全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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今回は実質別視点みたいな感じになりました。

それでもよければどうぞ!


第39話 好意の行き着く先は…

今から記される内容はジュース事件(静命名)の少し前の話。

きっとどうでもいいとか思われるのだろうけどね。

 

 

 

 

でもまぁ少しばかり話に付き合ってくれたまえ。

何、面白い話ではないがくだらない話ではない。

この先の話に繋がる重要な話だ。

是非、見ていってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静と一夏にジュースを買いに行かせた後、この静と一夏に想いを寄せるやつらを集め、最後の確認のようなものをしようと思った。

 

別に私はあいつ等の家族なだけで、そこまでする必要性があるか?と聞かれればYESともNOともいえない。

単純に私のわがままだからな。

さて、どういう反応をしてくれるのやら。

 

「ここには今お前達の想い人はいない。だからこそ聞きたい事がある」

 

本当は飲み物でも飲みながら聞こうと思ったがよくよく考えなくても静達が買ってくるのだから用意する必要性を感じなかった。

まぁ酒しか今の私は飲む気がないがな。

 

「聞きたい事ですか?」

 

デュノアが不思議そうに聞いてくる。

まぁ当然だろうな。

当の本人を除け者にしているのだから。

だが静に聞かれたらきっとやつは余計に頑固になる。

だからこそ今なんだ。

 

「オルコットは一夏の事が好きだろう?だが他の奴等は全員静だからな……少しばかり聞きたい事ができた。ただそれだけだ」

「な、何のことでしょうか!」

 

バレバレなのを理解しろというのは酷なのだろうか。

どう考えてもあの鈍感な弟でもない限り気付くぞ?あれは。

 

静なんてすぐに気付いてフォローに回ろうとしていたからな。

 

「それで質問なんだが、あいつらの何処に惹かれた?静も一夏も一癖二癖もある存在だぞ?」

 

特に静はな。

 

「……一夏さんは私の理想なのです。私が望んだ理想像そのまま」

「ほう?」

 

つまりオルコットの理想像は強く、そして何者にも屈しない存在か?

 

「それだけではありませんわ。彼は皆を護ろうとしています。それがどれだけ大変かも理解しつつもやめようとしません」

 

前に進み続け、可能性を求め続ける姿に惚れたか。

なるほどな。

 

「それなら静もある意味同じだぞ?」

「静さんは……彼は何処か達観しています。異常なまでに自分への関心が零なんです。そんな姿をずっと見続ける事が出来る程私は強くありませんわ」

 

確かに普通はついていけないな。

まだ気付いてない存在が多いが、静は本当に自分を省みない。

たとえ寿命が今年中になくなるという結果がなかろうと同じ行動を選んでいるだろう。

確か何処かのゲームのキャラの台詞でもあったな。

 

『たとえ何度繰り返そうとも僕はきっと同じ道を選ぶ』

 

だったか?

それが静だ。

やつはたとえ健康体でも自身を省みず誰かを助けようとするだろう。

それがどれだけ歪なのかを理解しながらも。

オルコットはそれに気付いてしまったのだろうな。

まぁ仕方ない。

 

深く見ればすぐに分かる部分だからな。

 

 

「で、静を好きになった理由はどうなんだ?」

「む……私は嫁の暖かさに救われて、同時に感じた寒さの理由を求め共に歩もうと思ったためです」

 

寒さか……寒さは静自身の『無意識の否定』が原因だろう。

自分では自分のことを最低限認識している風に思っていても心のどこかで否定し続けている。

だからこそ寒さを感じたのだろう。

 

「私もある意味ラウラのに似てるわね。でも歩むのと同時になんとかしたいとも思えたんです」

 

鳳もある意味予想通りの回答だ。

なんとかしたい。

この気持ちはおそらく今ここにいる全員が思っているだろう。

静はこのままでは消えてしまう。

それを何とかするために私や束が動いているのだからな。

 

「ぼ、私は静に助けてもらった時に静の優しさに触れて……この人となら一緒に歩んで生きたいと思ったんです」

 

デュノアは静に危うく国に戻されそうな所を助けられたのだったな。

確かにそれは心を許す要因になるだろうな。

そこから好きになるかどうかは別として。

 

「静は私に可能性をくれたんです。力をむやみに奮う私に"護る"という可能性を……だから私は静を護りたい。好きな人を護るためにこの力を奮いたいと思えるようになったんです」

 

成程。

静は否定するが、確かに静は周りに可能性を出す。

それが可能性を得た存在にプラスに働くかどうかはそいつ次第だが。

確かに力は結局力でしかないからな。

どのように奮っても結局行き着く先は……いや、やめておこう。

水を差すのはやめておこう。

 

 

「オルコットは一夏と共に頑張れとしか言えんな。あいつもあいつで競争率が高いようだ。個人で応援する訳にもいかんからな」

「はい。当然ですわ!私は自分の力で一夏さんと一緒に歩んで見せます!」

「その意気だ」

 

一夏も幸せ者だな。

まぁそれ以上に恵まれているのが静だが。

 

「静の方は一夏以上に大変だぞ?競争率もそうだが奴自身が否定している限り永遠にお前達にチャンスは来ないだろうからな」

「分かってますよ。分かっててあたし達は静と歩むと決めたんですから」

「うむ」

「うん」

「ああ」

 

ここまで言える奴等は相当珍しいだろう。

普通はここまでいえない。

きっと静の周りには強い者が寄せられるのだろう。

それは何も力だけではない。

心の強さも必要になってくる。

 

その心の強さが異常なまで強いのがこいつ達か。

昔の私にもこの強さがあれば……あるいは静を救えたのかもしれんな。

 

「そこまで言うには最後まで諦めるなよ?諦める事は許さん」

「「「「勿論」」」」

「それでいい」

 

 

少しばかり安心したよ。

これで静を救うために行動する存在がさらに増えた。

可能性が零に近くても1でもあるなら行動あるのみだ。

 

 

 

 

家族を救うためなら、たとえこの手を血に染めようとも構わない覚悟がある。

覚悟だけではどうにもならないから行動に移すのだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、静と一夏がジュースを持って入ってきて、そのジュース(私は酒だったが)を飲んだ全員が大変な事になるとは、

この時の私は思えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうだっただろうか?

2人の特異点である少年のために奮闘する少女達という描写なのだが。

 

楽しんでもらえたら嬉しい限りだ。

当の本人からしたらたまったものではないだろうけどね?

もしまたこのような機会があれば語るとしよう。

 

といってもこの話も直接私が聞いた話ではなく、間接的に聞いた話だから何処までが本当でどこまでが嘘か分かりはしないのだけれど。

まぁ物語って言うのは基本偽物があっても仕方ないものだとも言えるからそこは諦めてくれ。

 

 

 

 

 

では、また会おう。

ハッピーエンドになる事を祈りつつ……また語れる日を待とう。




佐天様、感想感謝です!

次回は明日更新予定です。

このままだと100話余裕で越えそうなのが怖いですが、どんどん頑張って行こうと思います!
完結までお付き合いいただけたら幸いです。

では!また次回!

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