ここから先のストーリーを大幅に変更するので、一度削除しました
今でこそ世界でも知らぬ者のいない石川龍二氏だが、彼がその名を高めていくのは彼の高校時代からである。１６歳でその鬼謀を、１７歳でその武力を、１８歳でその技術を示し、彼の名前はたったの３年で全世界に響き渡った。そこには天賦の才という要素も大きいが、最も凄まじいのは彼の天運である。幼少時に当時九鬼最強の執事にその才能を見出され、九鬼家の人間にもその価値を認められる。そして少年期には九鬼が用意した最高の環境で調理技術、武術、経営学、衛生学からマナーに交渉術に至るまで様々な分野の英才教育を施された。そうして磨かれた才能が青年時代に開花し、現在でも語り継がれている偉業を成し遂げるための礎となった。
（九鬼出版 「近代の偉人伝～美食神・石川龍二～」より抜粋）
深い森の奥、朝日が木々の間から差し込み小鳥のさえずりだけが響き渡る空間。人の営みから遠く離れたこの空間に一人の青年がたたずんでいた。学生服を身に纏う彼がいることはこの場には違和感しかないはずだが、彼には全く違和感がない。むしろ自然の景観の一部としてしか認識できないだろう。
彼の周りは静寂に満ちていた。肩にとまっている小鳥が羽を掃除する音が聞こえるほどに
しかし、いつまでも続くかのようなこの静寂も終わるのは唐突だった。彼が人智を越えた聴力で遠くで走っている車のエンジン音とその中で話している人物の会話を聞きとったからだ。
様子の変化に小鳥たちは敏感に反応し、彼の肩から飛び去っていく。それを気にせず傍らに置いてあった学生鞄を手に取るとエンジン音の発生源に向かって走り出した。森の木々を軽やかに躱し、まるで飛ぶような速さで彼はあっという間に目的の場所へたどり着いた。車に乗っていた人物も彼の接近に気がついていたようで車を止めて彼の到着を待っていたようだ。
「これは揚羽様にクラウディオさん。こんなところまで一体どうしたんですか？」
「決まっておろう、可愛い弟弟子の迎えに来たのだ。まあお前には必要ないとは思うがな」
「あ、いえ、とてもありがたいです。ありがとうございます。しかしどうして急に？」
「ふむ。まあお前の新しい門出を祝うのと、これからまた任務に励んでもらう
SIDE 石川龍二
清楚たちとの別れから数年、俺は小学校を卒業し中学生に、更に中学も卒業し高校生に。今では高校二年生だ。ここではあっさりと書いているが、あまりにも激動の日々だった。冬馬たちやファミリーのみんなとは学区の関係で別の中学になってしまったが、俺は中学生になってからは揚羽様との約束通りに九鬼傘下の様々な飲食店で研修の名目で料理の修行に明け暮れた。
更にヒュームからは戦闘だけでなく、様々な作法や話術を。さらにヒュームが用意した講師から経済学や経営学、衛生学など様々な知識を叩き込まれた。
つまり俺には休む暇など微塵もなく、中学時代はみんなとほとんど会えなかった。それに高校一年の時には揚羽様の命令で川神から離れていた。ここ数か月は話してすらいないな。
ところで今日は俺が川神学園に編入する日だ。まぁ手続きの関係で始業式には間に合わなかったんだけどな。
俺はいつも節目ごとにこの森に来て精神を落ち着けるようにしている。ある意味で石川龍二が始まった場所だからな、新しい出発はここからだと決めてるんだ。
俺はクラウディオさんが運転するリムジンに乗り、揚羽様と歓談しながらこれからのことを考えていた。さて、今年はどんな年になるかな？
「そういえば今日編入することを英雄様には伝えておりませんので」
「え！？」
大丈夫かね…
レポートが終わらないので、次はいつになるかわかりません…