ですが、急展開なのでしっかり着いてきて下さいネ~(無茶振り
では本編をどうぞ!
目の前に絶望が立ち塞がっている。
「くそっ!何で勝てないんだよ!」
静を落した敵を倒したいと、倒してやると息巻いてやってきたのはいいものの……何で!
「何で6対1で勝てないんだよ!」
俺、箒、鈴、セシリア、ラウラ、シャルロット……総勢6人いて、そこらの国となら戦争が出来る戦力を揃えて。
たった1機の福音すら落せない。
どうして勝てないんだ?
俺達が弱いからか?それとも……異常なまでに福音が強すぎるのか?
「一夏!考え事をして自分の隙を作るくらいなら相手の隙を作れ!」
「ッ!あ、あぁ!」
考え事すら許されない程緊迫した状態。
相手の攻撃が全て一撃必殺に近しい攻撃だ。
いや、あれは攻撃なんて生易しい言葉では言い表せない。
たとえるのなら……『災害』だろう。
理不尽だ。
あの攻撃の一撃一撃が全て理不尽なものだ。
俺達の攻撃はまったく効かないのに相手の攻撃は全て喰らってはいけないとは何とも無理げーなのだろうか。
弾なら台パンして帰るレベルだろう。
こういう無駄な思考が出来る辺りまだ余裕があるのだろうか?
どちらかというと現実逃避に近いと思うけどな。
セカンドシフトした福音は間違いなく災害だった。
こんなやつを相手してたのか……静のやつ!
本来なら俺達が束になっても勝てないんだ。
けれど何とか勝負になっているのは静の攻撃によるダメージが大きい。
いや、全てと言っても過言ではない。
事実、本来の動きではないと未熟な俺でさえ分かる程に鈍いからだ。
まぁそれでも俺達にとっては速すぎるからぎりぎりなんだが。
「一夏さん!次の攻撃来ますわよ!」
「おう!」
福音はあまり攻撃してこない。
理由は分からない。
もしかしたら武装が不十分なのかもしれないし故障しているのかもしれないし、誰かが装備しているのだからその誰かが抑えようとしているのかもしれない。
でも攻撃は洒落にならないほどの威力だ。
一発も喰らう訳にはいかない。
「織斑 一夏!意識を奴から逸らすな!死にたいのか!」
「ッ!?わ、悪い!」
今思考するのだって精一杯だ。
油断してもしてなくてもちょっとしたミスで攻撃を喰らっちまう。
なのに相手の攻撃は……、
「La……」
雨のように降り注ぐ。
これが原因でいまいち攻撃に踏み込めない。
いくら攻撃の頻度が低くても、攻撃の規模が大きければこっちとしては攻撃の頻度の少なさなんて救いにすらならない。
でも静はコイツを相手してたんだ!俺達も戦ってみせるさ!
「一夏!あたしとシャルロットが隙を何とか作るからアンタは零落白夜で何とかしなさい!」
「ああ!」
鈴の提案に真っ先に賛同する。
今は誰かが囮になるしかない……だけど絶対に誰も落させやしねぇ!
「まったく……もう少しおとなしくしてて欲しいよね」
シャルロットの愚痴に思わず賛同しかけるが、そんな余裕はないからそのまま俺は零落白夜の準備をする。
チャンスは一度!その瞬間に全てを賭ける。
「隙を作るのであれば私達も協力しよう」
「残念ながらこの中で相手に有効打を与えられそうなのは一夏さんしかいませんもの……仕方ありませんわ」
静がいれば確実に仕留められただろうけど……静に甘えてばかりじゃいつか駄目になる!
なら俺がアイツを倒す!
俺には仲間がいる!大事な大事な仲間が!
なら俺はその仲間を信じて戦うのみだ!
「頼んだ!」
「ああ」
「ええ、勿論ですわ」
「余裕よ余裕!」
「一夏もミスしないでね?」
「ミスは許されんからな」
静のためにも……そして俺のためにも負けられねぇ!
「皆を守るための力を……白式!俺に力を貸せ!」
白式が光った気がした……。
雪片弐型に今まで感じた事のない力を感じた。
白式も負けず嫌いだって事だな。
誰に似たのやら……。
でもこれでいける!
現に福音は怯えている。
この分からない力に。
なら、
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
全力でこの武器を振りぬくのみ!
◆
一夏は慢心とは違うが、油断してしまった。
それは急激な力の上昇ゆえに。
福音が人によって操作され、戦っているのであれば……操作している人間はさぞ楽しそうな、罠にかかった!という表情をしたに違いない。
なぜなら、
「なっ!?」
福音の装備は翼だけではなかったからだ。
隠し腕のように翼の中に別の武装が隠れていたのだ。
その装備の見た目は少し小振りの盾。
しかしその盾の大きさは重要ではない。
今重要なのは……防御されてしまったという事だ。
専用機持ちチームは絶望した。
ただでさえ窮地に陥っていたのにさらには防御札まで出され、一夏の攻撃が最小限の被害で抑えられたからだ。
一夏の攻撃は基本燃費が悪い。
それは諸刃の剣である単一能力が原因であり、それ以外にも、一夏は常に全力で相手しているからに他ならない。
だが誰がそれを責められようか。
そうしなければ一夏はまともに戦う事すら出来ない。
皆と同じ舞台に上がることすら出来ないのだから。
ゆえに。
決定打を無くした専用機持ちチームが何も出来なくなるのは……時間の問題だった。
いや、撤退は出来るだろう。
福音は静の残した内結界に捕われている。
自身のシールドエネルギーがなくならない限りその場から移動できないのだ。
だから逃げる事は出来る。一切の問題なく。
だが、一夏達は思考する。
果たして逃げる事が正しい事か?と。
静がいれば間違いなく逃げただろう。
死ぬのに比べれば誰かに責められようと何だろうとそうするだろう。
だがここにその静がいない。
目の前の敵に落されたのだ。
ならどうすればいい?
思考する。
福音は様子を見るかのように攻撃を行わない。
これによって彼等は思考する事が出来る。
静を落した存在を許せるのか?
仇討ちとは思ってはいない。
そも最初は八つ当たり気味だったのだから。
だが、だからといって納得出来るものなのだろうか?
答えは……、
NOだ!。
単純に自分と相手を許せない。
頭の片隅には一時撤退した方がいいという考えも浮かんでいる。
だが単純に……納得いかないのだ。
人とは時にして納得がいかないだけで行動したりするものだ。
誰もが納得出来るのなら世の中争いは起こらない。
だが納得したいと思うのは全員同じだと思考する。
なら、
「諦めてたまるかよ!」
思考停止する訳にはいかない。
諦めていいのは死んでから。
静がいつも言っている言葉だ。
彼等は全員がその言葉を聴いて、その言葉の通りだと思っている。
だからこそ彼等は諦めない。
諦めた先に可能性はないのだから。
「いくぞ皆!まだまだ負けちゃいないからな!」
「ああ!まだ諦めない!静が諦めずに戦っているのなら私も諦めてなるものか!」
「ええ!静が帰って来た時には全部終わってるほうがいいもの!絶対に勝ってみせるわよ!」
「皆さんがやる気ですのに私だけ諦める訳にはいきませんわ!私も全力でお相手いたしますわ!」
「静のためにも!自分のためにも!全力で頑張るよ!」
「嫁が安心して帰ってこられるように!私も全力を出して対処する!」
全員が声を出し決意する。
しかし現実は非情で、理不尽なものだ。
なぜなら……彼等に勝機はないからだ。
◆
くっ……なんで!何でなのよ!
何で!
「勝て……ないのよ!」
あたし達は全力を出し切った。
もうエネルギーもない。
何もかも駄目だった。
静がいないだけであたし達は……こんなにも弱い。
でも決して無駄だとは思わない。
だって何もかも無駄だった……なんて言葉嫌いだもの。
けれどあたし達全員満身創痍。
もう欠片も動けない。
理不尽に抗ってはみたものの、無理だった。
こんな時静なら……どうしてたかなぁ?
きっと苦笑しながらあたし達を逃がす作戦でも考えるんだろうなぁ。
だって静は……自分よりも自分の周りを助けるもの。
だからこそ!あたしは絶対に自分を守る!静が自分自身に目を向けられるように!
だから……頑張ったのになぁ。
……静は元気かなぁ。
最後に静の笑う顔が見たかった。
だって静……全然笑わないんだもん……見てみたいと思うじゃない。
じゃあね静……また会えるといいなぁ。
「待たせたね」
少ししか経ってないのにもはや懐かしいと感じる声……あぁ、やっぱり生きてた!
「少し寝心地がよくてね。寝坊しちゃった」
「遅いよ!」
「まったくだぜ!散々待たせやがって!」
「それ程寝心地のいい場所があるのなら寝てみたいものだな」
「ラウラ……それは本気で?いや、今は帰還を喜ぼう」
あたしが……あたしが大好きな声。
あたしが好きな人……生きてて本当によかった!
「静!」
「うん。ごめん待たせて……僕の居場所は此処だ。約束を護るために戻ってきたよ」
ISが変化してるとか傷がほぼ治ってるとか色々言いたい事はあるけど……今は、
「おかえり……静!」
「うんただいま……皆」
静の帰りを喜ぼう。
佐天様、感想感謝です!
次回も一応明日更新予定です!
1月14日くらいまでは平日ほぼ毎日更新できると思いますがその後はもしかしたら少しだけ感覚があくかもです。
なるべくどんどん進みたいと思ってますので気長に待って頂けるとうれしいです。
では!また明日!