全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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はい、あけましたおめでとうございます。

ちゃうねん。しっかり更新しようとしてん。
けどゴタゴタがあって更新できんかってん。
許してヒヤシンス。

という冗談はさておき。
今回の話はもしかしたら書き直すかもしれません。
ですが、投稿はしておきますのでよろしくです。

ではどうぞ!


第44話 少年の迷い

 

ここは何処?僕は……ダレダッタッケ?

 

 

 

 

 

 

……あぁ、僕は周防 静だ。

森羅万象なんてものに選ばれちゃった存在だ。

別に自分が特別なんてまったく思っちゃいないけれど、けれどこの待遇には文句もいいたくなる。

 

好き好んで誰が死のうとするのやら。

でもこの力のおかげで分かった事もあるし感謝するべき場面もあった。

一夏が誘拐されそうになった時も救う事が出来た。

 

……その代わり千冬姉さんにはしこたま怒られたけど。

 

 

 

 

さて、過去を振り返ったり愚痴をこぼしてはみたものの……この真っ白で真っ黒な世界は何なんだろうね?

境界線があるかのように黒と白が綺麗に分かれている。

 

僕が立っているのはその中間点である境界線上。

黒には鎮魂歌が佇んでいて、白にはよく分からない女の人が佇んでいる。

 

 

「何故貴方は戦うのですか?」

 

 

鎮魂歌のいた場所にはすでに別の女の人が立っていた。

全身真っ黒に染め上げたかのような格好の女の人。

でも髪の毛と目の色は綺麗な銀色だ。

肌も病的な程真っ白。

だが服装が完全に真っ黒。

これ以上何にも染まらないという事を証明しているかのように真っ黒だ。

 

そんな彼女の問い。

何故戦うか?そんなもの、

 

「僕自身が聞きたいよ」

 

だって僕は愛情も友情も感情も人情も何も返せない。

ただそこにいてそこで何かする事しかできなくて、でもどうすればいいかなんて全く分からなくて。

僕には分からない。

何故皆僕に対して何か助けになろうとするのか。

何故僕みたいな消えかけの存在を気にかけるのか。

何故?という疑問は永遠に消えなかった。

 

 

……僕は何をしたいのだろうか。

ねぇ君は知ってる?鎮魂歌。

 

 

「私には分かりかねます。ですが……少なくとも守ろうとする貴方は悲観する事なく前に進む事が出来ていたはずです」

 

 

それは前に進まなければいけなかったからだよ。

どんなに苦しくても、悲しくても、辛くても。

進まなければ永遠にその感情に捕らわれるからだよ。

捕らわれるのだけは駄目なんだ。

過去が原因とはいえ情けない話だけど。

 

 

「人は誰もが皆大小構わずトラウマを抱えています。恥ずべき事ではありません」

 

 

そうかな?

僕は逃げるなと周りに言いながら自分が逃げているんだ。

これほど情けないと思った事はないよ。

 

 

「人は自分本位な生き物です。その考え、行動は間違ってはいないでしょう」

 

 

間違ってなくても納得できやしないさ。

納得したいじゃないか。

だってもう僕は……長くないから。

 

 

「へぇ……今回の所有者は面白いわねぇ。まさかここまで以前の所有者と違うとはね」

 

 

鎮魂歌と話していたら急に白い格好をした女の人が話しかけてきた。

まさか話しかけてくるとは思わなかったから驚いた。

 

 

「貴方は自分の事をどうでもいい……いえ、自分を道端に落ちている石同然に見てるから内側から見てるこっちとしてはハラハラものだったりするのよね」

 

 

道端の石ころ同然……まぁ間違ってはないのかな?

ある意味あの時のあの出来事が原因だから仕方ないのだけれど。

 

 

「きっと貴方は死ぬのでしょうね。自分を大事にしない存在程早死にするもの」

 

 

確かにそうだ。

だって僕がこうなっているのは自分を大事に出来ないからこそだ。

少しでも自分を大事に出来るのなら、気羅なんてものを使おうなんて考えはしない。

結局は僕自身の弱さが招いた事だ。

だからこそ僕は福音に負けた。

 

 

 

最後の攻撃は足掻きであったし、結界も結局成功はしたものの、相手をとどめることしかできやしない。

何もかもが中途半端の半端モノ。

僕自身、何が出来たと問われれば答えなんてものは用意なんぞ出来やしない。

こんな僕は……どういう意味があって生きているのか、考えてしまうし答えが思いつかない。

 

 

『お前がいるだけであいつ等は救われたんだ!こんな所で諦めるなよ!』

 

 

一夏の声?

 

 

『私はお前がいてくれたおかげで今の私があると思っている。だからいなくていいなんて言うな!』

 

 

箒ちゃん?

 

 

『アンタが死んだら残されたあたし達は永遠に後悔し続けるわよ?だからさっさと帰ってきなさいよ』

 

 

鈴?

 

 

『僕は君に救われた。あの時僕が決心できたのは静のおかげ。だからこんな所で諦めないで』

 

 

シャル……。

 

 

『私にとって嫁は光だ。だが嫁が苦しんでいるのなら代わりとも言えないが私が嫁の光になる。だから下を向かず前を向いて進んで欲しい』

 

 

ラウラ……。

 

 

『義理とはいえお前は私の弟だ。家族を必要ないなどと思った事はない……静、早く帰って来い』

 

 

千冬姉さん。

 

 

『この束さんがしーちゃんの事なんとかするからしーちゃんは早く戻ってきてね!』

 

 

束姉さん。

……なんでここにみんなの声が。

 

 

「ここは貴方の深層心理。ここでは貴方が望んでいる声が聞こえるのよ」

「それだけではありません。ここでは本当にそう思われている事以外、他人の声は聞こえてきません」

 

それは……

 

「簡単な話です。貴方は存在を望まれています。私やこの人以上にその存在を望まれているのです……どうしてここまで悩む必要がありましょう」

「そうね。少なくとも私やこの子は誰にも望まれていないもの……それに比べたら貴方は恵まれているわよ?」

 

 

僕は……本当に存在していいのかな?

家族全員を消してしまった僕が、周りを不幸にしてしまった僕が……生きていてもいいのかな?

 

 

「生きてはいけない存在そのものがありません。世界は良い意味でも悪い意味でも平等で不平等です」

「貴方自身が望めば存在してもいいのよ」

 

 

僕は……僕は……、

 

 

『まったく……まだグダグダ言っているのか?』

 

 

この声は……龍斗さん?

 

 

『お前は望まれているし恵まれている。それを自覚しなければお前は永遠に今のままだ』

 

 

でももう長くないんですよ?

 

 

『それは今俺ともう1人が何とかしようとしている。だから後はお前の意志だ』

 

 

僕の……意志。

 

 

『意志があるからこそ前に進める。意志があるからこそ望む事が出来るんだ……お前はどうなんだ?』

 

 

僕は……苦しかった。

辛かった、悲しかった、悔しかった。

全部全部負の感情でいっぱいだった。

どんなに頑張っても決して報われなかった。

力を得ても足りなくて、無力感に常に襲われた。

決していいことなんてなくて、幸せって何だろうと考える程にボロボロになって。

それでもずっと戦い続けて。

不安だらけになってでも進み続けて、歩みを止めそうな自分を無理矢理動かした。

今はもうボロボロ以上にボロボロだ。

もう歩みを止めたいと何度も何度も思った。

 

 

 

けど!

 

 

 

 

それでも僕は皆と一緒に生きていたい!

どんなに苦しくても!悲しくても!辛くて諦めたくなっても!

皆と一緒にいられない事に比べたら全然マシだ!

僕はもう諦めない!絶対に!

 

 

『フッ……あぁそれでいい。じゃあな、もう立ち止まるなよ?』

 

 

ありがとう龍斗さん。

ありがとう鎮魂歌、白い人。

ありがとう……皆。

 

 

 

僕は……僕自身を受け入れるよ。

否定しない。

 

僕は進む。

もう怖いものか。

だって僕には……皆がいるから。

 

 

「結局こうなるって分かってるのについ言っちゃうわよね」

「ええ。ですが主が無事前に進む事が出来てよかったです」

「まぁ問題は貴女が二次移行してからなのだけれどね?」

「それでも……私は主を信じます。今、この場で進む事を決めた主を」

 

 

 

 

 

意識が覚醒するのを自覚しながら……僕は最後の鎮魂歌と白い人の会話を聞いていた。

きっと二次移行すれば問題があるのだろう。

なんせ白い人が凄く心配そうな顔をしているんだもの。

でも大丈夫。

僕はやってみせる……待たせてる人達がいるのだから。




佐天様、感想感謝です!

次回は静復活!静復活!静復活!
からの福音オワタでお贈りする予定です。

では!また明日!

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