どんどん本編が進められるよう頑張ります!
ではどうぞ!
「準備は出来たか?」
その声が震えているのには気付いたけれど僕はあえてそれに触れなかった。
それに触れてしまえば簡単に崩れてしまいそうだったから。
「いくぞ……一夏は私と静にしっかり掴まれ。静は単一能力の起動を」
「おう」
「うん」
僕は森羅万象によって、瞬時加速よりも速度の出る、加速世界を起動する。
一夏は僕と箒ちゃんに指示通りしっかり掴まっている。
箒ちゃんは速度を出す準備をしている。
さぁとっとと終わらせて帰ろう。
まだ行事は残ってるんだ。
楽しむためにも憂いを残す訳にはいかない。
だから……全力で排除する。
「一夏は能力起動の準備だけしておいて後は温存。僕と箒ちゃんで運ぶからね」
「ああ、頼んだぜ2人とも」
「「うん(ああ)」」
そして僕等は敵のいる場所に向かった。
◆
「あれが銀の福音か」
速度を上げ、目的地を目指した僕等はすぐに銀の福音を見つける事が出来た。
幸いまだ相手は気付いていないみたいだから奇襲にはもってこいだと思う。
……一応複数起動で『影』を発動させておいて正解だったね。
『影』はその名の通りといえばいいのか、影を使った技が使用できたり、気配を遮断できたりする。
まぁ負担は軽いほうなので、2つ同時起動が出来たんだけど。
でもそのおかげで発見されずにここまで接近できたのは嬉しい誤算だったなぁ。
だってこの能力初めて使うんだから。
「さて、行くぞ」
「ああ」
「うん」
一夏が零落白夜を起動。
それにあわせて僕も森羅万象によって零落白夜を起動。
これで準備は出来た。
後は箒ちゃんが少しの間囮になって、僕等がその隙に接近、攻撃すればいい。
当たればエネルギーをごっそり持っていくのを2撃食らわせればさすがの軍用ISでもひとたまりもないと思う。
というか思いたい。
そして僕等は行動を開始した。
◆
箒ちゃんが囮になって数分。
もうそろそろ行動しなければ箒ちゃんが危ない。
という訳で、
「行くよ一夏」
「おう!任せろ」
頼もしい一夏の返事を聞くと同時に接近。
「ッ!?」
相手は無人ではなく人がいる状態で暴走しているらしいため、前回の無人機相手のように全力では攻撃できないけれど、それでも何とかなる。
そう思って僕は思いっきり振りおろした。
斬ッ!
さすがにクリーンヒットはしなかったが、それでもだいぶエネルギーを削れたと思う。
だって相手の動きが目に見えて衰えているもの。
「静!」
「了解!」
だけどここで手を緩めれば間違いなく落とされる。
だからこそ全力で攻撃する!
すぐさま僕は能力を辰気操作に変え、相手を重力で固定する。
「一夏!」
「おうよ!」
そこにすかさず一夏の零落白夜で追撃。
これで落ちるはずだけど……そう、普通のISは。
「……」
「何故まだ動く!もう限界のはずだ!」
確かにそうだろう。
けどそれは今まで見たISは……という言葉が最初についてしまう。
軍用ISだからこそ耐久が普通より上なのかもしれない。
……まずいな。
もう一夏も僕もエネルギーが少ない。
箒ちゃんも心許ないくらいにしかエネルギーがないから結構厳しい。
でもあの状態なら頑張ればなんとか……ッ!?
「まさか……二次移行か!?」
「こんな所でお目にかかれるとはね」
目の前でまるで何かを耐えているかのように丸くなっている福音を見る。
これでダメージがほぼチャラになっちゃった訳だけど……、
「まだいける?一夏、箒ちゃん」
「まだいけるぜ!と言いたい所だけど……正直厳しいな」
「こちらもだ」
「正直で結構。じゃあここに少し細工をした後は一度撤退だね」
じゃないと全員お陀仏だからね。
「分かった。けど細工ってなんだ?」
「まぁ簡単に言えば福音が指定した場所から離れられなくするためのものだよ」
「へぇ……そんな事もできるのか」
便利だ。
だからこそこの役割は僕がしなきゃいけない。
「だから一夏と箒ちゃんは先に撤退を。僕が1人で行う」
「何言ってんだよ!静1人に任せたまま俺達だけ尻尾巻いて逃げろなんて……無理に決まってるだろ!」
「まったくだ。静1人だけに任せておけない」
まったく……結構重要で仕方ない理由があるんだけどなぁ。
「じゃあ箒ちゃんだけ残って。遠距離武器がないとそもそも無理だから」
「何でだ?」
「僕が今からする細工は僕を除いた全員を閉じめちゃうやつだからだよ。だからこそ2人には先に離脱してもらおうと思ってたんだし」
せめてもう少し準備が出来たら……なんていってられないよね。
戦いなんて十全で戦えるはずがないんだから。
「だから箒ちゃんだけ」
「分かった」
「……納得いかねぇけど仕方ないよな。分かった」
苦渋の選択みたいな感じなのかな?一夏にとっては。
でもこれは仕方ないものだよ。
最善を選べたらいいんだし、完全なんて無理なんだから。
さて、
「任せたよ一夏。しっかり先に報告しといてね。僕報告するの嫌いだから」
「へッ。いいけどさ……絶対帰ってこいよ」
「……勿論」
少し迷ってしまったけどまぁ大丈夫だろう。
だって僕1人で戦っている訳じゃないから。
そして一夏はすぐに戻っていった。
あのスピードならばそんなに時間かけず戻れるだろう。
そして報告が終われば編成し直してもう一度だ。
何度だって戦ってやるさ。
勝つまでね。
だからそのためにも。
「箒ちゃん。サポート任せた」
「ああ、任された」
アイツを足止めしよう。
僕にはその術がある。
「起動『森羅万象』。能力……『内結界』」
内結界は相手に直接埋め込むタイプの結界。
相手のシールドエネルギーを使用して結界を作り、そのエネルギーが消えるまで永遠に壊れる心配はないみたいだ。
だからこそ追い込み、足止めするのに適してるんだ。
でも使う条件が相手に触れなければならないんだよね。IS越しに。
だからこそこれだけ優秀なんだけども。
と、誰にしてるか分からない説明をしながら僕は福音に向かって接近する。
この能力のもう1つの欠点、『起動中は攻撃動作を一切行えない』は箒ちゃんの援護射撃?で何とかなる!
これで……ッ!?
僕の手が相手に触れかけた瞬間、福音の足掻くかのように放たれた攻撃がいつの間にか存在していた密漁船にヒットしかけていた。
何故!何故こんな所に密漁船が!
本来進入禁止のエリアのはずなのにどうしてこんな時に限って!
「静!」
「くっ!?」
思考が乱れた所為で内結界が解けてしまった。
それを好機とみたのか福音が攻撃を仕掛けてきていた。
思考がそれていた所為で思わず思いっきり回避してしまったため、距離が開いてしまった。
「くそっ!どうして密漁船が……」
「今はそんな事を言ってる場合じゃない……問題はあの船をどうするかだと思うが」
確かに。
あの船を考慮しなければ間違いなく内結界はヒットする。
だが同時にあの船は沈むだろう。
さっき当たらなかったのは単純に運がよかっただけだから。
……でも。
「こんな時、一夏なら間違いなく船を守るんだろうなぁ」
底が見えない程の御人好しな一夏なら……たとえ密漁船だろうと犯罪者集団だろうと救おうとするんだろうなぁ。
……うん。
「箒ちゃん」
「何だ?」
「箒ちゃんも撤退して」
「な、何を!?」
確かに急にこんな事言ったらおかしいかもね。
でも。
「僕1人ならまだ何とか出来る……箒ちゃんは戻って密漁船の事も報告して欲しい。それが報告されてないのとされているのでは全然違うからね」
「確かにそうだが……」
「大丈夫。1人でも何とかなるよ……今までだってそうしてきたんだから」
「……」
納得いかないって顔だねぇ……まぁ仕方ないか。
「なら必ず帰ると約束してくれ……必ず戻ってくると」
それが最大の妥協って所かな?
なら、
「うん。僕は戻るよ……だって居場所はそこしかないんだもの」
しっかり約束をする。
「……」
箒ちゃんは最後まで納得のいかなさそうな顔をしながら戻っていった。
これで……いいんだ。
これで……僕は、
「迷わず行動できる」
迷わなければ勝てる訳じゃない。
可能性はほぼ零だ。
けど、
「後悔なんて死んでからいくらでも出来る……今は生きているんだ。前に進む事だけを考えろ」
後悔はない。
守るためなら手段は問わない。
僕は……全力で排除する。
◆
その後、福音の近くで1人の反応がロストされた。
ロストする直前にその場所では眩い光が見えたそうだ。
ロストした少年の行方は……誰にも分からない。
佐天様、感想感謝です!
急展開な上に戦闘描写手抜き……僕にはやっぱり駄目だったよ。
えっと一応明日も更新予定ですのでそれでご容赦くだしあ。
静がどうなるのか……テンプレな展開かもしれませんし、予想を裏切る展開かもしれません。
どちらに転んでも静が完全に無事な訳ないんですがね……。
それでもなるべくハッピーエンド目指して頑張りたいですね。
では!また次回!