していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、これは一体……」

 

 ギルの手元には切り分けられた一つのブラウニーがあった。

 女性の下に近寄ろうとした際に、偶然転んだ子供に意識が向いた瞬間、その女性の姿は消え去っていた。結局の所は姿が見ないままにモヤモヤした感情が残っていたが、その姿を見かけた一人の女性がギルに預かりものだと渡されたのがブラウニーだった。

 ほのかにリンゴの香りがするそれは以前にも作られた代物。まさかとは思いながらもギルはジッとそれだけど見ていた。

 

 

「なんだギル。また随分と懐かしい物持ってるな。それ貰ったのか?」

 

「ハルさん。これってまさか……」

 

 ギルはそれ以上の言葉を出す事は出来なかった。、ギルの手元にあるブラウニーは香りづけにカルヴァドスが使用されている物。匂いで気が付いたのかハルオミはどこか懐かしい思いが存在していた。

 

 

「まあ、どこにでもあるレシピだからな。誰かが偶然作ったんじゃないのか?」

 

「そう言われればそうなんですけど……」

 

「どうだ。俺と少し飲むか?」

 

「いえ。今日はこれで遠慮します」

 

 既に時間も遅くなったのかラウンジは既にバータイムになっている。薄暗い照明は雰囲気を作っているのか、他にも人が居る様にも見えたが、それが誰なのか分からない。 ギルが居ないならとハルオミは一人キープしたスコッチを飲んでいた。

 

 

「隣良いかな。一人で飲むのもなんだからさ」

 

「俺か?別に構わないぞ」

 

 ハルオミに声をかけたのは女性だった。薄暗いからなのか少し離れた場所では顔が確認できない。右腕にはめた腕輪のシルエットが辛うじて神機使いである事だけが理解出来た。

 

 

「これは俺からの奢りだ」

 

 ハルオミがカウンターの上に置かれたグラスに琥珀色の液体を注ぐ。ふわりと香るリンゴのそれがカルヴァドスである事が直ぐに分かった。

 

 

「私の好み知ってるんだ。じゃあ、乾杯しよっか」

 

 チンと音がするグラスの音が周囲に響く。リンゴの香りがハルオミの脳裏を過った頃だった。

 

 

「ねぇハル。今は楽しい?」

 

「……そうだな。ギルにもここで会う事が出来たし、お前の仇も取れたからな。心残りは……もう無いかな」

 

「私の事なら、もう忘れても良いんだよ。ギルだって前に進んでほしいから」

 

 そう言いながら女性がハルオミの肩に頭を乗せる。慣れ親しんだ重みが何を意味するのかは言うまでもなかった。これまでに何度も経験した重みがその女性の正体を現していた。

 

 

「今はまだやるべき事があるはずだから、そっちに行くのはもう少し先になるな」

 

「気にしなくても良いよ。ハルの好きなようにやれば良いから」

 

 女性の腰を抱きながらハルオミは引き寄せていた。懐かしい匂いに心がざわめく。原理は分からないが、今はただこの限られた時間を楽しもうと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと…早速明日の分の準備でもしようかな」

 

 サテライトの護衛も終わり、ナナは自室へと戻っていた。アリサの言葉が正しければナナ以外の誰かがおでんパンを作った事になる。しかしムツミもエイジも知らない以上、今のナナに心当たりはなかった。

 

「あれ?私ロックしてなかったっけ?」

 

 ノブにはロックが解除された感覚があった。オートロックである以上、誰も勝手に開ける事が出来ないはず。ましてや腕輪認証であればそれは尚更だった。

 部屋に入ると懐かしい匂いがしている。それが何なのかは考えるまでもなかった。

 

 

「お母さん。お腹へった」

 

 ナナはキッチンに立っていた女性に確認せず抱きしめる。子供の頃の記憶にあった匂いと感触は既に失われたそれだった。理由はわからないがここに居る。

 ナナの目には涙であふれたのか、振り返ったその顔が満足に見えなかった。

 

 

「おかえりナナ。おでんパンここにあるから」

 

「うん……」

 

 ナナが抱きしめると同時に同じくその女性もナナを抱きしめる。既に失われたはずの温もりはナナの心をゆっくりと満たしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……で、気が付いたら朝になっていたって事だね」

 

 不思議な体験は榊の知的好奇心を大いに満たしていた。

 ナナの言葉だけでなくハルオミも似たような言葉を聞いた際に、ギルはやはりと言った表情を浮かべていた。

 カルヴァドスを香り付けに使うブラウニーは以前にケイトが焼いてくれた物。自分の記憶に間違いは無かった事だけでなく、ハルオミとも会えた事に少しだけ笑みを浮かべていた。

 

 

「実は、ギルと北斗が回収した神機はナナのお母さん、つまり香月ヨシノさんの神機だったんだ。一度は完全に修復したんだけど、今朝にになったらまた元に戻ってたからね。因みにケイトさんの神機も同じ症状が出てたよ」

 

 リッカの言葉に北斗とギルはただ驚くしかなかった。今思いだせば見つけてほしいとアピールしている様にも見えたその直感は間違っていなかった。事実、今朝になってナナの言葉を聞いた際には理解する事が出来なかった。

 しかし、ハルオミの話も併せて聞いた事によりその信憑性は高まっていた。

 

 

「君達は知らないかもしれないが、実はリンドウ君も自分の神機の仮初の姿と会ってるんだよ。使い込まれた神機には使ってきた人間の意志が宿るのかもしれないね。ましてや昨日はハロウィンだったんだから、ひょっとしたら君達に会いに来たのかもしれないね」

 

 以前にリンドウから聞いたレンの名前の由来は北斗だけでなくギルやナナ、シエルも聞いていた。当時はそんな馬鹿なと言った考えも僅かにあったが、当時のリンドウの表情はまるで何かを慈しむかの様な表情を浮かべていいた事が思い出される。

 会いたいと願った結果なのかは本人達にしか分からない。しかし、昨晩の出来事が夢で無かった事は間違いない。そんな不思議な出来事がナナとハルオミの心の中にそっと残っていた。

 

 

 




 追憶のキャラエピを元に思いつきました。

 当初はもっと軽いノリでとか考えましたが、西洋のお盆である事と追憶のキャラクターをミッションに出していた事もあって書いて見ました。





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