2015/7/26 改稿
始めの合図が響くと同時に相手、川神百代がいきなり突っ込んできた。普段からヒュームの速度を見ているからそこまで速く感じないけど、年齢考えればとんでもないな速さだ。
「はっ!」
「おっと」
顔面を狙ってきた拳を最小限の動きでかわし、後ろへ跳んで距離をとった。今の一撃で決めるつもりだったのか、かわされたことに驚いた顔をしたが、すぐさま獰猛な笑みを浮かべて此方への突進から拳の連撃を放ってきた。
「はあああああああああ!!」
「よっ、ほっ、おっと!」
普段からさらに速い攻撃を受けているからこの程度の攻撃、避けられないわけがない。すべての拳を見切り、食義の修行によって培った無駄のない動きでかわしていく。
いやぁ、正直なめてたわ。この子マジで強いな。まだ小2なのにこの強さとか。
確か…川神百代、とか言ったっけ?
ん?川神?ってことはこの子は武神の孫かなんかか…。なるほど、武神の家系に川神院という最高の設備、それに本人の才能。そりゃ強いわ…
頭の中で目の前の少女の考察をしながらも、俺は拳の連撃を避けつづけていた。
「ふっ!考え、事とは!余裕だなっ!」
「まあな、当たる気がしねぇし、まあ余裕だ」
「避けるだけじゃ!勝てないがなっ!」
「…それもそうだ」
そろそろ動くか
SIDE川神鉄心
「……」
儂はいま信じられんものを見とる。モモの拳は師範代クラスになればクリーンヒットすることなく捌くことは可能じゃろうが、掠らずに避け続けることなど儂でも厳しい。
「…オイオイ、執事さんよ。一体あの小僧は何者なんだ?あそこまで百代の拳を避け続けられるのは異常だぜ?」
「そうだネ。あそこまで繊細で柔らかな動き、一朝一夕で身に付くものじゃないヨ」
「あれもオヌシの教えか?」
やはり師範代達も驚いておるのう。無理もあるまい。
「いや、奴のあの動きに関しては俺はほとんど教えていない。俺が見つけた時にはすでにあれに近い動きをしていた」
「なんじゃと!?」
ということはあの少年は一人であの動きに辿り着いたというのか!?天才なんて言葉じゃ説明できんぞ…
「この程度で驚いていたら後が持たんぞ」
「まだ何かあるのかの?」
「今のところあいつはただ躱しているだけだ。あいつの攻撃方法もなかなか面白い」
ヒュームがここまで言うとは…。とんでもないのが現れたのう
SIDE OUT
「ほいっと!」
相手の攻撃をかわし続けるのにもいい加減飽きたので、ごく僅かな攻撃の切れ目を見計らって後ろに跳び、距離をとろうとした、が
「逃がすか!川神流 致死蛍!」
「うおっ!?」
俺の着地地点に向かって川神百代が高密度の気の塊を放ってきた。気ってそんなこともできんの!?
間一髪空中へジャンプすることでかわせたが、そんな俺を彼女は獲物を見るような目で見つめていた。
「空中なら避けられないだろ!川神流 星殺し!」
今度はドラゴ○ボールもかくやという極太光線が飛んできた。相手を空中に上げて動けないところに必殺技を叩き込む。狙いはいい、でもっ!
「とうっ!」
「なっ、なんだとっ!?」
俺は空中で体を高速で縦回転させ、その反動で光線の直撃を防ぐ。髪の毛の先っぽが掠っちまったけどたいした問題じゃない!そのまま着地した俺は大技を放ち隙だらけの川神百代に高速で近づく。
「ぐっ、川神流 無双正拳づ…」
「インパクトノッキング」
川上百代は急いで体勢を立て直して拳を構える。何か技を放とうとしているんだろうけど、こっちのほうが速い!
「ミディアム!」
ピキィィィィィン!
俺の拳が相手よりも速く入った。この技は拳を叩き込んだ時の威力はもちろんだけど、
「か、身体がっ…!」
「お前は少しの間動けねぇよ。ま、特に後遺症とかはないから安心しろ」
そう、相手の筋肉を硬直させて身動きをとれなくさせる効果もある。俺は体を動かそうと頑張っている川上百代の首筋に静かに手刀を当てる。
「勝者!石川龍二!」
審判から俺の勝利の宣言がされた。
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「勝ったぞヒューム!これで約束の…」
俺は勝利したのでヒュームに約束を履行させようとしたところ、ヒュームがいつもの恐ろしい笑みで、苦虫を噛みつぶしたような顔の川神鉄心と話をしていた。
「俺の勝ちだな」
「ぬうう、もっていけい!」
そういってヒュームが受け取ったのはなんだか高そうなお酒だった。って
「おいヒューム!人の戦いを勝手に賭けにしてたのか!?」
「ん?ああよくやった小僧。今回は褒めてやろう」
「なにが褒めてやろうだ!くそっ!だからあんな約束をしてきたのか」
「お前にはやる気を出してもらわなければならなかったからな。ちゃんと貴様との約束は守ってやるから今から料理の練習をしておくんだな」
「な、ぐ、わかってるよちくしょーーーーー!!!」
わかってたよ、ヒュームがそんな奴だって!でも少しくらい期待したっていいじゃねえかーーー!
俺は全速力で走り出した。なんか端のほうから「秘蔵の一本が…」とか聞こえた気がするけど気にしない!
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SIDE 川神百代
体が動かなくなっていた私はそのままの体勢で医務室へ運ばれていった。少しの間は体が固まったまま全く動かず治療僧たちも困っていたが、20分くらいしたら自然に動けるようになった。
ダダダダダダダダダ!ガラ!
「ジジイ!あいつは!?」
体が動くようになったらすぐさま医務室から飛び出し、あの男を探したが見つからない。だから知っていそうなジジイのところに駆け込んだんだが、
「…んん、モモかい?」
「あ、ああ、そうだけど、だ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃよ…」
なんだかいつものようにエロいこと考えてそうなにやけ面がいっぺんに老け込んでしまっていた。
「そ、そうか。…っ!あいつだ!あの石川龍二とかいうやつはどこ行った!?」
「あ~彼なら帰ったぞい」
「な!あいつはどこに住んでるんだ!」
初めてだった、あそこまで一方的にやられたのは。自分の攻撃はすべてかわされ、一撃で体の自由が奪われた。しかもそれをやったのが年下の男。ふふふ、絶対に逃がさないぞ!
ジジイから詳しい情報を聞き出した。どうやら同じ小学校にいるらしいな、必ず見つけてやる!
「うおっ!?なんかすげえ寒気が…」
戦闘描写って難しいですね~
薄っぺらくなってないか心配です。