宇宙戦艦YAM@TO改変ヤマトよ永遠に   作:Brahma

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すんでのところで無限ベータ砲を避けたヤマトと『しゅんらん』。ヤマトの反撃がはじまる。


第10話 人工惑星デザリアム攻防戦前編

「第一主砲、第二主砲、第一副砲発射用意。目標11時、11時半、12時、12時半、1時の敵戦艦砲塔。距離5宇宙キロ。」

「照準よし!」

「発射~!」

デザリアムを守るアメーバー状の戦艦の砲門へ向かっていく主砲は、敵が主砲を発射した途端にサーモバリックモードで放たれたガスによって誘爆を起こす。アメーバー状の戦艦は砲門を破壊される。

「効果てきめんね。敵は砲塔を確実に失って無力化している。」

アメーバー状の戦艦は、主砲が直接当たっていないにもかかわらず、主砲以外のビーム砲のエネルギーがサーモバクッリモードが撒き散らすガスに引火し、誘爆が艦内内部にも広がって爆発をくりかえした。しかしなかなか爆発四散しない。

「春香。いくら堅牢な戦艦といえどもあれだけ誘爆を繰り返していれば波動砲が効くだろう。拡散波動砲で一挙に粉砕する。君たちはそのサーモバリックモードで無傷な敵艦を無力化してくれ。」

「わかりました。」

「伊織。」

「にひひっ。」

アメーバー状の戦艦は砲塔を爆発させ次々に無力化する。

拡散波動砲が『しゅんらん』から発射され、誘爆を繰り返している数百隻ものアメーバー状の戦艦を貫き四散させた。

「ソンナモノハコノグロデーズニハキカナイ。」

拡散波動砲がグロデーズに命中するものの、その装甲にはまったく傷ひとつつけることはできない。またズールーには当たらないように発射したからであった。

「春香。どうする?」

「....。」

ズールーがあの波動砲のような砲門から後退すればバリアをはられたちまちズールー自体も撃沈されるだろう。思案のしどころであった。

 

「天海司令?、赤羽根司令?どうするつもりだ。」

「大西司令、もうちょっと時間をください。」

「しかし、この船を波動砲で破壊してその誘爆で敵艦を葬るしかないと思うが...。」

それが一番手っ取り早くしかも確実な方法だった。

いずれにしてもヤマトか『しゅんらん』が敵の波動砲様兵器の発射寸前のバリアが脆弱になった瞬間をねらって至近で波動砲を撃つ方法があるが、その場合波動砲を撃った艦艇はただではすまないだろう...

春香はズールーを波動砲によって貫いて誘爆させる方法はどうしても避けたかったが、だからといってほかに有効な方法が思いつかない。律子も妙案が思い浮かばず、歯をかみしめる。また、それは赤羽根も同様だった。

しかし、その逡巡が皮肉にも大西に決心をさせることになった。

「天海司令、赤羽根司令さらばだ。」

「!!」

「大西さん!」

とめる間もなくズールーが自爆した。その瞬間、グロデーズの無限ベータ砲口に向かって拡散波動砲が一門発射される。

拡散波動砲は無限ベータ砲口を貫きグロデーズを内部から引き裂いた。

グロデーズは煙をはいて巨大な火球に変わり、四散した。

春香と赤羽根の目からほおにかけて涙がつたっていた。

さっきまでズールーとグロデーズのあった空間へ対しヤマトと『しゅんらん』の乗組員は敬礼をおくっていた。

 

「春香、こうなったのは非常に残念だが大西さんの遺志を最大限尊重することにした。

できれば生き残ることを考えてほしかった。」

「はい。アメーバー状の戦艦をやっつけてグロデーズが擬似波動砲様兵器を撃てない状態で考える時間は十分にあったと思うので...。」

「しかし、すぎたことを悔やんでもしかたない。あの人工惑星をどうやって攻略する?」

「内部から破壊するしかありません。優秀な白兵戦部隊がいればいいのですが。」

「そのことだが...1年前の白色彗星の戦いを覚えているか。」

「はい。え...もしかして?」

「よお、リボンの姉ちゃん。お久しぶりだな。」

「!!斉藤さん?」

無骨な顔が画面に映し出される。

「って、わたしは天海春香って名前があります。」

「まあ、アマミでもニガミでもいいや。あの人工惑星を攻略するんだろう。」

「はい...。ニガミって何ですか。」

「俺たちにやらせろ。ってか機械のことはよくわからないから早い話ボディーガードをさせてくれ。」

「わたしたちだけで...。」

「春香。」

「律子さん...。」

「あの人工惑星にはどんなしかけがあるかわからない。例の四次元フィールドと偏光バリアで反物質カートリッジ弾以外のすべての兵器は無効だわ。前も話したように反物質カートリッジ弾は多量にはつくれない。最悪の状況を想定していたとはいえ、さすがにあれほどの数のゴルバを相手にするとは思わなかった。自転軸の北極と南極についてはショックカノンで打ち破れるわ。何かあったときに脱出できなくなるからわざと脆弱に作ってあるみたいね。」

春香はうなずき、第一艦橋のクルーの面々の顔をみつめる。

「伊織、わたしは、斉藤さんたち空間騎兵隊と一緒にこの北極の入り口から突入する。

第一主砲、第二主砲を撃ちこんで。」

「わかったわ。」

「春香」

後ろから声がした。

「律子さん。」

「わたしがいなくてメカのことはどうするの?」

律子はほほえむ。

「しかし、律子さんがいなくなったらヤマトの修理は?」

「ヤマトの修理ならきまりきったことだからほかの技術班員で十分対応できるわ。未知のメカをみてその性格を見分ける仕事はわたしが行ったほうがいい。」

「わかりました。山本さん。コスモファルコン隊、第二編隊、発進してください。」

「了解。」

山本、坂本をはじめとするコスモファルコン隊の面々が敬礼する。

数百機の白色円盤戦闘機ヴェスパブランコとイモムシ型戦闘機ヴェスパコルトが人工惑星デザイアムを守っている。

 

「にひひつ。主砲発射!」

まずサーモバリックモードで敵艦載機群を一掃する。

主砲の光条が熱波に変わり、数百機に及ぶヴェスパブランコとヴェスパコルトは、エンジン噴射口から引き裂かれて次々に煙を吹き、火球となって爆発する。

「主砲発射準備。座標X-3872、Y-9338、Z-1272。目標敵人工惑星北極点。」

「発射~!」

北極側の入り口にショックカノンが命中して大穴が空く。そこに春香のコスモゼロとコスモファルコン隊が蜂の群れのように入っていく。

 

デザリアムの内部、北極から中心へ向かう管のような通路では空中戦になる。襲いかかるヴェスパブランコとヴェスパコルトを山本と坂本は神技の「左ひねりこみ」を併用して背後から次々に敵艦載機を撃墜するが、敵の数は数百機にも及ぶ。

人工惑星の中心に行くに従って光る点でしかなかったものがだんだん大きくなっていく。「あれが敵の都市...。」

それはハリネズミかウニのようにとがった「水晶」をまとっている「水晶都市」だった。だんだんコスモファルコンの窓から大きく見えてくる。

一方、山本、坂本率いるコスモファルコン隊と敵機との熾烈な戦いは続く。しかし彼らがいかに優秀とはいえ敵の数は多く、「水晶都市」を目の前にして坂本機がついに囲まれ、敵弾が命中する。

「坂本君!」

坂本機が火と煙を吹き、窓から見える坂本は額から血をしたたらせ笑顔で敬礼し、「水晶都市」ミサイルの発射口につっこんで爆発する。山本が率いるコスモファルコン隊はその穴から次々に内部に侵入する。

「水晶都市」からはとがった「水晶」が次々とミサイルになって襲う。

 

「山本さんと永倉さんの空間騎兵分隊はあの破壊された場所から侵入してください。私と律子さんと斉藤さんの空間騎兵本隊は、艦載機発進口から侵入します。」

「了解!」

山本率いるコスモファルコン隊は「水晶都市」のミサイルを巧みに避けて、坂本がつっこんで破壊した部分から侵入する。

 

春香は、艦載機発進口をアナライザーと律子に分析させて探索する。

5分後にアナライザーの頭が発光し、点滅する。

「アソコデス。右40度、仰角25度ノ位置デス。」

発進しようとするヴェスパコルトとヴェスパブランコが発進口に見える。コスモゼロとコスモファルコンは、発進口にミサイルを撃ちこんで飛び立つ前に撃墜し、敵機は、次々に爆発光と煙を噴出して四散する。

デザリアム内部では警報が鳴り響く。

「敵兵が侵入した。迎撃せよ。」

兵士たちがばらばらとあらわれる。

上空のコスモファルコンは春香や律子が降りるのを援護して機銃でつぎつぎに敵兵を貫いて倒していく。

コスモゼロから降りた春香と律子は翼の下に隠れる。二人はブラスターを撃ち、その射線が敵兵を貫き、敵兵は倒れる。

「奥に通路が見えるわね。」

「うん。でもこのままだと進むのがたいへんだね。」

やがて次々と滑走路に下りたコスモファルコンから斉藤をはじめとした空間騎兵がコックピットの後部座席から飛び降りていく。

「斉藤さん。」

斉藤と部下たちは敵の銃の射線をたくみにかわして通路の死角から敵兵を倒して侵入していく。

「リボン、じゃない、艦長、こっちだ。」

騎兵隊員やコスモファルコン隊員は春香と律子を援護しながら通路を右左とすすんでいく。

「めがね、じゃない技師長、どっちへいったらいいとおもう?」

「たぶん、動力源は、やはり水晶都市の中央部だと思う。みはりのすくないところを使えればいいんだけど...。」

「さっき右奥に、上下を移動するゴンドラがあった。あれをつかえばどのあたりかわかると思う。」

「そうね。」

ゴンドラは、資材、食料、残飯を運ぶものと分かれている。食料のものと残飯のものは、それぞれ保存のためと臭気をふせぐためにふたがされていた。そのためふたのない、上へ行く資材のゴンドラに飛び乗った。空間騎兵のほかの隊員も下から来るゴンドラに飛び乗っていく。

律子は、技術者のカンで、

「ここじゃないかと思う。」

と3mほどの上の通路を指差す。みるとその通路には壁に配管が多く走っている。

3人はコスモガンをサイレントモードにし、敵兵を銃声なく撃ち倒していく。

下から上がってくるゴンドラから次々と騎兵隊員が通路へ飛び降りていく。

しかし、通路になにか装置があるのかヴィー、ヴィーと警報装置がなって、壁から機関銃が出現し、バギュン、バギュンと回転しながら攻撃してくる。

斉藤がコスモ手榴弾で破壊する。轟音と煙が晴れると、こんどは、かってのガミロイドファランクスを思わせるように通路にいっぱいに横一列に並んでザツザツザツと軍履を鳴らして敵兵がやってくる。

斉藤がコスモ手榴弾で倒すが、4列目以降も現れる。

律子がにやりとすると山本、永倉たちに敵兵の制御装置の位置を電子メールで送る。

「技師長からメールが来たな。敵兵の制御装置を壊してほしいって。場所は3ブロック先の右側か...。」

「みはりがいるかもしれませんね。」

「まあ、それでも倒すしかない。」

山本と永倉も指定された場所に向かった。

すると警報が鳴り、壁から機関銃のようなものが現れ回転して撃ってくる。

永倉がコスモ手榴弾で破壊するが、今度は分厚い隔壁がおりてくる。

「しかし、技師長も、「こんなこともあろうかと」ってよく考えたものだな。」

「要塞侵入、白兵戦を想定してサイレントモードに高熱光線モードか。」

山本と永倉は苦笑してコスモガンを高熱光線モードにする。

30cmはあろう分厚い隔壁があっというまに開く。二人はアンドロイド兵の制御装置へ向かってコスモ手榴弾を投げつける。制御装置が爆発して、それまでいたる通路で整然と行進していたアンドロイド兵は崩れるように倒れていく。それから敵兵との散発的な銃撃戦となる。

敵兵がいなくなったと思ったら隔壁が両脇でとじる。そしてその隔壁から50本もの刃物が生えてくる。そして両脇からおそってくる。

 

【挿絵表示】

 




デザリアムの内部は恐るべき罠満載のダンジョンだった。春香と律子と騎兵隊員の運命やいかに...

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