全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

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はい、毎度おなじみの亀更新ですよ~もうそろそろなのはの方も更新しなきゃとは思ってるんですけどね~。

とりあえずはもう少しでようやく原作2巻分が終わりそうなのでそこまで行けばまた番外編を書こうかなぁと思ってます。
後主人公設定。

なのでのんびりとお待ちください~。

サブタイの読み方はターニングポイントです。


第21話 分岐点

 

 

「何だったんだろ……」

 

静が暴走したのを見て僕は恐怖してしまった。

いや、同時に安心もしてた辺り僕はアレなのかもしれない。

 

静の心が悲鳴をあげているような気がした。

それを感じてどこか安心している自分に嫌気が差した。

 

騙しているだけじゃなく、助けを求めている姿を見て安心するなんて。

 

「なんて醜いんだろう」

 

この醜い心を感じたくなくて、この醜い心を誰かに見られたくなくて。

そのまま流れてしまえとシャワーを浴びる。

 

それはまるで凶器についた血を洗い流すが如く。

きっと僕の心は凶器だ。

簡単に人を傷付けるだろうし自分すら傷付ける。

 

 

「静や一夏は僕の本当(しんじつ)を知っても友達でいてくれるかな?」

 

それは願望。

願望は口に出しながらもきっと無理だろうねと思ってしまう。

だって僕はこんなにも醜い。

 

凶器は狂気を持って振るわれる。

きっと僕も同じ。

傷つけてしまうのなら……初めから出会わなければよかったとさえ思える。

 

普通の人相手ならここまで考えたりしないし後悔もなかったと思う。

けどやっぱりあの2人や2人の周りの人を見ていると思ってしまう。

 

“自分は本当にここにいてもいいのか?”

 

“彼等は対等に接してくれるのに自身はいつまで偽り続けるのだろうか?”

 

彼等のような人に僕は甘えているだけじゃないのか?

そう思えてしまう。

 

同時に恐怖してる。

何故ならいつその偽りが露見するか分からないから。

露見したならば僕はここにはいられない。

だから注意しないと……。

そう思いながらも身体を洗おうとしたら、

 

「あ、ボディーソープが……そういえば前なくなったから代えを置いとくって言われてたっけ」

 

注意しようと思ったそばからコレだ。

きっと僕は何処かの家系みたいに大事な所で“うっかり”を発動させちゃうタイプなんだろう。

次からはこうならないように気をつけないと。

 

 

 

ガラガラ

 

 

「ボディーソープ……」

「あ」

 

今日は頭だけ洗おうと決めた瞬間、静がお風呂のドアを開けた。

今の僕は当然生まれたままの姿。

そこには男にはないモノがある……胸の膨らみ。

 

「えっと」

「あ…う…」

「……御免なさい」

 

今の僕には恥ずかしいやらばれてしまった!やら何処か変な所はないかな?とか思考が暴走してしまっているとしか認識できなかった。

 

 

 

 

 

 

部屋に戻ってボディーソープの代えを渡しに向かったら痛すぎる沈黙が待っていた。

何を言ってるか分からないと思うけど僕にも分からない。

超展開だとからっきーすけべだとかそんなチャチなもんじゃ断じてない、もっと恐ろしい片鱗を味わってるような気分です。

 

「……」

「…………」

 

誰かぁ……この沈黙を破ってくれる勇者はいませんかぁ。

150Gとひのきのぼうとぬののふくとかあげるから是非来てくれませんかねぇ。

 

「静?」

「ひゃい!?」

 

シャルル君……いやこの場合ちゃん?が話しかけてきた。

それに反応しきれず思わず変な声をあげる僕……恥ずかしさで死にそうです。

 

「見ちゃった……よね?」

「記憶にございません」

 

いや、もう言い逃れは出来ないし今シャルル君は胸を今までやってきたように固定してないから膨らみがあるのだって理解してますよ?

でも現実逃避くらいさせてくれてもいいと思うんだ(遠い目

 

「理由は聞かないの?」

「聞いて欲しいなら聞くけど?」

「……」

 

黙る時点で聞いて欲しくはないって事だと思うんだけど。

まぁどちらかというと言いたいけど言い辛いってやつだと思う。

そもそも性別を偽ってまで僕達に近づくという事は機体のデータを得たかったんだと思うしどうして男がISを起動できたかもあわよくば理解できるかもしてないという期待もあっただろうね。

 

「……理由は簡単だよ、静も理解してると思う」

「うん、僕達のISの情報及び男が何故起動できるかを知るためでしょ?」

「そうだよ」

 

だけど解せない。

確かに男として編入させて仲良くなり情報を引き出すというのはいい手段だとは思う。

けど同時に効率が凄く悪いしバレる危険性を考えたらハイリスクすぎる。

リスクがでかいのに得る情報は確実ではないのは駄目だと思うんだ。

 

「その性別を偽って編入するっていうのは誰の指示?」

 

この指示が会社全体からの指示ならば……最悪その会社そのものが黒の可能性があるし。

 

「父親からだよ」

 

父親……ねぇ?

まさか親がそういう行動にでるとはね。

 

「僕は愛人の娘なんだよ」

「愛人の娘?」

「そう、で…僕のお母さんが亡くなって父親に引き取られたんだけど……普通は愛人の子を受け入れられないよね」

 

まぁ愛している人が愛人を作っててさらにその娘ときたら拒絶したくもなるよね。

ある意味父親の被害者かな?全員。

 

「参っちゃうよね、いきなり叩かれるんだもの「泥棒猫の娘が!」ってさ……その事実を知ったのもその後なんだけどさ」

 

早く言って欲しかったなぁと呟きつつ俯く姿を見ると相当キてるなぁ。と思う。

でも仕方ない事なのかもね……信じる事の出来る存在がいないのは辛いし。

傷心状態のシャルルちゃんに聞くのも酷な話だけどコレだけはハッキリさせないとね。

 

「僕に正体がバレたシャルルちゃんはどうなるの?」

「国に帰るだろうね……バレた僕は此処にはいられないし」

「帰って居場所はあるの?」

「……牢屋ならあるだろうけどそれ以外だとないんじゃないかな」

 

完全に諦めた表情。

昔の僕を見てるようで少し気分が悪い。

 

「それでシャルルちゃんは満足できるのかい?納得できるかい?」

「満足だとか納得だとかじゃないよ……もう僕にはどうする事もできない」

「僕が聞きたい答えはソレじゃない……じゃあ聞き方を変えよう、君はどうしたい?」

 

周りの事を気にして自分を封じ込めるのは確かに周りから見れば綺麗かもしれない。

でも僕からしたらそれは駄目だと思う。

何故なら自分を殺した者に本当の幸せは来ないからだ。

 

「僕は……」

「僕は?」

「僕は……静や一夏達と一緒にいたい!僕を友達と呼んでくれた人達と一緒に!」

 

泣きながらの叫び。

下手な言葉を飾らない純粋な叫び。

心の叫び。

それを聞いて僕は、

 

「なら君は此処にいるといい」

 

道を示そうと思えた。

 

「え?で、でも……」

「特記事項第二一」

「え?」

「本学園における生徒はその在学中ありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする」

 

これがある限り少なくともこの三年は介入されないため確実とは言えないけど安全。

つまり、

 

「君が本気で望むのならまだここにいられる……この三年で君は行動を思考できる」

「僕は……いてもいいの?」

 

不安に思うのは当然だと思う。

けど同時に期待もしているんだろう。

“ここにいる事ができる”と。

 

「大丈夫、少なくとも僕は君を否定しない」

「僕は静や一夏達を騙してたのに?」

「騙すと言うよりは騙すしかなかったというやつでしょ?仕方ないしそもそも本当に悪いのは君じゃない、君の父親だ」

 

子供は大人の都合のいい玩具でもなければ道具でもない。

未来を進むために協力するならまだしも未来を閉ざす行動は少なくともするべきじゃないよ。

親失格だよ。

 

「だからいてもいい……いや、言い方を変えるよ。君には此処に居て欲しい…少なくとも僕はそう思ってる」

 

シャルルちゃんの顔が真っ赤になる。

アレー?何でそこで真っ赤になるのカナー?

 

「……そんな事言われたの初めてだよ」

「きっと一夏や鈴、箒ちゃんにセシリアさんも言ってくれるよ」

「うん、そうだね」

 

未だ涙を流し続けてるシャルルちゃんだけど……その涙は悲しさからじゃなく嬉しさからだと思う。

今までそう言ってくれる人がいなかったのは事実なんだろう。

母親は当然そう思ってくれてただろうけどそれを口にする前に亡くなっている。

なら誰かが口にしないといけないんだ。なら……僕でもいいと思うんだ。

 

「一応いつも通りの格好をしてた方がいいとは思うけどね」

「うん、しばらくはそうするよ」

 

しばらくは……ね。

完全にする事が決まったようだね。

よかったよかった。

 

「おーい静~ちょっと伝える事が……」

 

……ここまでKYだとは思わなかったよ一夏君。

突然の一夏の登場。

当然シャルルちゃんは男装していない。

つまり、シャルルちゃんが女の子だと気付く。

 

「さて一夏君……覚悟は出来てる?僕は出来てる」

「そんな馬鹿な!?う、ウソダドンドコドーン!」

「えっと……どんまい?」

「そんな言葉より助けが欲しかったぁああああああああ!!」

「月を見るたび思い出せ」

「ぎゃああああああああああああああああああ!?」

 

一夏への仕置きは大体1時間ほど続きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「返事がないただの屍のようだ」

「人を…勝手に……殺すな」

「おお生き返った」

「死んでねぇ!」

 

ちっ!

 

「舌打ちは勘弁してくれませんかねぇ!?」

「あ、あはは……」

 

苦笑で済ませてるけど本当なら冗談抜きでぼこぼこにしてもいいんだよ?

 

「ううん、嘘をついてた僕が悪いんだから一夏は悪くないよ」

「シャルル……」

 

何を女神を見た!みたいな顔してるのさ。

KYな一夏には妥当なお仕置きだと思うけど?

 

「……」

 

こらそこ、勝手に1人で落ち込まない。

 

「で?一夏は何で来たの?」

「用事がなきゃ来ちゃいけないのか!?」

 

いや、そういう事じゃなくてね?

 

「用事があるから来たんじゃないの?」

「……あ」

 

どうやら用事を思い出したらしい。

これで用事なんてなかった!とか言われたらどうしようかと。

 

「近々タッグトーナメントがあるから静と組もうと思って誘いにきたんだった」

「タッグトーナメント?」

 

一夏が言うには急遽タッグに変更になったそうな。

で、一夏の元に多くの女子が向かっていったから思わず「もうパートナーは決まってる!」といったと。

で、そのパートナーをどうしようと考えた時に真っ先に浮かんだのが僕だったと。

……なんでそこでセシリアさんじゃないんだろうね。

それじゃあセシリアさんが不憫だよ。

 

「いや……セシリアは怪我で出れなかったんだよ」

 

あぁ、確かにあの怪我じゃあ無理だね。

それじゃあ鈴もそうなるのかな?

 

「そうだなぁ……セシリアと組めたら大分楽だっただろうけどなぁ」

 

そういう考えが身を滅ぼすんだよ?

きっと一夏は背中を刺されて死ぬね。

 

「それを静が言うか」

「うん、それはどうかと思う……一夏もそうだけどさ」

 

ん~僕は単純に好意に気付いてないんじゃなくて僕では答えられないと思っているからなんだけどなぁ。

いや、だって僕最悪今年中に死ぬし。

 

「……ねぇ一夏」

「言うな……静はこういう奴なんだ」

 

何で二人揃って駄目だコイツ……早く何とかしないとみたいな顔してるのさ。

それと一夏とパートナー組むのは却下で。

 

「何故に!?」

「いや、単純に一夏と戦いたいからだよ」

「ん?俺と戦いたいならなおさらパートナーの方がいいんじゃないか?」

 

いや、そういう意味じゃないよ?

共闘ではなく競争だね。

もしくは闘争でも可。

 

「つまり一夏と試合をしたい訳だね」

「え?よく模擬戦してるからいいんじゃないのか?」

「いや、一夏は本番で強くなるタイプだから」

 

本番(しあい)ならもっとしっかりと強さを測れるし、一夏の全力と戦えるからね。

 

「……そこまで言われたら断れないな」

「拒否権なんてないけどね」

「俺には人権がないのか……」

 

妙に落ち込む姿が様になってるけど突っ込まないよ。

それと理由はもう一つあります。

 

「何だ?」

「誰がシャルルちゃんを誤魔化すのさ」

「「あ」」

 

二人して気付いてなかったあたりさすがだね。

まぁ気付かないのもある意味無理はないのかな?

 

「だからこそ僕はシャルルちゃんと組みます」

「あぁ~なら仕方ないな」

「ゴメンね?一夏」

「いやいや気にするなよ、俺は気にしない」

 

妙に落ち込んでた人間の言葉じゃないね。

まぁどう言おうと意見を変えるつもりはないよ。

 

「…どうして静はそこまでしてくれるの?こう言うのは何だけど会ってそれほど経ってないよ?」

 

ん~理由かぁ……。

 

「時間は関係ないよ?会っていて、すでに友達ならそれだけで行動する理由にはなるよ」

 

理由はそれだけで十分だよ。

 

「……そ、そうなんだ」

「静は素でこんな事言うんだよな……」

 

だからコイツは……って顔しない。

一夏なんてもっと酷いじゃないか。

 

「とりあえず一夏は誰か別の人を探すといいよ……主に箒ちゃんとか」

「あぁ~箒は相性悪くないか?」

 

まぁ接近戦が二人だもんね。

理想は遠距離と近距離で1人ずつだもん。

まぁ僕とシャルルちゃんなら近距離、中距離、遠距離全部対応できる気がするけどね。

 

「というよりも静が参加出来る事に驚いてるんだけどな」

「いや~気合で何とか」

「静ってそんなキャラだったか!?」

 

違うよ?

 

「……まぁ理由は言えないってやつか」

「ゴメンね」

「いや、気にしないさ……いつか教えてくれるんだろ?」

「約束するよ」

「ならいいさ」

 

とりあえずは色々と作戦とかばれないようにするための行動を考えないと。

 

「一夏はとりあえず口が滑ったって事がないようにしててよ」

「大丈夫だ、問題ない」

「何でだろう一夏のその一言で一気に不安になったよ……」

「何で!?」

 

それは当然何処かのエ○シャ○イ風だったからじゃないかな?

 

「まぁとりあえずは色々あるけど寝ようか……気が付いたらもうこんな時間だ」

「そうだね」

 

色々あったからか時間がもうよい子は寝る時間です。

もう眠たくて思考停止したくて仕方ありません。

というより思考停止していいですか?いいですよね?答えは聞いてない。

 

「あ、静もう限界だな……じゃあ解散で」

「う、うん」

 

さすが一夏……もう限界なのを理解してる辺りさすが。

じゃあおやすみなさい。

 

そう言って僕は自分のベッドに倒れて眠った。

 

 

 

 

 

 

 

少年達は夢を見る。

 

それは大切な人を護れない悪夢。

 

姉を尊敬し護りたいと願う少年は力を得、護ると誓う。

 

家族が消えた(を消した)少年は望まず手に入れてしまった力で護り通すと誓う―――たとえそれで自身の命を散らす事になっても。

 

姉は後悔しながらも進む事を止めず弟や弟のように想っている存在を護ると決めた。

 

姉に振り回される妹は命を散らす少年の姿を理解し共にあると誓った。そのためにも力を欲した。

 

兎に狩られた龍の少女は自身の無力さを嘆き少年のために強くなると決めた。

 

同じく兎に狩られた蒼い涙を持つ少女は尊い信念を持つ少年を支えると誓った。

 

兎の少女は尊敬する存在のために周りを否定し続ける。

 

 

この物語はここで分岐に入る。

 

この物語の主役達の進む道を知るモノはこの時誰も存在しない。

 

結末はどうなるか―――Bad Endもありえよう。

 

しかしてこの物語は読者の期待を裏切り続ける愚者の文でございます。

 

ただHappy endになるという事だけはないと理解していただければ幸いです。

 

さぁ少年は今も歩み続ける。

 

その道のたどり着く先は―――生か死か。

 

はたまた消滅か。

 

分の悪い賭けが今――――始まろうとしている。




佐天様、感想感謝です。

最後の文章は少しの遊び心です。

ですが分岐点なのは確かなんですよね……。

一応現在3パターンのエンディングを考えてます。(内容までは言いませんが

原作も8巻が出たのでどんどん話も進むと思います。

なのでどうにかしてしっかりと終わらせるにはどうすればよいかも考えているため時間がかかります。

更新はなるべく早くする予定ですがあくまで予定ですので遅くなる可能性のほうが高いです。

その場合はすいませんがしばらくお待ちください。

あ、そういえば明日か明後日くらいにもしかしたら精神科に行くかもしれませんので次回は冗談抜きで遅れるかもです。

では!また次回!

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