内容もアレです。
技や武器の名前は元にしている作品があります。
分かる人は分かると思います。
ではどうぞ!
――『森羅万象』変異――
―――『万象滅殺』起動――
でもそんな事はどうでもいい。
目の前で大事な存在が傷付けられてるんだ……そんな小さい事気にしてられない。
一夏に鈴とセシリアさんを保健室に連れて行くよう頼んだ。
だから大丈夫。
でも……ここから一夏が鈴達を運ぶ時に聞こえた一言が何よりも堪えた。
ーー静、ゴメンね?あたし……アイツに勝てなかった。静を馬鹿にされたのに……ーー
意識を失いながらも謝罪をし続けてた。
悔しかった……あそこまで追い詰められるまで助ける事が出来なかった己自身を許せなかった。
ラウラ・ボーデヴィッヒ……僕を追い詰めるだけならいくらでも耐えるつもりだった。
でも君は僕ではなく僕の周りに手を出した。それだけは許せない。
千冬姉さんに止められてたけど……気羅だって使ってやる。
「僕が甘かったから君は鈴達に手を出したのかな?」
「そうだとしたら何だと言うんだ」
「だったら君の事は許さないしそれ以上に……僕自身を許さない」
近接ブレードである独奏曲が変異して禍々しい鎌になっている。
名称は……『万死ヲ刻ム鎌』か。
まぁ今の僕にはお似合いなのかな。
それに他の武器も変異してる。
ビットが『死ヲ呼ビ込ム者』というビット全部が金属で出来た髑髏のような形になっている。
銃が『断罪与エシ銃』という全部が真紅に染まった銃になっている。
どうやら森羅万象は僕の感情によって変異するみたいだね。
冷静に分析できる辺りおかしな話だけれど……冷静に見えるだけで僕は憎しみに囚われそうになってるよ。
「さぁ、先生が来るまで時間がないんだから……さっさと勝負しようか」
「貴様みたいな死に損ないに二度も負けるものか!」
「負けるんだよ……僕みたいな死に損ないに二度も」
鎌を敵に向ける。
禍々しい狂気のようなモノを感じたのか、敵は少し下がる。
「何だ……何だ!その武器は!?」
「見て分かるでしょ?鎌だよ鎌」
「私が聞いているのはその武器の形状ではない!在り方だ!」
…まぁ確かに気になるだろうけど、
「素直に答える程僕はお人好しじゃないよ」
「クッ!?」
鎌をそのまま振り下ろす。
鎌になった事で攻撃方法が限られたけど……その代わりに常に零落百夜と同じ能力が付与されている。
触れるだけでエネルギーが根こそぎ持っていかれるようになっている。
つまりこの攻撃は受け止めるべきではない……回避するべきなんだ。
まぁそんなもの相手は理解できているはずもなく……見事に受け止めた。
「なっ!?何故ここまでエネルギーが……」
「
「何?」
「死を願え、死を望め、死を受け入れよ……敵には死を」
「クッ!!?このままでは……離れろ!」
鎌による連続攻撃。
その全てを回避される。
やはり最初にエネルギーを削ったのを理解させちゃったのがミスだろう。
それを知らなければ受け止め続けただろう。
「死を……死を刻め、死を否定させるな」
「貴様!?」
攻撃を繰り返しているうちに段々思考が1つになりつつある。
――
―――敵には死を、絶望で埋め尽くせ――
そう。このIS
能力は詳しく分からないけれど、デメリットは分かる。
圧倒的な殺人欲求……敵と認識した相手を殺さなければならないという脅迫概念が現れる。
このままじゃあ……拙いかな。
「動けない……AICか」
「そうだ!今回は貴様の指はこちらを向いていない……これで私の勝ちだ」
「君の勝ち?」
「そうだ」
「フ、フフフフフフ、アハハハハハハハハハハハハハ!!面白い冗談を言うね?」
「何を笑っている!」
「いや、笑わずにはいられないよ……だってこの程度の拘束で僕を捕らえたつもりなんだから」
一瞬でAICによる呪縛を
変異した単一能力によってそれは可能だった。
「なっ!?停止結界が破壊されただと!?馬鹿な!?」
「フフフ、アハハハハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
意識が反転する。
目の前の敵を殺せと。
全てを否定しろと。
意識が全て一色に染まると同時に……僕は自我を失った。
◆
静は完全に意識を失った。
しかし完全に意識を失くしても行動は変わらなかった。
ただ目の前の敵を壊すだけ……その行動に一切の疑いを持たない。
ここで少し『万象滅殺』を説明しよう。
『万象滅殺』とは使用者本人が負の感情に囚われた際『森羅万象』が変異すると使用できる能力である。
静自身が気付いている通り、デメリットは圧倒的な殺人欲求。
目の前の敵を殺さなければいけないという脅迫概念が襲うというもの。
普通の人間ならば即廃人となるレベルの欲求である。
何を持ってこんな能力を鎮魂歌に搭載したかは製作者のみが知る。
これほどのデメリットを持っているためか、能力も異常である。
能力は対象を壊すありとあらゆる手段を瞬時にコアネットワークを介して使用する事が出来るというものである。
コアネットワークを介して能力を使う事は森羅万象でも可能である。
しかしこの能力との違いは単純。
『森羅万象』で再現できる能力は100%ではないのに対し、『万象滅殺』によって再現される能力は120%再現されるのである。
この能力の怖い所は対戦相手の能力も使用範囲内である事である。
自分にとって自信のある能力を自分以上に使われるのだ……恐怖以外のなにものでもないだろう。
AICを破壊したのは零落百夜の応用である。
要はAICという能力もエネルギーが関係しているのだが、その能力に使われているエネルギーを零落百夜を全身に纏い無効化したのだ。
「クッ……何故だ!何故私の力が通用しない!」
「ククク……カハ!アハハハハハハハハハ!!」
静は笑い続ける……まるで狂っているかのように。
いや、実際狂っているのだろう。
死という概念を変異した能力によって理解させられているのなら……狂うのも仕方ないのかもしれない。
「お前は……お前は何だ!?」
「クハッ!」
普段無表情である静の狂った笑みはラウラ・ボーデヴィッヒが恐怖するのに十分な要素である。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
鎌を思いっきり振り下ろそうと動く。
その動きにナニカを見た少女はすぐさま回避しようとする。
しかしそれも完全ではない。
完全に飲み込まれた少女は恐怖によって普段通りの動作ができていないのだ。
「静!!」
「織斑一夏!?」
「テメェ!静に何をしやがった!!」
「わ、私は……」
「くそっ!千冬姉の言った通りになりやがった!」
凰 鈴音とセシリア・オルコットを保健室に連れて行った後、一夏はすぐさま戻ってきたのだ。
何故なら嫌な予感がしたからである。
織斑千冬に渡されたモノを使わなければならない……そんな予感が。
「一夏!」
「箒!?」
「何があったんだ!」
そう聞くのも仕方ないだろう。
普段の様子を見ていたら分かるだろうが、静はこのような状態になるほど感情が表に出ない。
そんな静が完全に狂った笑みを浮かべているのだ。
慌てるのは当然だろう。
「どうやら完全に静がキレた!多分……ISも暴走してる」
「何故そうなったんだ!?」
「多分……鈴とセシリアがあそこまでボロボロにされたからだ、静は周りの人間を何よりも優先するからな」
「ならどうすれば」
どうすればよいか……一夏は一応理解しているし行動しようと思えば何とかなるだろう。
事実、千冬によって渡されたモノを使えばこの場は何とかなる。
しかし同時に悩む。
この行動を行えば確かに何とかなる。
静がボロボロになる以外はいたってまともである。
しかし一夏にとって静がボロボロになるのを許容できるほどロクデナシではない。
「箒」
「何だ!?」
「初めに謝っとく……わりぃ」
「何…を……」
箒の意識を刈り取る。
これから先行う行動は静を傷付ける行為。
見せるのは酷だろうと一夏は判断した。
恨まれるだけならばこうはしない。
別に恨まれたくないから意識を刈り取ったのではないのだから。
「さて、じゃあ……千冬姉の頼み通り静を助けますか!」
「アハハハハハハハ!」
未だ狂った笑いを浮かべながらラウラ・ボーデヴィッヒに向かっている静を助けようと一夏は動き出す。
たとえそれが静を傷付ける行為だとしても……静の
◆
静がISと共に暴走し始めて多分数分。
けれどやつの心を折るのには十分すぎる時間だったんだろう。
ボーデヴィッヒの顔はこちらが同情しそうなほど真っ青だ。
今の静は完全に狂気に囚われた状態というやつなんだろう。
千冬姉が説明してくれた通りになっている。
「まぁ仕方ないよな、あんな状態を見せられたら俺だってこうなる」
ただ静の場合は極度の疲労も重なって余計に情緒不安定だったんだと思う。
それに気付けなかった俺にはどうこう言う資格はないんだろうけどさ。
「静!お前にも先に謝っとく!悪い!けどこのままじゃあ間違いなくお前は壊れる……だから!」
俺の手で止める。
じゃないと後悔しそうだからな!
まさか千冬姉に渡されたコレをすぐに使う事になるとはな……まぁなるようになれだ。
「
「どういう意味だそれ」
メメント・モリ?よく分からん。
とりあえずはぶん殴って元に戻す!
「白式!頼むぜ!」
白式を起動させる。
普段なら雪片が出現するんだが……今は違う。
形状を現すならば近接ブレードだが完全な刀。
日本刀の形状だ。
渡された時は何の冗談だと思ったけどあんな真面目な表情されたら受け取るしかないよな。
「静!イテェだろうけど我慢してくれよ!」
「死死死死死死死ィ!」
こわっ!?
いや、ふざけてる場合じゃないのは理解してるしふざけるつもりもないけどこわっ!
普段無表情なのになんでこういう時に限って満面の笑みなんだよ!狂気の笑みだけどな!
「うわっ!?あぶなっ!殺す気……ですよね!?」
攻撃に一切の遠慮がない。
まぁ確実に意識失くしてるし殺す気になってるんだろうなぁ(遠い目
というよりも普段から静の訓練では殺気はあったからなぁ……って!?
「……
静の攻撃を回避しようとした瞬間、静が予備動作なしで攻撃してきた。
「クッ!?」
「
「はやっ!?」
「
バチバチッという音と共に静が一気に加速する。
きっとISを介して見なければ反応すら出来ないほどの速度。
攻撃は全て必殺。
普通ならなんて無理ゲーと言って投げ出すかもしれない。
というよりそうすると思う。
けど相手が静だ……諦めてたまるかという気持ちの方が大きい。
「理不尽は大抵受けてきたけどな……
「
「それゲームの技!?」
しかもそれ弾が薦めてくれた邪神とか出るゲームだよな!?
能力で再現可能ってか!
単一能力で雷の操作が出来るんだろうな!実際物凄い雷がこっちに向かってるし。
「ぐぉっ!?」
今までの特訓以上に理不尽だ……このままじゃあ間違いなくやられる!
手段も何もあったもんじゃねぇけど……行動しなきゃ意味ないよな!
「はぁあああああああああああ!!」
刀の姿をした武器……確か封刀だったっけ?を静に振りかざす。
この刀によってある程度ダメージを与えれば静を元に戻せるそうだ。
斬ッ
まともに入った!
これで……、
「……カハッ!」
「まだ足りないか」
でも大分マシか……早くしないと箒が目を覚ましちゃうからな。
さっさと終わらすぜ!
「シッ!!」
「……否定」
「あ、あぁあああああああああああああ!!」
「否定否定否定否定否定否定否定」
「これ以上否定させてたまるか!」
静の表情が苦痛に歪む。
当然だろうな……いくらISに絶対防御があっても必ず防御しきれるとは限らないんだからな。
だからこそ、
「次の一撃で……終わらせる」
――『零落百夜』発動――
封刀で単一能力が発動する。
これも聞いていた通り。
この刀は使用者の単一能力を上手く反映できるようになっているらしいからな。
今の俺にとってはかなり都合がいい。
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」
「……ッ!?」
静が攻撃の手を一瞬緩めた?
意識が回復しかかってるのか?
でも……これで!
「終わりだ!」
斬ッ!
静に向かって思いっきり振り下ろす。
一撃で半分以上もっていく攻撃なんだ……2発で大丈夫なはず。
――『万象滅殺』に異常発生……――
―――異常が発生したため強制的に終了します――
よし!これで……なっ!?
グシャッ!
静のISが元に戻った瞬間、一気にダメージが来たかのように血を噴出した。
それは一瞬で致命傷間近だと理解できるほどの……出血量だった。
「い…一、夏?」
「静!?」
「ゴメンね?迷惑かけちゃった……ゴホッ!」
すぐさま意識が回復するのは異常だけれどそれを気にはしてられない!
「鈴と…セシリアさん……は…無事?」
「あぁ!静に比べたら軽傷だ!」
「そう……よかった」
静の顔はまるで死人のようだった。
死人のように顔が真っ青だった。
けどここで疑問が浮かぶ。
ーー確かに負担がかかるって聞いたけどここまでとは言ってなかったぞ!?ーー
そう、精々倒れるくらいだと言われたはずだ。
けどこうして静を見るとそれは嘘だったのではないかと思う。
ここまでボロボロになっている静を見たらそれは嘘だと思う。
「あぁ……一、夏?」
「なんだ?」
「少し……眠たいんだ、寝て……いいかな?」
「あぁ、ゆっくり…眠ってくれ」
今度は狂っている笑みではなく純粋な笑みを見せ、静は眠った。
……束さんに聞かないとな。
千冬姉にも聞ける限りを聞こう。
静が何でここまでボロボロになったのか。
でもその前に、
「保健室に連れてかないとな」
「手伝うよ一夏」
「シャルル?あぁ……助かる」
静を2人で支える。
……体が小さいからか、凄く軽い。
見た目も人形のように整ってるからますます人形にしか見えない。
けど、
「こんな見た目でどれだけ背負ってるんだろうな」
「そうだね……僕はまだそんなに過ごしてないけど、一杯背負ってるよね」
だからこそ支えないとな。
「シャルルにも静を頼むのは少しあれだけどさ……」
「ううん……静は僕も大事な友達だから」
この先どうなるかは分からない……けど俺の周りの人くらい護れるようになってみせる。
静のこんな姿を見るとますますそう思える。
そう思いながら、シャルルと一緒に静を保健室に連れて行った。
◆
「なんだ……アレは」
周防 静……織斑 一夏同様教官に泥を塗った男。
あの2人がいなければ教官の2連覇は確実だった。
だからこそあの2人が許せず戦ったはずだが……、
「なんなんだ!アレは!!」
織斑 一夏は問題ない……取るに足らない存在だと理解できた。
しかし周防 静……アイツだけは理解できない。
最初は弱弱しい死に損ないにしか見えなかった。
だが戦ってみれば私は手も足も出なかった。
いや、一応は戦いになっているように周りは見えていたのだろう。
だが実際は……一方的だった。
あの停止結界にはまったのもワザと捕まったようにも見えた。
それが認められず周りのやつに手を出した。
今思えば何故そうしたのかは分からん。
だが……それが大きな間違いであり、あの化物を呼び起こした。
全ての攻撃が効かず、こちら以上の攻撃をあちらから撃ち込まれる。
確かに効率のいい壊し方だろう……心も身体も壊す気ならば。
「くっ……」
織斑 一夏やシャルル・ディノアが来なければどうなっていたか……。
だが!
「認める訳には……認める訳には!」
そのためならば……!
だが今は、
「教官に聞かなければ」
あの存在についてと……何故このような場所に居続けるのかを。
佐天様、感想感謝です。
えぇっと…一応後5話くらいで原作2巻終了予定ですが、予定ですのでどんどん広がるかもです。
後単一能力ですが、変異パターンはまだ残ってます。
それがどのような能力か…考えてみるのも面白いかもです。
では!また次回!!