俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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のんびり更新~

2015/7/14 改稿


修行と新技

 拝啓 今世でのお父様、お母様

 

転生してから今まで育ててくれたことに感謝していますが

どうして俺をこんな地獄に放り込んだのでしょうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズガン!ビシッ!バキッ!

 

「集中を切らすな、気の動きを滑らかにそして素早くしろ。でなければ死ぬぞ?」

「ちょっ!?それはシャレになんない!!」

「フンッ!」バキィ!

「いぎゃあああああああ!?」

 

 

 

それだけが恨めしいです

 

 

 

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 ヒュームのおっさんとの出会いからすでに数か月がたった。最初は適当にやって逃げ出そうなんて考えていたんだけど、このおっさんマジでそんな暇も隙も無かった。

 ちょっとでも気を抜けば電撃を纏った超速の蹴りが飛んでくるし、少しでもいい動きをすれば褒美だとか言ってすさまじい威力のパンチを繰り出してくる。何回死にかけたのかもうわかんねーよ。つーかどう考えても6歳児にやるような訓練じゃねぇ…

 しかもいつの間にか親の許可取ってやがったし。母さんもなにが九鬼なら安心ですね、だよ!安心どころか死にそうだわ!先に逃げ道をつぶすとか鬼畜すぎるだろ!

 あ、九鬼っていうのは世界的な大財閥のことで、世界中から経歴問わずに優秀な人材を集めているらしい。そんな大財閥の従者部隊のトップがヒュームのようだ。そりゃそんな職場じゃなきゃ唯の危険人物にしか見えないからなぁ

 

 

 

「何か言ったか?」

「ぜぇー、ぜぇー、別に…」

「そうか。それにしてもお前のノッキングだったか?あれは今までにない面白い技だ。技の錬度を高めていけばかなり応用のきく技となるだろう。」

「めずら、しいな。あんたが褒める、なんて」

 

 

 

 ヒュームの蹴りをガードしたにもかかわらず、その上から体力をごっそり持っていかれてダウンしている俺に珍しくヒュームが褒めるようなことを言った。

『ノッキング』、これも爺さんからもらった知識の中にあったものだ。生物の体内に細長く衝撃を打ち込み全身を麻痺させるなどの効果を出すものだ。

 使い道がない知識だと思っていたが、今ではこれのおかげでなんとか生きていられる。なんせ初見でヒュームを麻痺させたんだからな。その後の訓練がかなりきつくなったけど…

 

 

 

「フッ、俺も褒める時は普通に褒めるさ。ただ褒めるに値するものが少ないだけだ」

「相も変らず上から目線だこって」

「…そこまでしゃべれるならもう大丈夫だろう。さっさと立て」

「いや、マジで勘弁してくれ…」

「甘いぞ赤子。戦場では誰も待ってはくれないぞ」

「別に俺は戦場に行く気は…」

「では行くぞ」

「うおおおおおおおお!?」

 

だから俺は武道家じゃなくて料理人になりたいんだってばあああああああ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ヒュームのおっさんの訓練が終了すると俺はいつもフラフラになりながら家に帰る。今日も両親は忙しそうに働いており、流石にボロボロの姿を見せて気を使わせるといけないと思い静かに家に入る。一人の時間がこんなにも素晴らしいとは数か月前には思いもしなかった。

 日課の瞑想を終えてから本棚に収納されている料理のレシピ本を読みふける。今読んでいるのは一般的な家庭料理の本だが、こういったものもちゃんと覚えておけば後々役に立つだろう。俺は絶対に料理人になる!ヒュームのおっさんが何ぼのもんじゃい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ダメか」

 

 

 

 最近では食義の奥義、食没というものを習得したいんだがなかなかうまくいかない。感謝という気持ちを頭で理解するのと心から感じるのには大きな差があるのだろう。ここからは長くなりそうだ。でも主にヒュームのおっさん対策にしっかりやらないとな。

 

 

 

「ノッキングも便利だけど、個人的にはもう一個のほうを使いたいんだけどなぁ…」

 

 

 

 そう、俺は知識の最後の一つの習得が全く進まないでいた。何か大切な1ピースがかけているようでとっかかりがつかめない。何かきっかけがあればいいんだけど。完全に戦闘用のこれを習得できれば俺はヒュームのおっさんを倒し逃げ出すことができる。意地でも習得しようじゃないか。

 

 

この時の俺は気づいていなかった。ヒュームを倒せばもはや完全に武道家扱いになってしまうということを…

 

 

 

 

 

 

 

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「珍しいの、オヌシのほうから訪ねてくるとは」

「何、ちょっとした提案に来ただけだ。確かお前の孫が強すぎて困るとか言っていただろう」

「うむ、齢7つにしてすでに儂か師範代達くらいしか相手できるものがおらんのじゃ。このままではあの子は孤立してしまう、それが心配でのう…」

「相手を用意してやろう。それもとびっきりのを」

「なんじゃ?オヌシが戦うというのか?いくらなんでも大人気ないじゃろう」

「違う。俺の弟子と戦わせようといっている」

「ほう!たしか九鬼のとこの嬢ちゃんだったかな?年齢的にもちょうどいいじゃろう」

「確かに揚羽様もなかなかの強さだが違う。あいつは強いぞ?油断していたとは言えまさか6歳児に俺が完全に止められるとは思わなかった」

「なんじゃと!?オヌシほどのものがか…。あいわかった、対戦の準備をしておこう」

「日時は追って伝える。ではな鉄心」

「あいよヒューム」

 

 




ワールドカップがんばれニッポン!

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