俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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えー、今回は説明会です まる

…いやほんとにそうとしか言えません。まあ次かその次あたりで連休と旅行の話に行けると思います。

それでは、どうぞー


屋台と老婆

「先ほどは醜態を晒したな。許せ」

 

「いえいえ。それよりも英雄、いきなり龍二くんに店を出せとは一体どういうことです?」

 

 

いきなり叫び出した英雄が落ち着き、みんなで茶を飲み直しながら冬馬が質問した。

 

 

「うむ、我が九鬼の分野として商業を統べようとしているのは知っているな?」

 

「ああ。確か英雄のお姉さんが軍事を。弟の英雄が商業を中心に活動していくって話だろ?」

 

「その通りだ。後は我が妹が政界に進出するというのも含めたプランだがまあそれはいい」

 

 

前に聞いたことがある話を今更……って

 

 

「ちょっと待て英雄!お前に妹がいるなんて初耳だぞ⁉︎揚羽様からも聞いてないし!」

 

「私たちも初めて聞きました」

 

「初耳〜」

 

「そうだったか?まあそれは今は良い」

 

 

いや、結構重要なことな気がするんだが…

 

 

「話を戻すぞ。我は現在商業関係の業務を担当しているが、その中には商品開発というのも当然含まれる」

 

「まぁそりゃそうだろうな。売れる商品を開発しなくちゃいけないだろうし」

 

「うむ。そういった開発された物を適当な者にモニターとして実際に使い心地を試してもらい、さらなる改良を施すのが基本的な開発法だ」

 

「ええ、実際に使ってみないとわからない改良点はいろいろあるでしょうからね」

 

「僕マシュマロのモニターやりたーい♪」

 

「こらこらユキ、少し真面目に聞きましょうね。英雄、続きをお願いします」

「うむ、実は今幾つかの製品の丁度いいモニターが見つからなくてな。食品関係の製品なのだが、モニター先を探していたのだ。そこで我が友龍二に店を出してもらいそこで製品のモニターをやってもらおうかと思ってな」

 

 

なるほど、開発中の製品のモニターか。なかなか面白そうな話ではあるけど…

 

 

「いや、話飛びすぎだって。モニターが必要なのはわかったけどそこから俺が店を出すなんて、どうやったらそうなるんだよ」

 

「まあ聞くがよい。まず開発された製品が業務用なのだ。なので一般市民にモニターを頼むわけには行かぬ。さらに九鬼傘下の店に任せようにもスペースの問題などで丁度いいところがなかったのでな。なので我が友に頼みたい。要はモニター先がなければ作れば良いということだ。フハハハハ!」

 

「…それで俺にねぇ。でも店つったって俺はまだ高校生だぜ?最速でもあと数年はかかる。そんなにのんびりでもいいのか?」

 

「その点は心配ない。我が友にやって欲しいのはちゃんとした店ではなく屋外に設置した屋台のようなものだ」

 

「というと?」

 

「モニターして欲しい製品の中に移動式のキッチンがあるのだ。なのでそれも使用してもらいたい」

 

「…それは…面白そうだな」

 

 

細かい話は聞いてないけど、英雄がこう言うんだ。開発中とはいえ妙なものは出てこないだろう。となるとこの話はとても魅力的だ。客に料理を出すということは俺の技量をさらに高めてくれるだろうし

 

 

「…英雄。その話、是非受けさせてもらいたい」

 

「おおっ!助かるぞ我が友よ。とりあえず細かい話は明日だ。今日はもう遅い、これまでにしよう」

 

「そうですね。ユキもおねむのようですし」

 

「むにゃ〜」

 

「ほらユキ、家まで我慢しなさい」

 

「むにゃむにゃ…ハゲ〜…頭が眩しいよ〜…」

 

「ちょっとユキ?夢の中でも俺のことハゲ扱い?」

 

 

半分寝てるユキを抱えて俺たちは英雄が用意してくれた車に乗って家に帰った。これは楽しくなってきたぞ

 

 

 

 

ちなみに、他の従者の方々への料理も好評だった。まぁ最初は従者じゃなくて料理番と間違われたけどさ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、俺は朝から九鬼極東本部で出店についての話し合いを行っていた。英雄が話を通しておいてくれたので、研究開発のグループとはスムーズに話を進めることができ、おかげで午前中に話し合い自体は終わらせられた。にしてもさすがは九鬼の開発部、変人ばっかりだった…

 

次の問題は場所だ。移動式のキッチンとはいったものの普通の中型トラックほどの大きさはあるからどうしても場所を選んでしまう。できる限り人の通りがいいところを探しているがなかなか見つからない。とりあえず昼食を食べてから自分の足で候補地を探してみた。実際に見てみることで何か気づくこともあるだろうし。

 

しばらくふらふらと歩いているうちに金柳街に流れ着いた。昔はよくここらで遊んだなぁ…、といった感傷に浸っていると少し懐かしい場所を見つけた。

 

みんな覚えているだろうか?小4の時に俺が保護した双子の猫を。そう、俺はあの猫たちを預けたお婆ちゃんの家にたどり着いていた。猫好き仲間の京が言うにはあの可愛らしかった猫たちは今でも元気にしているそうだ。偶に様子を見にきてるんだとさ。前はヒュームの訓練で疲れた時とかによくここに来て癒されてたなぁ。

 

ここ半年は川神に帰ってきてもいなかったので挨拶のために俺は家のベルを鳴らした。昔と変わらない優しそうなお婆ちゃん、おれは純子さんと呼んでいる、は元気な姿を見せてくれた。その足元にはあの猫たちが。ああ…本当に癒される

 

純子さんの好意でお茶をご馳走になり、世間話の中で場所探しの話題になった。いい場所はないか、と心当たりを聞いてみると、ちょっと待ってなさい、と言って何処かへ電話をかけ始めた。しばらくして戻ってくると、金柳商店街の広場を使っていいということになったそうだ。

 

…すまん、意味わかんないよな。俺もわからん。

 

と、とりあえず純子さんの言われた通りに町内会長のところへ行くと広場の使用許可が既に降りていて、設備さえ整えられれば何時でも構わないと言われた。……マジで純子さんって何者?

 

細かい説明を町内の人たちにして欲しいから明日の町内会に来てくれ、と言われ了承した俺はそのままの足で九鬼に戻って英雄に報告をした。

 

 

「英雄様、少しよろしいですか?」

 

「む、構わん。それと今はここに我とあずみしかおらん。普通に話してよいぞ」

 

「わかった。昨日の話に進展があったからその報告に来た」

 

「うむ、さすがは我が友。仕事が早いな」

 

「後で報告書にまとめて提出するけど、とりあえず開発部との話し合いは終わった。あと少し調整したら使えるようになるみたいだ。それと出店場所が決まった。金柳商店街の広場を借りられることになったんだ」

 

「素晴らしいではないか!たった半日でそこまで話が進んでいるとは、この九鬼英雄感服したぞ!」

 

「まだまださ。それで明日の町内会で詳しい説明をしなきゃならないんだけど、俺が進めちゃっていいか?」

 

「うむ。このプランは龍二が主体となって進めて構わん。我は承認するだけだ」

 

「いいのか?そんな簡単に」

 

「信頼しているからな」

 

 

…そんなふうに即答されちゃあ、こっちもそれに応えなきゃって思うわな。

 

 

「わかった、任せてくれ。今まで学んできたことを生かす時だな。利益を上げるついでに金柳商店街の客足アップも狙おう。楽しくなってきたなぁ」

 

「開店したら姉上と共にすぐに食べに行くぞ。席を確保しておけ!」

 

「了解だ!」

 

 

これから忙しくなる、しっかりしないとな!

 




猫を飼っているお婆ちゃんの名前が改稿前とは違いますが、これはこのあいだ見たとあるアニメのお婆ちゃんがとてもいいキャラだったので名前を借りました。

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