魔法少女まどか☆マギカーanother mindー   作:ナハトムジーク

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赤い幻影。独りぼっちは寂しいもんな

使い魔の結界の中、あたしの目の前で使い魔を滅多打ちにしているそいつをあたしは止めた。

 

あたしの槍とそいつの操っている人形のような魔法の拳がぶつかり合う。なかなかの力があるみたいだな。

 

「ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタ。見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードを持ってるわけないじゃん」

 

「だから?」

 

あたしがそう言うとそいつは良い所を邪魔されたとでも言うようにあたしを睨み付けてくる。

 

たっく、こいつもあの青いのと同じように使い魔が魔女になること知らないのか。

 

「だからさぁ、4~5人ばかり食って魔女になるまで待てっての。そうすりゃちゃんとグリーフシードも孕むんだからさ。アンタ、卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」

 

あたしがそう言ってもそいつは顔色ひとつ変えずにあたしを見つめてきた。

 

「まさかとは思うけど。やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かますために…アイツと契約したわけじゃないよね?アンタ」

 

「そうだと言ったら?」

 

「ちょっとさ、やめてくれない? この前やりあったやつもそうだったんだけどさ、お前らお人よし過ぎるんだよ。バカ軍団かぁ?」

 

「お人よしか……ふ、ふふふっ……あはははははははははっ!」

 

そいつはいきなり笑い出した。驚かされたのはあたしの方だった。そいつはどう見てもこうやって口を開けて笑うタイプには見えなかったのに。

 

「お人よしだと!? あのバカと一緒だと!? 冗談じゃない!」

 

こいつは態度を一変させてそう言ってきた。正直、こいつの魔法は割れてるから勝つ事も逃げる事もできる。そう判断していなかったら逃げ出していたくらいの剣幕だった。

 

「俺は! 自分の事しか考えてない! あいつらを助けるのもあいつを助けようとするのも全部、全部俺のためだ! 使い魔をぶっ殺そうとしたのもただの八つ当たりしようとしただけだ。……お前は……あいつらとは違うのか? 魔法少女なんてものはどいつもこいつもお人よしばかりだと思ってたんだが?」

 

「誰と比べてるのかわかんないけどさ。そこら辺のやつと一緒にされちゃ困るんだよねぇ」

 

あの青いのと一緒にされちゃ困る。あたしのプライドが許さない。

 

「それじゃあ、手伝って欲しい事がある。2週間後にワルプルギスの夜が見滝原に来る」

 

こいつはそう言ってきた。ワルプルギスの夜と言えばあたしでも知っている超ど級の魔女だ。だが、いつ、どこに現れるかなんて分からないって聞いてたんだが。

 

「なぜわかる?」

 

「気にするな。来ると分かってりゃあそれで良い。そいつを倒したら俺はもう魔女も使い魔も狩らねぇ。その後で、青い魔法少女もお前の好きにすりゃあ良い。それで協力してくれ」

 

へぇ。ちょっぴり狂人の類かと思ってたが、ちゃんと交渉事や、あたしみたいなのに対するやり方も弁えてるじゃねぇか。

 

「なるほど。あんたはどうも他のやつらとは違うみたいだな」

 

気に入ったぜ。その濁った目も狂犬みたいな態度も実にあたし好みだ。交渉成立だ。

 

あたしは菓子を取り出してこいつに差し出す。

 

「食うかい?」

 

――佐倉杏子との間にほのかな絆の芽生えを感じる……暁美ほむらは”法王”のアルカナを手に入れた!

 

 

 

 

 

あいつ、暁美ほむらと共闘の約束をした次の日。

 

あたしはまたこの青い魔法少女にちょっかいを出していた。そしたらこいつ。急にやる気になっちまいやがって、ウゼェからここはいっちょ格の違いを見せてやるつもりで邪魔されなさそうな場所に誘っていた。

 

「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない」

 

こいつがかかってこようとした時、他のやつが来ちまった。どうやらこいつの仲間らしい。契約はしてねぇみたいだけどな。

 

「待って、さやかちゃん!」

 

「まどか。邪魔しないで!そもそもまどかは関係ないんだから!」

 

ふぅん。この青いのがさやかで、ピンク色のがまどかか。

 

「ダメだよこんなの、絶対おかしいよ」

 

ウゼェな。こっちはもうすっかりやる気だってのに。

 

「ふん、ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだねぇ」

 

「おい、杏子」

 

チッ。こいつも来やがったか。ウゼェ仲間がいるのはお互い様だったらしいな。

 

「話が違うぞ。まださやかには手を出すな。そう言っただろう」

「アンタのやり方じゃ手ぬる過ぎるんだよ。どの道向こうはやる気だぜ」

 

あたしはそう言ってさやかを見る。今にでも襲い掛かってきそうだ。

 

「俺が何とかしてやる。お前は下がってろ」

 

「ハンッ、じゃあコイツを食い終わるまで待ってやる」

 

「どっか行けよ。俺はこいつを説得するのに忙しいんだ」

 

そう言えばこいつ。結界の外じゃただの人間か。仕方ない。

 

「わかったよ。今日の所はこれくらいで勘弁してやるよ」

 

「ま、待ちなさい」

 

さやかがあたしを止めようとしてくるが気にせずに跳んで帰る。

 

「さやか、落ち着いて?」

 

そう言ったほむらのあたしには聞いた事の無い声と口調でさやかに話しかけていたのが印象的だった。

 

 

 

 

 

「それで? これからどうするんだい? あいつ、放っておけばまた仕掛けてくるぜ?」

 

俺の家に来た杏子はそう聞いてきた。

 

「さやかはもう、戦えない。もう、魔女になって呪いを振りまく存在になるだけだ」

 

「あ? どういうことだそりゃ」

 

俺の言葉に杏子は眉をひそめる。

 

「言って無かったか? 魔法少女はそのソウルジェムが穢れ、黒くなると魔女になるんだよ」

 

「なぁ!?」

 

「だからソウルジェムが真っ黒なさやかはもう魔女になる。それが魔法少女の運命だ」

 

ずいぶん動揺しているようだ。さやかの事なんてどうでも良いって態度をとっていたのに。やっぱり、同じような願いを叶えていたさやかの事は気になるか。

 

「そんな……ならすぐにでもあいつのソウルジェムを「それは許さない」っ!?」

 

出て行こうとする杏子を俺は引き止める。

 

「あいつはもうお前の言葉も俺の言葉も、親友のまどかの言葉でさえ聞き入れない。おまえがグリーフシードであいつのソウルジェムの穢れを取り除いたって同じだ。またすぐにソウルジェムは黒く濁る。ただ死期を延ばすだけだ」

 

「それでさやかを救わないってか! 助けようともしないってのか! お前、それでも人間か!」

 

杏子が食ってかかってくるが俺の心はまったく動きもしなかった。

 

「さあな、俺はもう疲れちまったのかもしれない。あいつと同じようにな」

 

あの暁美ほむらのように。

 

「助けに行きたきゃ勝手に行け。ただまどかを巻き込む事だけは許さない。魔女になったさやかを元に戻すなんてやろうとしてまどかを結界の中に連れて行ってでも見ろ。俺が後ろからお前を撃つ」

 

「っ!」

 

俺がそう言うと杏子は俺を敵でも見るように睨み付ける。

 

「ああ! 勝手にしてやるさ! お前との同盟はここまでだ!」

 

杏子はそう言って出て行ってしまう。これで、こいつとのコミュも終わりか。

 

「さようなら。佐倉杏子」

 

 

 




ちょっと杏子ちゃん難しいですね。今まで影も形も出てきませんでしたから。

どうやって絡ませるか。それだけが悩みでした。

何とか出せるように書いてみましたがどうでしょうか? うまく書けていたでしょうか?

さて次回はまどかの話です! それでは次回に会いましょう。さようなら!












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