俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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ほぼほぼ原作通りです。

正直とっととクローン組や燕を出したい…

では、どうぞー


食事と加入

英雄への報告の後、俺は家に帰ってきてから明日の町内会での説明のための資料を作り始めた。最初にしっかりとした印象を与えてこれからの関係を良いものにしないといけないからな、気合を入れて作ろう

 

九鬼製の新型ノートパソコンに文字を打ち込み始めて早数時間。気付いたらもう日が落ちようとしていた。一度休憩を入れようと思い、キッチンの冷蔵庫から麦茶を取り出し飲んでいると突然携帯が鳴った。画面に映った名前を見てみると京からだった。

 

というかいつの間にか俺の携帯の京の登録名が『愛しの妻・京』になってんだけど…

 

 

「もしもし」

 

『こんばんは龍二』

 

「こんばんは京。いつの間に俺の携帯弄ったんだ?」

 

『本当のことになるからです大丈夫』

 

 

大丈夫じゃねーよ

 

 

「ったく、今度からはやめてくれよ」

 

『はーい』

 

「んで?なんか用か?」

 

『うん。島津寮の一年生が昨日の肉のお礼にって晩御飯作ってくれるんだって、食べに来ない?』

 

「いや、俺昨日行ってないんだけど…」

 

『お友達もどうぞ、って言ってるから。モロとガクトも呼んでるよ』

 

「んー、そうだなぁ…。じゃあお邪魔させてもらおうかな」

 

『わかった、待ってる。あ、ハンコ持ってきて。婚姻届にはんk…』

 

 

俺は何も聞かずに電話を切った。よし、休憩がてらお邪魔させてもらうかね

 

手ぶらで行くのもあれだから、途中で飲み物をお土産として買った。そういや島津寮に行くのは初めてだな、場所は知ってるけど。

 

家からしばらく歩き、日が完全に落ちきった頃に島津寮についた。どうやら俺が一番最後のようで中から騒がしい声が聞こえてくる。

 

 

「こんばんはー」

 

「あ、兄さんいらっしゃい」

 

「遅かったか?」

 

「もう少しかかるみたいだから大丈夫だってさ」

 

「そか。ほれ、飲み物買ってきたぞ」

 

「助かるよ、人数多くて飲み物が足りなかったんだ」

 

 

大和に案内してもらって台所へ。そこではみんな揃っており、調理場では初めて見る子が調理をしていた。

 

 

「…あの子手馴れてるな。調理部にでも入ってるのか?」

 

「わからん。龍二から見てどうよあの子」

 

「いい腕だ。ぱっと見でも遠月で2年に進級できるレベルだな」

 

「それってすごいの?」

 

「1年の夏前に生徒数が半分になることすらある学校だぞ?そこらのお店じゃ即戦力だ」

 

「おお!期待できるわね!」

 

 

ワン子が期待に目を輝かせてるのを横に俺たちは席に座って歓談しながら料理を待つことにした。しばらくすると華やかな料理がテーブルいっぱいに並んだ。

 

 

「うおー、うまそう!」

 

「なんか料亭の料理みたいだね」

 

「お、お口に合えば宜しいのですが…」

 

「そんじゃあ早速…」

 

『いただきます!』

 

 

みんな思い思いにテーブル上の料理に箸を伸ばしていく。刺身の切り口も見事なもんだな。刃物の扱いに慣れてる証拠だ

 

 

「ん〜、美味いなぁこの鯛の刺身」

 

「花造りか、なかなか難しいのに見事なもんだな」

 

「春菜の粕漬けがいい味を出している。そして蕗のとうの湯葉包み揚げもカラッとして…」

 

「食べ物の趣味渋いなー、クリス」

 

 

日本人でも好みが分かれるものだぞ

 

 

「豪華だね。材料費高かったんじゃない?」

 

「いえいえいえ!これ父上が送ってくれたんです。北陸で育ちまして、海産物や農産物が豊富です」

 

「なるほど、北陸かぁ。魚美味しいもんね」

 

 

テーブル一杯の料理が出あっという間に無くなっていく。これは確かに美味いな

 

 

「まぐまぐ…。栄養バランスもいいよー、ベリグー!ところで北陸って青森?ホタテ?」

 

「私は石川県です。」

 

「あちゃー、隣の県だったか」

 

「おしかったね」

 

「いや、ちゃんと教えてあげろよ…」

 

 

京サドだなぁ

 

 

「石川県だけにサドってか。俺様今日も知的だぜ」

 

「あ、あの…えっと…」

 

「…もうこいつらは諦めたほうがいいかもな」

 

「2人とも頭芳しくないもんね」

 

「(カンバシクナイってなんじゃろ)」

 

「(それにしても今日も俺様、いい筋肉)」

 

 

この2人は昔から頭は弱かったからなぁ。相変わらずのようで嬉しいような悲しいような…

 

 

「それで?俺たちに何か話があるんだろ?後輩」

 

「は、はい…」

 

「何か覚悟した感じだ。目を見ればわかる」

 

 

みんなが食べ終わり、温かいお茶を飲みながらまったりしている時にキャップが切り出した。

 

この一年生、さっきから見ててなんというかすごく力んでる。少し笑顔でお礼を言いたいだけなんだろうけど、力みすぎて迫力ある睨みになってしまう程度に。モロとかなら財布出して逃げるんじゃないか?逆に力んでないときはずっとアワアワしてる、まるで小動物みたいに。ギャップが凄いな

 

そんな彼女が目線をしっかりとして何かを堪えているような感じだ。重大発表でもするのか、俺たちは深呼吸をしている彼女の言葉を待っていた。

 

 

「!そうか、すまねぇな」

 

「え?」

 

「彼氏が欲しいってんなら俺様、年下射程範囲外なんだ」

 

「何いきなり勘違い発言してんだお前、馬鹿か?」

 

「馬鹿でしょ」

 

「そうだったな。アハハハ」

 

「辛い世の中になったなぁ…」

 

 

いきなりのガクトのとぼけた発言にモモと京の辛辣なツッコミがはいる。そういうところがあるからモテないんじゃないかね

 

 

「むにゃむにゃ…」

 

「ほらワン子、人の話の最中に寝ない」

 

「わっ!ちょ、やっ!スースーするぅ!」

 

 

しっかり食べて眠くなったワン子のまぶたに大和がリップクリームを塗りつけた。ワン子も女の子なんだから大事にしてやれよ

 

 

「容赦ないな、お前たちは」

 

「友達だからね。何をやっても許すのさ」

 

「すまねえ大和。お前に借りたゲームのデータ消えた」

 

「ははは!俺の努力の分賠償してくれればいいよ」

 

「おい!全然友達な風に見えないぞ!」

 

「自分が言ったこと即座に否定したなこいつ」

 

 

大和とガクトの掛け合いを見る俺とクリス。クリスはいい子なのはわかるんだけどどうにも頑固っぽいしなぁ。大和と合わなそうだ。なんか早速喧嘩したらしいじゃん?

 

 

「そういや大和とクリスは仲直りしたのか?喧嘩してたって聞いたけど」

 

「ああ、もう大丈夫。ちゃんと仲直りしたさ」

 

「その割にはクリスお前のこと睨んでるけど」

 

「今朝着替えシーンに出くわしちゃってね」

 

「何〜⁉︎そんなうらやまけしからんイベントに遭遇したのか大和⁉︎チクショー!俺もそんなイベントにぐへっ⁉︎」

 

「落ち着けガクト。あんまりそういったことは叫ぶもんじゃない」

 

「わ、脇腹はやめろ脇腹は…」

 

「すまないな。本当なら自分がやるところを」

 

「気にすんな。それにガクトの場合可愛い女の子にやられたらご褒美とか考えそうだし」

 

「そ、そうか…。世の中には変な人間がいるものだな」

 

「人を、勝手に変態、にするん、じゃねぇ…」

 

「大丈夫さガクト…。既に手遅れだから」

 

 

大和の追い討ちのような一言についにガクトは崩れ落ちた。そんな俺らを見て

 

 

「や、やっぱりいいな!」

 

「何が?」

 

「私の魅力がか?また妾が増えてしまうなぁ」

 

「はいはい、モモは引っ込んでようなー」

 

「みなさんのその、楽しそうな空気が、その、いいです…」

 

 

オドオドしながらこの後輩は何かを俺たちに伝えようとしている。

 

 

「まゆっちGO!ここが天下分けめだぜ!」

 

「う、うん松風!石田三成みたいな気持ちでいくね」

 

「なんか突然携帯ストラップと話し始めたぞ…」

 

 

なんで負けた方?というかそのストラップは何?みんなの頭の中に同時に浮かんだだろうな

 

 

「すーはー…すーはー、よし。お、お願いします!私も、皆さんの仲間に入れてください!!みなさんと一緒に遊びたいんです!」

 

 

突然土下座しながら彼女は俺たちの仲間に、風間ファミリーに入れてくれと叫んだ。

 

 

「家事には自信あります!掃除もします。だから、だから…私も…その…仲間に入れてはくださいませんか!!」

 

 

後輩、黛由紀江は一息に言い切った。クリスとは違った不器用さだけど気持ちはしっかりと伝わった。

 

黛の叫びに俺たちの意見も半々だった。それでも

 

 

「みんな、ここは俺に任せてくれ」

 

「しっかりまとめてこい、リーダー」

 

「おう!任せとけ!」

 

 

最後はキャップが決定する。これが風間ファミリーの慣例だ

 

 

「黛由紀江って言ったっけ?今のままじゃ仲間には入れられない」

 

「…え?」

 

「仲間ってのはそうじゃないだろ。土下座みたいな真似をして入るようなものじゃない。もっと簡単に面白そうだから入れて、でいいんだぜ」

 

「あ…。お、面白そうだから私も入れてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「断る」

 

「はあぁぁぅっ⁉︎」

 

 

キャップの否定の一言に黛は崩れ落ちた

 

 

「鬼かあんたは!」

 

「おまっ!言っていいことと悪いことがあるだろ!」

 

「ははは、冗談だって。これから一緒に遊ぼうぜ」

 

「というかこいつ気絶してるぞ」

 

 

シャイな子にはキツすぎる冗談に黛は気絶していた。そんな黛を介抱する名目でイタズラしようとするモモを抑えているうちに黛は起き上がってきた。ああよかった。

 

 

「大丈夫です。一瞬意識が飛んだだけで…」

 

「いや、それ大丈夫じゃねーから」

 

「小動物みたいですカワユイなあ。あだ名はまゆまゆだな」

 

 

入れ直したお茶を手渡して少し休ませる。こういった小動物系って俺の周りにはいなかったから新鮮だなぁ。周りにはアマゾネスみたいなのばっかりだし

 

 

「龍二?何か変なこと考えてない?」

 

「べ、別に何も考えてないぞ京」

 

「ねえねえ!せっかく仲間になったんだから自己紹介しましょうよ」

 

「お、そうだな。ちゃんとお互いのことは知っとかないとな」

 

 

京ってなんであんなに俺の考えが読めるんだろうな。昔聞いたら愛の力とか言われたけど…

 

 

「よーし、私達からまゆまゆに自己紹介だ。川神百代3年。武器は美少女らしく拳。好きな言葉は誠!」

 

「川神一子2年。武器は薙刀。勇気の勇の字が好き!」

 

「2年クリスだ。武器はレイピア。義を重んじる」

 

「椎名京2年。弓矢を少々。好きな言葉は仁…女は愛」

 

「あの、えーと…1年黛由紀江です。刀を使います。礼を尊びます」

 

 

こうして黛由紀江が風間ファミリーに加入した。濃いメンツばかりのファミリーだけど、楽しくなりそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに男子の自己紹介はモモにすごくおざなりにやられた。というか黛よ、お前まで俺が料理人であることに驚くのか…

 




ここから先は原作通りなので飛ばす場所がいくらか出てくると思いますので悪しからず

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