この頃の京のキャラがわからない…
今週も学校が始まった。正直な話、今更俺が小学校で学ぶことって何もないからかなり退屈なんだよな。楽しいのは若干名の友達としゃべることくらいだ。
まあ風間ファミリーに加入してからは一気に友達が増えたから今はだいぶマシだけど、前は二人しか俺が話す相手っていなかったからなあ。
退屈な授業が終わった放課後、俺は借りていた本を返却して新しい本を借りるために図書室に向かった。
最近では清楚の影響で純文学も読むようになってきたので、なかなか本を選ぶのが大変だ。ちなみに前は生物学系や料理関係の本を読んでいた。おそらく図書室にあるその類の本は全部読んじまったな。
担当の図書委員に本を返却し、俺は本棚を回り始める。清楚からいくつかおすすめの本を聞いているからまずはそれを探し始めた。
しばらく探すと、図書室の奥まったところにそれはあった。小学生で純文学を読む人は少ないんだろうな、図書室のかなり奥で半分埃がかぶっているような状態だった。
その本を手に取り埃を払い、ほかにも数冊の本を持ち図書委員のところへ戻ろうとした時、視界の端に知っている顔が見えた。
「お、久しぶりだな京」
「…久しぶり」
「忙しくてあまり図書室にこれなかったけど、最近はどうだ?あのウザったい連中」
「いつもと変わらないよ」
彼女は椎名京、俺の前からの数少ない友達で読書仲間。物静かで知的な見た目だが、どうも周りの奴らにはそれが根暗でキモイという風に見えるらしく、いつも変な奴らに絡まれてる。俺が見かけたときはそいつらを追っ払っているが、俺と京は一度も同じクラスになったことがないのでクラス内でのことは手の出しようがない。確か今年は大和と岳人が同じクラスだったかな
「なんかあったら言ってくれよ。すぐに駆けつけてやるよ」
「ありがとう。でも、あんまり私に話しかけないほうがいいよ?」
「一緒にいたら俺もいじめられるって?もともと一人みたいな俺には関係ないだろ」
「…言ってて悲しくない?」
「うるへえ。ま、時々お前さんの噂が聞こえてくるけどあんまり気にすんな。言いたい奴には言わせとけ。あんなの雀がさえずってるようなもんだ」
「…うん」
「んじゃ、俺は行くから。また今度話そうな」
「じゃあね」
そうして俺は京と別れ、借りた本をもって家に帰った。今日は冬馬たちと約束があるんだ。
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「あ!リュージー!」
「おっと!ユキは今日も元気だなぁ」
「うん!僕は毎日元気いっぱい!」
「ほらユキ、少し落ち着きなさい。龍二君が困ってますよ」
いつもの原っぱについた俺を待っていたのはユキの全力ダッシュからの抱き付きだった。衝撃を殺してうまくユキを受け止めたが、そのまま離れてくれない。見かねた冬馬がユキを諌めてやっと離れてくれた。
「よう龍二。遅かったな」
「ん、悪いな準。ちょっと図書室によっ…てて…」
…俺の予言が実現したようだ
「ブッ!ブハハハハハハハハハハハハハハハ!なんだよ準、その頭は!」
「うるせぇ!ユキにイタズラされちまったんだよ!」
「ちょっ、待って、腹痛い、ブフッ!」
「笑いすぎだっつーの!」
そう、準の頭の上から髪の毛が完全に消滅していたのだ!完全につるっぱげになった準、意外に似合ってるな、ブフッ!
「ウェーイ!僕がやったんだよ!イメチェン~」
「ナイスだユキ!」
「ナイスじゃねーよ!」
「いいじゃんいいじゃん。これで今までとは違ってキャラが立ってるよ!」
「立ってるよ!」
俺が準にグーサインをしているのを真似して、ユキもグーサイン。冬馬はほほえみながらそんな俺らを見ていた。
「僕もいいと思いますよ。たまにはこういったイメチェンもいいじゃないですか」
「若ぁ~、そりゃないっすよ~」
「というわけで僕もイメチェンをしようと思いますが、龍二君はどんな僕がいいですか?」
「今のままでいい、って近い近い…」
笑顔で俺に近づいてくる冬馬。最近こいつはゲイなんじゃないかと思ってきた。
「そういえば英雄は?」
「ああ、英雄なら少しの間来ませんよ。何でも海外のパーティーに出席するのだとか」
「ふーん、パーティーねぇ。旨い飯とかいいなぁ」
「やっぱ龍二はそういうと思ったよ」
「そうか?」
「料理と生き物に関しては凄まじいからなお前」
「だってそういった場所で出る料理って一流のシェフが作ったものなんだぜ?是非食べて研究したいし」
「僕は龍二の料理がいい!」
「いい子だな~ユキは」ナデナデ
「えへへ~」
ユキがうれしいことを言ってくれる、可愛いやつめ。
「んじゃどうする?英雄がいないんじゃ別に野球じゃなくてもいいと思うんだけど」
「そうですね…。別に無理に何かをしないで町中を歩き回ってみますか?何か新しい発見があるかもしれませんよ?」
「僕さんせ~い!歩こう歩こう!」
そうして俺たちは町中を歩き回ることになった。何か面白いものが見つかることを願って。
駅前の金柳商店街では、バッキャロー!が口癖で妙に偏った本ばかりおいてある本屋があった。冬馬たちにあの子猫たちを紹介するとすぐに懐いた。
イタリア商店街では鉄心爺さんが学長の川神学園の生徒たちがたくさんいた。
多間大橋付近では変な格好をした奴らがいた。全裸に裸コートのおっさんが迫ってきたので全力で逃げた
川神院に続く仲見世通りではたくさんの特産品を売っていた。俺たちが話しかけると笑って食べ物をくれるような優しい人たちばかりだった。
川神院では今日も修行僧たちが厳しい訓練を積んでいた。どうやらモモはいないらしい。冬馬たちを紹介しようと思っていたのだが残念だ。
「あ~、面白かったね!」
「そうだな。俺の友達を紹介したかったんだけどな」
「不在だったのなら仕方ありませんよ。またの機会に、ということで」
いつの間にか日が暮れていた。楽しい時間はすぐに過ぎてゆく。
俺たちはいつもの原っぱに戻ってきていた。今日はかなり歩いたなー
「いや、途中から走ってたじゃん。俺らのことを担いで自動車よりも早いってどゆことよ」
「ああなりたいなら地獄を潜らなきゃならないけど、やるか?」
「いえ、結構です」
途中からそれぞれの家の門限がヤバそうだったので俺がみんなを担いで走ったのだ。ユキと冬馬は笑いながら乗っていたのに、準だけ顔が引きつっていた。流石に持ちきれないからって片足だけ掴むのはまずかったか
「それではまた今度。次は龍二君に横抱きにして運んでもらいたいですね」
「やらねーよ。んじゃまたな」
「またねー!」
「そんじゃあな。…できれば髪の毛にいい食材とか探しといてくれ」
「りょーかい。ま、がんばれや」
そう言って俺達はそれぞれ家に向かって歩き出した。明日も楽しく過ごしたいもんだな
次あたりでリュウゼツランかな