一斉に全編改稿するために一度話を大幅に削除して、プロットを再編し直してました。
まあリアルでも忙しかったのもありますが遅れてしまってすいません。
不定期更新なのは変わりありませんが、こんな作品を見捨てないで待っていてくださる読者の皆さまのために作者は頑張ります。
それではどうぞー
クラウディオさんが運転する車の中で俺は揚羽様と対面していた。
「これから当分の間、正確にはお前が大学を卒業するまではお前に仕事を任せるということはない」
「え?次の仕事が川神にあるから川神学園に転入すると聞いていたのですが?」
「うむ、その通りだ。だがそれまでの間少々期間が空くのでな、お前には先に川神学園に入っていてもらいたい。そしてそれが完了次第お前には長期の研修期間として自らを研鑽する時間を与えようと思っている。まあそれは建前でお前にしっかり学生生活を送ってもらおうというわけだが…」
「え、いやそんなことをしてもらうわけには…」
「…すまんな、本来ならお前は去年から川神学園で幼馴染たちと過ごしていただろうに我のせいで一年遅れになってしまった。だからこれからの学生生活をしっかりと楽しんでほしいというのが我の願いだ。それにヒュームも同意している」
「ヒュームが…。わかりました、与えられた時間を有意義に使いたいと思います。ありがとうございます」
「うむ!それでよい」
そうして仕事とは関係のないとりとめのない雑談をしながら時間を潰していると、川神学園の少し手前で車が止まった。
「ん?どうしたクラウディオ。学園までまだ到着していないぞ」
「申し訳ございません。しかし前に馬がいまして車では進めないようでして」
「「馬?」」
席から少し腰を浮かして前を見てみると、確かに車の前方で馬が闊歩していた。その背には川神学園の制服を着た金髪の女の子が乗っている。
「……川神学園の生徒は特殊な移動手段を使っているようですね…」
「うむ、英雄も毎朝あずみにひかせた人力車で登校しておるが、馬というのもよいな」
「……」
幼馴染と上司の感性に戦慄しながら、何とか俺は声を出した
「揚羽様、クラウディオさん、俺ここで降りて歩いていきます」
「む?そうか。では次の仕事の時にまた会おう」
「わかりました。クラウディオさんもありがとうございました」
「ええ、それでは」
俺はその場で車から降り、二人が乗った車はその場でUターンして走り去っていった。車がかなり遠くの角を曲がったのを確認するまでその場で見送った俺はゆっくりと川神学園へと歩き出した。目が良すぎるといつまで見送っているべきなのか分かんなくなるんだよな。
いつの間にか俺の前にいた馬ははるか先に行っていた。まあ彼女も川神学園の生徒みたいだからいつか会うだろ。
俺はのんびりと周りの景色を眺めながら川神学園へと向かった。中学のころからずっと川神に住んではいても、世界中至る所を飛び回っていたからこうしてゆっくりとこの道を歩くのは久しぶりだ。しかもこの一年は川神市からも離れてたからな。似合わないとは思ってるけど、なんとなく帰ってきたっていう感傷にひたっていた。
そうして歩き続け、川神学園の校門に辿り着いたがなんだか騒がしかった
直江大和SIDE
「クリスティアーネ・フリードリヒ!ドイツ・リューベックより推参!この寺子屋で今より世話になる!」
たった今校庭に馬で乗りこんできた少女が叫んだ。かなりの美少女だ。…っていやいや!馬って⁉︎
教室では一部の男子が美少女が来たことに対する咆哮を上げ、それ以外の人は目の前の状況に呆然としていた。教室にいた彼女の父親の話を聞いているとどうやら彼女たちは『日本を勘違いしてる外国人』みたいだ。時代劇と混ざっちゃってるし。しかも間が悪いことに九鬼英雄が人力車で登校してきちゃったからもうめんどくさいことに…。
とりあえず彼女が馬を置いてくるためにどこかへ行っている間も教室でのざわめきは止まらなかった。まあ確かに彼女は美人だったからなぁ、ガクトたちが興奮してるよ。
「ねえ大和…」
「ん?どうした京。あの子のことが気になるのか?」
「別に他人のことなんてどうでもいい。そんな事より龍二が帰ってくるって話聞いてる?」
「兄さんが?いや聞いてないよ。兄さんは遠月学園に通ってるから今ごろは授業でも受けてるだろ。どうしたんだ急に?」
「ううん、何でもない。ただ龍二の匂いがしたから…」
「匂いって…」
昔から京が兄さんのことが好きなのは知ってたけど、中学のころからなんかパワーアップしてないか?変態的な方向に
その後は教室に来たフリードリヒさんの自己紹介。凛とした立ち姿に男子は見とれながら彼女の違和感盛りだくさんの自己紹介を聞いていく。やっぱり時代劇もそうだけどリューベックにいた彼女の日本人の友達たちが間違った知識を面白がって教えたのが原因みたいだった。
「はーい質問!何か武道をやっているのかしら?」
「フェンシングを小さい頃よりずっと」
質問をしたワン子の目がギラリと光った
「YES!梅先生提案!転入生を歓迎してあげたいと思いまーす!」
歓迎の意味を理解したクラスのみんなが騒然となった。すなわちワン子はフリードリヒさんと”決闘”しようというのだ
ここ川神学園では生徒間のもめごとの解決法として決闘が導入されている。決闘の方法は様々だが、ワン子がここで言ってるのはお互いの腕試し、すなわちレプリカの武器を使っての戦いだ。
決闘の始め方は簡単だ。決闘の意思を相手に伝え、自分のワッペンを机に置く。相手が自分のワッペンをそこに重ねたら決闘が受理されたことになる。
ワン子が机に置いたワッペンにフリードリヒさんは何のためらいもなく自分のワッペンを重ねた。決闘成立だ。
本来ならいくらか手続きが必要なところを、話を聞いていた学長の特権で決闘はすぐさま始められるみたいだ。決闘をする二人は互いをにらみながら校庭へと降りていった。
『今より第一グラウンドで、決闘が行われます。内容は武器ありの戦闘。見学希望者は第一グラウンドに集合してください。繰り返し連絡します。今より…』
放送で決闘が行われることが全校に伝えられ、校庭にたくさんの生徒が決闘を見るために集まってきた。
「さあさ、はったはった!ワン子と転入生のどっちが勝つか!トトカルチョやってるよ!」
商魂たくましい我らがキャップはすぐさま生徒を相手にトトカルチョを始めた。まあ俺たちも収入の一割を条件に手伝ってるんだけどな。でも
「いい感じに賭けがまとまってきたけどキャップ、ある程度のとこでやめろよ?」
「わかってるって。モモ先輩が来ちゃうからな」
「ていうかこんな話をしてれば……来ないな」
「あれ?珍しいな。モモ先輩が来ないなんて」
「ああ、いつもならショバ代とか言ってすぐに来る…っていたよ」
いつもなら飛んでくるような姉さんがいつまでも来ず、なぜか一人で突っ立っていた。しかもその雰囲気はいつもよりも鋭い
「…ん?ああお前達、龍二を見なかったか?」
「姉さんもそんな事言ってるの?」
「も?」
「ああ。京もさっき同じようなことを言ってたから」
その瞬間、いぶかしげだった姉さんの表情が一瞬で獰猛な笑みに変わった。なんとなくどこかにいる兄さんに超逃げてと言いたくなった瞬間だった。
石川龍二SIDE
校門で英雄とさっきの馬娘が騒いでいるのを横に、気配を風景に紛れ込ませて学園の中に入った。あんなところで英雄と再会したら騒がれるからな。
とりあえず職員室に挨拶に向かい教室に案内してもらおうと思ったが、少々遅れてしまったようですでにホームルームは始まっているみたいだ。初日から遅刻してしまったことを少し反省しながら、職員室に残っていた先生に教室まで案内してもらおうとした時、放送で決闘が行われると流れてきた。
一応川神学園のパンフレットに決闘ルールのことは載ってたし、俺が去年通っていた遠月学園にも食戟という料理による決闘ルールがあったからまあ慣れてるっちゃ慣れてる。でも
「決闘ですか、面白そうですね」
「あら、なら見に行きましょうか」
「あ、お願いします」
やっぱそういうのって見てみたいじゃん?
職員の方と一緒に校庭まで観に行くと、そこは既に見物に来た生徒たちでいっぱいだった。既に決闘は始まっているようでみんな決闘している人を円形に囲みながら歓声をあげている。俺たちはそんな生徒の輪から少し離れたところで立ち止まった。
俺も観戦しようと戦っている2人を見てみると、片方は俺の知っている顔だった。
「なんだ、戦ってるのってワン子か」
「川神さんとは知り合いなの?」
「ええまぁ、幼馴染です」
ワン子と戦っているのはさっきの馬娘か。ワン子は薙刀で馬娘は細剣、フェンシングだなあれは。なかなかの早さだな。
途中まではワン子が攻め立てていたけど、間合いを見切られたのか馬娘の高速突きがワン子に入るようになってきた。ワン子は流れを変えるために一旦距離をとって大技を打とうと薙刀を回転させだした。
おいおい、自分よりも早い相手に隙が大きい技を使おうとするなよ…
結局俺の懸念通り技を打った際の隙を突かれてワン子の負け。昔よりは強くなってるけども少しやりようはあったかね
「いやー、早くて何が何だかわからなかったけどとにかく凄かったわね」
「ん?あ、そうですね。いい勝負でした」
決闘も終わったので教室に案内をしてもらおうと思った時、俺は職員の方を抱きかかえその場から飛び退いた。
ドッガアアアアン!!
次の瞬間、俺たちが一瞬前までいた場所がまるで爆発したように凄まじい音とともに砂煙をあげていた。
改稿はちょいちょいやっていたのですが、一から書くのは本当に久しぶりなので書き方を結構忘れてました。
しばらくはリハビリがてらになります。
次は早く投稿できるといいなぁ