なのでぱっぱと進みます。ぶっちゃけ原作通りですし…
まあそれでもちゃんと描写はしますよ、多分…
とりあえずどうぞー
「座席はだいたい100ぐらいになりますかね」
「はい。正確には120席を予定しています。予備も含めたテーブルとイスの確保は済んでいますので問題ありません。開店前日にこちらに運び込まれる予定です」
「食器なんかはどうするんで?」
「調達済みです。納品は明後日になりますね。私の代理が受け取る手はずになっています。あ、それは向こうに動かしてください」
波乱の金曜集会の翌日、そしてゴールデンウイーク初日。俺は朝から金柳街で屋台の準備を町内会長さんと一緒に進めていた。現場での指示もあるため今日の俺は作業服姿だ。
「商店街の皆さんはどうですか?」
「気合い入ってますよ。最近は駅に隣接してるデパートに客を持ってかれてましたからねぇ。客足を戻すために皆一丸となってますよ」
「それは良かったです。出店していただく店舗の準備は進んでいますか?」
「ええ、酒屋がもう少し準備がいるみたいですが開店日までには間に合わせると。そちらさんの食材の準備なんかは?」
「伝を頼って幾つかの農家と契約済みです。後は私が自分で調達してきた食材を日替わりで使用するつもりです」
「いやはや、若いのにすごいねぇ」
「恐縮です」
英雄から任されたこの仕事、失敗するわけにはいかない。俺は計画書に改めて目を通しながら現場で指示を出していく。
そうこうしているうちに作業も8割がた終わり、時間は昼時になっていた。作業している皆さんに賄い飯を配り昼食の時間。先に食べ終わった俺はお茶を片手に一息つきながら昨日のことを思い出していた。
結局昨日の集会はあの後乱入してきたキャップがまとめた。
『ふーん、なるほどねぇ。ってか話全部解決してんじゃん』
『まあ一回ぐらいこういうのは仕方ないわな』
『よし!ちょっと気まずい思いをした関係を修復するために連休旅行に行こうぜ!』
『じゃーん!二泊三日箱根旅行団体様招待券!商店街の福引で当ててきたぜ!』
『明後日から三日間。皆ちゃんと準備しろよー』
…本当にキャップは急だよなぁ。川神にいるもんだと思って予定があったのに
「(まあその分今日頑張ろう…)」
昼休憩の時間も終わり、午後の作業開始の合図が飛ぶ。今日中にすべての資材が搬入できる状態にまで持っていかなきゃな。午後はさらにやる気を出して作業を進めた。
そうして残り少しだった作業を一気に終わらせ今日は解散。ゴールデンウィーク前に開店できないのは客獲得の面では少しもったいないけど、設備の調整の関係じゃ仕方ないか。もともと急な話だし。
現場での作業が終わった後は広告関係の打ち合わせ。事前広告は大事だからな。客が来なけりゃ飲食店は生き残れない。そのためには料理がおいしいのはもちろんのこと広告にも力を入れなきゃならない。だから俺の遠月元第一席という肩書を使う。
日本国内ではかなりの知名度だからな、遠月ってのは。その第一席なんてかなりのアドバンテージだ。まぁ一月ぐらいしかその席に座ってなかったけどな。それでもネットで調べたら俺のことかなり書いてあったわ。これなら広告には十分だろ。…まぁ書いてあった内容はちょっとアレだけど。
『覇王』
『暴れ龍』
『千の手』
『つかあいつの動き人間じゃねーんだけどマジで』
喧しいわ!!
…ま、まぁそう言った風評は今後は気にしないようにしよう。じゃないと胃が保たない。
その後は家に帰り夜までホームページの作成。連休中にやるべき仕事は大体終わらせたので今日の作業は終了。かなりのハイスピードでやったから流石に疲れたぜ。
窓の外を見ると真っ暗だった。居間にいた両親にひと声かけてから風呂に入り一日の疲れを癒す。風呂から上がり適当にお茶を飲みながらふと時計を見ると既に日付が変わりそうな時間になっていた。俺はあわてて明日の準備をしてすぐさま布団に入った。明日はみんなの分の弁当を作らなきゃいけないからな。肉体的にはともかく精神的に疲れていたのか、俺はすぐに意識を落とした
「Zzz…さぁ冒険だぜ…Zzz」
「あれだけはしゃいどいて電車で寝る?フツー」
翌日。俺たちは特急踊り漢に乗りながら箱根に向かっていた。電車の中では一番はしゃぎそう、というか乗る前に一番はしゃいでいたキャップがいきなり爆睡。あんだけ移動中の電車の楽しみ方とか言ってたのに…
「ねえねえ、なんでキャップこんなに爆睡してるの?」
「いや、なんか昨日の晩に待ちきれなくて箱根に行ってきたらしくて…」
「はぁ?じゃあ箱根で待ってりゃよかったじゃねーか!」
「なんというかキャップらしいよね」
「しょーもない」
さて。こういう電車は普通4人座席が基本だ。そして俺たちは10人。2人あぶれてしまう。しかし俺たちは8席しか使っていない。何故だと思う?
一つはモモが電車が発車してすぐに女子大生グループをナンパしに行ったから。とりあえず箱根に着いてから回収しよう。
もう一つは
「…京、頼むから降りてくれ」
「そしたら誰かがあぶれちゃうから」
「いや、だからって俺の上に座る必要はないだろ…」
京が俺の膝の上に座っているからだ。いや、頼むから降りてくれ。周りの目が痛い痛い。つかお前らもなんとか言ってくれよ
「いつものことだし」
「京はお兄様のことが大好きだからねー」
「もう何も言わねえよ」
「兄さん諦めて」
こいつら…
「龍二、そろそろ腹が減った。弁当持参だろ」
「わーい!お兄様のお弁当!」
「まゆっち、紙皿持ってきたよな?」
「はい。ちゃんとありますよ」
こいつらいい度胸してんなほんと。まぁいいや。
俺は持ってきた保冷バックの中から作ってきた弁当を取り出した。
「おお!サンドイッチね」
「相変わらずうまそうだよな」
「なるほど。話には聞いていたがこれはおいしそうだ」
「ふわぁー、美味しそうです」
今日は電車の中で皆で食べるものということでサンドイッチを作ってきた。
「食パンが四角じゃないところがまた美味そうだよな」
「当たり前だろ。自分で焼いたんだから」
『え?』
「いや、何驚いてるんだよ」
せっかくの機会に市販のものを使うわけないだろうに。今回は焼くときに蓋を被せずにに焼くからパンの上部が膨らんでいるいわゆる山型の食パンを使用した。ちなみによく市販されている角型の食パンはキメが細かくトーストすると日本人好みのもちもちとした食感になり、山型の食パンはふんわりとした食感になりトーストするとカリッとするんだ。
「え?いや、これ兄さんが焼いたパンなの!?」
「別にそんなに驚くことじゃないだろ。パン屋だって毎朝焼いてるじゃないか」
「いや、それはそうだが…」
「ってことはもしかしてこの挟まれてる具材も…」
「ああ、全部自作だぞ。ちなみに具材は卵、BLT、ハムレタス、ツナマヨ、とんかつ、照り焼きチキン、コールスロー、フルーツだ。BLTのパンはちゃんとトーストしてあるし、ツナとかベーコンも俺お手製のもの使ったから皆味わって食べてくれ」
さすがにベーコンとツナは前に作ったものだけどそれ以外は今朝作ったものだ。彩や栄養バランスなんかも考えて作ったからうまいぞ
「美味っ!こんなうまいサンドイッチ食べたことねーよ」
「ガツガツ!ウマウマ!」
「こらワン子、ゆっくり食べなさい」
「とんかつが脂っこくないのにパサついていない。衣に染みているソースとの相性も抜群で素晴らしい」
「照り焼きも絶品だよ。甘いタレが絡まった鶏肉がすごいジューシー」
「BLTのベーコンもすごいカリカリなのに旨みがすごい。一緒に挟んであるトマトの酸味とレタスのシャキシャキ感と一緒になってもう最高だよ」
「龍二本当に美味しい結婚して」
「早口で褒め言葉と一緒に言ってもダメだからな」
「いけず」
あ、なくなる前に
俺はサンドイッチをいくつか容器から取り出して別に分けておいた。
「あれ?兄さんそれは?」
「ああ、モモとキャップの分。自業自得とは言えなかったらなかったでうるさそうだからな」
皆俺の言葉に苦笑していた。簡単に文句を言う二人が想像できるからな
「んで大和。箱根に着いてからはどうするんだ?」
「打ち合わせ通り。1日目テキトー。2日目は大自然で釣りとか。3日目は名所観光」
「ちゃんと決めてもその通り動く皆じゃないし」
「集団行動の和を乱すのはいけないよね」
「お前がそれを言うのか」
京の言葉にツッコミを入れつつ会話は進み、同時に電車も進んでいく。そんな騒がしい電車はしばらくしてから箱根湯本に到着した。
箱根湯本からはバスで山の上の旅館に向かう手はずになっている。が
「あたしは走って旅館まで行きまーす!」
「山道を車で30分くらいだから結構あるよ?」
「今日のノルマは昼までに十分こなしたろ私たちは」
「まだまだ!駆けて駆けて駆けまくるのよ!というわけでクリ!どっちが先に旅館に着けるか勝負よっ!!」
「面白い。受けてたとう」
元気が有り余っているワン子はクリスも誘って旅館まで走って行くみたいだ。元気だなぁ。つか俺もヒュームと一緒だったら間違いなく走らされたんだよな…。あいつが海外行っててよかったぁ
「頑張れ、荷物は任せろ。バスの奴乗り込めー」
「うぇーい」
「あなたたちクールっすね」
「二人とも、道に迷ったら連絡しろよ」
「ええと…ええと…」
「迷ってるくらいならバスにしろ。カモンベイビー」
そうして黛をモモがバスに連れ込むと同時にバスのドアが閉まり旅館に向けて発車した。窓から見てみるとクリスとワン子も走り出していた。ま、せっかくの旅行だから怪我とかには気を付けてほしいもんだ。
そんな二人がバスから見えなくなり、しばらく。バスの中でモモにさっきのサンドイッチを渡すと大喜びでキャップの分まで全部食べてしまった。今は寝てるけどキャップが起きた時に文句を言って来たら全部モモに流そう。
山を登っているバスからの景色を堪能しているうちにバスは旅館に到着した。この旅館は九鬼財閥傘下の旅館で実は昔ヒュームの修行の一環として来たことがある。なのでここの従業員の人達とは顔見知りだ。
「Zzz…株が1円…買い占めろ…Zzz」
「キャップはいつまで寝てるんだ…」
「代理で私が仕切る!風呂は24時間入り放題!夕飯までには時間があるから好きに行動しろ!」
年長者のモモが号令をかけ、俺たちはそれぞれが好きに動き始めた。とりあえず荷物を部屋に置き、俺は女将さんや料理長にあいさつ回りをしてきた。短期間とはいえ世話になった方々に挨拶をするのは当然のこと。ありがたいことに向こうも俺のことを覚えていてくれた。まぁそのおかげ、というか何故か夕食の前に料理長と料理勝負をすることになったけど…
あいさつ回りが終わった後はあたりの散策をするために外に出た。旅館の近くを流れている川に沿って歩き、そのまま散歩コースになっていた森の中へと入っていく。俺が良くいく森とは違い人の手が入っているけど、それでも十分自然というものを感じ取れる。たまには日常から離れてこういうのも悪くないな。
その後は部屋に戻り、約束の時間になったから厨房で料理長との勝負。まあその様子は省くけど、これからの屋台出店に幸先がいい、とだけ言っておく。
余談だけど、俺が作った料理はファミリーの夕食に追加されていた。というかこれから旅館のメニューにも加えるとか。
ガクトが京の激辛ソースが入った料理を食べて悶絶しているのを横目に俺は喜びを噛みしめていた。
改稿前だと旅行行って、川神大戦やって、S突入って感じだったので今回もそんな感じで行きたいと思います。