俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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お久しぶりです。
別にさぼっていたわけじゃないですよ?ただ新規のプロットのデータを間違って消してしまい、その腹いせにPSO2にのめりこんでいただけです。

結局さぼってる?アークスの任務は遊びじゃない(キリッ)


襲撃と解放

 石川龍二氏が最初に世間にその名を広めたのは氏が16歳の時、遠月茶寮料理学園に在校していた時である。中高一貫である学園に高等部への編入という形で入学した氏はすぐさま頭角を現していった。遠月茶寮料理学園の料理による決闘、食戟という制度を利用しあらゆるゼミ、研究会、同好会といった自治運営勢力を自らの傘下に。そうして得た学園内における巨大な権力をチップに当時の学園最高の生徒集団、遠月十傑を相手に食戟で連戦連勝。ついには第一席を降し学園内のすべての権力を自らの手中に収め、入学からたった一年で史上初の遠月茶寮料理学園の統一を果たした。(九鬼出版 「近代の偉人伝~美食神・石川龍二~」より抜粋)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 編入生と川神一子の決闘が終了した直後、校庭の一角が突如大爆発を起こした。幸い爆発地点は生徒たちが集まっていた決闘地点から少し外れていたので爆発による被害はほとんどないが、突然の出来事に生徒たち、主に新入生はパニックを起こしていた

 

 

『きゃあああああっ!!』

 

『い、一体何なんだよっ!?』

 

『は、早く逃げろっ!』

 

「うろたえるな!」

 

 

 しかしここは荒事が多発する川神学園、慣れたものといわんばかりに教師陣は混乱を押さえ、何が起きても対応できるよう爆心地へ向かおうとするが

 

 

「はぁ、全く何をやってるんじゃ…」

 

「皆さんは下がってテ。少し危ないかもしれないかラ」

 

 

 川神学園総代・川神鉄心と体育教師兼川神院師範代・ルーの言葉ですぐさま退避した。そんな二人の視線は爆心地へ向いているが、その瞳には怒りと呆れが映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE石川龍二

 

 

 

「…え?え?」

 

「すみません、なんか巻き込んじゃったみたいで…。とりあえず離れててください。俺の近くは少し危ないので」

 

 

 案内してくれた人を抱えてぎりぎり爆発を回避して、すぐさま避難をすすめる。いきなりのことで混乱してるみたいだけど何回か重ねて言い、現状を理解した途端全力疾走で離れていった。

 

 さて

 

 

「久しぶりに会った幼馴染にこの仕打ちはないんじゃねーか?」

 

「お前なら避けると信じてた」

 

 

 爆心地の中心、小規模なクレーターになっているそこからは砂煙が立ち上り中の様子はうかがえない。でも全く隠す気がない、むしろ俺個人への威圧感全開の気がそこに誰がいるのかを教えてくれた。

 

 

「ああ、本当に久しぶりだ。久しぶりだな龍二ィ!」

 

「っ!…おいおい!いきなり攻撃とか勘弁しろよなっ!モモッ!」

 

 

 懐かしい声が聞こえた次の瞬間煙の中からモモが、我が幼馴染である武神・川神百代が突撃と同時に拳を振りかざしてきた。流石に今正面から受け止めるのはマズイので向かってくるモモの腕に自分の腕をあて、突進の勢いを利用して体を回転し攻撃を逸らすことでしのいだ。

 

 攻撃を逸らされたモモは突進の勢いそのまま後方へ跳んでいくが、すぐさま停止してこっちへ向き直った。その顔には不満がありありと出ていた。

 

「…随分と体がなまってるみたいだな。これなら小学生の時のお前のほうがまだ動けたぞ」

 

「あいにく、本気を出すのは禁止されてるんでね。」

 

「ほう?なら本気を出さざるを得なくしてやろう!」

 

 

 そう言って一瞬で距離を詰めてきたモモはそのまま高速のラッシュを放ってきた。武神といわれるモモのラッシュは一発一発が必殺技級の威力を誇っている。一発でも喰らったらアウト。だから俺はそのすべてを躱し、逸らし、捌いていく。

 

 しかし今の俺の身体能力はさっきモモが言った通り小学生の時のレベル(大体今のワン子と同じくらい)まで抑えている。基本性能の差が大きすぎるからこのままじゃもたねぇ…っ!

 

 

「ははは!ほらどうした!そろそろ本気を『喝っ!!!!』出し…っ!?」

 

 

 最初の突進からほんの数秒の出来事ではあるがさすがに限界だ、という時に鉄心爺さんが威圧的な気をこめた咆哮をモモに向けて発した。おかげでモモの動きがとまった。まあ近くにいた俺にもちょっと影響あったけど

 

 

「ええ加減にせんかモモッ!」

 

「止めるなジジイ!ようやく龍二が帰ってきたんだぞ!?やっと戦えるんだ!邪魔するなぁ!」

 

「だからといって今ここで戦っていい理由にはならんわ!儂は決闘とは認めとらん!」

 

 

 とりあえずモモの矛先が鉄心爺さんに向かったので俺はいったんそこから離れた。これ以上巻き込まれたくはないからな。遠巻きに他の生徒たちがこっちをうかがっている。その中には何人か知ってる気配が混じっていた。

 

 

「久しぶりだネ龍二君。いきなり災難だったネ」

 

「ええ、まあ。お久しぶりですルーさん。いや、ルー先生ですか」

 

「学校内ではそう呼んでネ。とりあえず授業の時間が押してるから早く終わらせたいんだけド…」

 

 

 そういったルー先生の視線の先にはまだ口論しているモモと鉄心爺さんがいた。いや、口論と言うよりもモモが駄々をこねて鉄心爺さんがそれを叱っている感じだ。

 

 

「最近は百代への挑戦者がいなかったからネ。欲求不満になってたんだと思うヨ。さて、どうしようカ」

 

「…とりあえずモモを止めればいいですかね」

 

「エ?」

 

 

 ヒュームからはレベル3までは自分の判断で開放していいって言われてるからな。下手に長引かせると余計にめんどくさそうだから一撃で決めよう

 

 

「ノッキングリベレート・レベル3」

 

 

 俺は両腕を体の前でクロスして右手の親指を左肩に、左手の親指を右肩に当てて自分の身体にかけているノッキングを限定的に解除した。

 

 

 ドクンッ!

 

「ナッ!?」

 

 

 隣にいたルー先生の驚きの声が聞こえたが無視した。体の内からから膨大な気が溢れてくるのを感じる。俺はゆっくりと右手をモモに向けて構えた。

 

 モモと鉄心爺さんも俺の気に気づいたみたいだ。モモは獰猛な笑みを浮かべてこっちに飛び掛かってきそうな勢いだけど…

 

 もう遅い

 

 

「大圧力鍋」

 

 

 ゴッ!

 

 

 突然モモが地面に叩き付けられるように倒れこみ、モモを中心に地面に亀裂が走った。

 

 傍から見ても俺が何をしたのかみんなわからないだろう。俺は単純に膨大な空気の塊をほんの一瞬でモモに上から叩き付けただけだ。巨大な圧力をくらったモモはピクリとも動かない。どうやらうまい具合に気絶したみたいだ。

 

 

「な、なんという気じゃ…」

 

「……」

 

 

 唖然としている周りを置いておいて俺は自分にノッキングをかけなおす。まさか転入初日から外す羽目になるとは思いもよらなかったけどな。というかまだ本気でもないんだけどね

 

 

「んじゃ、教室に行きましょうか」

 

 

 俺ののんきな声だけが静まり返った校庭に響いた




この作品には食戟のソーマの世界観が混ざっていますが、ほとんど設定でしか出しません。後年代的には四宮たちのちょっとあとくらいを想定しています。

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