次話で部屋の移動+2巻の初期部分まで行く予定です。
というより最初はこうなるはずじゃなかったんですよねぇ……今回は少し暗いかもです。
といっても次回から明るくなるのでその前に…というやつです。
2巻に入るとほぼ確実にシリアス主体になりそうなので今の内にある程度慣れとかないとって思ってます。
まぁそれはさておき……今回の話はgdgdです。
いつも以上に……それでもよければどうぞ!
意識を取り戻したら天井が見えた。
とりあえずは、
「ここは知らない天井だ…って言うべきなのかな?」
何故かそう言えって言われた気がする。
まぁいいや。
「目を覚まして第一声がそれか周防」
「織斑先生……」
どうやら先ほどから居たみたい……独り言聞かれてたのか。
「体の調子はどうだ?」
確認しながらも千冬姉さんの顔は優れない。
まぁ後2ヶ月で死にそうって言ってるやつに体調はどうだ?とは言い辛いよね。
「大丈夫です、少なくとも現状一番マシですよ」
「そうか」
まぁ納得できないだろうけどしてもらわないと困る。
だってこの状態になってるのはあくまで僕の責任なんだから。
「気羅を使ったな?」
「……ええ」
「使い続ければどうなるかはお前自身が教えてくれたはずだが?」
「ええ」
「……正直に言え、お前は後どれくらいで死ぬ?嘘は許さん」
ありゃ……どうやら2ヶ月の部分は聞こえてなかったみたいだなぁ。
でもまぁ予想だったし、薬があるからよくて…、
「今年中の命じゃないですかね」
薬がなければ本当に2ヶ月だっただろうけど。
さすが命姉さんだよね。
「……お前が死ねば悲しむやつは沢山いるぞ」
「そうだと嬉しいですね……いや、悲しい事なのかな?」
まぁ結局森羅万象で僕という存在そのモノを消しちゃうから……うん、悲しませずに済むね。
きっと皆幸せになれる……はずだよね。
「お前の意見がどうであれ……アイツ等は決して納得はせん、覚悟しておけ」
「はい」
それはどういう意味での覚悟になる事やら。
「周防、今日はもう休め……明日また報告や警告、色々あるだろうからな」
「はい」
面倒事だよね確実に……まぁ仕方ないか。
ISを外部からじゃなく内部から破壊、しかも武器によるものじゃないとなれば説明も必要か。
まぁいいけどね。
「……後で織斑達も来るだろう、精々怒られておけ」
「……はい」
「静、お前がどう思おうが私達は家族だ……1人で抱え込まず相談しろ」
「うん、努力はするよ……千冬姉さん」
もう言いたい事は全部言ったのか、千冬姉さんは保健室を出た。
まぁ…明日も面倒みたいだからもう寝よう。
そう思ったらすぐさま眠気がきて…僕は眠った。
<鈴 Side>
謎のIS襲撃にあってから数時間。
静が目を覚ましたらしいから様子を見に行こうと思って保健室に向かっていた。
あたしの責任でもあるしあの時は役に立てなかったというのもあるから少し向かい辛いんだけど…行くしかないわよね。
「それにしても静……昔からあんな無茶するやつだったかしら?」
出会った当初なんて本当に人形みたいだったもの……まるで何もかもに絶望しつつも興味関心を全てなくしたかのような…。
でも今はきちんと意思を感じる。
いや、普通なんだろうけど静にとってそれはいい事なのかしら。
それに今までつけてなかった手袋。
食事中だろうと着替え中(勿論一夏が確認した)でも外さないでいた。
きっと何かあるんだろう。それも親しい者にもいえない理由が。
「待つしかないのがもどかしいわね」
でもきっと最後には……頼ってくれるわよね?
「気羅を使ったな?」
「はい」
あれ?ここは……って保健室じゃない。
いつの間に…。
しかもこの声……静と千冬さん?
きらって何よ。
あたしは疑問に思うと同時に動けなかった。
嫌な予感はしてたけど聞かなければいけない気がしたんだ。
でも……その行動に後悔する。
何故なら、
「……正直に言え、お前は後どれくらいで死ぬ?嘘は許さん」
……え?
静が……死ぬ?
「今年中の命じゃないですかね」
今年中に…死ぬ?
誰が?―――静?
何で?どうして!?
きっと冗談よね?いつもみたいに背中に小悪魔の羽が生えてるみたいに意地悪そうな顔をしてるに決まってる。
きっとあたしが問い詰めたら「冗談だよ」って言ってくれるわよね?
そう信じてドアが妙に開いていたから静の顔を見る。
生憎と横顔だったけどその顔を見て確信する。
あぁ、静は今年中に死んじゃうんだ……って。
あたしは無我夢中で走った。
何処に向かって、だとか走ってどうする、なんて事は考えず。
でもそうでもしないとあたし自身が壊れそうだった……心から愛してる人がいなくなるかもしれないなんて耐えられないから。
気が付いたら屋上に来ていた。
きっと風でも浴びたかったんだろうと思考をそらす。
そういえば静はよく思考がずれるとか言ってたっけ。
少し別の事を考えようとしても静の事を考えちゃう辺り重症なのかも。
けどそれは決して苦しい訳でも悲しい訳でもない。
これだけ人を想えるのはとても良い事だと想うしあたしも後悔してない。
けど、
「どうして……どうして静が死んじゃうのよ!」
いつも無表情にしか見えない表情で、笑ったり、怒ったり、悲しんだりするたびに微妙な変化を見せてくれて。
自分は無関心なんだって言いつつ周りを助けて……あたしの時もそう。
あたしが虐められてる時もあたしを助けてくれた。
放置してたら目覚めが悪いって言ってたけどそれ以外に理由があるのだってあたしは理解できた。
理解できたと同時に嬉しかった……転校して不安だったあたしを、孤立してたあたしを救ってくれた事が。
勿論一夏も助けてくれた。それも確かに嬉しかった。
けど、
「静は受け入れてくれるだけじゃなくて……同時にその時駄目だったあたしを否定してくれた」
静は否定しかできない自分を嫌うだろうけどあたしはそうは思わない。
だって人っていうのは時には自身を否定してくれる存在を欲するんだもの。
静が否定してくれたから今のあたしがある。
だからこそあたしは静に惹かれたんだ。
なのに、
「どうして静なの?誰かが代わりになれって言う訳じゃないけど……どうして静が死ななきゃいけないのよ!」
静が何か悪い事でもしたって言うの!?
静が誰かに恨まれる事をしたって言うの!?
静が…静が…一体何をしたって言うのよ……。
「静が悪い事したのならあたしも償う、静が誰かに恨まれてるんならあたしも恨まれる……だから静を持っていかないでよぉ」
涙が止まらない。
愛してる存在がいなくなるなんて耐えられるはずがない。
少なくともあたしは耐え切れない。
そもそも静も静よ……どうして自分が死ぬって分かってるのに…あんな諦めきった表情してるのよ。
普通はもっとするべき表情があるでしょ!悲しむとか!怒るとか!
なんで……もう自分は十分生きた、みたいな表情するのよ。
まだ15でしょ?まだまだしたい事あるでしょ!?
あたし達じゃあ何も出来ないの!?あたし達じゃ……。
「そう思うならそうなんだろうな」
「織斑先生!?」
「今は先生ではなく1人のアイツの姉としてきている」
千冬さんは……、
「千冬さんはどう思ってるんですか」
「何がだ?」
「静のあの表情を見てです」
「あの諦めきった表情……か?」
「はい」
千冬さんにもそう感じ取れたんだろう。
これであたしの思い過ごしじゃなくなった。
それは喜ぶべきじゃない事も同時に理解してた。
「そうだな……本来なら馬鹿げていると一喝しすぐさま修正させるのだろう」
「本来なら?」
「そうだ、やつの過去を私は知っている……やつの家族がどうなったかもだ、だからこそアイツを完全に止められない」
そういえば静……千冬さんと一夏の2人の所でお世話になってるって言ってたけど家族の事は一切聞いた事なかったわ。
聞いても話をそらされるからきっと聞かれたくないんだと思ってたから。
「静の……家族は?」
「全員消えた、死んだのではなく消えたんだ……戸籍にも残ってはいない」
「え?」
戸籍にも…?
「いや、妹だけはかろうじて残っていたんだったか……と言っても常に病院から離れられない上に意識は戻ってないがな」
静の家族がそんな事になってたなんて……でもそれならニュースで取り上げられるんじゃあ。
「言ったはずだ、消えたと……文字通り存在そのモノがなかった事になっている」
「ッ!?」
それって……静の家族が初めからいなかった事になってるって事!?
「周防とは引き取られた時にそうなっただけで旧姓は風条 静……すでにいなくなった存在だ」
<鈴 Side end>
<静 Side>
ふと目が覚めた。
外を見てみるとすでに夕方も終わり頃だと分かる。
周りを見ても特に変化はない……いや、鈴がいた。
「鈴も見舞い?嬉しいけど結構長い間寝ちゃってたみたいで悪いね」
「……いいわよ、静も相当疲れが溜まってたみたいだし」
どこか悲しそうな表情をしながらも鈴は笑う。
何でそんなに悲しそうなのかな?でも僕にはそれを聞く資格はないんだろうな。
だから聞かない。きっと話してくれるだろうし話してくれなかった時はその時だよ。
「で、大丈夫な訳?思いっきり相手の攻撃受けてたけど」
「うん、そっちは全然……明日には普通に動けるってさ」
「ふぅん、まぁ何かあったら言いなさいよ?あたしが出来る事ならしてあげるから」
「そう?じゃあ頼りにするね」
「ええ!勿論よ」
鈴は笑顔で言う。
その笑顔が本当の笑顔かさえ分からない。
だってもう……僕は半分ほど視力がなくなってるから。
「一夏は怒ってたわよ?「何であんな無茶を!」って」
「アハハ、ああするしか方法が思い浮かばなくて」
頭の上に角を2つ指で作って怒っている一夏を再現しようとする鈴に思わず苦笑してしまう。
でもISの単一能力である「森羅万象」は使いすぎない方がいいかもとは思う。
でもあれを使わないといけないと考えてしまう自分もいるからややこしい。
きっと必要なら使うだろう。
だってそうしなければ後悔するのだから。
「一夏と箒とか言う子は「明日説教だから」って言っておけって」
「あぁ~明日を迎えるのが嫌だなぁ」
「甘んじて受けなさい、それだけ大切に想ってるって事なんだから」
「アハハ、それもそうだね」
うん。甘んじて受けよう。
この性格を直すかどうかは……別だけどね。
「それと…それ……と」
「鈴?」
どうしたんだろう……何か拙い事したかな?
「……静」
「何?」
何か決心したような表情をした鈴。
「あたしが静を助けるから……だから生きるのだけは諦めないで、諦めたら怒るわよ」
「鈴?」
「分かった!?」
「う、うん」
鬼気迫る表情っていうのは今の鈴の事を言うんだろうね。
思わず肯定しちゃった。
「よし、それじゃあまた明日、しっかり授業受けなさいよ?」
「うん……じゃあね」
「ま、た、あ、し、た!」
「……また明日」
「ん」
どうやら満足したらしく鈴も部屋に戻っていった。
そういえば…、
「何で鈴の目、赤かったんだろう」
まるで泣き続けたかのように……。
そう疑問に思いながらも結局はまた来た睡魔に身を任せるのだった。
<静 Side end>
<三人称 Side>
静が寝てしまってから少し時間が経過した頃。
ここは学園の地下50メートルにある空間。
レベル4権限を持つ者しか入れない、そんな空間である。
機能停止したIS、静の気羅によって中から破壊されたためにもはやISとも言い辛い状態ではあるが、はすぐさまこの空間に運びこまれ、解析が開始された。
それから2時間、千冬は何度もアリーナでの戦闘映像を繰り返し見ている。
「…………」
室内は薄暗く、ディスプレイの明かりによって照らされた千冬の顔は、酷く冷たいものだった。
「織斑先生?」
千冬が映像を見ているとディスプレイに割り込みでウィンドウが開く、映し出されたのはブック型端末を持った真耶だった。
「どうぞ」
千冬が許可を出し、ドアが開くと、真耶はいつもの様子では予想できないほどきびきびした動作で入室した。
「あのISの解析結果が出ました」
「ああ、どうだった?」
「はい、あれは――無人機です」
世界中で開発の進むISの、そのまだ完成していない技術、遠隔操作(リモート・コントロール)と独立稼動(スタンド・アローン)。そのどちらか、もしくは両方の技術があの謎のISには使用されていた。
その事実は、すぐさま学園関係者全てに箝口令が敷かれるほどである。
「どのような方法で動いていたかは不明です、周防君の最後の攻撃で機能中枢その他が内部から破壊されてました、修復もおそらく無理かと」
「コアはどうだった?」
「……それが、登録されていないコアでした」
「そうか」
やはりな、と続ける。どこか確信染みた発言をする千冬に、怪訝な表情をしてしまうのも無理はないだろう。
「何か心当たりがあるんですか?」
「いや、ない…今はまだ…な」
そう言って千冬はまたディスプレイの映像に視線を戻した。
その時の千冬の顔は教師の顔ではなく、戦士の顔であった。
かつて世界最高位の座にあった、伝説の操縦者。
その現役時代を思わせる鋭い瞳は、ただただ映像を見つめ続けていた。
謎のISの出現、これは同時に物語の進行を意味している。
一人の少年は自身の命と引き換えにでも護りたいものを護るために行動し、本来の主人公は自身の無力さに嘆き、同時に強くなろうと行動する。
この物語において重要な立ち位置の人物全てが進もうとしている。
そしてまた……ヒロインもただ居るだけではなかった。
とある少女は少年の命を救う決心をし、ある少女は無力さに嘆く少年の力になろうと思考した。
この物語が進む先はBad endかはたまたHappy endか。
それを知るものは誰もいない……何故ならこれは語られるべき物語ではないからだ。
佐天様、感想感謝です!
番外編に関してですが、2人の方から意見をいただき、各ヒロインの日常、もしくは本編のヒロインの心境を書く事になりました。
一応番外編はお気に入りが100を越えるか、原作2巻分終わるかどちらかで書く事にします。
本編共々頑張りますのでゆっくりお待ち下さい。
ではでは!また次回お会いしましょう!