全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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遅れてすいません。

平日は訓練校、休日は派遣のバイトしてるので中々時間がとれず……いや、これは言い訳ですね。
もしかしたら1ヶ月に1話更新になるかもですが、必ず完結まで持ってますのでお付き合い頂けたら幸いです。


第27話 少年の人生

今日はついに臨海学校。

皆が何処か浮ついた気分でいる中、僕は気分が沈んでいた。

何でかって?そんなの……、

 

「だ、大丈夫か?静」

「だ、大丈夫……うぷ」

 

車酔いですよこの野郎。

いつもながら車だけは駄目なんだよね……電車は大丈夫なのに。

バスとかは無理という……どうしてなのさ。

 

「ウヴァ~」

「嫁はそれほどバスが苦手なのか?」

「バスというよりは車全般ね。何故か電車とかは大丈夫なんだけど……車になるとこうなるのよ」

「いつもは酔い止めの薬を飲んでいるが今日は飲まなかったのか?」

「忘れてた……」

「うっかりやさんだね~」

 

のほほんさんに言われるのは解せん。

いやまぁ……今回は本当に凡ミスなのだけれど。

 

「確かベッドの上に置きっぱなしで来ちゃったんだっけ?」

「……うん」

 

なんでわすれてたのやら。

あれも命姉さん印の薬で飲むとかなり効くのになぁ。

 

「でも酔うんだよな?」

「うん。まぁ酔っても問題ないでしょ?お酒的な意味だし……副作用が」

 

確実にあの人の悪戯だろうけどね。

基本命にかかわらない限り悪戯してくるんだよね……しかも効力は確かだから服用するしかないという。

 

「一応市販のものならばあるが?」

「……一応いただきます」

 

効き目はうすいだろうなぁ……まぁ飲まずにはいられない!状態なんだけどね?

というよりこの体質は本当にどうにかならないかなぁ……。

まぁあまり期待はしてないけどさ。

 

「もうすぐだから頑張って」

「……あい」

「(可愛い)」←シャルル

「(結婚したい)」←ラウラ

「(結婚しよう)」←箒

「(ファミチキ食べたい)」←一夏

 

 

どうしてだろう……一夏に殺意が。

 

「理不尽!?」

 

どうでもいいけど早く到着しないかなー早く楽になりたいなー。

 

「ほら、足をバタバタさせない。子供じゃないんだから」

「そういう鈴だって昔はバタバタさせてたじゃんか」

「昔は昔、今は今」

「おーぼーだ~」

 

 

 

 

「何この可愛い生き物」

「信じられるか?コレ……全部無表情で言ってるんだぜ?」

「もうすぐで到着する。さっさとそれぞれの座席にもどれ」

 

なんだかんだでgdgdしつつ到着するみたい。

まぁバスを降りれるならなんだっていいんだけどね!

 

「まぁ帰りもバスなんだが」

「歩いて帰る」

「無茶言うなよ……」

「バスに乗るくらいなら歩いて帰る!」

「そこまでだ」

 

 

バスッ

 

 

「あうっ!?」

 

どうやって歩いて帰ろうかと思考していたら織斑先生に叩かれた。

うむむ……冗談抜きで歩いて帰っちゃ駄目だろうか。

 

「駄目に決まっているだろう……なんのための学校行事だ」

 

まぁ全体行動というものの大事さは分かっているけれどね?

さすがに車は駄目。絶対。

 

「というよりさっさと降りろ……降りていないのはお前と織斑だけだ」

「あ」

「うわっ……気がつかなかったぜ」

 

一瞬心の中でうわっ……の後に年収低すぎって言葉をこそっと追加しそうになった僕は悪くない。

だって一夏がそれっぽい手の動きをするんだもの……仕方ないね。

というより皆の行動力に僕は驚きだよ。

下手な軍隊よりも強かなんじゃなかろうか……ただしギャグ空間のみ!みたいな?

 

「ギャグだけでもああなるのは勘弁だな」

「だね」

 

という冗談も言えるくらいに回復した僕はすぐに織斑先生の下に向かう。

だってまた出席簿攻撃(威力は108式まである)を喰らいたくはないもの。

一夏と違ってね!

 

「俺も喰らいたくないからな!?」

「え?」

「え?」

「今のタイミングでの冗談は笑えんぞ?」

「ふむ、中々ユニークな冗談を言うではないか」

「一夏はたまにそういう冗談言うわよね」

「冗談じゃねぇよ!?」

 

ここまでデフォなんだよねぇ。

まぁとにかく。

 

「僕と一夏は皆とは別の部屋になるだろうから織斑先生に聞いてくるね」

「おぉ……そういえばそうだったな。何処になるんだろうな?」

「多分織斑先生と一緒の部屋か山田先生と一緒になるだろうね」

 

先生ならしっかりと見張れるし……山田先生はともかく。

いや、あの人も案外抜けてるってだけで普通に先生してるからね?

だって質問にはしっかり答えてくれるし。

でも目立っちゃうんだよねぇ……抜けてるとこ。

だからこれからさきも弄られキャラになるんだろうけど頑張って!

 

「静の背中に黒い悪魔……いや小悪魔の羽が見える」

「いつもの事じゃない……気にする必要はないわね」

「そうだな」

 

失礼だなぁ……まぁ気にしないけれど。

 

「お前達は何をチンタラやっている……」

「「「「「「あ」」」」」」

「覚悟はいいな?私はできている」

 

アリーヴェデルチ!

 

 

 

 

バシン

 

 

 

 

 

 

 

 

「酷い目にあった」

「それは一夏の責任です」

「ウソダドンドコドーン!」

「バリア張れない位置から射撃ぶち込むわよ」

「ギ○レン!?」

 

あの後僕と一夏は織斑先生と一緒に挨拶に向かった。

……まぁたんこぶ付きとか笑えなかったけれど。

 

「そういえば今日は海でフリータイムだったっけか?」

「うん。まぁ明日から忙しくなるんだろうけどね」

「だなー。まぁ今のうちに楽しもうぜ!」

「そうして一夏の壮大な前振りは始まったのだった」

「物騒な一言はやめてくれませんかねぇ……ッ!!」

「冗談だよ」

「静の冗談は冗談かどうか分かり辛いんだよ……」

 

というより冗談は基本冗談で済ませてるじゃないか……。

 

「それが分かり辛いんだよ……気がついたら終わってるからな」

 

それって幸せでしょう?

 

「不幸だ!」

 

さて、ここまで茶番を繰り広げつつなんとか行動してきたのだけれど。

 

「茶番……だと」

「茶番よね」

「というより鈴はいつの間に」

「零距離で射撃ぶち込むわよ?って言ったわよね?」

「疑問系じゃなかったけどな」

 

あ、鈴~ちょっと聞きたい事があったんだった。

 

「何?」

「僕の専用の薬知らない?鞄の中から消えてるんだけど」

 

あれないと発作止めれないんだけど。

 

「ちょっ!?なんてものをなくしてんのよ!一夏!一緒にさっさと探すわよ!!」

「お、おう!というよりそれもっと早く言えよ!?一大事じゃねぇか!」

「いやー言い辛かったもので」

「それでお前が苦しんでたら世話ねぇだろ!」

「箒!ラウラ!シャルル!急いで探すわよ!セシリアは一夏と一緒にあっち!」

「「「了解」」」

「「了解(ですわ)」」

 

うぉ……全員集まった。

というよりいつの間に。

 

「静のいるところに私ありだ」

「嫁のためなら何処へでも」

「まぁ……静のためならね?」

 

どうしてだろう……何故か素直に喜べない。

主にシャル以外。

 

「じゃあ捜索かい「その必要はないんだよ!」……この声は」

 

この管理局の白い悪魔とかオヤシロ○カに変身したり拷問器具になってそうな声は……。

 

「この束さんがしっかり見つけといたんだよ!ほらしーちゃん!この薬を受け取りたまへ~」

 

やっぱり束姉さんだったか。

まぁ予想はできてたけどね。

だって僕の鞄に発信機つけてるし。

 

「よし、姉さん……少しO☆HA☆NA☆SHIしようか。大丈夫だ、苦しいのは一瞬だ」

「あ、あれ?どうして箒様は機嫌悪いんでしょうか~や~不思議だなぁ~」

「少し……頭冷やそうか」

「それ私の台詞な気が……イヤ、ナンデモナイデス」

 

箒ちゃんに頭をつかまれたまま束姉さんは何処かに連れて行かれた。

大丈夫、束姉さんの生命力は異常だからきっと帰ってくるさ……きっと。

 

「しーちゃんに見捨てられた!?束さんショック!これは箒ちゃんとちーちゃんに慰めてもらわないと……」

「地獄を見せてあげましょうか?」

 

あ、あの笑顔はいけない。

アームロックとかしそうなあの顔はいけない。

 

「そ、それ以上はいけないんだよ!?それ以上腕は曲がらな……にぎゃあああああああああ!?」

 

南無……貴女の事は忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひ、酷い目にあった」

「まぁ自業自得だよね」

「うぅ……しーちゃんが厳しい所か鬼畜なんだけど。どうしてなの?」

「それは束姉さんだからさ」

「自分が特別だと喜べばいいのか悲しむべきか悩むね……」

「きっと貴女は特別な存在なのだと思えばいいと思うよ?」

「え……それベルダ○スオ○ジナル」

「そぉおおおおい!!」

 

束姉さんの一言に全力でツッコミをいれる一夏。

うん。まぁ気にしない気にしない。

僕と束姉さんと箒ちゃん以外ポカーンとしてるけど気にしない。

だっていつもの事だもの。

 

「で」

「ん?」

「何か用があってきたんじゃないの?」

「ん~まぁそうなんだけどね~。しーちゃんの顔を見に来たのも理由の1つだよ?まぁ何故かそのついでに薬拾ったけど」

「それは感謝するけど用は?」

「まぁしーちゃんのIS「鎮魂歌」の調整だよ……暴走したって聞いたからね」

 

……暴走というよりは本質に戻ったように感じたけれどね?

 

「まぁアレは一種のブレーキだから仕方ないよ。アレがなければしーちゃん今頃ここにいないよ?」

「……マジかよ」

「マジもマジ。だって森羅万象っていうものはそれ程……いや、それ以上に凶悪なんだもん」

 

森羅万象。

文献によればそれを得る事ができれば富も名声も思うがままだそうだけど。

なのに危険なんだね。

 

「当然だよ?危険でもない能力が狙われるはずないでしょー。危険だけれど同時に甘い蜜にもなるんだよ~?」

「要は戦争の駒にも使われるという事だね」

「そうだね。まぁそれだけで済んだらマシな方だね。実際は人権なんて欠片もない地獄以上の実験続きになるだろうけど」

「なッ!?何だよソレ!」

 

だって僕という森羅万象を持つ存在はそれだけで切り札になり得ちゃうんだよ?

きちんと使いこなせれば出来ない事はほぼないんだ。

人を消す事もできれば治らない病気すら治せる。

いい事に使うのならいいだろうけど悪用なんてそれこそ限がないくらいにできるからね。

 

「静は最初から知ってたのかよ」

「ん……予想は出来てたよ。それこそこの力を理解したその日からね」

 

もう10年弱か……うん。

 

「なんで……なんで静ばっかりそんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ!」

「偶々僕だっただけだよ……それ以上でもそれ以下でもない」

「そんなんじゃ……不公平じゃねぇか」

「いっくん。世界が平等であった事も公平だった事も一度たりともないよ?理不尽があふれてるのがこの世だよ」

 

平等なら……公平なら戦争なんてものは起きないもの。

 

「納得できるのかよ……静は!」

「納得できるか出来ないかじゃないよ……単に間が悪かった。ただそれだけなんだから」

 

間が悪かっただけ。

きっと僕がこんな力をこの身に宿したのも、気羅を習得しちゃったのも、家族を消してしまったのも……間が悪かったんだ。

だからこそ。

 

「僕は僕以外を恨んだ事はないよ。恨む必要性を感じないからね」

「静……」

 

このとき僕は笑えたかどうかは分からない。

けどもう一夏達の顔をしっかりと見えない(・・・・)僕ではそんなものはそもそも気付けないのかもしれない。




佐天様、感想感謝です!

次回は1ヶ月以内に更新をします!
原作3巻は一応8話以内に収める予定ですがその後は今のとこ未定です。
これから先どうなるのか想像しつつお待ち下さい。


……感想をユーザーのみからユーザー以外からもいけるように変更します。
荒れたら戻しますが。

では!又次回!

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