時間ギリギリで更に短くてすいません。
頑張れ俺。
「……ねぇ、それが君の最高の力ってやつなのかい?」
『そうですよ! 見せろと言ったのはビルス様なんですから今更ナシとかはそれこそ無しですよ!』
「あー……うん」
ビルスは目の前に立ちはだかる冬夜が乗り込んだ巨人に対して戸惑いの表情を見せていた。
確かにその巨人は冬夜にとっては彼が持ちうる力の中で最高のモノなのだろう。
だがその選択は時として対峙する相手によっては誤りとなる事もある。
詰まるところ相性だ。
冬夜もビルス以外のまともな相手なら巨人の大きさやそれに応じた武威によって脅威を与えることが出来たであろう。
しかしことビルスのような己そのものが力である存在にとってはよほどの事がない限りある一点において拭いきれない印象が『今の』冬夜にはあったのだ。
それは……。
「まぁ、直接解らせてあげるよ。さぁ来なさい」
『……』
二人の間に空いた距離は凡そ20m程。
冬夜は自身が駆る巨人ことフレームギアが拾ったビルスの声をコックピットの中で聞きながらさてどうしたものかと考えあぐねる。
(来なさいって言われてもな。あんな小さな相手じゃこっちもどうしたら良いか悩むっての)
てっきり自分が持つ一番の力を見せたらそこから話が進むものだと予想していた冬夜は意外な展開に戸惑っていた。
まさかそのまま自分に向かって来いと言ってくるとは思ってもみなかったのだ。
「……まぁ、武器の威力だけでも見せればいいかな」
誰にともなくそう呟くと冬夜は
「嘘?! 冬夜ったら本当にやる気なの?!」
冬夜達から少し離れた場所で事の成り行きを見守っていたエリゼは驚きに声をあげる。
フレームギア同士か同じ大きさの相手ならともかく自分達と変わらない大きさの相手にまさか武装の一部とはいえそれ展開するという選択をした冬夜にエリゼだけでなく他の二人の少女も驚きを隠せない様子だった。
「まぁ向かってくるように言ったのはビルス様です。気にする事はありませんよ」
「……まぁそうですの」
それに対して動揺した様子を全く見せないウイスと謎の老人。
エリゼはそんな彼らを見て何となく嫌な予感を胸の裡に覚えるのだった。
『じゃあこの短剣みたいなやつの一つを今からビルス様に放ちますので! 向かって少し左に動いてくれれば当たりませんから危ないと思ったらそうして下さいね!』
「ん、気を遣ってくれた事には素直に感心だ。いいよー、分かったからもう始めてくれ」
短剣とは言ったがそれはフレームギアからしたらであってビルスと比較したら彼の身長の倍以上は余裕である硬質の塊だ。
軌道設定で簡単に避けられるようにしてあるとはいえ、その内の一つが自分に向いているというのに全く動じた様子を見せないビルスに冬夜もここに来て漸く胸の裡がざわめくのを感じた。
「……今はこれ以上悩んでも何も進まないか。……よしっ」
冬夜は攻撃準備状態にしていた
空中に展開されて浮遊した状態だったので特に発射音などはしなかったが、それでも巨大な質量体が急に加速した時にはゴッっという空気を裂く音が辺り一面に響いた。
元々お互い20m程度しか離れていなかった事もあって
冬夜としてはビルスをある程度の強者と認識していたのでそれでも避けられるか、例え避けられなくても当たる寸前に静止するように予め設定しておいたのだが、そこから今まで体験したことがない驚異的展開を目にする事になるとはこの時は露ほども予想していなかった。
「えっ」
まず冬夜が驚いたのは自分が態々当たらない為に教えた行動をビルスが全く取らなかった事だ。
つまりビルスはその場から動かずに自身に迫る脅威と真正面から対峙することを選んだのだ。
だがそれだけならまだ良かった。
例えビルスが意地になってそうしたとしても先程述べた通り予め直前で静止するように設定しておいたのだから。
だがビルスがそこから先に取った行動は全てにおいて冬夜の予想を超えるものであった。
「……」
先ずビルスは迫り来る
ビルスに払われた
ビルスはその結果を認めることもなく次は更に前進し一瞬で冬夜のフレームギアこと愛機レギンレイヴの足元にくると人差し指を軽く弾いてその片脚の膝から下までを粉々にし、続いて今度はレギンレイヴがバランスを崩して倒れる前に高く跳躍して破壊した脚とは逆の腕の付け根の部分を同じ所作で粉砕し、最後にこれで締めと言わんばかりに漸くバランスを崩して斃れ始めたレギンレイブの背後に回ってフッと軽く息を吹きかけた。
「……!!!?!?」
最後に吹きかけられた息はレギンレイヴとその下の地面の岩盤を露出させるほどの凄まじい衝撃をもたらし、時間にして1秒足らず。
その場には辛うじて原型は想像できるが明らかに再起不能となった無残な姿のレギンレイヴが地に伏せていた。
そんな残骸を見下ろしながらビルスは一言言った。
「いくら強力でも的が大き過ぎだよ」
書く癖を付けないと駄目ですね。
歳のせいや仕事のせいにしても先ずは筆をとる習慣を少しでも以前くらいにまで近づけねば。
妄想力はあるんだ……妄想力は。
あと楽しまねば。