さらに短いし番外編ですし……次はなるべく早く更新しますのでご容赦を。
では!これからも宜しくお願いします!!
突然だけれど少し昔話をしようと思う。
これはまだ僕が千冬姉さんや一夏達と出会って間もない話。
僕がまだ全てを否定し続け死を今以上に望んでいた時期。
僕と一夏と……箒ちゃん達との出会いの話。
きっとこの部分も懐かしいと感じる日が来るのだろうけれど、
僕がいなくなった時にはきっとこの部分は消えてしまっているのだろうけれど。
けれど僕がここにいたという証拠を残す。
悪足掻きと言われようとも、無駄な行為だと罵られ様とも。
僕が今、この時を生きていたのは誰にも否定できない事だから。
◆
「いつまでコイツを引き取っておけばいいんだ!」
僕の一日はその一言から始まる。
普通ならば違和感があるだろう。
何故そのような事を言われるのが日常と化しているのか?とかなんて親なんだ!とか。
けれど僕にとってその一言は……いたって普通で異常で平凡だった。
何故なら僕はその時、すでに家族を消してしまった後なのだから。
「お前も何か言え!じゃねぇとまだ預かる羽目になるじゃねぇか!」
「……」
僕にどういう返答を求めているのだろうか。
僕が出て行きたいと言えばいいのだろうか?
それとも悪戯にここにいたいとでも言えばいいのだろうか?
……僕はただ、死にたいだけなのに。
日常風景の中には暴力、俗に言う家庭内暴力がある。
勿論それには理由なんてないし、理由も求めたりしない。
僕は無抵抗で無感動に無感情にそれを受け入れる。
タバコで焼かれようと、灰皿で殴られようと、腕を折られようと、顔面を殴打されようとも、食事を棄てられようとも、蹴り飛ばされようとも、
どんな暴行を受けても僕は受け入れた。
それがどれだけ周りから見たら気味が悪く、拒絶したい存在かも理解しながら。
「くそっ!金目的でこんな餓鬼引き取るんじゃなかったぜ……さっさと死ねよお前」
「……」
きっとこの人もそうなんだろう。
否定したいんだろう、拒絶したいんだろう、楽になりたいんだろう。
それは仕方ない事だし僕もそうしたい。
でも否定はできても拒絶は出来ない。
僕は拒絶した所為で家族を失ったのだから。
……そういえば今日も学校だったかな。
一応応急処置で目立つ部分だけ直して置こう。
動ければ充分だけれど傷が見つかればこの人に迷惑をかける。
「……行って来ます」
未だに怒鳴り散らしている親戚の人を置いて、僕は学校に向かった。
……傷を殆んど直せないまま。
◆
「周防君……大丈夫かい?」
「はい」
学校に着いた途端全員が沈黙した。
ある意味では当然だと思う。
普通の感性ならば傷だらけの子供が教室に入ってきたら戸惑うだろうし。
でも問題はないのだから問題ないと先生に答えなければ。
「問題ないので大丈夫です」
「……何かあれば言うんだよ?」
「ありがとうございます」
もはや典型文といわんばかりの言葉を受け取り自分の席に着く。
あの先生もそうだ。
綺麗事を言うには言うが、結局は
それは仕方ない事でもあるし、結局はそうなるのだと諦めることもできる。
諦めが人を殺すなんて言葉聴いた事あるけど、ならなんで僕は死んでないんだろう。
「や~い男女!なんでリボンなんてしてんだよ」
「……」
どうやら思考している間にもう昼休み所か放課後までいってたようだ。
給食なんてそもそも親戚の人が払ってないのだから食べられるはずもなし、何もすることないからずっと思考してたけれど……あっという間だね。
それより思考している僕の邪魔するなんて鬱陶しいなぁ。
でも虐めっていうのは虐める側にも問題があるけれど虐められる側にも問題があると思うんだよ。
だってそのそれぞれの要素がなければそもそも虐めなんて起きないし。
あぁでもアレか、そもそも人がいなければ何も起きないのだから人がいなくなればいいのか。
「こんなリボンお前には似合わねぇよ!」
「や、やめッ!」
そういえばあの女の子は確かつい最近会った箒ちゃんだっけ?
妙に僕に対して突っかかってくる辺り僕の事嫌いなんだろうけど……どうでもいいや。
虐められる理由がなくても要は運が“悪”かっただけなんだから。
……でも何でだろう、何故か不愉快だなぁ。
何でだろうね?僕自身には何をされても我慢できるし許容できるけれど、
他人が何かされているのをみると実に愉快で不愉快だ。
なら、
「ねぇ」
「んだよ、今お前みたいなやつに構ってる暇ねぇんだよ!」
「「そうだそうだ!」」
苛立ちがさらに酷くなる。
あぁ……こんな気持ち二回目だ。
一回目は勿論家族の消えた日。
「僕の目の前で実に目障りな事をしてくれるじゃないか、一回死んでみる?」
「「「ッ!?」」」
僕が一睨みするだけで相手は顔を真っ青にして逃げ出した。
度胸がないなら何もしなければいいのに。
まぁ自分より弱い存在を作りたがるのが人だし仕方ないか。
「す、周防……助かった」
「箒ちゃん、虐められるのは虐められる理由があるのは理解してる?」
「え?」
呆けてる所悪いけどね?
「虐めって言うのはそもそも自身より弱い立場にするものだよ……つまりあの子達より君の方が弱かったから虐められる」
「ッ……」
力強くスカートの裾を握り締めて耐えている箒ちゃんを見ると、どうやら自覚していたらしい事が理解できる。
「ならどうすればいいかくらい分かるよね?」
「……」(コクン
「なら何でもいいから行動に移すといい……結果っていうものは行動からでしか生まれないのだからね」
「頑張る」
「ん」
こんな事をして何になるんだろうか。
僕の自己満足?馬鹿な、僕はもう無関心でいようと決めたじゃないか。
無関心でいればそれでいい。
そう……今回の事だって結局は不愉快だったから。
そうだ。それ以外に理由なんてない。
理由なんてないんだ。
◆
「ただいま」
あの後、僕は普通に帰宅した。
別に何かに出会ってしまったり、超常現象が起きたりするはずもないのだから当然である。
けれど家の中が物静かすぎてこの時、僕は違和感を覚えた。
「……あれ?」
いつもだったらすでに暴力を振るわれているはずなのにそれがない?
それが気になった僕は家の中に入り、奥に進んだ。
そこにあったものは血塗れのナニか。
内臓はすでにズタズタにされており、見るも無残な姿に成り果てていた。
きっとこの親戚の人は運が“悪”かったのだろう。
きっとそうなのだ。
人はふとした瞬間に死ぬ。
それこそ気がつけば、気が付く事もなく、あっさりと死ぬ。
それが今回この人だっただけだ。
◆
その後はきっと普通の判断で普通の行動だったと思う。
警察に連絡して、事情聴取を受け、親戚を盥回しにされ、なにもできず死ぬ。
盥回しにされる所まで行った僕はきっと最後には死ぬのだと思った。
次は僕の番だと。
けれど世界はやはり非情だった。
「……うちに来るか?」
けれど同時に世界は優しかった。
公園でそのまま死のうとした僕を見つけ、引き取ったのは織斑 千冬。
現在の千冬姉さんだ。
僕はその日を、その後の数年間を決して忘れないだろう。
だって僕の変わる切欠で僕の今の在り方を決める大事な出来事なのだから。
この日記を見ている人の問う。
貴方、もしくは貴女にとって世界は優しい?厳しい?
僕にとっては両方であり両方違うとも言える。
矛盾しているかもしれないけれどそれが当たり前。
矛盾なくして人は、生物は生きていけないのだから。
それでも優しいと答えられるのなら……どうかその気持ちを忘れないでほしい。
きっとそれは素晴らしい事だから。
そんな貴方、貴女だからこそこの日記を最後まで見てほしい。
きっと僕は消えてしまうから。
それは今日かもしれないし明日かもしれないし来年かもしれない。
けれどいつか必ず来てしまうから。
だからこそ、僕という存在がいた事を忘れないで欲しい。
それだけを望んで、僕はこの日記を記す。
最後に。
この日記を見て僕を不幸だと思わないで欲しい。
僕は僕なりに幸せだったのだから……それはたとえ神様だろうと否定させはしない。
大切な存在がいるだけで僕は……幸せでした。
ありがとう。きっと僕は後悔はしても決して悔いの残る生涯は過ごさないで済む。
これも皆のおかげ……もう思い残す事は……な……(ここで日記は途切れている
畏夢様、佐天様、しろねこ様、感想感謝です!
今回は本当に遅くなってすいません!
本編は来週中にでも投稿できたらなと思ってます。
一回全部消えてバックアップも失敗したので何かと時間がかかりますが、何とかしてみせますのでご容赦を。
あ、うちの作品の静は男の娘ですが、それにも理由があります。
といってもやっぱり男の娘が書きたかっただけじゃねぇかといわれればそれまでですが、森羅万象の歴代使用者が原因だったりしますので…それもおいおい書いていきますのでごゆっくりお待ち下さい。
では!また次回お会いしましょう!