全てを否定せし少年の軌跡(半凍結)   作:龍賀

19 / 73
はい、新規で書いたのである程度進みが変わってます。
この調子でいけば多分後3話で原作1巻終了までいけそうです。




第9話 約束と地雷連続踏み

前話のあらすじ。

「一夏が死んだ!」

「この人でなし!」

 

以上。

 

「いやいや!死んでないから!」

 

という冗談はさておき。

まぁ一夏が瀕死なのに変わりはないけど。

 

「あぁ……彗星が見える、いや、あれは彗星じゃないな…彗星はもっとパァッーと光るもんな」

「いや、精神崩壊起こすほどだったのかな?アレ」

「静も受けてみれば分かるさ……あの辛さが」

 

いや、受けたくないんですけどね?

まぁ箒ちゃんもセシリアさんもすっきりした顔してるから大丈夫だろうけどさ。

 

「と、とりあえず着替えよう……このままだと俺が死ぬ、比喩でもなんでもなく心が」

「そう?なら戻ろうか」

 

一夏に肩を貸しながら進む。

まぁ原因の一部は僕でもあるみたいだしね。

 

「早く戻ろう、着替えはさすがに自分でできるよね?」

「ああ、それくらいならできる」

 

よかったよかった。

あ、そういえば鈴が来るんじゃなかったっけ?

 

「そういえばそうだな、鈴が来るんだったら俺いない方がいいんじゃないか?」

「何で?」

「いや……だってなぁ?」

 

だってなぁ?って言われても。

 

「静!一夏!」

「あ、鈴」

 

噂をすればなんとやら…だね。

 

「今日の訓練はどうだったのよ」

「ん?一夏が地雷を踏んで、爆発した」

「なるほど、一夏が悪いのね」

「おぉい!?何でそうなるの!?」

「「共通認識」」

「仲いいな!?」

 

まぁ幼馴染だからね。

 

「そういえば…はい、一夏も静も」

 

そう言いながら鈴からスポーツドリンクが渡された。

 

「おお、助かる」

「ありがと…うん、丁度体温と同じくらいだね」

「そうした方がいいって何度も言われたら自然とそうしちゃうわよ」

「アハハ、そう?」

「そうよ」

 

まぁ一夏が特に言ってたからね。

僕は程々だったと思うんだけどね。

 

「それはそうと、静」

「ん?」

「勝負しましょう」

「えっと……あぁ、約束してたね」

 

確か次再会したら何でもいいから勝負だっけ?

勝ったほうが負けた方に何でも頼める…だったかな。

 

「そうそう、だから勝負」

「ん~」

 

戦ってもいいんだけどね…折角一夏がいるんだし、

 

「一夏を使うのはありかな?」

「それって2対1って事?」

「違うよ?単純に一夏と鈴ってクラス対抗戦で戦うでしょ?その戦いの勝ち負けで戦おうって事」

 

そうすれば一夏は強くなれるし僕もトレーニングに力を入れれるし。

 

「ん~一夏はいいの?」

「俺?いや、静がそう言うって事は俺にとって経験になるからこそだと思うからな、賛成はしておく」

 

よく理解してくれてて何より。

まぁそれ以外にもあるんだけどね。

 

「じゃあそれでいいわ、楽しみにしておく事ね!油断してると秒殺しちゃうわよ?」

「望むところだ、俺だっていつまでも弱いままじゃないからな」

 

うん、いい事言うね。

これでこそトレーニングし甲斐があるというものだよ。

 

「じゃあね、静!また明日~」

「うん」

「あぁ、静……まだいたか、先に風呂に入るか?」

「え?ううん、箒ちゃんが先に入ってていいよ?」

「そうか」

 

何でまた急に……そしてなんで一夏は顔が真っ青なんだろ。

 

「待って」

「ん?」

「どういう事か説明……してくれるわよね?」

「う、うん」

 

とりあえず箒ちゃんと同室だという説明をする。

 

「へぇ?でも静は嫌じゃないの?」

「ん~全く知らない人だったら嫌だったけど箒ちゃんは幼馴染だし……嫌じゃないかな?」

「し、静……」

「ふぅん……幼馴染だったら良い訳ね?」

「ふぇ?」

 

きゅ、急にどうしたんだろ?

 

「静!覚えておきなさい!幼馴染は2人いるって事を!」

 

そう言いながら鈴は出て行った。

なんだったんだろ……箒ちゃんは妙に勝ち誇った顔してるけど。

 

「気にする事はない……負け犬の遠吠えだ」

「ん?箒ちゃん?」

「コホン…気にするな」

 

どういう事なんだろうね?

とりあえず僕達はそれぞれの部屋に戻った。

と言っても箒ちゃんに先に向かってもらってるから僕は最後だけどね。

 

 

 

 

「何故私がここを代わらなければならない!」

 

戻ろうとしてた僕の耳に箒ちゃんの叫び声が聞こえた。

どうしたんだろ?

 

「篠ノ之さんは男の人……まぁ男に見え辛いけど、といるのはストレスを感じるだろうから代わった方がいいんじゃないかなぁって…あたしはその点大丈夫だから」

「ふざけるな!私は現状に不満など一切ない!寧ろ貴様と代わったら不満だらけになる!」

 

うわー何この状態。

誰が原因?また一夏?

というよりさりげなく鈴、僕の事馬鹿にしてる気がする……少しだけ気にしてる事をハッキリ言うんだもん。

 

「あたしは中国からここに来たの、いくら昔住んでた国だからって不安を感じない訳じゃないの、だから静と同室になりたいって思っても可笑しくはないでしょ?」

 

不安なんだ。

 

「それならば一夏でもいいではないか!現状あいつは1人だ、入るのに困らんだろ」

「ん~あたしは静の方がいいのよ、だって静の方が落ち着くんだもん」

「なっ!?そ、それはつまり……」

「勿論よ」

 

何で箒ちゃんは悔しそうなのかな?

しかも微妙にライバルが増えた……みたいな顔になってるのはなんで?

 

「だが勝手に部屋を変えるのは千冬さんに怒られるぞ!?」

「うっ……大丈夫よ、それは静がOKだせば万事解決するわ、あの人静に妙に甘いから」

 

甘かった覚えがまったくないんだけど?

あれで甘かったんだ……いや、一夏に比べたら相当だろうけどさ。

 

「で?静は良い訳?静の一言で解決するんだけど」

「ん?あぁ、箒ちゃんがいいならそれでいいんだけど」

「私はここでいい!静と同室でストレスなんぞ感じないからな!」

 

それは喜ぶべきなんだろうか。

 

「……ふぅん?ならいいわ、そういえば静、約束覚えてる?」

「どの?」

「ほら、あのあたしがいなくなる前にした勝負以外にもう1つあったでしょ?」

「あぁ」

 

あれね。

 

「そうそう、覚えてる?」

「確か……「あたしの料理の腕が上達したら毎日酢豚を食べてくれる?」だったっけ?」

「あ、あたしの声で……いや、正解だけど」

 

人をからかう上で重要だよ?声帯模写。

でもよかった……約束覚えてて。

 

「静、羨ましいなぁ」

「何で?」

「だって毎日の食費が浮くんだぜ?いい事だと思うぞ」

 

一夏は何を言ってるんだろうね?

普通こういうのって遠まわしな告白とかだと思うんだけど。

私の味噌汁を毎日~とか言う感じのやつ。

というより一夏…いつのまに。

 

「さっきだ」

「一夏はいい!静……返事は?」

 

あ、一夏が落ち込んだ。

まぁ仕方ないよね軽くKYな行動だし。

にしても返事かぁ……どうしよ。

普通なら受け入れるんだろうけど僕こんな体だしなぁ。

 

「……」

「まだ悩み中……って事ね、いいわあたしが振り向かせればいいだけだからね!」

「鈴……」

「それに振られた訳じゃないからね、チャンスはまだまだあるんだから頑張るわよ!」

「ゴメンね、すぐに返事できなくて」

「いいのよ、静にも静の事情があるんでしょ?なら待つわよ」

「ありがとう」

 

本当に良い子だよ鈴は。

何で僕みたいな死にぞこないを好んじゃったのかなぁ。

 

「そういえば静って手袋してたっけ?あたしがいる時はしてなかったと思うんだけど」

「そういえばそうだな……確か鈴がいなくなってすぐだっけか」

 

そうだね……隠し切れなくなったから手袋で隠し始めたのはそれくらいだね。

 

「少し……ね」

「そう?まぁ言いたくないならいいわよ、言ってくれるまで待つわ」

「うん、ありがと」

「そうだな」

 

本当に優しいね、皆。

僕には勿体無いくらいだ。

 

「おっと…そういえば静は風呂まだだったな、入ってこいよ」

「うん……そうするね」

 

そういいつつ僕はお風呂に向かう。

といってもまぁ……身構える必要ないから気は楽なんだけどね。

……手袋疑問に思われちゃったかぁ、まぁ仕方ないか。

でも皆の前で外す訳にはいかないんだよね。

だって…、

 

「こんだけ血塗れだったらねぇ?」

 

しかもこびり付いてるから取れないんだよね。

だから誤魔化すためにも手袋つけなきゃいけなくなったんだよね。

 

「ケフッ…コホッ…駄目だなぁ…やっぱ薬だけじゃ誤魔化しにくいなぁ」

 

もう本当は2ヶ月も持たないのかもしれない。

気羅は命を削る訳じゃない…命を垂れ流してるんだ。

それこそ使わなければいい訳じゃない。

紅茶の入ったカップが割れたら中身が零れるしかないように…命もまた零れ続ける。

一度零れた命は拾う事は出来ない。零れたら零れっぱなし。

 

最終的には、

 

「五感全てを失い干からびて死ぬ……ハハハ、やっぱこれは変わらないよね、書に載ってた通りだ」

 

だからこその禁術。

忌むべき術なんだ。

 

「でも…止まれない、止まれないんだ」

 

千冬姉さんにも言われた。

自身を大事にしろと。

どうして死に急ぐのかと…。

でもね、

 

「別に死にたい訳じゃないんだ……死にたい訳じゃないんだよ」

 

僕はただ…護り抜きたいだけなんだ。

親戚からは死神と言われ続け忌むべき存在として隔離されてた僕を救ってくれた存在を。

 

「そのためなら…僕は…」

 

この命全てを使い果たしてでも障害は排除する。

 

僕の呟きはシャワーの音で全て消えていった。




はい、次は微妙にクラス対抗戦まで行こうかと思ってます。
といってもすでに半分は書き終えてますのでここからそこまでとなると5000で収まるかなぁ……と少し不安です。

予定としては今週中に原作1巻を終わらせ、2巻の転校生が来るとこまで進みたいと思ってます。
最初から新規で書きなおしておけば今頃3巻まで行ってたんだろうなぁ…(遠い目

それはさておき。
お気に入りが100を超えた場合、番外編を書こうかと思ってるんですが、希望はありますかね?
一応自分で考えた結果、箒ちゃんのヤンデレverとかifの話とかになると思いますが皆様がもし「これがいい!」というのがありましたら感想にて。
もし選ばれなくても息抜きの際の番外編としてやるかもしれないのでジャンジャン言ってくださいな。

では!次の話ももしかしたら今日中に投稿するかもです!
遅くても明日には投稿しますので!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。