神を喰らいし者と影   作:無為の極

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時系列は少しだけ違います。
他にも色んなキャラを出したかったのですが、自分にはこれが限界です。

これからの色んなキャラを出したいと思いますので、これからもお付き合いのほど宜しくお願いします。





番外編12 七夕

「ソーマ。どうだこれ。すごいだろう」

 

時間が空いたからと、不意にソーマが屋敷を訪れると、そこにはどこから調達したのか、大きな笹が屋敷の敷地内に置かれていた。ソーマが知る中で屋敷の庭先に笹が生える様な環境は今までに記憶が無い。

だからこそ、シオが何かをしていた様子に疑問を覚えていた。

 

 

「ああ。でもこれはどうしたんだ?」

 

「七夕って知らないのか?」

 

シオも気が付けばこの環境に慣れたからなのか、それともソーマが知らない事にただ教えたいだけなのか、満足気な顔をしながらも笑顔で話かけている。ここでは意外と世間では知られていない事でさえも当たり前の様になっているからなのか、ソーマが知らない事をシオが知っているケースが度々あった。

 

 

「……名前位は知っている。だが、確かそれは7月7日だったはずだ。既に8月に入ってるならば、時期が違うはずだが」

 

暦は既に7月が終わり、8月へと入っている。ソーマが言う様に世間のイメージは7月のそれだった。

 

 

「え~。ソーマはしらないのか~。そっか~」

 

「他に何か意味があるのか?」

 

ソーマが知らない事を知っているのが嬉しいのか、シオの表情は明るいまま。これがコウタ辺りが同じ様な事をすれば速攻でソーマの鉄拳が飛ぶのは間違い無いが、相手がシオである以上、今のソーマはただ見ている事しか出来ないでいた。

 

 

「ソーマ。シオが言いたいのは、旧暦の話だ。7月7日は今の暦ではあるが、旧暦で言えば、今年は8月の20日がそれに当たる。ギリギリでやるのではなく、前倒しでやった方が良いだろうと判断した結果だ」

 

シオの説明の捕捉とばかりに近くにいた無明がそのまま説明を続けていた。ここ最近のクレイドルの活動が慌ただしかった事もあってか、ソーマもじっくりとカレンダーを眺める程に余裕があった訳では無い。

改めてカレンダーを確認すれば、確かにその時期に間違いは無かった。

 

 

「とうしゅ~。折角シオがソーマに教えてあげようとしたのに先に言うのはちょっとだめだぞ」

 

「そうだったか。まだ言ってなかったのか。ソーマ、そんな所だ。ここで暫くは七夕飾りを出しておくから、あとの事はお前達の好きにすると良いだろう。既にリンドウ達にも連絡はしてある」

 

既に根回しが終わっていたのか、気が付けばシオだけではなく屋敷の子供たちも短冊や飾りつけをしている。既に見あげる程の高さの笹に、ソーマもまさかこんな事をする事になるとは夢にも思ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エイジ、屋敷で七夕やるんだってな。リンドウさんから聞いたんだけど」

 

「みたいだね。確認したら随分と大きな笹を調達したらしいから皆でどうかって話だけど」

 

ミッションが終わったからなのか、いつもの光景とばかりにカウンターの向こうでエイジが夏のメニューと称して新作に取り組んでいる。極東の夏は他の地域に比べれば高温多湿とかなり厳しい暑さが続く事もあってか、周りからの要望で何か冷製メニューを出してほしいの要望に応えるべく、鋭意作成中でもあった。

 

 

「エイジ。七夕ってなんですか?」

 

「アリサ……七夕知らないのか?」

 

「コウタのその言い方に何か含みがあるんですが……知らないから聞いてるんです」

 

既に極東に来てそれなりになるが、今まで七夕の事を聞いた事が無かったアリサからすれば、それが一体何なのか知りたいと思うのは無理もなかった。ここ最近のアナグラでも屋敷で行われた事を少しづつ取り入れ出したのか、季節の行事が少しづつ浸透し始めている。

何事も極東支部発の行事は既に外部居住区でも馴染みつつあった。

 

 

「七夕には諸説色々とあるんだけど、一般的には短冊に願い事を書いて吊るすのが多いかな。本当なら最後は海に流すんだけど、流石にそれは難しいから屋敷では最後は焼いて終わる事が多いね。多分、笹飾りとかもつけてるはずだから見に行く良いかもね」

 

そう言いながらもエイジが改めてアリサに七夕の説明をし始めていた。話の内容に何かを見出したのか、アリサは真剣に話を聞いている。エイジも話に集中したい所ではあるが、今は生憎と新作レシピの開発中だけあって手を止める訳には行かず、全体的な話だけで終始していた。

 

 

「なんだかロマンチックですね。そう言えば、それっていつやるんですか?」

 

「詳しい日程は聞いてないけど、確か来週だった様な気がする。一度確認してみるよ。それと今度来た時に新しい浴衣を下ろすからそれも合わせた方が良いかもね」

 

「新しい浴衣って。いつも新しい物を下ろしてる様な気がするんですが、良いんですか?」

 

夏に入ってからは、何かと新作と称した浴衣がアリサの手元に届く機会が増えていた。屋敷での標準的な衣装ではあるものの、中々ゆっくりと出来ることが少ない事もあってか、アリサとしても好意は有難いものの、どこか申し訳ない様な感覚があった。

 

 

「気にする必要は無いよ。多分新作の為にアリサが着ているのを見て確認してるんだと思う。洋服とはまた図案も違うから念の為に確認したいんじゃないかな」

 

エイジの言葉に以前の状況が思い出されていた。以前に着た際には弥生がどこからか調達したカメラで何かと撮られていたかと思いきや、その後すぐに新作として販売されていた事が記憶にあった。

 

当時は抵抗感があったものの、FSDでの経験からなのか、それとも弥生の行動に対し諦めの境地に達したからなのかアリサも既に気にする事が少なくなり、その結果として販売の際にはモデルとして登場する事が度々あった。

もちろんアリサにも事前に通達はしているが、まるで狙ったかの様に一番忙しい頃に弥生から話が来る為に、アリサの記憶には中々残らないでいた。

 

 

「そうなんですか。あの、エイジの予定はどうなってるんですか?」

 

「僕も参加する事になってるよ。兄様からも打診があったからね。多分リンドウさんの所もそうだと思うよ」

 

この時点でアリサの予定は決まっていた。エイジの参加が確定しているのであれば、断る理由はどこにも無い。後はいかにスケジュールの調整をするかにかかっているのは間違い無い。そんな事を考えながら今後の予定を少しづつ修正し始めていた。

 

 

「あのさ、俺も一応は行くんだけど…」

 

「そうなんですか。別に私としてはどっちでも構わないので」

 

「そこはもう少し言葉を濁せよ……って言うか、もう慣れたけどさ」

 

これが日常だと言わんばかりのやりとりにエイジも苦笑を浮かべながら手を動かしている。後は盛り付けだけだったからなのか、コウタの目の前にはトマトで彩られた冷製パスタと冷製スープのビシソワーズが置かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「屋敷で七夕?ですか」

 

時間が丁度夕食の時間帯だったからなのか、珍しくクレイドルとブラッドの任務が同時に終わった事もあってかラウンジはいつも以上に賑やかになっていた。どこから聞きつけたのか新作の試食の言葉にナナもカウンターの椅子に座り、まだかまだかと出来上がるのを待っている。

既にコウタは食事を終えたのか、目の前にパスタはなく、代わりにアイスクリームが置かれていた。

 

 

「そう。実は兄様から打診があってね。ここ最近のミッションが慌ただしかったのと、この辺りで休憩とは行かないまでも気分転換でどうだって事なんだけね」

 

ナナは話を聞いているのか分からないままに出されたパスタを頬張っている。恐らくは感想を聞くのは無理だろうと考えながらにエイジは他のメンバーの為にとムツミと二人で作業をしている。そんなナナの代わりとばかりにシエルがエイジにその内容を確認していた。

 

 

「特に参加の制限は設けてないからブラッドの皆もどうかと思ったんだけど、どうだろう?」

 

「そうですね。私としては反対する道理は有りませんが、他の皆がどう言うのかは分かりませんね」

 

「それは大丈夫だよ。私が皆を説得するから。エイジさん。当日は何か準備する物とかってあるんですか?」

 

全部食べ終えたからなのか、それともデザートのアイスクリームを待っている為に手持無沙汰なのかナナが会話に参加してくる。既に行く事が前提である事にシエルは気が付いていたが、シエルも個人的に関心があったからなのか今はナナの話を聞いている事に留まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に我々も参加して良かったのか?」

 

「制限は無かったと聞いてますので問題は無いかと」

 

七夕の話はブラッドの内部に届いた時点で既に参加が決定されていた。突然決まった出来事にジュリウスとしては困惑気味ではあるものの、感応種が現れる様な前兆も無く、また通常のミッションしかなかった事から一も二も無く参加する運びとなっていた。

 

 

「でもさ、ここでこんなイベントやるなんて凄いな。ここだって極東支部の中みたいな物なんだよな?」

 

「ロミオ先輩。そんな事は今はどうだって良いんだよ。今は七夕を楽しまないと」

 

この場には北斗達は何度か来ていたが、ジュリウスとロミオに関しては初めてであった事から、ロミオは物珍しげに色々と見ている。ここに来る際にアナグラのエレベーターから来れると分かった際にはかなり驚きはしたものの、ここに来た途端、先ほどの状況は一端横に置いて、ナナの言葉通り今を楽しむ事に決めていた。

 

 

「シエルもナナも浴衣がよく似合ってるな。だが、これは一体どうしたんだ?」

 

「これは無明さんからの提供です。どうやら我々にもと言う事で準備されてます。他の方々も各々所有していますので、ジュリウスは気にしなくても大丈夫かと」

 

既に用意された浴衣に着替えたからなのか、シエルとナナは何時もとは違い、髪も改めて結わえられた事によって雰囲気が違っていたからなのか、一本の簪が鈍く光る事でその存在感を示している。確かに周りを見れば全員が浴衣を着ている中で洋服を着れば確実に浮くのは間違い無い。

だからこそ、今回浴衣を手渡された事で周囲に溶け込んでいた。

 

 

「よう!ブラッドの皆も来たのか……あのさ、ジュリウスとロミオ。悪いがあっちにエイジが居るから、少し直してもらってきてくれ」

 

「リンドウさん。それは一体?」

 

リンドウが一番最初にジュリウスとロミオを見た瞬間、これは拙いと判断したのはその着付けの方法だった。ジュリウスは左前、ロミオに至っては帯の位置が高い。これでは違和感があるだけではなく単純にみっともないと考えた結果なのか、それともリンドウにも極東人としてのアイデンティティがあった結果なのかは知る由も無かった。

 

 

「詳しい事は後だ。お~いエイジ。ちょっと頼む。俺はこれから大事な要件があるから、後は任せたぞ」

 

そう言いながらリンドウは浴衣を着崩し右手を懐に入れながら酒を取りに行ったのか、その場から去っている。シエルとナナはアリサに着付けをしてもらった事もあってか着付けには問題は無く、その場で目の前の笹飾りを眺めていた。

 

 

「2人ともそれ新しい浴衣?」

 

「北斗もそう言えば、新しい物ですね」

 

「北斗もいつもと印象が違うね」

 

2人を見かけたのか北斗も何時もとは違い浴衣を着ているが、2人とは違いどこか着なれた雰囲気が漂っていた。既に気が付けばこの場にはそれなりの人数が揃っている。程なくして榊の言葉と共に七夕が開始されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、貴方達がブラッドの人なの?」

 

「はい。自分が隊長の饗庭北斗です」

 

既に開催されたと同時に各々が笹飾りを眺めながら用意された食事へと箸が伸びる頃、不意に背後から女性の声が聞こえてきた。北斗も職員の顔を漸く覚えはしたものの、目の前の女性には記憶が無かった。

確認とばかりに隣に居たシエルにも聞くが、シエルも初めて会ったからなのか、該当する人物に心当たりは無かった。

 

 

「何時も主人がお世話になってるわ。私は雨宮サクヤ。リンドウの妻です。で、この子がレンなの」

 

「リンドウさんのご家族の方でしたか。我々も何時も大変お世話になってますので」

 

「畏まらなくてもいいのよ。リンドウの方が貴方達に迷惑をかけてると思うから」

 

柔らかな笑みと共にリンドウの妻と名乗ったサクヤは正に極東を代表する様な黒髪美人といった様相が珍しく感じたのか、北斗も言葉を発する事が出来ない。そんな北斗に軽く肘うちしながらシエルが代わりに話を続けていた。

 

 

「北斗もやっぱり黒髪の方が好きなんですか?」

 

サクヤと簡単な挨拶を終えた後、シエルは何気に北斗に先ほどの事が気になったのか、少し意地悪気に聞いてみた。北斗自身の好みは知らないが、最近ではファッション感覚で髪の色を変えるゴッドイーターも増えていた事もあってか、北斗の言葉を参考にしたいと考えていた。

 

 

「いや。そんな事は無いよ。その人に似合っていれば色は特に気にしないからね。さっきのサクヤさんは少し驚いただけだよ。まさかリンドウさんの奥さんがあんなに綺麗な人だとは思わなかったからね」

 

「そうですね。でも腕輪をしていたみたいですから、やはり同じゴッドイーターなんでしょうね」

 

浴衣の袖から僅かに見えた腕輪は封印された形跡は無かった。恐らくは育休を取っているからなのか、詳しい事はリンドウに聞かない事には分からないが、子供を見る限りは幸せである事は理解出来た。

今の感情が何なのかは分からないが今までやってきた結果があるからこそ現在がある。改めて北斗はこれからの事を考えていた。

 

 

「でも浴衣だと案外と見えにくいよな。シエルが言わなかったから気が付かなかった」

 

「ふふっ。北斗は変な所で注意散漫ですから」

 

浴衣効果なのか、柔らかな笑顔のシエルの言葉と同時に何時もとは違った空気が2人を包み込む。それがどんな空気なのかは当人達は気が付いてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北斗。これから流し素麺やるけど、どう?」

 

「流し素麺ですか?」

 

「そうそう。今エイジ達が準備してるんだ。シエルも一緒にどう?」

 

2人を見つけたのかコウタが北斗達の下へとやってくる。コウタもここでは慣れているのか浴衣を着ながらも袖がうっとおしいのか腕まくりをしていた。

 

 

「コウタ。少しは空気を読んだらどうですか?そのうち馬に蹴られますよ」

 

「ええ、何でなんだよ。そんな感じじゃなかっただろ」

 

「もう…だからコウタなんですよ。コウタがすみません。これから良かったらどうですか?既に屋敷の子供達とシオちゃんも居ますからもう始まりますよ」

 

アリサは既にゲストではなくここでは家人としての行動をしているのか、浴衣は着ているが、エイジと共にゲストに対してもてなす為の行動をしている。ここでは全ての事が初めてではあったが、一時の憩いとしては十分過ぎる程だった。

 

 

「でしたら、これから向かいますので。シエル、行こうか」

 

「そうですね。私も流し素麺は初めてですから楽しみです」

 

夜空に浮かぶ天の川が一時の憩いを作り上げたのか、笹飾りによる願いの効果なのか、珍しくその日アラガミの姿は現れる事は無かった。

 

 

 




ギルはジュリウスやロミオ同様に何も聞かされないまま屋敷へと来ていた。来る道中で七夕の話は聞いたものの、それがどんな物なのか想像する事が出来なかった。しかし、ここに来た途端ギルは息を飲んだかの様に大きく伸びた笹に飾られた七夕飾りに魅入られていた。足元には灯篭が僅かな光で照らしている。雲一つない星空と相まった光景が幻想的でもあった。


「どうた。凄いだろこれ?」

「これが七夕ですか?」

ギルに声をかけたのはハルオミだった。既に用意された酒で酔いが回ったのか僅かに顔が赤い。以前にもグラスゴーで何となく見た様な表情がどこか懐かしさを呼んでいた。


「ああ。今年初めて俺も呼ばれたんだが、流石にこの光景には驚いたんだ。出来る事ならケイトにも見せてやりたかったなんて思ってな」

いつものおどけた雰囲気はそこには無く、当時の状況を思い出したのか、少しだけしんみりしたハルオミにギルはそれ以上の言葉をかける事が出来なかった。極東のイベントには慣れたつもりではあったが、こうまで幻想的なイベントは恐らく無かったのかもしれない。ハルオミ同様に、今のギルも少しだけ感傷的になっていた。


「ハルオミさん。お代わりいかがですか?」

「おっ。すまないな。でもアリサは楽しまなくても良いのか?中々こんなイベントは無いと思うが?」

「私はここの家人として来てますから、大丈夫ですよ。それよりもギルさんもどうですか?」

浴衣を着たアリサが持つお盆にはいくつものグラスが置かれていた。アリサが言う様に本来はゲストのはずが、家人としてもてなしている。アナグラでエイジとアリサの事は言い出せばキリが無い程にエピソードがある以上、ギルはそれ以上何も言う事無く、そのままグラスを手に取っていた。


「しかし、アリサも随分と似合ってたな。やっぱり女性はあの項が良いんだよ」

「ハルさん……」

先ほどまでしんみりしたはずの雰囲気が一瞬にして壊れていた。良く見ればナナとシエルも何時もとは髪型が違い髪を上げて簪で止めてある。その先ではジュリウスとロミオが笹飾りを見ているのか、何か話している様にも見えていた。


「なんだハルオミ。こっちで飲まないか?俺達も丁度招待されたからさ」

「タツミも来てたのか。今日は随分と来てるみたいだな」

「前に花見をした時以来って所だな。俺も久しぶりにヒバリちゃんと一緒だったんだけど、今はサクヤさんも来てるから、皆そこで集まってるんだ」

ヒバリと来たまでは良かったが、どうやら久しぶりにサクヤにも会ったからなのか、提灯の下でカノンとリッカ、エリナが何かを話していた。


「なんだ、あぶれたから来たのか?」

「あのな。でも実際にサクヤさん見たのは久しぶりだったから積もる話もあるんだろ?」

一緒に居られないからかとも思ったがタツミの表情を見ればそんな雰囲気はどこにも無い。宴会の様に騒がしくは無いものの、偶にはこんな事があっても良いのかと思い始めていた。

「でもヒバリちゃんの浴衣姿が見れたから俺としては満足してるよ」

「そうか。やっぱり項が女性らしさと色っぽさを出してるよな」

「そうそう。浴衣姿って、女性らしさが凄く出るからな。これが普段の洋服だとこうはいかないよ」

「だな。新たな探索の予感がしそうだ」

何となく雰囲気が違う事を感じたからなのか、それとも同じ人種だと思われるのを嫌ったからなのか、2人が話しているこの場からギルは徐々にフェードアウトしていた。





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