俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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今回は繋ぎです

こんな作品に感想を送ってきてくれた皆様、本当にありがとうございます!本当ならちゃんと感想返しをしたいのですがまとまった時間が取れなさそうなので、できれば今回の投稿または次回の投稿からちゃんと感想返しをさせていただきたいと思います。


紹介と基地

「石川龍二です。去年は遠月学園に通ってました。これからよろしくお願いします。」

 

 

 転入そうそうの騒動の後、我に返ったルー先生に促された生徒たちは呆然としながらもゆっくりと教室に戻っていった。俺も2年S組の担任である宇佐美先生に教室まで案内してもらった。流石は川神学園の教師、なかなかの強さだな。見た目はくたびれたおっさんだけど

 

 教室についた俺はS組生徒たちの前で簡単な自己紹介をしたんだけど…

 

 

『お、おい、あいつって…』

 

『さっき川神百代と戦ってた…』

 

『うちのクラスだったのかよ…』

 

 

 まあ最初のインパクトが強すぎたんだろうなぁ、なんかすごい微妙な反応だ…。おれ一応被害者側なんだけど

 

でもこのクラスには知ってる顔がいくつもあるからまぁ馴染めないってことはないかね。ほら早速

 

 

「フハハハハハハ!よく来たな我が友龍二よ!まさか我にも内緒で編入してくるとはな!」

 

「お久しぶりです、英雄様。」

 

「この学園では我らはただの学生よ。ならばこそ我らの間に敬語など不要!なにより友に敬語で話しかけられるのは嫌なものよ」

 

「…わかった。これからよろしくな英雄」

 

 

昔と変わらず尊大な英雄が周りのことなどお構いなしに話しかけてきた。俺は今や九鬼に仕えている身だから本来は敬語で話さなきゃならないんだが、まぁそこは英雄。すぐさまやめさせられる。ほんと、いい友達だよ

 

 

「なんだ?お前さん九鬼の知り合いだったのか。まぁいいや、席はあそこの空いてるとこに座ってくれ。そんじゃ時間押してるからとっとと授業始めるぞ」

 

 

朝の騒動で押していた時間を取り戻すかのように密度の高い授業が進められる。このクラス、特進クラスS組はその名の通り成績が学年上位50位以内じゃないと入れないクラスだ。つまり授業のレベルも相対的に高く、油断してたら直ぐに置いていかれる。まぁどこぞの金髪執事のおかげで高校の範囲は一通りこなしてるからなんとか…いけるかなぁ…。

 

つか今回俺が揚羽様から受けた指示はS組に在籍し続けることだからもしクラス落ちしたらやばい。というわけで真剣に授業を聞いてノートをとる。

 

そんなこんなで集中しているうちにあっという間に放課後。今日は金曜日だから風間ファミリーの集会がある。とりあえず昼休みに大和へ急な編入の詳しい説明は集会で、というメールを送ったから学園内ではあいつらと話してない。というかクラスには馴染むの優先してあいつらに昼間は遠慮してもらった。

 

 

「リュージ、一緒に遊びに行こー!」

 

「あー、すまん小雪。今日は予定があるんだ」

 

「えー、せっかく一緒に遊べると思ったのに〜」

 

「こらこら、あんまり龍二君を困らせるものじゃないですよ」

 

「そうだぞ。編入したばかりでいろいろ忙しいんだろうから今日は遠慮しなさい。」

 

「悪いな、土日は時間あるからその時に遊びに行こうぜ」

 

「うん!」

 

「冬馬もハゲも悪いな」

 

「いえいえ、龍二君のためですから。今度二人でどこか行きましょう」

 

「ちょっと?ナチュラルに人のことハゲって呼ばない」

 

 

このクラスには冬馬達もいてくれた。クラスの人気者である冬馬達のおかげでクラスには結構すんなり馴染めた気がする。

 

 

「じゃあ日曜日にでも。そんじゃあな」

 

 

 俺は荷物を纏め皆に挨拶をしてから教室を出た。すると丁度隣の教室から飛び出してきたキャップと遭遇した。

 

 

「っと、おいおい危ねえぞキャップ」

 

「あ悪い、って龍二かよ!いきなり編入してくるなんて聞いてないぞう!」

 

「あー、まぁその辺はいろいろあってな。一応今日の集会で話すさ。」

 

「おう!今日はバイトで余った寿司を持ってくつもりだから楽しみにしとけよ!じゃあな!」

 

 

 そう言ってキャップは風のように去っていった。相変わらずの忙しなさになんだか安心するな。

 

 すると今度は大和が今朝馬に乗ってた編入生と一緒に教室から出てきた。

 

 

「兄さん!いきなり編入なんて驚いたよ。なんで言ってくれなかったのさ」

 

「はっはっはー、今日はそのセリフいろんな人にいわれて聞き飽きてるんだよなー(棒)。後でちゃんと話してやるって。」

 

「あなたは今朝の…」

 

「ん?ああ。俺は石川龍二。君と同じで今日から編入したんだ。よろしくな。」

 

「クリスティアーネ=フリードリヒだ、クリスと呼んでほしい。それにしてもあなたと川神百代の戦いには驚いた。とても強いんだな、あなたは」

 

「あれは不意打ちだったから何とかできただけだよ。それに俺は武闘家じゃなくて料理人なんだ」

 

「なっ!?あれだけの動きができて料理人だと!?」

 

 

 …いつからかこういった反応されるのにも慣れちゃった自分が悲しいなぁ。

 

 

「あ、あはは。ほらクリス、学園の案内するからそろそろ行くぞ。じゃあ兄さん、後でね」

 

「ああ、ちゃんと案内してやれよ」

 

 

 …むしろ俺も学園の案内をしてほしかったりする。そんな俺を置いて二人は去っていった。まあ俺も俺でやることあるからいいんだけどね!

 

 心の中で妙な言い訳をしながら俺は家路についた。遠月にいた時は寮生活をしていたから実家の自分の部屋の荷物を解いたりしなきゃいけない。しばらくはやることが多いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一通り部屋を片付けてから手土産を持って秘密基地へ向かった。風間ファミリーの秘密基地はあの原っぱから川神市の一角、多馬川のすぐ近くの廃ビルに変わっていた。俺たちが遊んでいた原っぱは土地開発によって遊べなくなってしまったため、この廃ビルの管理のバイトにかこつけて秘密基地として使わせてもらってる。

 

それに中学の時に京が親の離婚で静岡に引っ越してしまったため、毎週金曜日に京も含めてみんなで集まって遊んでいた。それからは金曜日はファミリーみんなで集まって集会をしている。まぁ俺は中学から去年までは忙しくて毎回は出れなかったんだけどな。というか出た数の方が少ないなぁ…

 

懐かしい川神の景色を眺めながら俺はゆっくりと秘密基地へと向かう。ちょうど夕日が綺麗だった。

 

そうして廃ビルの周囲に警備のために張られているモモの探知バリヤーを抜け、廃ビルの唯一開いている裏口から中に入る。どうやらキャップ以外は揃っているみたいだ。みんなとちゃんと話すのもいつぶりだろう、大体半年ぶりくらいかね。久しぶりの金曜集会に少し胸を弾ませながら俺はゆっくりとドアを開けた。

 

 

「もともと大量のデータが保存されててそれもパソコンの演算を圧迫してたから煩雑に保存されてたデータをまとめてから外付けのメモリに移動させて少しでも軽くさせて、それでもまだまだ遅かったから今度は片っ端からデフラグとかかけて…」

 

「現代社会の中でヤドカリのゆったりとした動きは一種の清涼剤として俺の心を癒してくれる。更に彼らの愛らしい仕草は俺の心をつかんで離さない。それに成長して殻から殻へ移動する様なんかもう信じられないくらい愛らしく…」

 

 

……なんぞこれ?




そろそろ二字の題名をつけるのが大変…

題名の形式変えようかな

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