全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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はい。もしかしたら更新が遅くなる可能性があったの急ピッチで仕上げました。

ぶっちゃけ駄文ですが楽しんでいただけたら幸いです。


第22話 少女vs少年

 

あの後は特に特別な事はおきなかったため割合。

今はもうすでに試合前です。

 

そして対戦相手の発表があって、僕とシャルル君……いや、シャルルちゃんの対戦相手がラウラ・ボーデヴィッヒと箒ちゃんだと知った。

 

待っていたからある意味助かるんだけれど。

 

「シャルルちゃ……シャルル君、ラウラ・ボーデヴィッヒは僕が相手するから箒ちゃんを頼むね?」

「うん、すぐに終わらせてそっちに向かうよ」

 

きっと箒ちゃんも一筋縄ではいかないだろうから時間はかかると思う。

けどシャルルちゃんなら何とかしてくれる気がするんだよね。

 

「一回戦からっていうのは運が悪いのか良いのか……どっちとも言えないね」

「ん~きっと良いんだと思うよ?だって最悪戦えずに終わる可能性だってあったんだしね」

「そうだね」

 

きっとあの子は一夏に勝てない。

背負っているものが違うだとか、気持ちの問題だとかじゃない。

周りの環境が実際関係している。

だってあの子は孤独に埋もれてたけど一夏は周りが幸せを教えてくれたのだから。

幸せを勘違いしているあの子には僕も一夏も負けない。

たとえアレ(・・)が相手にあっても。

 

『選手はアリーナに向かって下さい』

 

試合がもうすぐ始まる。

きっと簡単には勝てないだろう。

けど負ける訳にはいかない。

何故なら……あの子は僕の周りを否定したから。

都合のいい事だと言われても構わない。

僕自身も彼女を否定してたし。

でも、

 

「きっとあの子は苦しんでいる」

「だろうね、あの子……目が悲しそうだった」

 

シャルルちゃんでも理解できるんだ……きっと一夏も無意識に感じているだろう。

鈴なんてもっとだ。

セシリアさんもそういう感情は理解しやすいだろう。

 

「頑張ろう静……勝とう」

「うん、絶対に」

 

そう決心して僕達はアリーナに向かった。

孤独から逃げ続けている臆病者の目を覚まさせるために。

 

 

 

 

 

「フン、逃げずにきたか」

「逃げる必要がないからね」

 

あれ?妙にデジャヴ?

主にセシリアさんが同じ事を言ってた気がする。

 

……何処かでセシリアさんが悶えてる気がする。

 

「貴様も織斑一夏も……許しはしない!」

「君に許しを請う必要性を感じないね、僕が謝罪するとしたら千冬姉さんにだ」

 

それでも受け取ってもらえないから意味がないんだよね。

まぁそれはそれとして。

 

「箒ちゃんがそっちだとは思わなかったよ」

「私もだ……まさか静と戦う事になるとはな」

「ええっと?僕もいるんだけどな~」

「だがこれもまた好都合だ……静に今の私がどれだけ通用するかどうか確かめる良い機会だ」

「なら僕も全力で……って言いたいんだけど、残念ながら今回はパス」

「何故だ!?」

 

何故かって?

簡単だよ。

 

「僕はあの子と戦って勝たなきゃいけないんだ……だから今回はシャルル君に君を頼むよ」

「……なるほど、なら仕方あるまい……だが負けるなよ」

「当然、あんな考えでしか戦えない存在に負けてやるほど甘くもなければ優しくもないよ」

「なら安心だ……いや、対戦相手的には安心とはいえないな」

「アハハ……まぁどんまいって事で」

「ああ(本当は優勝したかったがな……告白のためにも)」

 

箒ちゃんが少し残念そうな顔をする。

きっと勝てない事そのものより何か大事なモノがあったんだろう。

けど僕にも譲れないモノがある。

我侭だけれど許してもらうしかない。

まぁ……後で精一杯謝罪でもするさ。

 

「貴様は特に許さない……貴様がいなければ!教官はあれほどまでに弱くならなかった!」

 

弱くならなかった…ねぇ?

それは勘違いだよ?千冬姉さんは弱くなったんじゃない。

弱さという強さを得たんだ。

 

「弱さは同時に強さになる…それが理解できないのなら僕には勝てないよ」

「弱さが強さだと?寝言は寝て言え!」

「……さぁ始めようか、シャルル君、頼んだ」

「うん……なるべく早めに助太刀するよ」

「フフフ、甘くみられたものだ」

 

こうして僕らの戦いが始まる。

それは同時に最大のイレギュラーを含む試合となる。

 

 

 

 

「静のやつ大丈夫か?」

 

気羅でボロボロ、しかも今年中で限界がくるっていうのによくもまぁあんだけ無茶できるよな。

俺に同じ事が出来るかどうかと聞かれれば精一杯頑張りますとか言えるかどうか。

というより普通は無理だろうな……静だからこそだろう。

 

「試合が始まったな」

「ああ……大丈夫なのか?静のやつ」

 

試合が出来るほど回復できるとは思えないからな。

正直普通は止めるんだろうけどな……あの顔で頼まれたら正直断れないし強く言えないよな。

間違いなく女じゃなくてよかったと思えるし。

なんせ……妙に保護欲駆り立てられるからな。

 

「一応試合前に検査を受けたらしい……ぎりぎり何とかなるそうだ」

「ぎりぎりの時点でなぁ~」

 

正直休ませないとな。

まぁ今回は静が言うことを聞いてくれる訳ないよな。

 

「お前が言うな」

「アレー?」

 

正直予想外です。

主に千冬姉からツッコミがくるとは想わなかったぜ!

 

「それにやつなら大丈夫だ」

「何でですか?」

「やつには一応アレを渡している……いざとなれば使うだろうさ」

 

アレ?いったいどんな形をした武器なんだろうか。

え?何で武器固定かって?

千冬姉が渡すものが武器以外だったら明日くらいに槍がふるぜ。

 

「織斑」

「あ」

「覚悟はいいな?」

「正直すいませんでした」

「問答無用!」

「グフッ!」

 

きっと態とやってると思うだろうけど違うからな!?

千冬姉の読心術が凄いだけだからな!!

 

「さて、試合を見る限り問題ないように見えるが」

 

叩かれた頭を擦りながら静達の試合を見る。

本当だったらボーデヴィッヒを倒すのは俺がするべきだと思う。

実際アイツは俺を恨んでるんだからな。

けど恨んでるからだけじゃねぇ……アイツは静を否定した。

静がどれだけ苦しんでいるかもしらないで。

 

 

だからこそ許せなかった。

親友を侮辱されさらに否定される事が。

静自身が暴走しなけりゃ間違いなく俺がアイツと戦っていた。

まぁその後の暴走を止める方が大変だったのはアレだけどな。

 

「きっと静は勝つさ――なんせアイツは背負ってるものが違うしな」

「それもそうか……負けるなよ静」

 

千冬姉の小声での応援は近くにいた俺だけに聞こえた。

……なんでそうやって素直に応援できないんだろうな?千冬姉って。

 

 

ガシッ

 

 

嫌な音がどこからか聞こえ……いや、現実逃避はやめよう。

今こそ現実を見るときだよな。

 

「あの~織斑先生?何で俺の頭を掴んでらっしゃるんでしょうか」

「お前の心に聞いてみろ」

「デスヨネー」

 

 

ミシミシミシ

 

 

常人では出せないような音を俺の頭からあばばばばばばばばばば

 

み、皆……千冬姉をからかうのは命がけ……だぜ?ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

「何でだろう……一夏が自業自得と言われかねない事態を引き起こした気がする」

「急にどうしたのさ!?」

 

戦闘中に考える事じゃなかったね。

というよりシャルルちゃんも随分余裕あるね?

僕にはないよ。

 

「戦闘中に考え事とは余裕だな!」

「余裕なんてあった事ないよ」

「ぬかせ!」

 

ボーデヴィッヒさんからレールカノンによる攻撃をプレゼント。

そんなプレゼントはいらないので返品したいけどクーリングオフってないんだよね。

なので、

 

「なっ!?レールカノンを切り裂いただと!?」

 

そう、近接ブレードである独奏曲で一気に切り裂く。

これくらいならまだ可能だったのは幸いだったり。

 

「貴様と織斑一夏だけは!」

「よく考えない人はこれだから……」

「何だと!?」

「君がそこまで復帰できたのは誰のおかげ?」

「無論教官がいたからこそだ!」

「じゃあ何でその千冬姉さんはドイツにいたのかな?」

「それは……」

 

そう。僕や一夏が誘拐されなければ千冬姉さんはドイツに行く必要もなかった。

ゆえに恨むのはお門違いだよ。

まぁ逆に感謝されても反応に困るからアレだけどね。

 

「まぁそれでも君の気がすまないんでしょ?なら……かかってきなよ、全力で否定してあげるから」

「ッ!?」

 

おっといけない。

思わず殺気が出ちゃったみたいだね。

まぁ確かに気に食わないというか同属嫌悪と言うか。

どうも否定的になりがちなんだよねぇ。

 

「それはそれ、これはこれ……かな?今は」

「何を言っている!」

 

というより会話しながらの戦闘とか僕もボーデヴィッヒさんも余裕だね?

今もこう会話しながら独奏曲と相手のプラズマ手刀で鍔競り合いしてるんだけど。

 

「静!」

「あれ?シャルル君?」

 

僕とボーデヴィッヒさんとの対話(物理)をのんびりしてたらどうやらもうあっちは終わったみたいだ。

シャルルちゃんが来ているし、向こうで箒ちゃんが悔しそうにしてるし。

というより量産機で専用機相手に接戦できてるだけで凄いと思うけど……僕や一夏だって専用機じゃなければ勝てないし。

 

「おっと」

「ハァ…ハァ…これで貴様は終わりだ!」

 

余所見してた僕が悪いのだけれど相手のAICに捕まっちゃった。

一応抜け出せない事もないけれどもこれはある意味禁じ手だしなぁ。

まぁそうも言ってられないかな?

 

「トドメだ」

「『森羅万象』対象『辰気操作』……沈め」

 

たとえ動けなくても相手を視認できているのならこの能力の効果範囲内にいる事に変わりはない。

だからこそ動きを止める。

何故ならこれは1対1の戦いではないから。

 

「シャルル君……トドメは任せた」

「うん、任された」

「グッ!この程度の拘束ッ!!」

「残念だけど終わりだよ……この重力からは逃げられない」

 

シャルルちゃんが一気に接近。

何をするのかと思えば武器が変わっていた。

確かアレは……第二世代の最大火力武器だったかな?

名前は…、

 

「通称盾殺し(シールドピアース)で正式名称は灰色の鱗殻(グレー・スケール)だったかな?」

 

ドンッ

 

1発大きいのが叩き込まれる。

けどあの武器は確か連続打撃が可能のはず……これで終わりかな。

 

ドンッドンッドンッ

 

 

これで終わりだと思って少しだけ気を抜こうとした瞬間、悪寒が走る。

これは……一体。

そう思っていると、

 

「きゃあああああああああ!?」

 

先ほどボーデヴィッヒさんにトドメを刺したはずのシャルルちゃんが何故か吹き飛ばされていた。

しかもボーデヴィッヒさんが居た場所には黒いISが存在していた。

 

 

 

 

 

なんだコレは。

なんなんだコレは!

どうしてだ!どうして奴に勝てない!

私は負ける訳にはいかないのに!

教官に泥を塗ったあの2人を殺すまでは!

 

教官という存在が私の全てだった!

それを奴に否定されて、負けた。

それが気に食わない!

 

あの全てを悟っているかのような表情が気に食わない!

まるで自分が見透かされているかのようなあの表情が!

否定してやる!やつの全て!

 

 

『力を欲するか』

 

 

どこからか声が聞こえる。

だがそんなものは関係ない!

 

奴を殺せるのならどんな力だっていい!

それが自分全てを犠牲にする力でも!

弱い自分に価値はない!

よこせ!力を!

 

 

Damage Level―――D

 

MindCondition―――Uplift

 

Certification―――Clear

 

Valkyrie Trace System―――boot

 

 

 

 

 

 

「VTSか……屑みたいなシステムだね」

 

Valkyrie Trace Systemっていうのは歴代のモンド・グロッソの優勝者のデータを無理やり再現するものだったかな?

確か束姉さんがそれを作ってたとこは潰したっていってたけど……まだあったのか。

 

『静!!』

『一夏?』

『アイツのあの武器!!』

『そうだね……アレは雪片だね』

 

間違いなくアレは千冬姉さんが使用していた武器……雪片。

一夏の声で一夏自身が苛立っているのが理解できる。

まぁ当然か……いわば誇りを侮辱された存在そのものみたいなものだからね。

 

『確かに千冬姉の偽者にもムカついてるけどな…アイツは振り回されてる!それもムカつく』

 

優しいね。

でも、

 

『今回は任せてもらうよ?僕も他人事ではないからさ』

 

アレはきっと千冬姉さんや一夏、箒ちゃんや鈴、シャルルちゃんにセシリアさんという存在に出会わなかった僕の成れの果てだろう。

出会えた事で僕は変化した。

否定しか出来なかった僕が肯定できたんだ。

そのきっかけを彼女は自分自身でつかめない。

ならそれを手伝うのも一興だよね。

 

「シャルル君」

「何かな?」

「シールドエネルギーは残ってる?」

「微妙かな……一応回避するぐらいなら可能だろうけど戦闘は厳しいかな」

 

なるほど……なら。

 

「僕があの子を止めるからシャルル君は後ろに」

「1人で大丈夫?」

「大丈夫だよ、少なくとも寂しがりや相手ならそんなに厳しくないさ」

 

本当に……僕を見てるみたいだ。

昔の僕は否定的で、でも誰かに認めてもらいたかった。

でも同時に怖かったんだ―――周りの変化においていかれるのが。

 

だからこそ僕は……現在(いま)の彼女を否定する。

 

「じゃあいってくるね」

「いってらっしゃい…負けたら一ヶ月女装して登校してもらうからね?」

「それはやだな……うん、負けないよ」

 

僕には大事な仲間がいる。

彼女にはそんな存在がいない。

それが僕達の違いでその違いが大きいんだ。

それを今証明してみせる。

 

「さぁ行こう鎮魂歌(レクイエム)。一緒に奏でよう」

 

そう呟くと鎮魂歌が光った気がした。

 

 

 

 

 

 

「鎮魂歌!」

 

静は鎮魂歌のBT兵器―――終曲を起動させ向かわせる。

しかし相手は偽りといえど織斑千冬である。

その程度でどうにかなるほど甘くはない。

 

向かわせたBT全てが切り裂かれる。

しかしそれを当然と理解していた静は続けて武器を出す。

 

「協奏曲」

 

見た目デザートイーグルな銃を取り出す。

取り出した瞬間照準を黒いISに向け、すぐさま放つ。

 

ドンッ

 

もはや銃の発砲音ではないかのような音が出る。

しかしそれすら一瞬で切り裂かれる。

 

「……やっぱりこの程度じゃ駄目か」

 

相手はラウラ・ボーデヴィッヒであってラウラ・ボーデヴィッヒではない。

中に居るのは確かにラウラという少女ではあるが外見はそれを一切感じさせない程に変化してしまっている。

全身装甲(フルスキン)に変更され、手には刀が所持されている。

織斑千冬という存在を真似た存在は偽者とは思わせない程の技術で静の攻撃全てを無効化する。

 

しかし、

 

「じゃあコレでどうかな?」

 

――『森羅万象』起動。対象『磁気操作』――

 

攻撃全てを無効化された所で静はくじけたりはしない。

それ所か武器を近接ブレードである独奏曲に変化させ磁気操作という能力で磁気を纏わせ斬りかかる。

擬似的なスタンガンのようなものに変化させたソレは下手に受け止めるとダメージを負う程のものである。

 

―――しかしそれでも相手は堪えない。

 

ガキンッ

 

「うわぁ……さすが千冬姉さんの模倣だなぁ。まさかそうくるとはね」

 

どうなったかを表現するのならば……攻撃そのものを全て受け流した。

一瞬鍔競り合いになったかと思うとそのまま雪片を流れるように上に動かした。

結果、静はブレードを上に上げた状態……無防備になった。

 

「マズッ!」

 

斬ッ!

 

無防備では拙いと思った静はすぐさま防御の姿勢に入ろうとした。

それは確かに正しく、通常ならば成功したであろう。

しかし相手は偽とはいえ千冬である。

その一瞬の隙は大きすぎた。

 

「ガッ!?」

 

思いっきり振り抜かれ、シールドエネルギーがごっそり持っていかれる。

一撃でコレである。連続で受けた時には一瞬で終わってしまう。

追撃を放とうとする相手に向かい静は、

 

「『森羅万象』能力変化!『加速世界』!!」

 

『加速世界』を使用し瞬間加速以上の速度で退避する。

まさかこの能力を回避のみに使用するとは思っていなかった静は思わず苦い顔をする。

 

「ゴフッ……少し拙いかなぁ。もう少し何か手があればいいんだけど」

 

気羅を使う訳にはいかないしね……と呟く静。

だが気羅を使えば解決できるとは静自身思っていない。

精々隙を作るのに利用できる程度だと考えている。

 

「さぁてどうやって隙を作ってデカイのを叩き込むかな……零落百夜で落ちるだろうけどそれをさせてくれるほど甘くはないだろうし」

 

そう、トドメを刺す方法は簡単なのだ。

ただ零落百夜で攻撃すればいいだけだ。

しかし相手が相手な所為で決め手はあってもそれを決めるための決定的な隙がないのだ。

 

「(そういえば……たしか束姉さんと一緒に作った概念武装がまだあったはず。それを使えば或いは)」

 

 

“概念武装”

 

静自身に宿る森羅万象によって得た智によって束と静で共同で製作された(といっても大半は束)武装である。

以前使われた汝朽ち果てぬ守護の盾(イージス)も概念武装の一種である。

つい最近束が「新しいのできたから送るね~」と言っていた為すでに届いていた。

ゆえに使用出来るのだが、

 

「(使って、動力が何か教えたら怒られるだろうなぁ……憂鬱だよ)」

 

動力に問題があった。

それは動力が使用者の命そのモノである事。

つまり寿命を削る事によって起動するのだ。

何故そうなったかは分かっていない。

束でさえどうにも出来なかった問題。

ゆえに渡される時に、

 

「いざと言う時以外使わないようにしてね?じゃないと束さん泣いちゃうぞ?」

 

とまで言われている。

だがしかし、

 

「迷っている暇なんてない……か」

 

迷っている間にも苦しんでいる少女がいる。

それをよしとするほど静自身薄情ではない。

ゆえに、

 

「いざって言う時は今だ!使わせてもらうよ?」

 

――概念武装起動――

 

―――武装『敵穿つ死葬の槍(ゲイボルグ)』―――

 

静の手に1m50cm程の禍々しい槍が出現する。

色は血に染まってしまったかのように禍々しい紅。

人の負の感情の塊のような武装。

それは人一人に使いこなせるとは思えないほどの武装である。

 

「グッ……やっぱりこの感覚は慣れないや」

 

動力として削られる命。

削られていく感覚は言葉に言い表せない程に不快な感覚である。

 

「コレで終わりにするよ……」

 

槍を構える。

相手はそれに合わせ迎撃しようと構える。

しかしこの槍相手に迎撃及び防御、回避は愚の骨頂。

何故なら、

 

「この槍は必中の槍だ―――防御も回避も関係なく貫く!」

 

この槍の出現を許した時点で負けなのだ。

回避も出来ず防御も不可能。

迎撃しようにも迎撃する前にはすでに貫かれているのだから。

 

「穿て!敵穿つ死葬の槍(ゲイボルグ)!」

 

ズシャッ!

 

敵は迎撃の構えのまま動かない。

何故ならすでに“終わっている”から。

終わっている事をあらわすかのように全身装甲が解かれていく。

中には不安げな表情をした少女が1人。

 

「そんな顔も…出来たんだね。なら……もう大丈夫」

 

――だってもう1人じゃないから

 

そう言って静はラウラを抱えながら倒れる。

 

「静!!」

 

それをシャルルが支える。

退避せずにいつでも介入できるよう待機していたのだ。

 

「まったく……無茶するね」

 

意識を失った静に呟く。

シャルルにとって静は大切な人。

自身を肯定してくれ、尚且つ居場所も作ってくれた存在。

そんな存在を護りたいと、共にいたいと思うのは至極当然だろう。

これから先の争奪戦に自身も参加しようと決め、シャルルは静と静に抱えられているラウラを保健室に運んだ。




どうでしたでしょうか。
やはり戦闘描写が難しく、人の心理描写も中々難しいです。

ラウラの心理描写は不安定な状態を意識しました。
原作通りの思考そのままでは矛盾が出るとは言いませんが、少しだけ短めに、そして単純に力を求めるように描写しました。

次の話で詳しく描写予定ですのでここではひとまず納得しといてください。

新しい概念武装が出ましたが、後5つくらい出す予定です。
といっても使用者の寿命を削っちゃうのでバンバン出せませんが(苦笑

読者の皆様が少しでも楽しめますよう努力していきますので次回からも宜しくお願いします。

では!また次回!

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