全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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少女?の日記になっている気がしないでもないですが千冬さんです。

どうぞ!


第32話 少女の日記(Ver千冬)

ふむ、まさかラウラから渡されるとはな。

てっきり束のやつが「ほら!ちーちゃんの分の日記だよ!どんどん恥ずかしい事考えてね☆」とかいいそうだったのだがな。

まぁどうでもいいが。

 

 

 

さて、静の事だったな。

小娘共はほとんどが静狙いだったな。

一夏を狙っているのはオルコットぐらいではないか?

まぁアイツの良い所も悪い所も全部理解できるやつなどそうはいないがな。

私は理解しているが。

 

静は基本昔から変わらない。

人に対して無関心で、けれど周りの存在を護るためならどんなに自分が傷付いてもいいと考える大馬鹿者だ。

アイツは体は護っても心は護れない護り方しかできない。

それがどんなに歪んでいるかも奴は理解していながらも変える気がない頑固者。

 

束のある意味特化版みたいなものでもあるな。

アイツも身内や気に入った奴以外全員石ころ以下の扱いだからな。

 

だが静は人として理解し、見ているのにそれでも無関心でいようとするからな。

無関心の理由は「傷付けたくないし傷付きたくない」からなんだろうが。

結局奴は無関心になりきれなかった人間だ。

 

だからこそ今のアイツがいて、過去のアイツがいて、未来でもアイツは変わらず存在できるのだろうさ。

 

まぁだからといってあの性格を治さないのか?と聞かれれば治すと答えるが。

 

 

 

アイツがああなってしまった責任は私にある。

過去の出来事でアイツがああなるのは予測できたはずなのだからな。

なのに私は仕事や周りを優先し、アイツを蔑ろにしてしまった。

だからこそアイツはああなってしまったんだ。

 

 

いや、もしかしたらというのはよくないな。

現在は現在。過去は過去だ。

そして未来は誰にも分からないからこそ現在を全力で生きるのだからな。

 

静は大切な家族だ。

一夏同様な。

たとえ血がつながってなかろうと、静が弟である事実は変わらん。

その弟のために行動するのは間違いではないはずだ。

 

 

 

何も出来なかったからそのまま何もしないでは意味がない。

出来なかったからこそ出来るように行動すればいい。

 

限界が来たなら越えればいい。

限界とは越えるためにあるものだ。

まぁまだ私は自分自身の限界を感じてはいないがな。

無力感ならあるが。

 

 

 

将来静や一夏は巻き込まれるだろう。

それこそ今のあの状態よりひどくなるのは目に見えている。

今はIS学園という保護してくれている存在があるが、卒業してしまえばなくなる。

それまでに自分を護る術を教えるべきだと思う。

 

 

 

静の場合は今はそれよりも生きるために行動しなければならない。

アイツは無茶しかせず、体がどれだけボロボロになろうと自分を省みない。

 

それでは護れないと何度も言ってはいるんだがな。

 

 

 

 

……これではただの愚痴だな。

だが他の小娘みたいに惚れている訳ではないからな。

確かに家族としての愛情はあるつもりだが……それ以上はないな。

あくまでアイツは一人の家族だ。

一夏同様大切な弟でしかない。

 

まぁからかう事はあるかもな。

そのほうが面白い。

教師の仕事以外にいろいろあり過ぎて疲れている今の唯一の楽しみでもあるな。

 

八つ当たり?違うな。

ストレス発散だ。

 

束なら「余計に性質が悪いよ!?」とツッコムのだろうが知らん。

ただでさえ男性操縦者は珍しいのにさらに全員私の身内だぞ?

どれだけ質問攻めされていると思っている。

昔の栄光がなければ間違いなくアウトだったほどだぞ?

その栄光もまったく必要とは思えなかったものだが。

 

いわば子供の頃の表彰を貰う気持ちに似ている。

貰った瞬間は喜べても、終わって、飾ろうとしたあたりから邪魔に感じるのだからな。

 

この力は誇示するためのものではない。

護りたいモノを護るための力だ。

力は所詮暴力でしかない。要は使い手によってプラスに働くか、マイナスに働くか変わるのだからな。

 

静の森羅万象もそうだ。

アレは人の持つべきモノではない。人には過ぎた力だ。

アレは人を殺すだけではなく、世界を殺す。

 

その力の重みにたかだか中学を卒業してばかりの子供が耐え切れる訳がない。

普通の人間ならばとっくの前に廃人になるか、死んでいるだろう。

 

静という規格外だからこそアレで済んでいるんだ。

規格外には同じ規格外が用意される。

つまりはそういう事なのだろう。

 

静が規格外になってしまったのは森羅万象という規格外が付属してしまったがゆえにだ。

森羅万象だけでは静はああまでならなかっただろう。

少し感情表現が苦手な普通の少年だっただろう。

だが、静は望んでしまった。

自身の死を。

 

だからこそ気羅が手に入ってしまった。

束が言うには、その気羅の文献はもうすでに消滅しているらしい。

あまりにも危険な術で、使用者が必ず死ぬため、残されなかったらしい。

 

だが森羅万象はこの世全ての智を有している。

無くなった文献を見る事くらいたやすかったのだろう。

 

それにあの力にはまだ隠されている何かがある。

 

その何かが静に悪影響を及ぼさない保障はない。

だからこそ今のままでは駄目なんだ。

さっさとどうにかしないといけない。

だから忌々しいが束にも頼ったし命にも頼った。

 

 

静はこのままでは自分自身を森羅万象で消して消えるつもりだろう。

初めからいない存在を悲しむ存在はいないからな。

 

 

本当ならば思いっきり殴ってやりたい所だが、私にその資格は無い。

歪んでしまった原因でもあり、対処できたはずなのに対処をしなかった私にはな。

 

だから今出来るのは静の現状をどうにかする事だ。

 

そのためなら裏にも手を染めよう。

あらゆる手段を使って目的を達成しよう。

 

それぐらいの少ない覚悟ならばあるさ。

 

あぁ、そういえばこれはもしかしたら静や小娘達も見るのか。

ならば伝えよう。

 

まずは小娘達にだ。

コレを読んで何か思うことがあるのなら行動しろ。

行動しなければ結果なんぞ変わる訳がないからな。

そしてその行動には責任を持ち、覚悟を持て。

そして後悔するな。

後悔なんぞ死んでからいくらでもできる。

生きている間に出来る事の方が限られているのだから全力で行動しろ。

 

以上だ。

これ以上は言わずとも分かるだろうからな。

 

 

 

 

そして静。

もしもコレを見たのなら……私から言う事は少ない。

 

 

諦めは人を殺す。それは自分自身でもあり他者でもある。

諦めず最後まで足掻いた存在こそ、本当の意味での達成者になれる。

 

だからこそ静、お前は諦めるな。

生きる事を、護る事を、皆と一緒に過ごす事を。

 

お前が諦めず歩む限り私達は永遠に共に歩み続ける。

 

 

 

……これでは告白か?

いや、そんな事はないか。

さて、次は……ふむ、蘭か。

まさかここでIS関係者ではないとはな。

まぁいい。今日の私は気分がいいからな。

自ら届けに行くとしよう。

 

 

 

以上、織斑 千冬だ。




佐天様、感想感謝です!

次回は蘭になります。
一応今まではIS学園にいる人で子供から大人という順番にしてましたが、次は学園外でのヒロインが書くという事になります。
といっても後現状後3人ですので今週中にはこの日記は終わります。

その後、先に進めたいと思いますので少しお待ち下さい。

では!また次回!

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